Author Archives: Kenji Kagami
2024.09.30
クチーナのセミオーダーキッチン据え付け@渋谷区N邸
[渋谷区N邸]
新築マンションリフォームの渋谷区N邸の現場で、セミオーダーキッチンの据え付けが始まりました。

とは言いつつ、キッチンの部材搬入時から3日目なので、かなりキッチンも組みあがってきていますね。先回のブログでご紹介した窓際の三方枠と柱型のタイル張り、枠上の装飾などもかなり出来上がってきています。

写真左側のペニンシュラ型(半島型)カウンターはかなり組みあがっていますが、右側のカップボードも兼ねた壁面型キッチンは箱は組まれていますが、細かい部分はまだまだですね。

キッチンを組み立てる際に、最も重視されることが水平(レベル)と垂直(カネ)の設定です。レベルとカネをしっかり出して箱を組み上げれば、後は比較的簡単な作業となるのです。ペニンシュラ型カウンターのL字型に組まれたクオーツストーンカウンターもピッタリ組みあがっていますね。

背面収納も、ミーレのビルトンのオーブンが組み込まれたり、間接照明やコンセントもあるので、電気配線をうまく通りながらの組み立て作業となっています。

アイレベル(目線の高さに設定された)ビルトインオーブンの右側の縦の隙間は、僕らが良くご提案する引き出し式パントリー収納となります。

部屋の中央に置かれているこのフレーム型の金物を組み込むと、こちらのような引き出し式パントリーとなるのです。背面収納の奥行きが60センチもあるとカウンターは使い勝手が良いのですが、トール収納(上から下まである収納)は奥行きがあり過ぎて却って使いにくくなることもあるので、水や幹部鶴井、瓶や缶類を保管できるこのような収納を組み込むことが多いのです。

因みに箱側の下部には、このようなレールが…、

そして上部にはこのような振れ止めのピンがついており、ここに嵌め込む形で組み立てます。

組立職人さんが吊り戸棚の下に、間接照明付きのパネルを固定しようとしていますね。

吊戸棚の下には、このようなZ型の金物がついており…、

取り付けるパネルの裏側には、同じようなZ型の金物がついており、これをかみ合わせることで固定するのです。こちらのパネルを良く見ると、基材はMDFで作られており、表裏はメラミン仕上げで、間接照明用のスリットと端部の金物がついていますね。

取り付けるとこのようにピタリと吊戸棚の箱の下にパネルが密着される仕組みになっているのです。

あとは、部屋の片隅に並べられているこれらの引き出しや扉、パネル類を取り付け、最後に建築工事側で給水給湯と排水、ガスやレンジフードのダクトを接続するとキッチンの完成となります。

因みに今回の渋谷区N邸のキッチンは、Nさまの以前のお住まいだった代官山N邸のリフォームの時にも採用したのがお近くで打ち合わせも便利だった代官山のクチーナだったので、今回もクチーナさんにお願いしたという経緯があります。

セミオーダーキッチンが得意なクチーナですが、最初のレイアウトプランや使い勝手に直結する収納計画については、僕らが主導で上記のスケッチを使ってリードしてきました。

建築工事と絡む部分もあるので、そのディテールはスタッフの前田君がスケッチを描いて指示してくれています。

カウンター材や扉材などの色味も前田君が作ってくれたCGで決めたプロセスがあります。

キッチン以外の工事も同時多発的に進んでいます。

造作家具でお願いしている来客用トイレ手前の手洗いカウンターや、

玄関入って正面のタイル張りの壁も仕上がってきました。

タイル張りの壁がリビング台に具側に続いた途中に開口部があり、そこからキッチンに入る動線となっています。ここまでくると、次はお客さまと一緒の施主検査となります。
2024.09.26
大理石をスラブ材からでなくブロック材から切り出す方法
[文京区S邸]
新宿区T邸のキッチンは、アイランドカウンターも壁面カウンターも当初から白い大理石のビアンコカラーラをお客さまがご希望なさっていました。なんといっても、無垢の大理石から削り出したシンクを据えるのですから、やはり無垢の大理石カウンターが良いだろうとの話になっていました。オープンキッチンで家の中心ともなるアイランドカウンターの石材は、写真で判断するのではなく、岐阜県&三重県エリアにある石材屋を巡ってお客さま好みのビアンコカラーラを選びに行く予定でした。
しかし、打ち合わせが盛り上がってゆく中で、アイランドカウンターはより存在感を強めたいとのことで、厚みを持たせたいとのことで5センチ(50ミリ!)の厚みで検討することとなりました。

