弊事務所オリジナルのデザインサービスの「デザインアドバイス契約」にてプロジェクトを進めてきた新宿U邸リフォームが、この度完成いたしました。
この「デザインアドバイス契約」は3年ほど前から実験的に始めたものです。本来のデザインサービスである「設計監理契約」は新築の住宅をゼロから設計して、工事の監理まで行うイメージに近く、スケジュール的には最低でも8か月、長くなると1年以上の期間が掛ってしまいます。一般の設計施工(設計と工事を一緒の会社で進める)のリフォーム会社(大手のリフォーム会社、町場の工務店やリフォーム屋さん)では、4~6か月程度で工事完了まで進めてしまうのに対して、僕らがお手伝いするスタイルではあまりに期間が長すぎることで、考え出したサービスです。
ホームページにもデザインアドバイスの情報を片隅に掲載しておりますが、それをご覧になった今回のお客さまのUさまがメールで問い合わせをしてくださったことで始まったプロジェクトです。メールで、デザインアドバイスについてのお問い合わせに対して、以下のような返答をさせて頂いた上で、ご納得の上で初回打ち合わせが始まりました。
「ご購入なさったマンションのリフォームに対してのご質問ありがとうございます。今回は全面リフォームではなく、キッチンや収納の設置、
アドバイスの費用についてですが、工事の内容と複雑度によって多少変わって参りますが、リフォーム工事総額が1000万円以内であれば、打合せ3回(
ただし、
リフォームアドバイスがどの程度お役にたつか、非常に判りにくいと思いますが、まずはこちらの事務所に来て頂いての無料相談で色々とご確認頂ければと思っております」
打合せの様子は撮影しておりませんが、初回の無料相談でのお打ち合わせは白金台のこちらの事務所に来て頂いてのお打ち合わせでした。その際には、事前にメール間取り図を送って頂いた上で、こちらでどのようなことができそうかを事前に考えたうえで打ち合わせをさせて頂きました。この無料相談後に改めて正式にデザインアドバイスを相談したいとのご連絡を頂いたので、現地をお客さまと一緒に訪問させて頂きました。
マンションは新宿区にある築10年ちょっとで、105平米ほどの広さのお部屋でした。キッチンはきれいに使われていましたが、小さなお子さまがいらっしゃるUさまご夫妻には、このクローズド型のキッチンは受け入れられないとのことで、オープンキッチンに変更することになりました。
基本は2LDKでしたが、リビングの奥にこのような可動間仕切りで小部屋を作ることができる間取りとなっていましたが、このような部屋では、結局使い勝手が悪いので、これについては、収納スペースとして納戸を作って、その他のスペースはリビングを広くするために使うようにすべきではと、こちらの考えをお伝えいたしました。
お客さまへのメールでも書きましたが、こちらからご推薦したリフォーム会社2社からお客さまが選んでくださったリフォームキューの岩波さんに現地に同行して貰って打ち合わせをしております。ダイニングスペースをどのくらい広く取ればよいかをご相談中の様子です。
お客さまご夫妻も共働きで打ち合わせ時間の制限があること、そしてこちらも1回のお打ち合わせで15万円の費用をご請求することとなっているので、なるべく一回の打ち合せや現地調査でできることを済ませておきたいので、このように洗面所内のPSスペースを覗き込んで、どこまで洗面カウンターや収納を広く取ることができるかも調べさせて頂きました。
以上の現調と打ち合わせを受けて、こちらで作成した簡易リフォーム案です。何が簡易かというと、①基本となる図面をCADで起こさずに、マンション管理事務所から提供して貰ったPDF図面をベースに作っていること、②ある程度の寸法を書いていますが、実際にはまだ実測もしていないし、PDF図面から算出したものなので、大枠としての寸法目安でしかないこと、等です。
この図面では、オープンキッチンにする案を3つ提案しているので、それをベースにこちらが紹介したオーダーキッチン会社との打合せも進めて貰いました。
お客さまが選ばれた代官山のクッチーナと3度ほど打ち合わせをして、最終決定をしたいので、ショールームでの打合せに同席して欲しいとのご依頼がありました。事前にクッチーナが作ったキッチンプランを拝見しておいて、当日は気になる個所を一つずつ確認させて頂きました。
