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プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

発泡ウレタン系断熱材吹き付け@杉並区S邸

杉並区S邸

いままでチャンスがなく、実際に施工している現場を見たことがなかった、発泡ウレタン 系の断熱材吹き付けの様子を見学して参りました。

現場吹き発泡ウレタン断熱

距離と吹く時間を調整しながら、随時ピンのような道具を使って厚みをチェックしながら、吹き付けている様子です。シュッ、シュッといったペースで1秒程度の短い時間の吹付を細かく移動しながら吹いて行くようです。

吹き付けガン

こちらが吹き付けているスプレーガンのアップ写真です。二つの液体をこのノズル部分で混合して、それを外に置いたコンプレッサーからの圧縮空気で吹き付ける仕組みになっているそうです。一度発泡したウレタンは、どのような液体を使っても溶かすことができないので、ノズル部分も1時間ほど吹く度に、機構を解体して、内部を尖った棒でつつき洗浄しながら作業を進めてゆきます。

吹き付けビフォー&アフター

こちらの現場では、以前から断熱材が吹かれていましたが、厚み3センチと薄いことと、天井への吹き返しがなく、西面を向いているので、あと3センチ分増し吹きすることにしています。事前に、ガイドとなり、後程カーテンボックスなどを留めるためのベースになる木製ブロック(木レンガ)を固定しておき、窓や開口スリーブなどはすべてマスキングしておいた状態で吹いてゆきます。吹いて2~3秒後には固まっていますが、結構な熱を発生するので、一度に厚く吹き付けると危険なので、何度かに分けて薄く吹き重ねて行くとのことでした。吹いたばかりの発泡ウレタンは薄緑色ですが、しばらくして紫外線を浴びると、黄色く変色してゆきます。

吹いた後から、ほかの職人さんが写真左上のようなカッターを持って、木レンガに吹き付けられた断熱材を削り取ってゆきます。その際に、指定した厚みを超えた部分もカットしてゆきます。

一液性発泡ウレタン

もう一人の職人さんが、断熱材の厚みが足りていなかったり、うまく吹けていない個所に、一液性の発泡ウレタンで補修をしてゆきます。

こちらは、外に置かれたトラックの内部です。左手の青いボックスがコンプレッサーで、右手に見える一斗缶二つに二種類の液体が保存されています。トラックからのホースの長さは約100メートルで、ビルの20階くらいまでは届かせることができるそうです。

約1時間半で170 平米のマンションの外壁側と天井の折り返し部分をきれいに吹き終わり、その後に仕上げのプライマーを吹き付けて完成です。実際の吹付作業自体は、手慣れた職人さんたちが行うと、それほど大変ではないそうですが、その前のマスキング作業や、木レンガの固定作業をどれだけきちんとしておくかで、仕上がりのきれいさも変わってくるそうです。

最後の写真は、吹き付け作業をしてくれた職人さんの作業服です。今回は天井は折り返し部分だけで、それほど大きな面積ではなかったのですが、大きな新築マンションの現場などでは、上向きで吹いた発泡ウレタンが垂れてくることがあるそうで、作業服もこのような状態になってしまうそうです。初めてみるウレタン断熱工事で、ちょっと興奮し過ぎて100枚以上の写真を撮ってしまいました。