色々な経緯があって、岐阜県の関ケ原石材のブロック材のビアンコから切り出すこととなりましたが、そのプロセスを以下にご紹介します。

こちらは当初案での大理石スラブ探しのために用意したスケッチ図です。
見積もり上はキッチンとパントリーの大理石カウンターはオーダーキッチンのリネアタラーラに、その他の洗面はランドリールームのカウンターは造作家具屋にお願いする予定でしたが、どうせオーダーするなら一緒の大理石にしようとのことで、全てをリネアタラーラ経由で入れることとなりました。

厚みを増すことが決まった際にリネアタラーラが作ってくれたキッチンのカウンター図です。アイランドカウンターのサイズは、カガミ建築計画では史上最大サイズの4100×1300サイズ(!)なので分割にしないとエレベータに入りません。
さて、これだけの大きさでかつ厚み50ミリのカウンター材をどこから手に入れるかを検討してみたところ、①アジアの大理石集積所である中国・福建省水头市には何枚か50ミリのスラブがあること、②日本の石材屋には厚み30ミリ以上のスラブ材は無いので、ブロックから切り出してもらう、の2通りが考えられることが判りました(費用をあまり掛けない方法としては、通常の25ミリ厚のスラブ材を購入して、コーナーを止め加工にして厚みある大理石に見せる方法もありますが、お客さまからメインのアイランドカウンターは無垢で行きたいとの強いご要望がありました)。
①の場合、費用は安くできるが、アイランドカウンターとL字型の壁面カウンターの石材が違うものになってしまう(色違いが生じる可能性が大きい)ことをお客さまにご説明したところ、多少費用が掛かっても是非ブロックから選んで、キッチン&パントリーだけでなく洗面も同じブロックから切り出した材でオーダーしようと決まりました。

お客さまに2名分の交通費をお願いして来たのはこちら、岐阜県関ケ原市にある関ケ原石材本社です。いつもは横目に見ながら通り過ぎてしまう屋外のブロック材置き場に向かいます。

御影石のような雨風に強い石材が外に置かれているのは判りますが、染みや汚れが付きやすいビアンコ系の石材もブロック材はやはり外に置かれているのです。

候補になりそうなビアンコカラーラのブロック材を関ケ原石材の担当の齋藤さんたちが選んで並べておいてくれたものがこちらです。一つのブロック材のサイズは高さ1200~1500、横幅1200~1500で、奥行き2000程度のサイズで、一つのブロックで15~20トンの重みがあるとのこと、かなりの迫力ですね。

外に保管されている石材は汚れているので、一度軽く清掃を掛けてくださったそうですが、乾燥していると石目が良くわからないので、一つ一つのブロック材の上からバケツで水を掛けて石目を浮き立たせてくれています。

僕、各務はこのように石材の上に偉そうに立って、一つ一つに石目を確認していきました。ブロックサイズによっては、歩留まりが悪い(必要なものを使った後の残りのサイズが悪いこと)と無駄が多くなってしまうので、大型サイズのものから良さそうなものを選んでいきます。

まずは12個あったブロックから2個にまで候補を絞り、水をたっぷりかけて貰った表面を間近から舐めるように(笑)チェックさせて貰いました。

そして中で一番良いと思われた石材を青い巨大クレーンで吊り上げて貰い、このように下面もチェックさせて貰いました。

ブロック材を選んだ際に四周を見て回ったところ傷があることが判りました。その傷は内部にも入り込んでいる可能性があるとのこと、そこを避けてスラブを切り出すような特殊なオーダーはできないので、下面から切り出した方が良いスラブが取れるのではと期待してのお願いでした。残念ながらお客さまの好みではない、濃い目の線が入っていたので、やはり最初に気に入った上面から切り出してもらうことになりそうです。