仕上げ材については、部屋全体のインテリア素材とのマッチングがありますし、細かい使い勝手や収納方法についても、僕らがいつも気にしているポイントもあるので、それらを3時間ほど掛けてチェックしてゆきました。
キッチンプランの確定を受けての3回目のお打ち合わせでは、現地で寸法の最終確認と仕上げ材のイメージを確定してゆきました。リフォームキューからは、それぞれの項目をリフォームした場合の見積りも出してもらっていたので、それらの最終的な取捨選択もご一緒に考えさせて頂きました。
こちらが、これまでの打ち合せを受けてご提案した仕上げ材のサンプル類です。
ダイニングに設ける収納・書斎・飾り棚の3つの機能を持たせた造作家具については、簡単なイメージスケッチも起こしております。
ここまで無料相談、初回現地打合せ、キッチンショールーム打合せ、第二回目の現地での素材打合せで、何をすべきかを決めることができたので、お客さまとリフォームキューの間で工事契約を結んで貰いました。
ここで一気に工事が進んだところへと飛びますが、お引渡し2週間前の造作家具の組立て段階の工事現場です。基本的には工事の現場チェックは行わないお約束となっていましたが、造作家具の組立ては、リフォーム&リノベーション工事で最も好きでワクワクする工程なので、お客さまにもこれは費用が発生しない、こちらの勝手な現場見学だとお伝えしたうえで行って参りました。
かつて可動間仕切りがあった個所には、造作の本棚と、仕上げを揃えた壁パネルが取り付けられていました。キッチンもオープンになると共に、下がり天井のラインや照明の位置もきちんと再調整されていることを確認しました。インターンとして事務所に来てもらっていた神崎さんや間瀬さんの現場勉強として見て貰いました。
単独でダブルシンクがあった洗面所は、キッチン側から通り抜けられる動線を設け、シングルボウルのリネン収納と付きの洗面カウンターに変更しています。また、洗濯機収納も上手く隠れるような工夫をしています。
そして、完了検査の立ち会いです。実はこの検査立ち会いもボランティアでの参加です。竣工写真を撮影させて頂くのと、それをこのブログの記事に書かせて頂くことと引き換え(?)として、お手伝いさせて頂きました。
オープンキッチンとダイニングの造作家具もきれいに繋がったデザインになっており、お客さまもとても喜んでくださっていました。僕は第三者的な立ち会いのツモリで検査に臨みましたが、結局職業病か、全ての項目を細かくチェックしてしまいました…。
洗面所はこのような形で仕上がりました。PSのスペースを縮小して、その分カウンターを伸ばして、PSの柱型の向こうにもリネン収納や引出を設けています。メディスン・キャビネットの鏡に映り込んだところに洗濯機が隠されることになります。
ここまで何も紹介していなかったトイレですが、背面壁にキッチンパネルを張ってもらい、手前左面には小型のトイレットペーパー収納を壁埋め込みで作って貰いました。
ただの壁でしかなかった玄関横には、使わないことになった扉材を転用した奥行き60センチあるコート掛けとその横に座って靴を履いたり、自宅に帰って来た時にカバンや買い物かごを仮置きできるベンチを作って貰いました(ベンチの素材は扉材に色を似せて作って貰っています)。この裏にあった奥行きの大きいWICの寸法を使った玄関の設えで、とても使いやすくなったとお客さまに喜んで貰えました。
ダイニングからキッチンへの繋がりです。キッチンのサイドパネルに無理を言って付けて貰った照明スイッチや、ギリギリの寸法で埋め込んでもらったキッチン部分の天井カセット式エアコン、奥行きが浅そうに見えるキッチン対面側の造作収納の工夫など、リフォームキューの営業・設計担当の岩波さん、現場監督の神成さんたちにも、相当頑張って貰いました。
お客さまの費用負担やスケジュールの短縮を目指してトライしているデザインアドバイスのチャレンジですが、今回は僕らも満足できるクオリティーの高い仕上がりになりました。こちら設計事務所側の費用としては45万円+消費税をお願いいたしましたが、お客さまからは「