Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

コロナ期ならではのマンションリフォーム

番町H邸

5年前にほぼ全面リフォームのお手伝いをした千代田区番町H邸のお客さまから、二度目のリフォームのご相談を頂きました。

リフォームのご要望とその理由は、
・コロナで在宅勤務が増えたご主人のための書斎が欲しい、
・5年前はまだ小学生と幼稚園児だったお子さまたちが中学生と小学生になったが、在宅時間が多くなっているので、それぞれの部屋をきちんと用意してあげたい、
・家族揃って自宅にいる期間が増えて、以前は気にならなかった玄関周りなどのデザインを変更したい、
といったお話しでした。5年前は、ちょうどこのお部屋を購入なさった際に一緒のタイミングでリフォームしましたが、予算も限られていたので全ての希望を叶えることができなかったのが、コロナのことでご夫婦が話をする機会も増えて、ぜひこのタイミングで二度目のリフォームをなさりたいとの話になったそうです。

すっかり大きくなったお子さまたちとご主人がリビングに並んでくださった様子です。特に一番上のお子さまは、既にご両親の伸長を抜いており、もう家族5人で一緒のベッドで寝ることは難しくなってしまったそうです。

玄関ではコロナで宅急便を頼むことも増えて、納戸を使う頻度も増えたとのことで、もう少し扉と壁のデザインを揃えてスッキリ見せたいとのご希望でした。

玄関ホールとリビングの間の扉はここまで既存の物を再利用していました。ただ、家族全員が揃ってこの扉を開け閉めすると、下レール式の扉は音がうるさいので、上レールで吊った引き込み扉に変更なさりたいとのことでした。

トイレはもともと二つあり、普段はなるべく家族は洗面所隣にあるトイレを使っていたそうですが、家族全員が揃っているとどうしてもこちらの来客用トイレを使う回数も増えるので、掃除しやすくきれいなトイレにリフォームしたいとのご意向でした。


ご主人が書斎になさりたいと目論んでいたのは、主寝室の隣でかつては浴室とトイレがあった空間で、現在は物置として使っていたそうですが、床のカーペットにシミが出てきたので、それは直して欲しいとのご依頼でした。早速、以前のリフォームの時も営業と設計を担当してくれていたリフォームキューの坂本さんと一緒に水漏れ箇所のカーペットを剥がしてみました。
以前の排水口を掃除口として殺さずに残しておいたカ所から湿気が挙がってきているようでした。ただ、まだこの段階では窓や壁側からの水漏れや壁裏躯体の結露水である可能性も残っているので、次回は大工さんに来てもらい、壁のボードに穴をあけてチェックしてもらうことになりました。

1週間後の様子がこちらです。窓直下の壁は以前が浴室だったので、クロス裏にタイルが現れただけで、水漏れの形跡はありませんでした。

剥がした石膏ボードは湿気でやられていましたが、明らかに下からの水の形跡で、躯体壁からの水漏れや結露も痕跡はありませんでした。

排水口は、将来このお宅を外国人に売却することになった場合は、主寝室横に水回りが増設できる可能性を残しておいた方が、資産価値が上がるのではという当初の考えでしたが、もうそのようなことは考えなくても良いとのお客さまからのお話しもあったので、完全に埋めてしまうことになりました。また、外壁に面した壁裏に断熱材が吹かれていなかったので、寒がりであるご主人さまのことを考えて、壁を二重壁にして、躯体面に断熱材を吹くこと、窓も断熱性能が高くないので、断熱材の壁厚を利用してインナーサッシを設置することが決まりました。

リフォーム工事の現場監督の滝川さんにも同席して貰ってのリフォーム打合せの様子です。

リビングでは、新たに設ける扉のデザインが最も重要な要素になるので、まずは持参した素材を見て頂きました。

クロス巻き込みで壁を一体化するようなアイデアよりも、質感のある扉になさりたいとのことで、このサンプルのようなステッチを入れたレザー張りの建具をご提案することになりました。

扉の一部には明り取りのガラスを入れたいとのご希望だったので、リビング壁のデザインと仕上げも含めて、担当スタッフで副所長の竹田さんが幾つかの案を纏めてくれました。

プラン全体を見ながら、抜け落ちがないかを確認しながら、一つずつデザインと素材をつめてゆきます。

お子さまたちの部屋の壁紙は、各自に決めて貰おうとの話になっていたので、好みを事前に伺ったうえで、幾つかのサンプルを取り寄せておきました。

部屋での騒音対策として、フローリングの上にカーペットを敷き詰めることになったので、候補となるカーペットとビニールクロスを見比べながら、お子さまたちに選んで貰うことになりました。

ベースとなる白い壁紙は、5年の月日が経つと、品番変更になってしまい同じものが無くなってしまっているので、似た色のクロスサンプルを持ってきて、選ばせて頂きました。

来客用トイレ壁は、汚れも拭きやすく、デザインもスタイリッシュにできるので、大理石調タイルをデザイン張りとすることになっていたので、そのサンプルを持参して一緒に選ばせて頂きました。

リフォームキューの坂本さんが最初から打ち合わせに同席してくれたことで、ここまでのリフォーム項目、デザインや素材の決定、そして見積りや工事スケジュールの調整がとてもスムーズに進んでいます。