マンションリノベーションでもお客さまからのリクエストがとても多いガス乾燥機の乾太くんですが、乾太くんを発売しているリンナイのホームページの特設ページ「置ける?乾太くん」の設置診断から、→マンション→分譲→ガスを使用している、と入力すると、以下の画面となってしまうのです。
「乾太くん、ほぼ置けません…」。注意書きを読みと、置けるとしてもベランダに設置するしか方法が無いように書かれています。ちょっと前までは、「乾太くん、置けません…」と表示されていたことを考えると、それでもまだ多少はマシですね…。
それでは新築ではないマンションでベランダ以外はダメかというと、実は可能性が無い訳ではないですから、諦めないでください!(とはいえ、ハードルはかなり高いですが)
ガスと電気が来ていること、乾燥機を置くスペースが十分にあること以外の必要条件としては、以下の項目となります。
・乾太くんの設置場所から外壁側の排気口まで、80φのダクトの場合8メートル2曲がり以内で接続できること
・乾太くんの設置場所から外壁側の排気口まで、100φのダクトの場合10メートル4曲がり以内で接続できること
・外壁側の排気口は、軒裏出しはダメ
・外壁側の排気口にはベントキャップ取付けが必要
となります。
通常のマンションでは、外壁側貫通スリーブ(給排水や換気設備の配管を通す為に、コンクリートの梁や壁などにあらかじめ設けられた管や穴のこと)のサイズが、レンジフードの排気以外は径が小さく、上記のダクトを排出する穴が無いことが大きなハードルになっているのです。
ただ、こちらの新宿区T邸は、マンション新築時には2住戸に分割できるオプションがあったお宅だったので、キッチンを2つ作ることができる排気ルートがあったのではと推察していました。
ガス乾燥機だけでなく、他の換気や排気、給気のルートも確認する必要があるので、副所長の前田君が整理してくれたダクトルート図がこちらです。
ユーティリティーを設ける予定のエリアの天井点検口を開けて、長い脚立を使って天井裏のぞき込んで貰いました(本当は脚立の最上部の立ってはいけませんね…)が、梁や空調機器で奥が見えなかったので…、
施工をお願いする予定の青の樋口さんにホルソーで窓際の天井カ所に穴を開けて貰いました。
が、梁直下で何も確認できませんでした。細身の織田さんにダウンライトの孔からスリーブや既存ダクト径を見て貰った所、50φのダクトしか通っていないことが判り、天井裏からのカンタ君排気ルートは諦めることになりました。
もう一つ僕らが着目したのが、こちらのガス給湯器です。よく見たことがある形状のガス給湯器ですが、給湯機本体はこのボックスの上部で、下部はパネルを外すと…、
このような壁を貫通したガス管や給水給湯管、更には床暖房や浴室の追い炊き、浴室暖房乾燥機用のペアチューブを隠しているのです。
配管が所狭しと詰め込まれているので、それらを避けてのぞき込んだ所、
このようなステンレスパネルが現れました。この背部に外壁スリーブが空いているかどうかをチェックするために…、
外壁側PSの内側壁の石膏ボードに穴を開けてみた所です。
外壁躯体にかなり大きな開口(灰色の四角い部分です)が当初から開けられており、それらを整理すれば「乾太くん」の排気を確保できるかもしれないことが判明しました!
ちょうど既存の外壁開口の高さが、内側に床置きでガス乾燥機のカンタ君を設置した高さで排気ダクトをそのまま外に出せる高さとマッチしていることも分かったので、まずは施工会社の青とその下請けのガス会社に実際にこのような工事ができるかを確認するための資料を作って見せた所、OKとの返事が届きました。お客さまも憧れのカンタ君ができるのであれば、是非この方法で導入したいと盛り上がってきているので、この形でマンション管理組合に申請することになりました。理論的には新しく外壁に穴を開けることもなく、管理規約に違反する要素が無いので、通るだろうと信じております…。
因みに、これまでマンションで2回ガス乾燥機を導入したことがありますが、こちらの事例関西M邸は、新築マンションの最上階オーナー邸だったので、比較的容易に設置することができました。
同じく関西の関西I邸は、今回の新宿区T邸と同じように、2住戸を合体させての大型住戸だったので、かつてのキッチンの排気ダクトルートを使ってガス乾燥機を設置することができました。