Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

竣工お引き渡し&取り扱い説明

文京区S邸

大型マンションリノベーションの文京区S邸の補修工事が完了し、無事お引き渡しとなりました。

先日のお客さま検査後の補修箇所を一緒に回り、ザっと確認して頂いた後は、すぐにキッチンの取り扱い説明へと移ります。

まずは食洗器やオーブンといった、ビルトイン機器のご説明からです。キッチンをお願いしたリネアタラーラの牧野さんとガゲナウからも応援の説明の方が来てくださっています。

当日は、Sさまの奥さまだけでなく、お料理の片付けや洗濯、お子さまの世話もしてくださる通いの家政婦の方も一緒に説明を聞いてくださいました。

奥さまと家政婦の方がキッチンの説明を受けている間、ご主人さまはガス設備や電気の説明を分担して聞いてくださっています。

特に弱電のWIFI設定のことを詳しく知りたがって、電気屋・ムラデンのヤマト君を質問攻め(笑)にしていました。

ビルトインのワインセラーの説明だけは、ご主人も聞きたいと言って熱心に駆けつけてくださいました!

浴室とシャワーの取り扱い説明は、東京バススタイルの和久田さんです。こだわりが詰まった浴室とシャワー室は、本当に気に入っていると仰ってくださいました。

実は、このお引き渡しの日の午前中に、ぎりぎり間に合った書棚のこぼれ止め金物を造作家具屋・現代製作所の工場長が取り付けてくれました。

全部で8枚の棚板にこぼれ止めを取り付けてくれました。因みに、「こぼれ止め」とは棚の上に置かれたものや本などが落ちないようにするためのストッパー金物で「転び止め」とも言います。

無垢材で作った重厚な棚板にあう、ちょっと武骨なこぼれ止めで、これもSさまはとても気に入ってくださいました。

本来は、お引き渡しをしてから取り扱い説明をするのが本筋ですが、説明をしてくれる各職方の都合で、前後が逆転して、夕方すっかり暗くなってからお引き渡しの手続きをさせて頂きました。Sさまご夫妻から、素敵な家を作ってくれたことを感謝して頂き、僕ら設計側も施工のの片岡社長も、現場監督の織田さんもとても嬉しいひと時となりました。
お引き渡し後も、まだ間に合っていない工事が幾つかあるので、一旦お返ししたお部屋の鍵をもう一度預からせて頂くこととなりました。

グレー調のフレンチヘリンボーン探し

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリープロジェクトの紹介ブログです。
大理石キッチンの横浜H邸のお客さまから、リビングダイニングキッチンの仕上げ材は、大理石以外はグレー調のフローリングやパネルにするのはどうだろうかとのご連絡を、Hさまお手製のCGと一緒に頂きました。

グレー調のフレンチヘリンボーン探し

これまでは明るめのオーク色のフローリングのイメージだったものが、かなりシックにガラリと変わってきました。オークのフレンチヘリンボーンであれば、何とかなると気楽に構えていましたが、グレーのフレンチへリンボーンはこれまで使ったことも見たこともなかったので、そのようなものが実際にあるのかを急ぎで調べることとなりました。

グレー調のフレンチヘリンボーン探し

まず最初に伺ったのは南青山のIOCさんです。ヘリンボーンだけでなく、フレンチヘリンボーンの品揃えもあり、かつグレー系のフローリングを得意としているのです。

グレー調のフレンチヘリンボーン探し

ザ・ライブラリーメンバーの田口さんと各務、岸本さんと竹田さんの4人でショールームを訪問すると、床にフレンチヘリンボーンのサンプルを並べておいてくれました。

グレー調のフレンチヘリンボーン探し

オーダー調色が得意なIOCなので、グレー調のフローリングも横に並べてくれており、オーク材をベースにすれば、これらのような色味のフレンチヘリンボーンを特注で作ってもらうことが可能であることを説明してもらいました。

