造作AVボード家具の制作状況を説明したブログが好評だったので、渋谷M邸の寝室のヘッドボードの造作手順も時系列に並べて解説します。
まず、こちらが完成後の主寝室のヘッドボードです。
こちらが最初のご相談時にお客さまから頂いていた寝室のイメージ写真です。
他の部屋のインテリア素材や色味からこちらのような色味で進めることが決まっていきました。ピンク色のペンダント照明のサンプルは、当初想定していた照明器具でしたが、サンプルを借りて見比べた所、色味が合わなかったので、後日別の物に変えました。
素材選びと同時に設計側で作っていたヘッドボードの図面がこちらです。ヘッドボードを周りをアンティコスタッコで塗る以外にも、タイルを張る案なども検討していました。
ペンダント照明を変更するプロセスのなかでは、このような簡単な実物大モックアップ模型を作って、お客さま立会いの元サイズや個数を確認させて頂きました。
現場が始まってから、まず最初に工事会社のリフォームキューが、養生テープでヘッドボードのサイズや、横のドレッサーの位置関係、飾り棚の高さ関係が分かるように現地にマーキングしてくれた様子です。
解体が済んだ主寝室の壁には、作り付け家具を固定させるためのベニヤ板の下地張りがされてゆきます。照明のスイッチやコンセントを設置する位置に合わせて、電気配線も再レイアウトされています。
こちらで作った展開図から、施工会社のリフォームキューが作ってくれたヘッドボードの施工図がこちらです。パネルや家具はすべて家具工場で作り、現場で用意した真鍮目地の間にはめてゆく形で施工されてます。
図面通りの位置に真鍮目地が固定され、その隙間に棚板が組み込まれていきます。
ヘッドボードの本体(コンセントやスイッチ、間接照明を組み込んだ出っ張った箱で、仕上げにレザーパネルを張る下地になる)も取り付けられました。
真鍮目地とピタリと合ったカ所に据え付けられているのは、図面通りで当たり前なのですが、それでも職人技には感嘆してしまいます。
ヘッドボード上部の壁のアンティコスタッコ塗りが終わり、横のカラーガラスも張り終わった状態です。
点検口を開けた内部に照明やコンセントの配線が隠されています。
窓側のサイドテーブルは、下部をオープンにするために、壁から片持ちで固定されたものとなっています。四角い滑らかな箱のように見せたいので、引き出しの表板の3辺を45度にカットしたトメ加工にして貰っています。
最後にレバーパネルを張ってスタイリッシュなヘッドボードの完成です(とはいっても、実はレザーパネルの人工レザーの輸入がコロナのことなどで間に合わず、仮のレザーパネル状態でのお引渡しでしたが…)。
ベッドは寝心地を重視して選んだレガリア(大塚家具)のヘッドボード無しマットレスで、ベッドカバーとピローケース(枕カバー)はイヴ・ドロームでお客さまが選んできてくださったものに、マナトレーディングのブルー系のクッションが組み合わせられています。
照明は、手前のペンダントがエクリプス(LeeBroom)、奥のテーブルランプがオルーチェのアトーロです。因みに天井の照明はミニ・ジョガーリ(ルミナベッラ)で、照明のスイッチやコンセントもヘッドボードに組み込まれています。
背面の緞子張りのレザーパネルは、納期の関係で竣工時は、似た色国産人工レザーで仮のパネルを作ってお引渡しをしましたが、その後、米国製の人工レザーが届いてからステッチを入れたこちらの物に交換させて頂きました。
ヘッドボードの上には、壁を照らす間接照明が組み込まれており、置き型のサイドテーブルの横のドレッサー(お化粧テーブル)と各板に間接照明を組み込んだ飾り棚板も作り付けとなっています。壁面は、真鍮目地で見切ったカラーガラスとアンティコスタッコ(大理石の粉を混ぜた左官仕上げ)で仕上げています。
マナ・トレーディングで選んで頂いたカーテンとレースも入って、(レザーパネルと、ラグとお化粧用椅子以外)ほぼ完成の寝室の様子です。最初のイメージ写真から、ここまできれいでカッコよいヘッドボードと寝室インテリアが完成したこと、Mさまもとても喜んで下さいました!
以下は、他の事例でデザインしたヘッドボードの事例写真です。
六本木N邸のヘッドボードです。家具のように取り外し式として、ウォールナットとレザーパネルで構成したボードです。
松濤D邸のヘッドボードは、元々お手持ちのベッドにヘッドボードがついたタイプでしたが、背面壁周りを木製パネルで覆い、背面壁にはステッチ入りの灰色のレザーパネルを張ったものです。
代々木上原I邸の主寝室も、壁一面がヘッドボードになった構成です。窓まで取り込んだ木製フレームの中に、緞子張りのファブリックパネルと凹ませた収納を組み込みました。
外苑前C邸では、ウォールナットで作った家具の中に、レザーパネルを落とし込んだスタイルのヘッドボードです。
港区R邸の主寝室は、僕らの事例の中では一番費用を掛けて、凝ったデザインのヘッドボードとしています。木製塗装枠の中に間接照明を組み込み、ヘッドボード部分は大理石とレザーパネルとミラーの組み合わせ、サイドボードも木製と大理石カウンターの組み合わせとしています。
高輪M邸はクラシカルなヘッドパネルです。木製の格子枠の中に緞子張りのファブリックを落とし込んだスタイルです。
元麻布I邸は壁紙をパネル状に張ったシンプルなヘッドボードです。
神戸M邸はコンパクトな寝室で、壁とフラットにウォールナットパネルを張ったものです。
南平台N邸のヘッドボードもほぼ似た構成ですが、サイドボードの代わりに逆三角形のミニカウンターと照明のスイッチとコンセントを組み込んだニッチを作っています。
原宿K邸では、部屋の構成上、窓際にベッドの頭を持ってゆくことになってしまったので、窓台よりも高くなるヘッドボードを設え、裏側にブラインドが入り込むようにしております。窓際からの寒い風が枕元に流れてくるコールドドラフトを防ぐ役目もしています。天井から壁をRの形で繋げたのもデザインのコダワリでした。
色々なタイプのヘッドボードをご紹介させて頂きましたが、残念ながらヘッドボードだけのリフォームはお手伝いできませんので、悪しからず…。