カガミ建築計画からは僕、各務と担当スタッフの竹田さん、関ケ原石材の齋藤さんをはじめ、この日の検査に協力してくださった方々と一緒の記念写真です。

横に振られている番号で、全てのブロック材が管理されているそうです。ここからどの厚みで切り出して行くかの打ち合わせに入ります。

厚み50ミリのアイランドカウンター材は、搬入を頑張ってもらい2分割で行くことに決めました。50ミリのスラブ材はどうしても2枚必要になります。その他のゲストトイレのカウンター材は、端部に装飾加工をすることになりました。

来客用トイレのカウンター大理石の端部の装飾のイメージはこの写真をお見せししました。こちらはお仕事もご一緒したことがある神奈川県茅ヶ崎市のKONARAHOUSEさんの実例写真をお借りしました(小形社長、勝手に申し訳ありませんでした…)。

こちらは、関ケ原石材が上のイメージ写真から厚さ20ミリのサンプルと、厚さ30ミリで作ってくれたサンプルです。こうして比べてみると、30ミリの厚みがないとプロポーションがおかしいので、この部分は30ミリの厚みのスラブを切り出してもらうこととなりました。一枚のスラブのサイズが約3000×1500ミリほどあるので、この手洗いカウンターを切り出した残りをどこに使うかも相談させて貰いました。
既に切り出されているスラブ材を購入するのと、新しくブロックからスラブ材を好みの厚みで切り出して使う場合の差額ですが、今回は70~80万円程度の差額になりました。といっても、当初は20ミリの厚みの材だったものを50ミリにしているので、当然使用する大理石の重量も増しますので、単純比較はできませんが、凡その目安としては、ブロック材からスラブ材を切り出す手間賃は約10万円と考えると良いそうです。因みに、墓石などに使い御影石は固い石なので、ブロックから切り出す時間は昼夜通して3日間ほどですが、大理石は柔らかいので丸一日でカットできるので、その分費用も安いそうです。

写真は以前撮影したものですが、このような巨大な丸鋸のような機械でカットしてゆくのです。水を吹き付けながら丸鋸が高速回転してカットしてゆくのですが、昼夜を通しての丸一の作業で、どれだけの電気と水量を使うのか気になってしまいます…。

因みに、一つのブロックから同じ厚みで何枚もカットする際はこのような機械を使うそうです。

そして、後日カットされたスラブの写真が届いたので、ここからは写真判断でどこからどの部分をカットするかを指示して、リネアタラーラに施工用の資料を作ってもらいました。

そして後日現場に運ばれてきた5センチ厚の大理石天板がこちらです!この天板はお客さまの強い意向で、撥水処理剤を塗布していないので、職人さんが直接手を触れたり、汗が天板に落ちたりすると、それがシミになってしまう可能性があるので、相当に神経を使う作業だったそうです。

イギリスのdeVOL社の無垢大理石から削り出したシンクとの色味、斑の入り方もとても似ており、とても良い感じに仕上がりそうです。
2024.09.23
照明スイッチ&コンセント位置の現場確認
[新宿区T邸]
新宿区T邸の現場にてお客さまご夫妻と一緒に照明スイッチとコンセントの位置を確認させて頂きました。

スイッチとコンセントの位置確認を現場で行うには、以下のような条件が整っていないとうまく出来ません。
- LGS下地や木製下地で壁や天井の大枠が組みあがっていること(その前の段階だと部屋の実感が湧かないので、お客さまに空間を理解して頂くのが難しいのです)
- 電気工事で荒配線が終わっていること(こちらが当初に設計した図面に基づいて、凡その位置に配線がされており、配線できない部分も確認ができている必要があるのです)
- 石膏ボードや下地のベニヤ板を張る前のタイミングであること(ボード類を張る前であれば、お客さまとの打ち合わせでスイッチ&コンセントの位置移動は楽ですが、ボードを張ってしまった後だとやり直しが大変になってしまうのです)
- 床下地がほぼ組みあがっていること(お客さまと一緒に現場を歩き回る際に安全性が確保されている必要があるのです)

