Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

マンションリフォームプロジェクト_白金台M邸のビフォー&アフター

白金台M邸

港区白金台にある築浅マンションのリフォームプロジェクトが完成いたしました。事業として中古マンションを仕入れて、ある程度のデザインリフォームを施してから賃借または転売するビジネスを行っているMさまのお仕事で、中古マンションの購入時からご相談を承っておりました。

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写真上段がリフォーム前の様子で、下段がリフォーム後の様子です。大きな間取り変更はありませんが、クローズド型だったキッチンの壁を一部抜いて、セミ・オープンキッチンへと変え、左奥の壁にカウンターと造作収納を設けています。他にカーペット張りだった床をフローリングに変えたり、天井の形状を変えて間接照明を加えています。廊下からの扉は色を塗り変え、右端の造作棚も扉を作り直しています。
元の部屋の作りも上品な部屋でしたが、全体にベージュトーンで、癖がなさ過ぎる空間だと感じていたので、灰色ベースのダークトーンのアクセントを加えて、空間を引き締めることを意識しています。

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玄関ホールのビフォー&アフターです。ベージュトーンの中に、左写真の木目扉がアクセントになっていました。赤っぽい木目は、マンションが建設された当時の時代性を感じさせるので、カラーガラスと塗装塗装扉に変えて、照明器具も交換してみました。

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洗面所のビフォー・アフターです。かつてはワンボウルの洗面カウンターでしたが、突き当りのリネン収納と横のPSスペースを整理することで、洗濯乾燥機を移動することができたので、ダブルボウルのカウンターに変えることができました。

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ここから、完成までのリフォームの道程を簡易的にご紹介しておきます。お施主さまのMさまがご興味を持っている物件だとのことで、Yさまと不動産アドバイザーのNさん、工事をお願いすることになりそうだったリフォームキューの岩波さん、そして事務所スタッフの前田君と一緒に現調に来た時の写真です。

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関係者全員で車座になって、このマンションの良い部分と問題点が何かをブレイン・ストームいたしました。事前にマンション竣工時の図面を頂いていたので、こちらでも図面と写真だけでリフォームすべき個所を考えていたので、それをこの場所でご提案いたしました。打ち合わせで取捨選択しながら、ザックリした概算を岩波さんにお願いして、リフォームに掛かる費用を計算したうえで、採算性が取れそうだとのご判断をMさまがなさったので、マンションを購入することがこの日に決まりました。

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先日の打ち合せで決まった内容を簡易的な図面に起こし、概算見積りもリフォームキューに用意して貰っての第二回の打ち合わせです。この時はMさまと不動産仲介のNさまだけでなく、Mさまのお友達のYさまも立ち会ってくださり、改めてリフォームすべき個所を確認いたしました。

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メールや電話で幾度か打ち合わせをして、リフォーム計画を進めておりましたが、最終的な仕上げ材料を決めて頂くために、解体前の最後の打ち合せを現地でいたしました。ブルーグレー色のタイル、ダークブラウン色のカラーガラス、キッチン扉の塗装色や、フローリング材などを決めることができました。

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ご自身も僕らがリフォームのお手伝いをした高級マンションにお住いのMさま好みの、スタイリッシュながらシックな、カッコ良い空間に仕上がるりそうなことが、この時点でほぼ決まったと言って過言がないでしょう。この時点では、マンションお引き渡しも終わっていたので、工事側が用意してくれたリフォーム工事申請書に捺印して頂き、そのまま管理事務所に届けて貰いました。工事前の近隣挨拶の日程もこの場で決めることができました。

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こちらが仕上げ材決めの打合せ用に前田君が描いてくれた室内のインテリアスケッチパースです。

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解体が始まった現場の様子です。まずリビングダイニングのカーペットは剥がされています。

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ダイニングとキッチンの間仕切り壁も一部解体されています。閉ざされていたキッチン空間が解放的になって、良い空気が流れてゆくような雰囲気がありました。

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全てを解体して、スケルトン状態(マンションの躯体であるコンクリートの床壁天井だけの状態)にする大規模リフォームではなく、既存の仕上げ材も有効活用しながらの部分リフォームなので、取り合い部分のディテールが一番重要となるので、スタッフの前田君に記録を取ってもらいながら、スケッチで施工側に指示する流れで工事を進めてゆきます。

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洗面所のカウンターと床を撤去した際の様子です。大手スーパーゼネコンが施工した築浅マンションなので、床下に隠れていた配管類もほぼ竣工時の図面通りで、大きく変更する必要はなさそうです。

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大工が入っての造作工事が始まってからの現場の様子です。大工はお馴染みの町永さんなので、難しいディテールの納まりも安心して相談することができます。カウンターを設置する予定の窓際の壁下地も出来上がりつつありました。

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単純な長方形だった折り上げ天井は、ダイニング部分をわざと落として、その代りに掘り込みの照明ボックスを入れる形状に変えて貰っています。リビング部分はLEDを仕込むアゴを作ってもらい間接照明で照らしてもらう予定です。壁と天井はクロス仕上げなので、どこで見切るかを考えての目地も入れて貰っています。

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工事が進んで、キッチンの造作カウンターが設置されました。奥に見えるキッチンも、扉を塗装仕上げの扉への交換が終わっております。

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ダイニングの正面の壁にはカウンターと造作収納が取り付けられました。カウンターの甲板はキッチンのカウンターと同じ素材で、収納の扉にはカラーガラスが張られます。このカウンターと収納で、キッチンをセミ・オープンにしたことで失われた収納量を確保する計算です。

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ベランダには、ウッドデッキを張るための下地が組まれていました。アルミサッシとの段差がほとんどない状態でしたので、根太を省略した大引きだけの下地として貰っています。

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また数日経っての現場です。仕上げ工事としてタイル屋さんの作業が始まっていました。カッター台の上で、寸法を書き込んでからカットする様子です。タイルをカットすると細かい粉塵が飛ぶのですが、台の横から伸びたホースと掃除機で右側の袋に粉塵を送り込むシステムになっています。

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玄関入って正面の壁をタイル仕上げにするのですが、タイル分だけ壁が出っ張ってしまうのは見栄えが悪いので、その横にはボード一枚分、壁をフカして貰っています。

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壁のタイル張りは、均一間隔にタイルが張れるように、スペーサーとクサビを使いながらの作業になります。

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張り上がりを横から眺めた写真です。タイルは大理石調のボーダータイルですが、磨き仕上げだけだと単調になる気がしたので、所々にマット仕上げのタイルも混ぜて貰っています。また、玄関正面の壁なので、天井を一部切り裂いて、壁際にピクチャーレールも仕込んでもらいました。

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約一か月半の工事期間を経て、リフォームが完了いたしましたので、お施主さまに来て頂いての施主検査の様子です。以前に比べてスタイリッシュな空間になったことを、とても喜んでくださいました。

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リフォーム前は、どこに家具を置けばよいのかの空間的ヒントになるものがなかったのに対し、天井や壁のデザインでダイニングテーブルの位置を示唆することで、住まいに対するイメージが湧きそうだと不動産アドバイザーのNさんにコメントして頂きました。

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これまでもMさまには、幾度かのリフォーム&リノベーションのお手伝いをさせて頂きましたが、今回が最も無駄が少なく、全体にコストパーフォーマンスが最も良かった事例なのではないかとお褒め頂きました。