Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

突板屋訪問&突板工場見学

杉並区S邸

杉並区S邸の打ち合わせで、お施主様の奥さまと、工務店の青の片岡さん、造作家具の大沼さんと一緒に、川口市にある突板屋さんに見学に行って参りました。

突板屋 山一商店

伺った山一商店さんは中2階がある二階建ての大きな倉庫上の建物で、1階には一般的な突板材が、2階には特殊な突板材が保管されていました。

突板探し

こちらは2階で、まずは専務からお宝の突板を色々と拝見させて貰いました。普通は突板にしないような珍しい材から、コブや虫食いなどで、全く違った表情になった材を突いて、張り方(マッチング)まで考えて、実験的に作った突板まで、多種多様な材の説明を伺いました。

ブラックリンバの突板

今回のプロジェクトで、玄関の靴入れ収納と、洗面台に突板を使う予定があるので、小さなサンプルで見ていても判断がつかないので、工場で大判の実物サンプルを見て決めようとのことで、奥さまは家の戻ってご主人さまに相談する必要もあるので、確認の為に写真を撮っています。後で、何の写真かが判らなくならないように、片岡さんが画像に映るように指で番号を作って差し出してくれています。

珍しい突板

上から、ブラックリンバ、オリーブオーク、レッドガム、半腐りのウォールナット、ハワイアンコアの突板です。もっとも当初のイメージに近かったのが、三番目のレッドガムだったのですが、こちらはこのサンプルが最後で、在庫切れとのことで、最終的にはブラックリンバを玄関靴収納に、オリーブオークを洗面に使うことに仮決定いたしました。

突板保管状況

横には、ウォールナットやチークといった有名な材から、全く名前も聞いたことの無いような珍しい材がきれいに突かれて並んで保管されていました。

突板工場

仮決定後に、近所にある突板工場を見学させて貰いました。こちらの川口市には、昔から家具関連の板材や突板屋、工場が多く、皆で連携を取りながら家具用突板を生産してきたそうです。

突板プレス機

この大型機がホットプレス機です。突板屋から届いた突板の素材を、カッターで耳を切りそろえて、機械でノリ付して、和紙を裏打ちしたうえでベニア板にプレスします。この機械では約100度の高熱で、1センチ×1センチに対して最大で100kgの圧力で1.5~2分ほどで圧着させるそうです。

突板工場見学

上記のようにして密着させた突板を、写真奥のサンダーで削って仕上げるそうです。わずか0.3ミリの突板を張ったものを、更に薄く削り取って、表面を滑らかにして完成という段取りになります。本日は、突板休みの日だったところを無理をお願いして見学させて頂きました。

因みに、以下がその後、最終的に出来上がった突板を使った造作家具です。

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こちらがブラックリンバを使った、玄関正面の造作靴収納家具で、

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こちらがオリーブオークを使った洗面脱衣室の造作洗面カウンター家具です。両者とも、癖があってある意味アクの強い素材でしたが、こちらの杉並区S邸のお宅にはピッタリの仕上がりになりました。