ヴィンテージマンションのスケルトンリフォームプロジェクト、駒沢X邸の解体工事が始まりました。
何枚かの建具は、歪みを調整して再塗装して利用する予定なので、まずは解体工事着工前に建具屋さんに持ち帰って貰いました。
廃棄建材として一括して捨てることができないガスコンロやオーブン、エアコンなどの機器類は、設備屋さんや電気屋さんが前乗りして取り外してくれます。
その後、人数を入れての解体工事が始まりました。
一週間後の様子がこちらです。不要な壁はほぼ、天井は全てが解体され、床材もきれいに剥がされていました。
こちらは、玄関入って廊下の床部分を剥がした状況です。実は事前解体の時にも、この配管の高さ(床スラブからの高さ)が、今回のリフォーム提案をする上で一番ネックになると考えて、綿密に調査していた部分です。
図面で、キッチンから排水管が廊下の床下を転がされていることが判っていましたが、その位置によっては、キッチンのシンク位置を移動できないことになると思っていましたが、事前調査で分かった結果と同じく、この高さであればここまで計画してきたキッチン位置が問題なく設置できることが判り、ホッと致しました。
こちらはキッチン部分の天井裏のダクト類です。簡易的な設備の図面はありましたが、ここまで立体迷路のように絡み合っているとは想像しておりませんでした…。
壁や梁のスリーブ(貫通孔)位置や径も整理して、どのダクトをどうレイアウトするか、全体を見直す必要がありそうです。
こちらは主寝室横の水回りの解体初めの様子です。
壁の端部から、タイルとその下地を斫って(ハツッて)ゆきます。この空間については、シャワーユニットを入れる必要があるので、その最低寸法を確保するために、大きな音がする斫り工事をお願いしています。
壁のタイルだけでなく、床のシンダーコンクリートも斫って貰っています。シンダーコンの中に埋まっている排水管交換の為と、新しく設置するシャワーユニットを洗面床とフラットに仕上げる為です。
幸い、このエリアのシンダーコンクリートは脆く、簡単に剥がれたので、作業が捗っています。
今回の解体工事で、一番の山場になりそうなのが、こちらの浴室部分です。
この写真のようにコンクリートの躯体壁で囲まれた内部が浴室になっていますが、総計で40センチほどの高さで嵩上げのためのシンダーコンクリートが打たれていました。
手前の床コンクリートが大きく掘り下げられていますが、横引きの配管が見えていますので、ほぼ同じレベルからシンダーが打設されているようです。こちらでも排水管が埋め込まれてしまっているので、防水層共々シンダーコンクリートを斫る必要があります。
厚みが薄いシンダーコンであれば、斫り機を使って剥がしてゆくことも可能ですが、これだけの厚みがあると、コア抜きの機械を使ってゆくことになります。
近隣住戸の方々とのお約束で、騒音を出せる時間の制限もあるので、200Vの発電機を現場に入れて、2台のコア抜き機を使って作業を進めて貰いました。
まずは壁際部分に沿って、コアを抜いてゆきます。 一つの穴は100φ程度の小さな穴ですが…、
連続して抜いてゆくと、
このように壁際全てを線として抜くことができます。
連続してコア抜き作業をしてゆくと、機械が高温になってしまうので、水を掛けて、時々休んで冷やしながら作業をしてゆくことになります。狭く蒸し暑い空間の中で、二人の職人さんが頑張ってくれました。
ここまでできれば、あとはパッカーという機械を使ってもシンダーコンの解体ができますが、今回は施工をお願いした青の片岡さんのアイデアでクラッシャーという機械を使って、残りの軽量コンクリートを撤去してもらいました
約1週間後に現場を訪問した際の様子です。当初はこのレベルから排水管が埋め込まれている部分だけ斫る予定でしたが、手前の開口部の下から排水管を出すことが出来そうなので、ハツリ作業はここまでとなりました。
これまでも幾度かヴィンテージマンション特有のこのシンダーコンクリートのハツリを経験して参りましたので、それらの記事をご参考までに以下に挙げておきます。
- 青山P邸 浴室解体騒音問題で、急遽パッカー工法での解体に切り替え
- 南麻布K邸 マンション在来浴室の低騒音パッカー工法解体
- 白金台H邸 低騒音パッカーを使っての在来工法浴室の床壁解体
- 広尾N邸 水回り部分の床シンダーコンクリートのハツリ