今回のミラノ訪問で一番衝撃を受けた家具展示が、こちらエンジ(Henge)の市内ショールームでした。
このブランドについては、以前から聞いておりましたが、金属細工で本棚やライン照明を作る家具屋程度の知識しか持っていませんでしたが、そこから大幅にヴァージョンアップして、凄いブランドに育っていました。
キッチンはほとんど無垢の大理石の塊のようで、
コーナーの納まりもこのような凝った作りとなっています。
一応(笑)IHヒーターやシンクもきちんと組み込まれています。
壁面収納は光を透過するオニキス(アラバスター)を背面として、手前にシャープな鉄板と鉄棒とガラスの収納を作っています。
この壁面収納はさらに横へと続き、少し歪んだ金属の塊の中に冷蔵庫等を収納する流れとなっています。
実際的な収納ではありませんが、溶接すれば歪んでしまう薄さの鉄板にどのように接合しているのでしょうか…。
ショールームに入って最初に迎えてくれるのは、この印象的な照明と大きな楕円のテーブルです。
鉄板と木を使った棚は以前より大幅にバリエーションが増えています。
上階にあるこちらのキッチンも、また無垢感満載のキッチンです。
この端部のディテール、キッチンであることを完全に忘れさせてくれる存在感です!
キッチンとしても使える構成にはなっていますが、恐らく実際に料理をするより、料理もできる石造のオブジェといった方が良いのかも知れませんね。
木製のダイニングテーブルのデザインも常識では測れない特殊なものです。
厚突きのウォールナット突板を不思議な曲線に合わせて象嵌しているのです(異種素材をはめ込んでフラットに仕上げるのが象嵌なので、こちらは同じ素材なので、厳密には象嵌ではありませんが…)。
脚との取り合いや、分割位置の真鍮目地などのディテールもたまりませんね。
この写真の左側の壁面、何だと思いますか?
スラブの石材をこのような形で彫り込み加工した、扉材なのです!
高さ3メートル以上の扉付き造作収納なのです。さりげなく吊るされていますが、このガラス製シャンデリア照明も凄い迫力です。
手前のダイニングテーブルも2センチほどの厚みのある金属鉄板のテーブルですが、脚はグレートラバーチンを削り出したような独特のデザインとなっています。
こちら正面は巨大なテレビキャビネットです。
金属のテーパーを切った枠にガラスが嵌った大型扉がスライドするのです。
内部も虹色掛かった金属の棚や、バーズアイウォールナットの扉付き収納となっています。
ここまで来るとソファは普通に見えてきますが、その前に置かれたセンターテーブルも独特の造形ですね。金属と大理石を折り紙のように曲げたように見えるデザインとなっています。
当然ながら大理石板を折り曲げることはできませんので、間近で見たディテールはこのようになっています。
地階にあったこちらのキッチンも(良い意味で)変態的です。
無垢の石材カウンターと金属の取り合いも妥協がありません。
キッチン収納の引き出しの中も、無垢材から削り出したかのようなディテールとなっています。超高級家具ブランド・チェコッティのデザイナーであるマッシモ・カスターニャや、ジュエリーデザインで有名なウーゴ・カッチャトーリ、麻布台ヒルズのアマン・レジデンスのインテリアデザイナーでもあるヤブ・プッシェルバーグなどをデザイナーとして採用し、超攻撃的(?)な家具デザインにチャレンジしているそうです。
最後の写真は、ちょうど偶然にエンジのショールームでご一緒になったバケラッタの森山さん、アールテクニックの井手さん、その日に初めてご挨拶させて頂いたIKAWAYA建築設計の井川さんとの記念撮影写真です。
エンジについては建材ブランドのアドヴァンが日本の代理店になるかもしれないとのことですが、ここまで大規模なショールームを日本に持ってくるのは現実的ではないかも知れませんね…。