代々木上原I邸の主寝室には、大型テレビを入れた簡易型のホームシアターシステムを導入しました。
一般にホームシアターシステムというと、防音と遮光で完全に区切られた部屋に大型スクリーンとプロジェクター、それにサラウンドの音響システムを揃えるというイメージですが、こちらのシステムはもっと簡易的なものです。
窓は完全遮光は難しいシェードを使っており、遮音もそこまで徹底できていないので、簡易と言っていますが、テレビは77インチの大型で、音響は専門のAURUS(オーラス)に組んで貰っています。
こちらが作った寝室の平面図に、ベッド正面に最大でどれだけのサイズのテレビモニター入れることができるか、更にその横にデザイン性も優れたB&OのBeoLab18の壁掛けスピーカーを設置できるかから簡易ホームシアターシステムの設計が始まります。
音響システムは、壁付けフロントスピーカーに天井付けのサラウンドスピーカー、重低音用のサブ・ウーファーを入れて、アンプとブルーレイを入れた5.1chのサラウンドシステムとなっています。
リクライニングベッドの高さからの視点と、音の響きを考えて展開図デザインを検討し、アンプとブルーレイの設置場所を造作家具内に設定しました。
機器選定とレイアウト計画が決まったところで、オーラスの担当者の阿南さんに作って貰った配線図がこちらです。どの機器とどの機器をどのような線を結ぶ必要があるかを指示して貰った現場施工側に渡す図面となります。これをベースにCD管とよばれる中身が空っぽのオレンジ色の管を壁裏と天井裏と通して後で配線ができるように結ぶのです。
ボードを張る前のLGSの骨組み状態の時の主寝室で、テレビを設置するのがこの正面壁でその背面から天井に向かって伸びているのが、配線用のCD管です。
この写真の正面左壁がテレビの壁で、そこから天井に伸びたCD管が天井裏で部屋の各箇所へと繋がっているのが分かりますね。
先ほどの骨組み写真から1.5月後の状態で、仕上げの石膏ボードが張られ白く塗装されたところで、オーラスに入って貰っての具体的なホームシアターシステムの組み込みです。テレビを設置する位置をテープでマーキングしたうえで、スピーカー位置をレーザー光線で出してくれています。
こちらが壁に固定された、バング&オルフセンの壁付けスピーカーbeolab-18の台座です。
テレビの左右に取り付けられたスピーカーです。
こちらは現場に届いていた77インチの大型テレビです。
こちらがSONYのテレビ専用の壁掛け金物です。このサイズの金物であれだけのサイズのテレビを引っ掛けるのです。
配線を繋いで、左右のスピーカーにぶつからないように3人がかりで壁掛けテレビを設置してくれています。手慣れた人たちでもそれなりの時間が掛かるのです…。
まだテレビからの配線が整理できていない状態ですが、テレビとスピーカーが壁に揃った三役そろい踏みの様子です。
テレビのある壁とは90度離れた、再度の壁に設置された造作家具の背面に穴が空いています。
一番左の孔の奥にオレンジ色の管が見えているのが、先ほどのCD菅です。直線にしても4メートルほど離れていますが、立体的に繋がっているので実際の長さは10mメートルほどある計算になります。
造作キャビネットの中に、AV機器が据え付けられました。下段がデノンのAVサラウンドレシーバーのAVR-X4500Hで、上段がブルーレイ/DVDレコーダー、ソニーのBOZ-FBT4000です。因みに、アンプにチューナー機能が加わったものがAVサラウンドレシーバーと呼ぶそうです。AVサラウンドレシーバーはアンプと同じなので、電源オンの状態ではかなりの熱量が出るので、造作キャビネットには、熱逃げの孔を幾つか開けて、空気が流れるようにデザインしています。
B&Oのスピーカーの足元、配線もきれいに隠れて、とてもスタイリッシュです。この写真の奥に写っている木製キャビネットの中にAV機器が入っており、天井裏を通して配線が繋がっているのです。
実は、機器の設定の後、ここからの接続&セットアップの作業が大変なのです!
ネット環境が繋がってからしかできない作業なので、お引渡し直前に行うのですが、改めて接続を確認しながら…、
全ての機器が繋がり、ネット、画像、音響がコントロールできるまで約5時間ほどの大変な作業なのです。今回お願いしたオーラスの担当者の阿南さんは、この道のプロですが、そのプロでもこれだけの時間と労力が掛かること、とても僕ら設計やお客さまでは難しいですね…。
仕上がった状態を見ると、配線が全く見えず、軽やかにテレビやステレオが壁に取り付けられているだけのように見えますが、実際には水面下の白鳥のような涙ぐましい(笑)努力が隠れているという訳です。