Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

渋谷区タワーマンションプロジェクトのリフォームアドバイス

[リノベーション]

一昨年の春、メールで渋谷区のタワーマンションのご相談がありました。180平米超えで、高層階からの素晴らしい景観が特徴のマンションでした。

こちらが現地の夜景です。大きなリビングにセミオープンなキッチンが面した開放的な間取りでした。現在も同じマンションの違う階に住んでいらっしゃるので、リビングから見える景色を違う方向に変えたいことや、お二人のお子様たちに同じ条件の部屋を用意したい、またシックでスタイリッシュなインテリアが好きなので、全面リフォームを検討しているとのことでした。

リフォーム提案

現地の様子と竣工時の図面を読み込んで、僕らなりに考えてご提案したのが上記のスケッチ案です。リビングとキッチンのあり方は二通り、また書斎コーナーを含めた水回りもオプションを含めたご提案でした。ライバルとして大手のリフォーム会社2社にも提案して貰っているとのことでした。
結果的には、大手のN社にお願いすることになったとのご連絡を頂きました…。

残念ではありましたが、その後どうしていらっしゃるのかと気になっておりましたが、ほぼ一年経った頃に、再度のご連絡を頂きました。N社に頑張って貰って 打ち合わせを続けてきたそうですが、①最終的な仕上げ材を決定することができていないこと、②使い勝手や動線もここまで決めた内容で進めてよいのか判断で きかねていること、③費用的にも当初の想定より相当膨らんできていることの3つの問題をご自分たちだけでは解決できないとのことで、有料で構わないのでア ドバイスをお願いできないかとのご依頼でした。

R0049811

その時点までに選んできた仕上げ材やプランを拝見して、色々と思うところを率直にお話させて頂いたところ、N社にも交渉してみるので、N社とのこれからの打ち合せにも同席して、施主側のアドバイザーとして手伝って貰えないだろうかとのお話になりました。

そこからSさまご夫妻、N社との幾度かのメールや電話でのやり取りがあってから、お打ち合わせに同席してアドバイスしてゆくことに決まりました。

R0049734

こちらがN社のショールームでのお打ち合わせ様子です。N社側からは営業担当とデザイナー、さらには上司の責任者も同席しての打ち合せになりました。僕らはデザイナーではなく、あくまでも施主側の助言をすることでデザインはN社側に任せていること、素材探しはお手伝いするが、大手のN社では社内規定や付き合いなどで使えない素材があるので、それらを採用すべきかどうかには口出しをしないこと、また見積りを落とすための方法についてはアドバイスするが、見積り内の単価についてはコメントしないことをルールとしてお手伝いすることを確認させて貰いました。

R0049736

そこまで進んできたデザインから想起した素材や本、雑誌等を持ち込んで、N社側のデザイナーとお話しをしてみたところ、デザイナーの方も全く同じ本を見ていたことが判りました。N社が用意していた素材と、僕らが持ってきた素材を見比べている様子です。

R0049817

両者が考えている素材のトーンは似ていましたが、壁面に大理石を張るのがN社側の提案でしたが、どうしてもそこが価格的に大きな問題になっているように感じたので、僕らは石材の代わりにレザー調の素材感があるクロスを張ってはどうかとアドバイスいたしました。マナトレーディングが扱っているレザー調の輸入クロスです。
R0049787_stitch

こちらは現地の昼間の様子です。SさまとN社側の事前の相談で、リフォーム案が決まった時点でどのような部屋になって、景色がどう展開するのかを確認するために個室を仕切っていた壁のボードを撤去してありました。
問題点はまだ色々ありました。キッチンのサイズや床仕上げ材の種類とその範囲、玄関ホールの仕上げ材、造作収納のデザイン、子ども部屋のアイデア、照明計画等々、お施主さまも迷われる個所が多かった分、それらに対し誠実に纏めてきたN社の 案にもお施主さまの迷いが反映されているように感じていました。とにかくNさまご一家の暮らし方を整理して、素材の使い方と費用の掛け方をそれに対応させ ることを主眼にアドバイスを行ってゆくことになりそうです。

《全能住宅改造王》的翻修裝潢建議 驚異のリフォーム&リノベーションの中国語版

[ニュース]

2012年に初版が発売になり、その翌年に改装増版されたリフォームの技術本、「驚異のリフォーム&リノベーション」(エクスナレッジジ)の中国語版が発売になっています!台湾の出版社が翻訳権を購入して出版の運びとなったそうです。

