杉並区S邸では、LGSの下地工事もほぼ終わり、置き床工事が始まりました。元はコンクリートスラブに旧LL=45相当の遮音フローリングを直に張っていたようでしたが、今回は給水給湯ガスを床スラブ上で引き直すことにしたので、85ミリ嵩上げした置床システムを使い、その上にラーチ合板を張った上で三層フローリングを張ることになっています。
置き床システム(別名:乾式二重床)の工事方法は以前の記事にも書きましたが、そのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット:
- システムと床スラブの間の隙間に給水・給湯管やガス管・電気配線など比較的自由に通すことができる
- スラブ面に接している防振ゴム等の性能により下階への遮音性を確保することができる
- 隙間の空気があることで保温性に優れている
- ある程度の弾性が床に生まれるので、足触りが柔らかくなり、疲れにくくなる
- 設置後にレベルの調整ができるので、床スラブに不陸があっても水平精度を確保できる
- 置き床システム自体で遮音性能を担保することができるので、タイルや石張りなどの仕上げ材の自由度が高くなる
- 床下地の高さの調整が容易なので、フローリングや大理石、カーペットなどの仕上げ材の厚みの違いに対応しやすい
デメリット:
- 直貼りと比較すると費用が掛かり、当然工事にも時間が掛かる
- 床が上がる分、室内の天井高さが低くなる(ベランダに面した掃出し窓の部分に段差が生じる可能性も)
- 事前に設計しておかないと、重たい家具等を置いた場合に床が大きくしなったり、傾く可能性がある
- モルタル塗などの床仕上げはできない
リビングダイニング部分はまだ置き床は施工されていませんが、電気屋さんと設備屋さんが先行して配線・配管工事を行っています。壁と天井の下地ができたことで、部屋の広さの感覚も掴めてきました。先日の工事でモルタルで補修された梁も、写真左奥にきれいに映っています。
こちらはキッチン部分でアイランドカウンターを突き抜ける排水管を隠す方法を青の片岡さんと八木君と打合せをしている様子です。水道の配管などに利用するVU管を、事前に半分に割っておき、それで排水管をカバーして隠す方法を検討しています。因みに良く水道工事で使うVP管とVU管の違いは、管に使う硬質塩化ビニール材の肉厚の違いだそうです。VPが肉厚で、VUが薄いものです。VU管の上にベニヤ下地を張り、その上から曲面施工ができるFGボードを二重に張って塗装する方法で考えています。
その他、解体工事の際に床のシンダーコンクリートを斫っていたユーティリティー部分は、排水管の接続も終わったので、モルタルで埋め直してありました。こちらは、LDKや廊下より、元々床レベルが上がっていたので、最終的な床仕上げをフラットにするために、モルタル塗りで床を仕上げることになっています。