解体検査が続きますが、こちらは築43年の品川区Y邸のリフォーム工事です。
最近は比較的新しいマンションのリフォーム工事が多かったのですが、さすがに築年数が古いと解体時に色々な問題が判明し、その対応に苦労することになりました。お施主さまのYさまと、施工をお願いしているライフデザイン社の現場監督の斉藤さんと伊藤さん、キッチンをお願いしているリブコンテンツの大江さんにも立ち会って貰っています。
まず一つ目の問題は、躯体の歪みです。こちらはある程度予想がついていたことですが、天井の高さの問題や、壁の歪み等をどこを基準に、どのように補正してゆくかを早急に決める必要があります。写真はレーザー測量器を使ってレベルを測って貰っている様子です。
墨出し用にスタッフの竹田さんが用意しておいてくれた図面に、訂正が必要な個所と寸法を書き込んで、どのように問題を解消すべきかを考えてゆきました。
二つ目の問題は、構造的な問題でした。以前のリフォーム業者が何らかの理由で、構造躯体の梁を斫(ハツ)ってしまっている個所が幾つも見つかりました。今ではあまり使われないスパイラルタイプの異形鉄筋や丸棒鉄筋が無残に見えてしまっています。
構造の問題の続きです。ただしこちらはリフォーム業者が問題ではなく、恐らく経年変化での影響でしょう。写真の床スラブ面に走っているヒビです。ラーメン構造のマンションですが、床スラブの四周をこのようなヒビガぐるりと周っていました。構造の専門家に確認したところ、この築年数のマンションであれば、このヒビが原因となって、床スラブが落ちる可能性がないとのことでしたが、空気中の水分がヒビからコンクリートないに入って、鉄筋が錆びてゆくのは防ぐべきだとのアドバイスもあったので、マンション管理組合に確認の上、Yさまのご負担で上の梁のハツリ箇所と同時に、補修してゆくこととしました。
3つ目の問題は防火区画です。トイレの背面の壁を解体した様子をみると、本来はコンクリートブロックで竪穴であるPSと室内を、きちんと防火区画しなければならない箇所ですが、いつの時期かに開けられた点検口で区画がきちんとなされていませんでした。また耐火二層管になっているべき排水管も普通のPV管がそのまま使わられていました。こちらは下の階で火事が発生した場合に、火がPS内を伝って、すぐにこちらの階に登ってきてしまう可能性がある事をお伝えしたうえで、コンクリートブロックを積み直し、区画を貫通する配管類については、熱膨張耐火材で貫通部を処理して貰うこととしました。こちらについても追加の費用が発生することになってしまいますが、Yさまにはご了承頂きました。
4つ目の問題は既存配管の状況です。玄関横のPSから飛び込んでいる給水管は、内部が錆だらけになっていました。こちらは当初から全面的に交換する予定でしたが、これまでこちらに長く暮らしてきたYさまも、錆の多さに驚かれていました。
キッチン屋さんはこの時点で配管やダクトの接続位置をある程度確定しておきたいので、斉藤さんたちに簡易的な墨出しをお願いしました。今回は下階への騒音対策の為に置床で二重床にするので、置床を張った時点で再度正式な墨出しをする予定ですが、仮墨を出してもらいました。
梁下に既存で空いているレンジフードからの排気用の開口位置や、かつてサッシだった部分を壁で塞いでいる部分の作りなども確認して、どのようにリフォームで対処してゆくかを確認いたしました。それぞれの問題はある程度は予想していましたが、オンパレードのように問題が出揃ってしまったので、それぞれのポイントとなる部分をお施主さまにご説明しながら、施工会社の知恵を仰ぎながら早急に対処してゆくこととなりました。久しぶりにアドレナリンが出る解体現場でした!