南麻布S邸のリビング・ダイニング・キッチンの床は、空間性や使い勝手を考えて、3種類の大理石調タイルと1種類のフローリングを張り分けるデザインとしています。
ソファーを置いてリラックスするリビング部分のほとんどは、こげ茶と黒い色が混ざったダークな色調のフローリング張りとなります。
窓の位置や天井の折り上げの位置とフローリング張りの位置があっていることが判るでしょうか?壁際の柱型と手前廊下部分はボーダーとしてタイル張りとなります。
ちょうど作業中なのが、ダイニング部分のタイル張りです。大理石調タイルは、欧州(特にイタリアやスペイン)からの輸入ものが多いのですが、まだ日本ではあまり主流となっていないので、一つの材種・メーカーでは望ましいタイルが見つかなかったので、2社3種類のタイルを張り分けることになりました。
そうなると、タイルの厚みやサイズが微妙に変わってくるので、ボーダー張りにする際に、サイズ違いを調整するために、写真のようにさらに細かくサイズ調整用のボーダーを廻すことになります。デザイン的にも結構効いてくる部分なので、幾度も図面を直してサイズを決めてゆきました。
判りやすいように色は変えていますが、このような図面を起こして、リビングのフローリングの範囲、ダイニングやキッチンのタイル張りのエリアを指示してもらいました。
フローリングと2種類のタイルの張り分けの様子です。事前に現場で厳密な墨出しをして貰っているので、バッチリあっていました。
こちらの写真はタイルをどのように張ってゆくかの工程を順に追ったものです。
左から、まずモルタルに接着剤を混ぜたものを鏝(コテ)で床に塗ります。次は吸盤がついた特殊な持ち手でタイルを張ります。最後は、指先と手の平の感覚で、平滑さと目地の通りを見ながら、木槌で微調整してゆきます。
まだタイルが張り上がっていませんが、大きなリビングダイニングの空間が、だだっ広いだけでなく、ちゃんと空間の使い勝手に合わせてゾーン分けされていることが判る床構成になってきました。
因みに、こちらの図面は現場監督の富田さんが大事に持っていたものですが、床の平滑面を確保するために、現場を完全に解体した際に床スラブの段差がどれだけあって、どの部分もモルタルで調整すべきかを指示した図面です。このような地道な作業が重なることで、きれいな床面が出来上がってくるのですね。
こちらが翌日に見に行った現場写真です。すでに床タイルは全て張られていました!
フローリングにかぶさっていた養生を少し剥がして、3種類の床材が張り分けられている様子をパチリ。
キッチンの中央部分には、3種類目のタイルが張られていました。
玄関の三和土(タタキ)部分の大理石も張り始められていました。こちらは床スラブからの厚さが十分になるので、砂にモルタルを混ぜたものに、ノロを掛けながら張ってゆくスタイルでした。
その他の作業もどんどんハイピッチで進んでいます。石張りの壁の背部には引き戸を引き込むポケットが出来上がっており、プライベート部分とパブリックを分けている壁の端部の丸い部分も張り上がっていました。
子供のプレイルームを仕切るための大きな引き戸も現場に届いていました。搬入できるサイズか、実験をしたうえで搬入したものですが、本当に階段室ギリギリだったそうです。竹田さんと比べるとそのサイズの大きさが判りますね…。
玄関ホールとリビングの間仕切り扉も取り付けられていました。コンフォートで特別に作った貰った、ゼブラウッド張りの大型扉です。