実はこのタイミングを現場と見計らって、お忙しいお客さまのご都合と合わせるのが中々大変なのです。
今回は日程調整がうまくいき、Tさまご夫妻と一緒にお家の中を歩きながら、どこで照明スイッチをオンにして、どのようなシチュエーションで照明をオフにするかをご説明させて頂きました。

最初の設計段階では、このような迷路のような謎の図面でスイッチやコンセント位置を確認させて頂くのですが、図面の読み方が分かっていないお客さまでは理解するのが難しいので、現場でこのような打ち合わせをするようにしています。

担当スタッフの岸本さんが廊下からリビングダイニングに入った壁にスイッチだけでなく、インターフォンと床暖房のスイッチがある壁を説明してくれています。これをアップで見ると…、

このように壁に実寸サイズで切り抜いたインターフォンと床暖房コントローラーや照明スイッチ類を壁に仮止めして、お客さまが実感しやすいように工夫しているのです。

こちらはお客さまが来る前に、施工会社・青の現場監督補助の池田さん、電気設備工事・ムラデンの井上さんと一緒にすべての壁下地にスイッチやコントローラーのシートを張って回っている様子です。

まだ壁が無く、造作家具もない空間で、お客さまには想像力を膨らませて頂きながらの作業になりますが、スイッチ類だけでなく、携帯電話やアイパッド充電用のコンセントや、空気清浄機&加湿器&除湿器を置く場所を想像して頂きながら回ると、僕らの発想を超える場所にコンセントを設置しておいてもらいたいとのご要望が出てくることがあるのです。

個室のコンセントやスイッチ位置は比較的簡単なのですが、今回は二つの個室の間に通り抜け型のウォークインクローゼットを設けていることや、しばらくの間はお子さまが使う予定の洋室は、近い将来は奥さまのお部屋になるかもしれないので、そのことも踏まえて照明スイッチやコンセントを考える必要がある訳です。
因みにこの部屋の左側の壁はリビングとの間仕切り壁で、この壁の裏側にテレビが設置されるので、遮音性能を高めるためにグラスウールを充填しているため、こちらの壁には遮音性能を低めるコンセントの穴あけはしないことに当初設計からなっていたので、すでに石膏ボードが張られています。

この段階であればスイッチを移設したり、コンセントを増設するのはまだ比較的容易ですが、それをキチンと図面に残しておかないと後で混乱してしまいます。岸本さんがこの日の打ち合わせで決まった変更事項を電気図に書き込んでくれています。

これは当初はリビングのソファ下に設ける床付けコンセントを、照明スイッチと連動してオンオフできる仕様にしていたものと、2口の床コンセント(床コン)の一つはそのまま連動し、もう一つは連動させずに携帯の充電用に使えるようにすることしようとのことになりました。そのために床コンまで新たな配線を通す必要があり、その作業を電気屋の井上さんと現場監督の樋口さんが共同して頑張ってくれているところです。
写真手前に見える井上さんが握っているコードの左手前にオレンジ色のCD管(合成樹脂製の可とう電線管(自由に曲げられる管))に新たな線を通そうと苦心してくれているところです。奥の樋口さんが引っ張ろうとしているのは、CD管の中に事前に通しておいたリード線です。

このように左側のリード線(通線ワイヤー)に通したい電線を結び付けて…、

左側に立ち上がっているCG管に通して、床コン側から引っ張って通線するという仕組みです。最初からこのように計画していれば楽だったのですが、後から通すことになったので一苦労だったようですが、青とムラデンの協力で20分ほどの作業で通線することができたようです。