R0051562

タイトルは「大師如何設計《全能住宅改造王》的翻修裝潢建議となっています。全能住宅改造王とは、台湾で大人気のテレビ番組「劇的!ビフォー&アフター」のことだと思われます。共著者の中西ヒロツグさんは台湾でも相当な著名人だと聞いているので、その人気にあやかっているのだと思われます。

R0051564

写真のキャプションから図版の説明まで、ほぼすべてが中国語に訳されています。翻訳者の方の苦労は並大抵ではなかったのではないでしょうか…。

R0051563

最後のページに掲載されている著者経歴の個所です。「哈佛大学」というのがハーバード大学の中国語訳であることが判ったり、住宅リフォームコンクールが「住宅翻修競賽」だったり、中西ヒロツグさんはそのまま中西ヒロツグさんだったりと、中国語の勉強にもなります。今後中国進出を狙っている設計者の方のための勉強テキストにもなりそうです(笑)。

 

2つのタイルのショールーム見学_平田タイルとアドヴァン

[お台場K邸]

もうすぐ施工会社が決まる予定のお台場K邸ですが、お施主さま(現時点で外国在住)が来日してくださっています。そのタイミングで、今回のリノベーションで大きな役割を果たしてくれるインテリア素材、タイルのショールームを2か所一緒に回っていただきました。

DSC_2116_pt

最初に伺ったのがこちら、中野坂上にある平田タイルのショールームです。これまでも幾度か使ったことがありましたが、すべてサンプル請求と営業の方の説明だけで、ショールームに伺ったのは初めてでした。

Exif_JPEG_PICTURE

ここまでの段階である程度決まっている素材である床材をベースに、リビングの壁とキッチンや洗面の床に使うタイルを決める予定でした。全体の硬質感を高めて、グレードアップする素材としてカラーガラスも使いたいと考えているので、そのサンプルも見比べながらタイルを見て頂いている様子です。

Exif_JPEG_PICTURE

ある程度候補は事前に絞ってみていたのですが、実はショールーム訪問をしたその日が新作発表会とのことで、違う階でカタログに掲載されていないタイルを見ることができると説明を受けたので、そちらに伺って新作も拝見させて貰いました。

R0050826_pt

以前より、白い大理石調のボーダータイルをどこかで使ってみたいと思っていたマーベラスというシリーズに、新しく灰色調のタイルが発売されていました。ぼくらもとても気に入りましたが、僕ら以上にお施主さまが気に入ってくださり、リビングの壁候補として急浮上してきました。もう一点、写真がありませんが、キッチンの床材としてヴイ・ストーンというシリーズのタイルも候補に上がりました。

Exif_JPEG_PICTURE

次に伺ったのが原宿のアドヴァンのショールームです。こちらには、以前奥さまが来日時にご一緒させて頂いておりました。お子さまがいらっしゃるご都合でご夫婦揃って来日するのが難しいため、別々にショールームを見学しております。ですので素材決定が大事業(?)となっております。

R0050830_pt

こちらのシリーズのボーダータイルも候補として以前より挙げていたものです。ただ、実際に拝見して頂くと、ツヤ感が思っていたほど無いことは想像と違っていたとのご感想でした。

Exif_JPEG_PICTURE

こちらのイ・マルミというシリーズは、昨年完成お引渡しをした南麻布S邸で採用してとても良かったので、お施主さまにもお勧めしてきたタイルです。

Exif_JPEG_PICTURE

ここまで一通り候補になりそうなタイルを見て頂き、それらをどの箇所にどのように使いたいと考えているかを、アドヴァンショールーム内で机を借りて説明させて頂きました。

Exif_JPEG_PICTURE

ショールーム見学で素材感のイメージが残っている段階で、それぞれの候補のタイルと絡んでくるキッチンなどの素材候補を並べて、どれとどれの相性が良いかをご一緒に考えさせていただきました。クオーツストーン系の素材を使う予定のキッチンの天板、塗装の扉サンプルをお願いすることがほぼ決まっているオーダーキッチン屋のクッチーナから幾枚かお借りして、同時に並べさせてもらいました。

Exif_JPEG_PICTURE

当日は奥さまがご不在ですので、3通りほどの候補となる組み合わせを決めて、それらの素材サンプルをご自宅に持ち帰っていただくことになりました。ぼくら設計側も、それらの素材の色を展開図に描き込んで、なるべくイメージが伝わりやすいようにして、決定のお手伝いをすることになっています。
お忙しい来日時に丸一にお付き合いくださったKさま、どうもお疲れ様でした。そして、ありがとうございます!