超大型メゾネット住戸リノベーションの渋谷区L邸は、スケジュールの関係から上階から既に解体工事を始めていますが、下階の工事を始める前に安全祈願式(新築戸建て住宅を建てる前に行う地鎮祭的な儀式)を執り行いました。

Lさまの奥さまはご妊娠中ですので、ご主人さまと神主さん、そして関係者一同に集まっての式となりました。左から設計を手伝ってもらっているハクの関さんと後藤さん、三井デザインテック(以下三井DT)の武智さん、各務、ご主人さま、神主さま、三井DT現場監督の坂本さん、三井DTの営業の蛭川さんと設計の風間さんです。

式は地鎮祭とほぼ同じ形式ですが、お魚の鯛や海老といった生臭いものは無しの少し簡略からされた式典となりました。後ろの窓台には、三井DTとカガミ建築計画とハクからの奉献酒が並んでいます。

式の流れも地鎮祭とほぼ同じですが、盛砂を作っての鍬(スキ)入れも省略しています。
大きな流れは以下の通りです。
1.修祓(しゅばつ)
神主が参列者や祭場を祓い清め、まずは場を清浄にします。
2.降神(こうしん)
神様を祭壇にお招きします。参列者は起立して頭を下げます。
3.献饌(けんせん)
米、酒、塩、野菜、果物、海の幸、山の幸などの供物を神前に捧げます(今回は海の幸は無し)。
4.祝詞奏上(のりとそうじょう)
神主が祝詞(のりと)を読み上げ、工事の無事・安全、建物の繁栄を祈ります。
5.四方祓い(しほうはらい)
米・塩・切麻(きりぬさ=紙を細かく切ったもの)を敷地の四方に撒いて清めます。
6.玉串奉奠(たまぐしほうてん)
参列者一人ずつが榊に紙垂を付けた玉串を神前に捧げ、拝礼します。
7.撤饌(てっせん)
捧げた供物を下げます。
8.昇神(しょうしん)
神様を元の御座へお送りする儀式です。
9.直会(なおらい)
最後に、神酒で乾杯し、皆で工事の安全を改めて祈念します。

四方祓い(しほうはらい)は下階だけでなく、既に工事が始まっている上階でも行いました。

こちらは最後の直来の様子です。

一通りの式が終わったところで、お客さまのLさまから、工事関係者へのご挨拶がありました。リノベーションの計画を始めたところで、お子さまが生まれることになり、当初より工事の規模が大きくなったこと、神事を行ったことでとても場がきれいになったと感じたこと、そして工事中の関係者全員の安全を強く望んでいらっしゃることをお話しくださいました。

当日の式の後、まだ工事契約をしていなかった下階の工事のお見積りのご説明をさせて頂いた上で、工事契約も結ばせて頂きました。

こちらは別日の打ち合わせの様子ですが、まだ細かい仕様が決まっていなかった神間(神棚とご仏壇を置く和室)の仕上げ材の打合せです。

本格的な和室にする案もありましたが、工事のお引き渡しが決まっている中で、左官工事や網代組みなどは時間も掛かってしまうこと、また生まれてくるお子さまが小さい間はお布団を敷いてこの和室を使うことなども考えて、和紙調クロスなどを使って簡易的な和室とすることになりました。

三井DTでは、工事契約を結ぶと、そこから営業担当が現場営業担当に変わるシステムとなっていますが、今回の渋谷区L邸はこれまでの三井DTのお仕事の中でも一二を争う工事規模なので、営業の蛭川さんも武智さんも残って、そこに新たにに現場営業の三上さんが加わってくれることになっています(既に上階の解体工事からその体制になっています)。こちらが三井DTの銀座本社での下階の図面の読み合わせの様子です。

設備関係については設計図のみでの打合せでしたが、建具や造作家具に関しては、造作家具屋さんが書いてくれた下図を元に、金属塗装やフローリングのサンプルなどをベースに仕上げサンプルをかなりの数を作ってもらうようお願いしています。

これまでは実務的な打合せだけでその後は解散していましたが、当日の夜は近所の中華料理屋さんに集まって決起集会(実質はただの懇親会ですが)を行いました。

下階も工事が始まり、解体がスタートしています。既存の家具や建具が解体され、

あれよあれよという間にここまで解体されています。左側のビニールで養生されている範囲は、既存のキッチンを再利用するので、フローリングの取り外しは通常の解体よりも丁寧な大工解体を行うこととなっています。

工事が着工してからは、2週間に1回の現場定例打合せを現地で行っています。大工棟梁のKさんや造作家具のAさんからの質疑攻め(笑)です。

現場の解体が全ての部屋に及んでしまうと、現場打合せをする場所が取れなくなるので、後藤さんたちにお願いして千駄ヶ谷のハク・アーキテクツスタジオの新しい事務所の打ち合わせ室を使わせてもらうこともあります。

こちらは前回お願いしていた建具屋家具のサンプル仕上げ材です。同じ塗装色でも仕上げツヤを変えたりしているので、整理も大変なのです…。

これは別日に、各務だけでハクさんの事務所に来て、仕上材を決めてゆくプロセスです。ハクは後藤さんが主に打ち合わせに同席して、僕の補助をしながら打ち合わせメモを作って現場側の問題を解決してくれ、関さんが事務所で収まりの細かい図面を書いてくれる体制で、僕のことをサポートして貰っています。