Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

オーダーキッチンと造作家具の合番(アイバン)工事

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸では、キッチンの組立てにオーバーラップする形で、造作家具も組立ても始まっています。オーダーキッチンのリネアタラーラが入るタイミングに合わせて、造作家具をお願いしている下請けの現代製作所さんにも、キッチンに合わせて組み立てて貰う家具があるのです。建築工事では、こういった違う種類の業種が同じタイミングで入ることを合番(アイバン(相番とも書きます))工事というのです。

こちらはリネアタラーラにお願いしてるキッチンの組立てです。まだ、手前のペニンシュラ(半島型)カウンターがまだ組み上がっていないので、単調な壁面型に見えますが、こちら側だけでもカウンターの長さ約6メートルの超大型キッチンなのです。因みに、キッチン手前側に立てかけてある大理石柄のタイルがペニンシュラカウンターの甲板です。

ちょっと視線をずらすと、このように大量の箱が並んでいますが、まだこれらの箱がキッチンとして組み上がってゆくのです…。

壁面キッチンの一番奥は、カウンター下部にはビルトイン型の洗濯機と乾燥機(共にミーレ)が入りますが、カウンター上には調理機器が並べられるようになっています。一部には上下階を繋ぐ配管(写真左側の黒いパイプ)が通っているので、その部分は箱にして避けています。

カウンターの一番奥には、柱型の手前に照明やセキュリティーシステム、床暖房などのスイッチ類をすべて取り纏めたコントロールボックスが来ます。こういった細かい細工と設備や電気との調整が、本当に大変な作業なのです。

また、キッチン屋のリネアタラーラさんに作って貰った箱に、造作家具屋の現代製作所が作った扉を取り付けるという変則的な合番工事になっています。

キッチンとは全く違う場所の主寝室奥の洗面所では、造作家具でお願いしている洗面カウンターの取付けが始まっていました。

リビングでは、先日施工が終わったハイテグラのマントルピース横に、加工大理石のサルバトーリ(イタリア)を張る作業も始まっています。

壁掛けテレビの背面壁としてピエトラ・ダァルバという石種のインフィニートという加工を使っています。凹んだ壁一面だけであれば、こちらの作業も比較的楽なのですが、今回は出っ張った角(専門用語では出隅(デスミ)といいます)を曲がっているので、端部(小口)を磨いたり、ラインを合わせたりの作業が大変なのです。

現場で切る作業はなるべく少なくするために、事前にきっちり測量して図面を書き、事前にカットしたり磨いた材を持って来て張るのが一番スムーズなのですが、リフォームだと歪んだ窓枠に合わせたりといった現場対応も必要になってしまいます。

このように徐々に組み上がって仕上がっていくのです。

正面から見ると、このようになってきます。中央左側は壁掛けテレビの引っ掛け金物が来る部分のなので、黒く塗装された木製の板が張られています。また、配線を通すための穴も事前に開けられています。

職人さんの手の跡が残ったハイテグラと、カチッと幾何学的なサルバトーリの組み合わせは、仕上がりが楽しみです。

ハイテグラのマントルピースの下には、バイオエタノール暖炉のエコスマートファイヤーを入れるカウンターと箱も組み込まれています。

パッと見ると、簡単な凹みに見えるのですが、実はエコスマートファイヤーが独自に作っている安全基準に則っていないと、暖炉を販売してくれないというルールを自主基準を作っているので、かなり面倒な(笑)しかし安全側になるように作られているのです。下地はすべてLGS等の不燃材で、バイオエタノール暖炉と近接する部分もケイカル板や耐熱ガラス等を使うという厳しいルールがあるのです。

このような図面を設計側で作って、エコスマートファイヤーの販売会社であるメルクマール社と何度もやり取りをする作業が必要になるのです。

在来工法浴室とシャワーブースの壁のタイル張りも行われていました。

色々な工事が同時進行で起こっているので、ほぼ丸一日現場にいましたが、夕方にはQさまご夫妻が現場に立ち寄って下さいました。ピザ・デーのお礼をお伝えさせて頂きました。進んできた工事を嬉しそうに眺めて喜んで下さっているお客さまの様子を横で見て、当日の疲れが全て吹き飛びました(笑)。