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プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

白系大理石探しの旅・福建省厦門(アモイ)郊外の巨大石材市場を歩く_2

ザ・ライブラリー

TAGEKNとの共同リノベブランドのザ・ライブラリーの告知ブログです。
白系大理石を全面的に使う予定の横浜H邸のHさまとご一緒の白系大理石探しの旅の続き、第二弾です。
4時間ほどかけて見回ってきた大理石探しツアーですが、こちら弘一石業集団の白系大理石展示場でHさまの感性にぴたりと来る石が見つかりました!

この石材屋さんにも200種類以上の美しいスラブ材が展示されていましたが、Hさまの感性にぴたりと来る石が見つかったのです。Hさんと岸本さんで小走りに一筆書きのように展示スペースを回っていったところ、一か所でHさまの足が止まったのです。
3つの展示場で併せて数百枚の大理石スラブを見て、ようやく唯一無二の石が見つかったのです。

それが、こちらです。列の右側に並んでいる手前から3種類、特に真ん中の一枚の色、模様の入り方が、これまで見た中でベストだとのことでした!

まずは、気に入って頂いた石材での技術的な問題点が無いかを、僕ら設計と石材のプロ陣で確かめさせて頂きました。
眼だった山傷が無いこと、石材のサイズも良さそうなこと、枚数も中央のベストなものは6枚ほどしかありませんでしたが、左右の兄弟柄石材(同じ原石から切り出された模様が近似する兄弟柄のスラブ石材)がそれぞれ15~20枚ほどあり、それらを合わせれば十分な枚数があることが判りました。

今回の大理石探しツアーは、お客さまと僕ら設計、日本からの石材のプロの齊藤さん(キダマーブル)と高木さんと池田さん(アジアグラニット)だけでなく、現地の石材屋、厦門乗于建材有限公司の曽さんと加藤さんにコーディネートして貰っております。全ての関係者が、こちらの大理石に集まってきた様子です。
一番表の石材の確認ではなく、裏にある石材スラブの模様も確認したいので、こちらの石材屋さんにお願いしてクレーンで、一枚一枚を確認させて欲しいと依頼したところ、なんと作業途中でクレーンが故障して動かなくなってしまいました…。

こちらの大理石屋さんには、全ての石材スラブをスキャンしたデータもあるので、実物を確認しなくても大丈夫なのではという意見もありましたが、折角お客さまもご一緒にここ厦門・水頭まで来たのだから、全てのスラブを実際に見てから決めたかったので、関係者皆で近くのレストランにランチに行くことにしました。その間に、クレーンの補修ができれば、食事後また石材屋さんに戻ることにし、補修に時間が掛かるようであれば、翌日もう一度見に来るということになりました。
手前左から時計順に、キダ・マーブル齊藤さん、アジアグラニットの池田さんと高木さん、厦門乗于建材の曽さんたち3人、田口と岸本とお客さまのHさまです。長時間かけての石材探しですが、まずは美しい石材スラブが見つかったので、皆喜びながら楽しいランチになりました。

食後に確認の電話をしたところ、幸いにもクレーンの故障が直ったとのこと、また皆で石材屋さんに戻りました。片やスラブ材の山傷や斑(ふ)(右上の色ムラ)を確認して貰いつつ、大物のキッチンカウンター天板材や、洗面カウンターの天板材をこのサイズのスラブから取ることができるかを確認するために、養生テープを使っての仮の石取りを致しました。

また、石材の白い部分の色味に合わせて、既にご購入なさっているソファの張地を張り替えたいとのご意向を以前より伺っていたので、事前に日本で探して持ってきていたソファの張地の候補を石材の色味と比べて張地を決めることもできました。

石材カウンターと合わせる漆黒のキッチン扉材の塗装サンプルも、それぞれツヤ無から全艶(ゼンツヤ)まで持ってきていたので…、

フローリングのサンプルと、塗装サンプルと石材を見比べて…、

こちらの全艶で進めることも決まりました。因みに床フローリング材は望造に特注で作ってもらったものです。

先ほどからの写真、石材を撮影した写真には毎回グレーの板が映っていますが、これはグレーカードと呼ばれる板です。グレーカードが一緒に写っていれば、白っぽい自然光でも、青っぽい蛍光灯でも、赤っぽい白熱灯の下でも撮影した写真を、後日Photoshopのホワイトバランスを使って適正な色味に補正することができるのです。今回は、もし違う場所で探した石材を合わせて使うことになった場合、田口が持参しているフォトショップ・ソフト入りのラップトップパソコンで補正した写真を比較すれば、色味を比べることができるように準備してきたものなのです。石材の白部分の色味にこだわりがあるHさまだからこその対応なのです。

弘一石業の展示場の一角にはエアコンが効いた打ち合わせ室があるので、関係者一同その打合せ室にこもって、必要枚数の算定に入ります。日本からは平面図と展開図、キッチンと洗面等の造作家具の下図、そしてキダマーブル齊藤さんが用意してくれていた仮の石取図を参考に、今回選んだ石材のサイズを落とし込んで、どれだけのスラブが必要になるかを計算するのです。
以下、かなり長いブログ記事になりますが、続きはザ・ライブラリーブログをご覧ください。

最新のAVシステムとヴィンテージ家具が出会う南青山IDEALショールーム訪問記

城南R邸

180平米のお部屋2軒の同時リノベーションの城南R邸のインテリア設計が進んでいます。最上階ペントハウスにはテレビと連動したステレオシステム、1階のゲストハウスにはプロジェクターとスクリーンを使ったホームシアターをご希望とのことだったため、新しく南青山に画期的なショールームを作ったIDEAL(イデアル)さんにお客さまのRさまご夫妻と一緒に伺って参りました。

