Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

浴室解体騒音問題で、急遽パッカー工法での解体に切り替え

青山P邸

青山P邸プロジェクトでは、解体作業が進んでいます。

DSC_1649_pt

ヘアの中央に残っているのはRC(コンクリート)の構造柱です。解体前までは視線が止まっていた、右奥のキッチンエリアと左奥の廊下部分まで視線が伸びているので、随分広い空間になったように感じられます(とはいえ、左奥には来客用トイレなどが来るので、完成時にはまた閉じてしまいますが…)。

DSC_1650_pt

同じ立ち位置から、もう少し左側を見ると、このように中央奥に3つの寝室が並んだプライベート廊下が伸びています。手前の天井が下がっている部分に、今回のプロジェクトのメイン空間の一つである、ライブラリーコーナーができる上がる予定です。

IMG_20160630_144938

こちらが、解体二日目の状況ですが、取り外した造作家具等が片づけられたことで、現場がすっきりしました。

DSC_1656_pt

キッチン部分の床が解体され、設備配管の位置が判りました。左奥には室内強制給排気型のガス給湯器が入っていたので、給水給湯とガス管がそこへ向かって集中しているのが判ります。

DSC_1668_pt

玄関のタタキ部分です。銀色で縦に伸びている管が見えますが、これは上下階を貫通している排水管で、動かすことができない部分です。以前、この周りに大き目のPS(パイプスペース)がありましたが、これの幅を狭めることで、玄関スペースを広くすることできそうです。

IMG_20160630_144440

在来工法の浴室(構造躯体に直接防水処理して、その上からタイル等を貼って仕上げられた浴室)のハツリ作業中です。浴室の壁タイル、床仕上げをこのようなハツリ機械を使って、大音響で削ってゆきます。

DSC_1674_pt

ところが今回は、作業途中で近隣の方から解体騒音のことで、「もう少し静かにして欲しい」とのご依頼が管理会社経由でありました。そこで、こちらのお施主さまのPさまと施工をお願いしているスタイル・イズ・スティル・リビングと齋藤さんと相談して、ハツリ作業は表層のタイルを剥がすところまででストッ プして、そこから先の防水層を保護している保護モルタルの撤去については、比較的騒音が発生しないパッカー工法を使って進めることになりました。

DSC_1914_pt

こちらが、その後パッカー工法で防水層下の嵩上げコンクリートルまで撤去した様子です。

間近で見ると、当初ハツリ機で解体下所から、保護モルタル(防水層が傷つかないようにカバーしているモルタル)、その下の黒い線が防水層、さらにその下に嵩上げコンクリート(モルタルと違って、骨材(小石)が入っているのが判ります)がはっきりと見えます。パッカー工法では、まずは周囲から連続してコア抜きして、その後中央部分はもう少し間隔をあけてコア抜きし、そこに油圧を使った破砕機(パッカー)を差し込み、孔から孔へとヒビを入れて、取り外してゆきます。コア抜き作業もパッカー作業もほぼ無音ですので、費用の面ではお施主さまにご迷惑をお掛け致しましたが、その分近隣の方へのご迷惑を減少することができました。

DSC_1658_pt

こちらはパッカーを使う前の洗面所のスラブと浴室のスラブの位置関係が判る写真です。因みに、写真左上が浴室で、手前の床が凹んだ部分が洗面所の床です。

R0058004_pt

最終的には、浴室部分のスラブ床高さと洗面所を合わせることができました。すでに洗面床には二重床が敷かれているので、判りにくいのですが。

DSC_1661_pt

こちらは、プライベート廊下に面した家族用トイレの床を解体した箇所です。こちらのトイレは、サイズを拡大して、大き目の手洗いカウンターを設け、また収納だった箇所に洗濯機を移動(かつてはキッチン内にありました)するのですが、スラブの段差があるので、排水経路を工夫する必要がありそうです。

DSC_1686_pt

今回リフォームしているお宅は1階で、解体時の状況からも、当初に地下駐車場の点検口から見上げた際にも、スラブを貫通して排水管が下階の天井裏を通っていたので、念のためにリフォーム中のこちらの現場の天井裏も覗いて、上階からの配管が天井裏を通っていないかを確認いたしました。
幸い、上階からの配管は何も通っていませんでした。ニューヨークのマンションで、この規模のほぼスケルトンリフォームをする場合は、当該階に関係しない設備配管でも、工事中に交換するよう管理組合から指導されるのです。