Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ミラノサローネ2023_ポリフォーム・フィエラ

ミラノサローネ2023

2023年4月20日から29日まで初めてのミラノ・サローネ(国際家具見本市)に行って参りました。今回は日本の国産家具だけでなく欧州の家具の輸入販売も手広くしている家具ブランドのアクタスが主宰のグループツアーでした。

ミラノサローネ2023

ミラノ市街の中心からバスで30分ほどの郊外にある、巨大なフィエラ(国際展示場)が会場となります。ミラノではアパレル(ファッションのミラノコレクション)やワインイベントのヴィーニタリー等有名な展示会がありますが、その中でも家具見本市のミラノ・サローネは一番の集客力があるとのこと、市内のビジネスホテルは普段の価格の3~4倍に跳ね上がり、この時期のミラノ着の飛行機も中々予約が取れないそうです。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

サローネは会場内展示のフィエラ(イタリア語で展示会場)と市内で行われるフォーリ(展示場外)の二つで同時進行となりますが、まず最初にご紹介するのはツアー主宰会社のアクタスが輸入展開しているポリフォーム社の展示です。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

巨大な展示会場(東京ビッグサイトの約3倍の広さ!)の中に、また巨大な倉庫(写真左側の廊下の果てまで続いている白いボックス)が入り込んだような大きさの展示です。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

基本は新作発表なのですが、これまでのコレクションから色や素材を変えたものなども含んで展示されています。サローネのほぼ最終日前日で、一般の人にも公開されている日だったので、小さな子どもの姿も見えますね。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

ポリフォームは、北部イタリアの有力家具ブランド六歌仙(僕が名付けたもので適当です…)のうちの一つ(他は順不動でB&B イタリアカッシーナフレックスフォルムミノッティモルテーニ)とされていますが、日本国内にモノブランドストア(そのブランだけに限ったショールーム)が無いので、残念ながら国内での知名度は少々劣っているかも知れません…。
最初が壁面収納から始まったブランドなので、このような本棚やクローゼットシステムは得意な会社です。因みに、今年のポリフォームのアルデシア(濃い灰色:イタリア語でスレート)を意識して使っているとのことでした。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

また、石の素材としてはこのテーブルのサハラ・ノワールが良く使われていました。サハラ・ノワールは2~3年前にイタリアブランドで大流行して石材の在庫がなくなったと聞いていましたが、新しい鉱脈(?)が見つかったのかも知れません…。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

ソファの展示は4種類ほどしかありませんがカーブした形や張地を変えていることで、皆目新しく感じました。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

今年のポリフォームが一番力を入れているのが、「アークテクチャー(建築)」というキーワードだそうです。これまでは壁面家具の一部としてガラス扉などを展開してきましたが、それを壁面に取り付けてガラス製建具にしたり、壁面パネルへと展開してゆく流れだそうです。この展示ブースの中でも、クローゼットシステムと同じ高さでガラス製や木製の建具、それも開き扉や折れ戸などが展開されていました。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

壁面パネルシステムと素材、デザイン、寸法が揃ったクローゼット扉や…、

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

2つのクローゼット収納の間に、アルデシア色(濃灰)の3方フレームと置き家具を挟んだりと、デザイン展開には大きな可能性を感じました。ただ、日本の建築・インテリアでは、壁にスイッチやコンセント類、給気口やパネル類が沢山ついてくるので、それらをどのように処理するかの工夫が必要そうですが。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

こちらがクローゼットのガラス扉のディテールです。ガラスは恐らく3ミリか4ミリ厚の薄いガラスで、何も張られていないとのこと、日本では危険防止のために飛散防止フィルム貼りが必要になりそうです。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

随所に、アジアや日本を感じさせるデザインも取り入れられていました。このキャビネットの扉の細い竪格子などはちょっと和を感じさせますね。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

木格子の周りはアルデシア色のアルミフレームで縁取りされており…、

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

格子部分が取り外せるようになっていました!マグネットの脱着式で、今後他のデザインも発売されて着せ替え人形のように簡単に模様替えができるようになりそうです。因みに木の格子もアルミの芯材に薄い木の突板を張って仕上げているそうで、湿気や温度の変化でも歪まないように作られていました。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

他にも、こんなところまで工夫しているのかという、細かいディテールが幾つもありました。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

TV台のこちらでは、サハラ・ノワールの大理石のディテールがトメ加工ではなく、このような段差をわざと設けられたディテールが使われていました。

ポリフォルム_ミラノサローネ2023展示

日程と時間をFIXして事前予約した人しか入れないブースなのに、どこに行っても人があふれている大人気のブースでした。