僕らが工事期間中でもっとも興奮する、造り付け(造作(ぞうさく))家具の取付け工事が麻布台M邸で始まっていました。
大理石張りの横に伸びているのは、AV機器を収納する飾り棚です。まだチーク突板の扉がついていない個所があるので、内部の濃灰色のポリ合板が見えていますね。
正面から見ると、このようになっています。実は、家具の左側は動かすことができない構造柱になっていますが、その柱と仕上げ材のボードの数センチの隙間を使って、カウンター板を柱の左隅まで伸ばしています。扉と揃えたパネルを表面に張っていることで、長く伸びているデザインとしています。
柱型の手前から見た様子です。天板が伸びてきて、最後に折れ曲がって降りており、そこに化粧パネルが付いていることで、実際には柱の向こうからしかない家具ですが、デザイン的には大きく伸びているように表現できています。廊下状になった突き当りにも、同じチークの本棚が設置されました。
こちらはAV収納を入れる部分の詳細です。実は、背面に洗濯機収納が作られており、洗濯機と棚の奥行きの違いを使って、こちら手前側の収納にも奥行きの違いを作っています。AV機器のアンプやDVD、ブルーレイなどが置けるスペースを作っています。オレンジ色の管が天井から伸びてきていますが、こちらは天井裏を伝って大理石の壁に設置されるテレビと配線を繋げられるように設置したCD管です。また、アンプは熱を発するので、扉や棚板には空気抜けの孔を設け、さらにCD管が通っている部分は壁で隠すのですが、そこから天井裏まで熱せられた空気が抜ける道も作っています。
カウンターの天板は人造大理石のシーザーストーンを使っています。ちょうどこの家具の真ん中辺りに、大理石の壁から引き出される扉がぶつかります。扉で仕切られる個所にはカウンター上で吊戸下には透明ガラスを入れる予定となっています。この写真で天板に掘られたスリットは、そのガラスを固定するためのものです。
吊戸棚を下から見上げた写真ですが、こちらでは吊戸棚を二つに分割して、その隙間にガラスを差し込んで固定する工夫をして貰いました。プロにしか、この面倒なディテールは理解できないと思いますが、それでもこのような細かいディテールの工夫が最終的に出来上がる空間の質を支えていると信じて、頑張っています。
先ほどの写真で突き当りに見えていた本棚家具がこちらです。これは扉が付かない家具ですので、内部まで全てチーク突板で仕上げて貰っています。
こちらはキッチンにあった既存のアイランドキッチンカウンターを転用した、変形ペニンシュラカウンターです。普通の長方形のカウンターを壁に絡めて、L字型に折り曲げて、ダイニング側にフレーム上に見えるようにデザインしたものです。先ほどの飾り棚と同じクォーツストーンを使っており、フレーム型の奥には大判大理石調タイルのメガスラブ(アドヴァン)を張っています。1.6メートル×3.2メートルの超大型タイルなので、ここではその中から一番模様がきれいな部分を使っています。その他の残りは、きれいに切って廊下の突き当たりに張って貰う予定です。
違う角度から見た変形ペニンシュラカウンターです。カウンターの収納については、ほぼ既存の収納を使っており、カウンターとL字型の出っ張り部分だけを作り変えたことになっています。
こちらは玄関ホールからプライベート廊下に入る入り口に作った、小型の飾りニッチ付きの収納です。小型の引出と扉を付けて、玄関回りで必要になる印鑑や鍵置き場などの小物を収納できる場所となります。ニッチ背面にはダイニングでも使っているラインストーンのモカクリームを張っています。
今回取り付けて貰った造り付け家具の全容が見える写真です。実はキッチンのカウンターと奥のチークのカウンターが同じ高さで揃っていることで、兄弟のように見えることを意識してデザインしているのですが、判るでしょうか?