先回の西麻布N邸の解体状況をお伝えしたブログで、近隣の方々から解体騒音のことで注文が入ったことを書きました。その後施工会社にも努力して貰って、時間の制限や解体方法を変更しながら解体を続行していたのですが、やはり近隣の方々からのご了承を得ることができませんでした…。
お客さまからも、工事後は近隣として暮らしてゆく人たちからのお願いなので、無理はしないで頭を使って解決して欲しいと依頼されておりました。元々、解体工事を終えてから一か月の現調時間を取って、リノベーション工事に入るスケジュールだったので、そのひと月分の余裕の時間を先に使って、在来工法で作られていた浴室の床シンダーコンクリートの撤去工事を最小限にするために、浴室と水回りの位置をレイアウト変更する案を作って、見積りと共にお客さまのご承認を得ることができました。
リフォーム前は、浴室が2つにトイレが2つあり、その中央に長細いユーティリティーが挟まっている水回りレイアウトでした。解体工事を始める前に考えていた、リフォーム案では浴室は在来工法のバスルームBを解体して、そこにコンパクトなオーダーユニットバスを入れ、ユーティリティーはレイアウトはそのままで縮小して、洗面脱衣をゆったりと取ることと、バスルームAはシャワーブースとトイレに変更して、手前の洗面はクローゼットにするというご提案でした。
ただ、お客さまからも、浴室はなるべく大きくしたいとのご要望もあったので、変形の浴室で良ければと、中央のユーティリティーの部分にオーダーユニットバスを入れれば、変更プランのような大型浴室も実現できることをご説明いたしました。この方法だと、バスルームBの床下はダブルボウルの洗面からの排水経路分だけを溝状に斫れば良いだけですので、それならコア抜きを連続して、解体騒音を最小限にすることができることもご説明いたしました。
浴室サイズがアップして、浴槽もグレードアップしているので、工事金額はそれなりにアップしますが、解体騒音を最小にすることと、浴室を大きくすることができるので、お客さまも喜んでご了承してくださいました。
と書くと、簡単に検証できたように見えてしまいますが、実は工事をお願いしてる工務店とオーダー浴室をお願いしている東京バススタイルと、幾度かの現場検証を行った上で判断させて頂きました。現場監督の石山さんと設備屋さん、そして東京バスの真柄さんとうちのスタッフの前田君がPSをどこまで縮小できるかを見ている様子です。
最上階住戸なので、PS内には上階からの排水管は降りてきておりませんが、同じ太さの通気管が通っているので、少し移動はできますが、それでどのサイズの浴槽が入るかは中々難しい判断でした。
反対側にも通気管と給水管などが通っていましたが、給水管は動かす必要がありますが、通気管は動かさないでも何とか避けることができそうでした。
通気管と排水管の床付近の状況です。手前左側にはガス管が来ていますが、元々この個所にはガス乾燥機が入っていたので、それを新しい洗面脱衣室側に移動できるかも、大きな問題でした。
こちらは天井裏の様子です。防火区画の位置も変えるので、FD(ファイアーダンパー)の位置も変わり、梁を貫通しているスリーブが一か所しかなかったので、そこにガス乾燥機のダクトを通せるかなどの検証もしましたが、何とか通せることが判りました。
バスルームBの解体状況です。床のタイルとシンダーコンクリートを斫る前でしたので、新しく設ける洗面カウンターからの排水を、どこを通すかを改めて相談させてもらいました。
こちらは、後日浴槽を撤去後に、洗面ボウルからの排水経路分を溝斫り(ミゾハツリ)した様子です。丸型のコア抜きを連続して溝を作っていることが良く判ると思います。この解体時の騒音では、近隣の方々からの注文は幸いに入りませんでした。
もう一つの浴室だった箇所も同様にコア抜き機での溝斫りでした。こちらはシャワーブースとトイレの排水を流すので、溝の形状も少し複雑になりました。
当日は、階段周りの壁も解体されていたので、階段のリフォームについても打ち合わせを行いました。
階段の突き当りの壁をどうデザインするか、またこの階段の開口部付近にテレビ代わりのプロジェクタースクリーンを設置する予定なので、どのように作るかの打ち合わせもさせてもらいました。
解体時の騒音のことで、一旦工事がストップしてしまい、その先どうすべきかで、お客さまと施工会社と僕ら設計で悩んでおりましたが、災い転じて福となす作戦で、グレードアップした浴室や水回りを、解体騒音を最小に抑えながら実行できることになりました!