Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

水回り部分の床シンダーコンクリートの斫り(ハツリ)

広尾N邸

スケルトン状態になるまで解体された広尾Nプロジェクトの様子です。

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解体のガラ(ゴミ)をきれいに清掃して貰っているので、広々として風が吹き抜ける、気持ち良い空間になっています。

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詳しく見てゆくと、設備配管や電気配線で色々と問題点が見えてきます。今回のリフォームは諸事情があって、解体までの工事と、そこから先のリフォーム工事を別工事として、別契約としているので、この時点で解体状況を確認しながらデザインを変更しながら、図面を変更する時間が取れます。

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こちらはかつての寝室部分から見返したようです。床のコンクリートに段差があるのが判るでしょうか?

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間近で見るとこのような様子になっています。実は、平らになっている部分はシンダコンクリート(別名:軽量コンクリート)で、嵩上げの為に使われている材料です。シンダーとは炭殻(cinder)の事で(シンデレラのシンダと同じです…)、それを骨材としたコンクリートです。バブル時期以前のマンションでは、多用されており、その中に配管類が埋設されており、設備配管の交換に際して大きな障害となるケースが多く見られるものです。

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PS(パイプスペース)内のコンクリートのスラブレベルと、室内の仕上げレベルの違いから、シンダコンクリートが打たれていることがある程度判っていたので、解体後に埋設の設備配管をやり直す部分、そして新たに水回りの浴室やシャワーブース、トイレを設置する個所まで配管を通せるように、ハツリ工事を行ってもらいました。

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赤い斜線で囲まれた個所が、ハツリの指示を出した個所です。簡単な指示図面ですが、現場できちんと範囲を示してハツリ深さも指定して工事をお願いいたしました。

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主寝室の隣に新たに浴室とトイレを移設することになったので、そこまで新しい配管ルートを作るために、このように渓谷状の谷間を作って貰いました。手間はオアーだユニットバスを設置するので、脚の高さを考慮して、斫れるだけハツッてもらいました。
タイトルでも説明でも、シンダーコンクリートと書きましたが、断面を見ると判るのですが、上部の2センチくらいがシンダーコンクリートでしたが、その下の10センチ強は普通のコンクリートが打設されていました。骨材の小石が入っているのが見えます。ハツる作業で、シンダーコンは柔らかいのですが、普通のコンクリートは骨材の分硬いので、大変な作業で、近隣住戸からのクレームに対応して時間調整をしながら工事となりました。

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ところがかつてお風呂が有った方向へのルートを斫って貰ったところ、こちらはシンダコンクリートで柔らかかったそうです。マンション建設当時の色々な事情があったのでしょうが、ここらへんの所は何故そうなったのかが判らない個所が多く、ヴィンテージマンションリフォームは推理の連続です。

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因みに、嵩上げコンクリートの深さについては、解体時にこのような様子が見えたことから推察することができました。コンクリートブロックがシンダーコンの間に埋まっており、その孔から底のスラブまでの高さを図ることができたので、約15センチという寸法を導きだすことができた訳です。

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こちらはシンダーコンクリートとは関係ありませんでしたが、本来は防火区画としてきちんとコンクリートブロックで囲われていなければならないPSの一部は破壊されていることが見つかりました。赤茶の金物がファイアーダンパーといって、キッチンの排気から火事の火の延焼防止、または熱気が噴出さないように予防するために設けられたものですが、その先のブロックが壊れており、用無しになっていました。こちらもきちんとブロックを組み直して防火区画を作り直す必要があります。

シンダーコンクリートの解体方法については、費用と日数が掛りますが、低騒音かつ低振動で解体することができるパッカー工法を採用した解体事例もあります。