Author Archives: Kenji Kagami
2017.02.10
ヴィンテージマンションの空調機器調査@白金台H邸
[白金台H邸]
先日プロジェクトの設計デザインが始まった白金台H邸ですが、エアコンを全面交換するか、既存機器を活かして補修してゆくかで、費用的に大きな差が生まれることが判ったので、その調査に入って貰うことになりました。
空調機はアメリカンスタンダード社の空冷式エアコンシステムのダクトタイプです。室外機が屋上に一台、室内機も廊下に一台あり、そこから各部屋に向かって天井裏をダクトが伸びているスタイルです。
室内機については、7年ほど前にその時点で故障しそうだった部品を交換していたそうです。このようなヴィンテージマンションのエアコンは、GE(ジーイー)にしてもハネウェルにして、今回のアメリカンスタンダードにしても、メーカーが日本から撤退してしまっていることがほとんどなので、補修しようと思っても部品が無くなっていることがほとんどです。しかし、このマンション全体の空調も見てくれている城西エアコンに点検をして貰ったところ、今回補修が必要な箇所については、部品がまだあるとのことで、補修が可能との判断が出ました。
屋上に上っての室外機の点検の様子です。室内機よりも室外機の方が重要なので、電圧などの異常がないかもきちんとチェックしてくれています。
各吹き出し口に、風量と温度をチェックするセンサーを当てて、暖房と冷房それぞれを作動させたうえで、検査をして貰いました。
吹き出し口のルーバーのチェックまでしてくれています。
検査だけでも3人の方が来てくれた分で2万円+消費税の費用が掛かりましたが、検査の結果35万円程度の補修費用で、既存のエアコンが使えることが判りました。全面的にシステムを変更すると、400万円以上の費用が掛かると言われていたので、360万円ほどのコストセーブができたことになり、お客さまも大変喜んでくださいました。
2017.02.08
レザー張り扉の研究@麻布台M邸
[麻布台M邸]
これまでにも幾度かレザー張りの建具をデザインして、作って貰ってきましたが、細かいディテールやレザーの選び方で思い通りに行っていない部分がありました。昨年は、栃木にある工場まで出かけて職人さんの話も聞いてきましたが、まだ納得がいっておりませんでした。
今回は、難しいディテールや素材のことに詳しいトリシュナ・ジバーナの三浦さんに協力して貰い、素晴らしいレザー張り建具を作ることができたと思っています。そこまでの研究の成果(?)を記事にいたしました。
素材としての皮革ですが、本物の牛皮だと、革の厚みやサイズ的で思ったようなものが作れなさそうなので、やはり人工レザーで進めようと考えました。
壁の大理石がモナコグレーで決まっていたので、そのサンプルを持って、これまでも人工レザー素材を使わせてもらっているイノベイジアの岩本町ショールームを訪問してきました。これまでは、イメージを伝えて選んだサンプルを送って貰って、その中から選んでおりましたが、やはり大量にあるサンプルを実際に見比べながら選ぶと、より多くの気付きがありました。
人工レザーに限らず、本物の牛皮も拝見させて貰いました。アメリカでは最高級の牛皮といわれているGarrett社のレザーサンプルです。
微妙な色味の違いも表現されており、カラーサンプルのように多彩な見本がありました。
本革は人工皮革以上に色々ななめし方、パターン付があるそうです。ハイエンドブランドのコートやカバン、靴などに使われる素材まで考えると、ほぼ無限にバリエーションがあるとのことでした。当然ながら、人工レザーと比べると、価格も数倍となってしまい、サイズも牛一頭から取れる牛皮の大きさが限定されてしまうので、それに合わせてデザインしなければならないので、やはり人工レザーで進めることを再確認いたしました。
幾つかのサンプルをショールームからお借りして、麻布台M邸のお客さまご夫妻に確認して頂いている様子です。
大理石だけでなく、造作家具に使ったチークやカラーガラスとの色味の相性、そして革のテクスチャーやスティッチを入れる糸の太さと色も確認して頂きました。
トリシュナ・ジバーナの三浦さんに書いて貰った施工図を、こちらでチェックして返す作業を3度ほど繰り返して、ようやく作り始めて貰うことができました。
そして、レザー建具が作られて、現場に吊り込まれたのがこちらです。この距離だと、レザーの質感が伝わってきませんが、左側の造作家具カウンターや吊戸棚の高さと、レザー建具の特注取っ手の高さ、そしてスティッチの位置が合っており、そしてそれが右側の大理石の目地の高さとも合っていることが判るでしょうか…。
取っ手部分のディテール写真です。スティッチもとてもきれいで、特注取っ手との取り合いもとてもきれいです。
扉を閉じた時の様子ですが、このようなアップ写真で見ても、カウンターの高さとピッタリ合っていますした。価格もこれまで作って貰ってきたレザー建具より高くなってはしまいましたが、費用を負担してくださったお客さま、そしてトリシュナジバーナとイノベイジア、全てを組合せてくれた施工会社の青にご協力でいただき、とても満足度が高い扉をつくることができました。
2017.02.06
ガラス・大理石・造作家具が入って完成直前の横浜伊勢山Y邸
[横浜伊勢山Y邸]
先日、特注のスチールサッシの取付けが終わった、横浜伊勢山のY邸リノベーションプロジェクトですが、本日はその鉄製サッシ枠にガラスが嵌め込まれていました。
枠と中桟のデザインが印象的なサッシですが、パッと写真で見比べてもガラスが入っていない状態と入った状態ではそれほど違いが感じられないかもしれませんが、現場では明らかな違いが感じられるのです。
先ほどのように玄関側からリビング側を見ても(つまり暗い側から明るい側を見ても)、ガラスの存在感が感じられにくいですが、このように明るい側から暗い側を見返すと、ガラスが入ったことでの間仕切りの存在感が格段に違ったことが判ると思います。因みにサッシの一番右側は、背面が構造柱になっており、その部分をカバーしているので、白いカラーガラスをはめて貰っています。
各サッシの内側にハメられた押し縁(オシブチ)を取り外して、ピッタリのサイズで持ってきたガラスを入れて、押し縁で固定してゆくことで、ガラスがはまってゆきます。
石張り工事もほぼ終わっており、リビングの二つの壁面にこのような大理石が貼られていました。それぞれの壁の下部で養生されているのは、造作家具を差し込んでいる個所です。壁紙も張り終わっていました。
キッチンには、アルポリック(アルミ複合板)を使った腰壁もできており、壁のアクセントクロス張りもきれいに出来上がっていました。ダイニングの折り上げ天井に設けた照明ダクトの横面のステンレス鏡面仕上げ板もきれいに仕上がっています。
今回は、ワインやお酒が好きなお客さまがご購入するケースを想定して、ワインセラー置き場を作っています。カウンターは人造大理石で、ガラス扉付きのワイングラス入れの吊戸収納で背面壁にはウォールナットを張って、シックなイメージに纏めてみました。ワインセラーに興味が無い方のためには、この下に引出収納を作れるように工夫しております。
キャビネット(箱部分)だけを再活用して、カウンター材と引出の手前の面材を作り変えた洗面カウンターも仕上がってきました。柱型をまたいで、その右側にもリネン収納と、甲板の下には着替え用のバスケットを入れるニッチも作っています。
残りの造作家具を取り付けて、清掃が終わればリノベーション工事も完成になります。