グレー調のフレンチヘリンボーン探し

折角4人揃っていたので、その足で歩いて10分ほどのところにあるiKUTA(イクタ)のショールームも訪問いたしました。

グレー調のフレンチヘリンボーン探し

iKUTAはヘリンボーンが日本で流行る前兆があった頃から、フレンチヘリンボーンのフローリング材に取り組んでいた草分け的な存在です。フローリングを張る際に逃げが無く、フローリング自体の寸法もかなりの精度での正確さが求められ、かつそれを張る大工の腕も求められるので、フレンチヘリンボーンは普通のフローリングより2段階くらい上の存在なのです。せ時までには色味の深いHさま好みのサンプルを幾つか揃えることができそうです。
色々とフローリングサンプルは揃ってきましたが、Hさまとのお打合せでおみせしたところ、もっと深い色のフローリングの方が望ましいとのことで、アンモニア燻蒸や鉄媒染の世界に突入してゆくことになります。詳しくはこちらのブログをご覧ください。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込むLED照明

新宿区T邸

新宿区T邸の洗面カウンター上のメディシンキャビネットの三面鏡に、女優鏡のように正面から照らせる照明を入れて欲しいとのご要望がありました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

最終的に出来上がったものはこのようなもので、僕ら設計側の満足度はかなり高いものができました。設計するプロセスが面白かったので、こちらのブログで紹介しておきます。

これまでは、このようなものをご提案してきました。最初の写真と比べてもデザイン的なそん色はほとんどありませんが…、

扉を開けると内部が違うのです。こちらのケースでは鏡に照明を仕込んだのではなく、鏡の裏面のアルミ蒸着面を部分的に剥がして、扉材に細長い穴をあけて光を通すようにして、背面の収納箱に照明ボックスを作るという非常に面倒な仕組みになっているのです。

背面の収納部分はこれだけの寸法が無駄になっている訳です。因みに光が均一に見えるように、箱の奥にLED灯具を仕込み、手前にフロストシートを張ったアクリル板を置いて光を拡散しています。
これだと造作家具屋の工事の手間も費用も掛かり、かつ内部収納量が減ってしまうので、何とかしたいと考えていました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

こちらのプロジェクトの担当の前田君が、ハーフェレ社のLED照明1163のデモ機を持っていたので、このごく細ライン照明を使って何かできないかと考えました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

こちらが僕、各務が描いた簡単な初期スケッチですが、細いLED照明を鏡扉の戸先と戸尻に仕込めないかと、施工をお願いしている青の樋口さんと造作家具屋の大沼さんに相談しました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

僕のいい加減スケッチから、もう一人の担当の岸本さんが起こしてくれたスケッチ図面がこちらです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

どうしてもLED照明の端部、電線と灯具が接着されている部分に白いプラスチックがあり、それが見えてしまうので、一番上にステンレスのカバーを付けないで収まらないだろうとのことになりました。また、動く扉の戸尻側の電気コードをどうするかも問題になりそうです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

そんなところで、設計側で悩んでいたところ、樋口さんと大沼さんでモックアップ模型を作ってみたとの連絡を貰いました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

やはりLED照明の大元のプラスチック部分を埋め込むことが難しいので…、

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

SUS(ステンレスのことです)と書いてある部分をステンレスでカバーするのが良いだろうとのことになりました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

さすが家具屋のモックアップで、実際にこの扉が開閉するのです!作ってみると電気コードが絡む恐れはほぼなさそうなことが判りました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

扉裏面の上部、ビス止めされた部材の裏に溝を掘って、電気コードを戸先まで持ってゆくことも問題なくできることが判りました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

このモックアップでの検証をもとに大沼さんが書いてくれた製作図がこちらです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

そしてそれをもとにして作られたのがこちらのメディスンキャビネットです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

正面から担当の岸本さんが撮影してくれた写真です。

点灯していないときはこのような状態です。

どうしても鏡扉の開閉をするスライド丁番の軌跡の関係で、戸先も戸尻も少し隙間が空いてしまうのです。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

点灯するとその隙間もほとんど気になりませんね。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

扉を開けると上部をステンレスのL型金物で押さえているのが良く分かりますね。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

戸尻の吊元側のコードもほぼ気にならないように隠されていました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

このLED灯具は低圧タイプなので、どこか1か所にトランス(変圧器)を入れておく必要があり、一番右側の上部にトランス置き場を作ってもらいました。

メディシンキャビネットの三面鏡に仕込んだLED照明

色々と工夫をしてこのようなものができましたが、まだこのLEDのライン照明は、調光は可能ですが、調色(電球色から蛍光色まで色味を変えること)はできないので、女優鏡としてはまだ不満な点があります。おそらくここからもっと細くて、調光調色が可能なLEDの新製品が開発されると思いますので、その都度工夫をしてゆくことになるのだと思います。