こちらがIDEALのショールームです。イデアルは社長の小泉さんが展開するB&O(バング・アンド・オルフセン)を中心としたステレオ&ホームシアターシステムの設計&販売、そして事業パートナーの分林(ワケバヤシ)さんの北欧ヴィンテージ家具の販売というユニークな会社となっています。建築家・中村拓志さんが設計したビルの一角に、小泉さんと分林さんが構想した歴史と未来が重なった素敵なショールームとなっています。

こちらのガラスボックスの中がホームシアターシステムの体験スペースとなっています。

ボックスの中にシートが3席あり、それに座っていると小泉さんが説明をしながらアイパッドのスイッチを入れると…、

ガラス壁の前に2枚のスクリーンが自動で降りてきます。奥が遮光スクリーンで手前がプロジェクション用のスクリーンです。そしてシートの背面から隠れていたプロジェクターが出てきて、映像と迫力のあるB&Oのサウンドが鳴り始める仕組みになっています。

ボックス内の設えはこのようにシンプルな作りとなっていますが…、

写真のように、ニッチに隠された高性能プロジェクターがスイッチ操作で降りてきて、スクリーンに投影されるのです。そしてその横の隠し扉の収納の中には…、

ステレオシステムや、調光システムのルートロンやコンピューターなどが内蔵されいるのです。因みにこのガラスボックスは、窓面が多い高層マンションでもホームシアターを窓前に組み込むことができることを体験してもらう意図があるそうです(今回は中低層マンションですが…)。

ボックスでのホームシアター体験を終えた後は、ボックスの外のB&Oのテレビとスピーカーシステムを体験して頂きました。

木製リブのついたこちらのベオラボ18のスピーカーのデザインと音質をとても気にって頂けたので、金属の色と木製リブの色を幾パターンかCGに落とし込みつつ、お見積りもお願いすることとなりました。

その後は、北欧ヴィンテージ家具も見て頂きました。イタリアのモダン家具が今のインテリア業界を引っ張っていることは事実ですが、それらの家具は一度でも使ってしまうと中古品になってしまい、価格が5分の1ほどにまで下がってしまうのです。それに対して、手作りの北欧家具は職人技が詰まった一品生産品なので、中古品がヴィンテージ品として、購入した時より高く販売することができるというコレクターズアイテムになっているのです。分林さんはフランスに留学した時に北欧家具の魅力にハマって、個人的に輸入していたものをIDEALという形で販売することになったそうです。

ハンス・J・ウェグナーの名作椅子のベアチェアの座り心地も体験して頂きました。まずはこの日はB&Oのステレオシステムのご紹介だったこと、分林さんご自身は当日はいらっしゃらなかったので、日を改めて訪問することとなりました。

3週間後に分林さんがいるタイミングで再訪問いたしました。黄色いカーディガンの女性が北欧ヴィンテージ家具の伝道師こと、分林さんです。

ヴィンテージ家具はカタログで選ぶ新品家具とは違い、実際に在庫されているものからしか選べません。分林さんに相談して、ペントハウス住戸のインテリアに納品可能なキャビネットと椅子をCGに3パターンいれたものを作った上での、Rさまご夫妻との再訪でした。

CGに入れてあるものと(ほぼ)同じキャビネットの使い勝手を確認して頂いている様子です。イタリアモダン家具は、ブランドにお願いすれば3Dデータを出してくれるので、かなり正確なCGが作れますが、当然ながら北欧ヴィンテージ家具にはそのようなサービスはないので(といってもベアチェアのような有名品はデータがネット上にあったようです)、担当スタッフの前田君の手作りCGなのです。

ステレオシステムとホームシアターシステムについては、僕ら設計側とAV設計がかなり密接に繋がっているので、僕らもお客さまとIDEALの間に入ってお手伝いします。ヴィンテージ家具は、ご夫妻の気持ちやタイミング次第で、じっくり迷いながら選ばれることになりそうです。そこで、僕らは一旦引き、今後はIDEALと直接やり取りしていただく形にさせて貰いました。

白系大理石探しの旅・福建省厦門(アモイ)郊外の巨大石材市場を歩く_1

ザ・ライブラリー

リノベーションブランドのザ・ライブラリーのブログのご紹介です。カガミ建築計画でも5年前に福建省に大理石探しに出掛けていますが、今回はお客さまと一緒の旅となりました。
大理石をふんだんに使ったキッチン、浴室と浴室等の水回りを計画している横浜H邸のHさまと、ザ・ライブラリーの田口さんと設計担当の岸本さんと各務で、中国福建省厦門市郊外の水头(頭の旧字体)鎮(以降、水頭)に大理石を探しに来ています。石材のプロで、先日の岐阜関ケ原&大垣エリアでの石材ツアーでも同行してくれた、キダマーブルの齊藤副社長、アジアグラニットの高木社長と池田さんも同行してくれての大理石探しの旅です。

成田空港から厦門空港までは厦門航空の直行便で約4時間、厦門市から車で約40分で水頭鎮に到着しました。

水頭の街に入ると、いたるところに白大理石を扱う石材店が軒を連ね、町全体がまるで巨大な石材展示場のようです。街中には石材を積んだトラックが行き来し、巨大な体育館のような石材展示場が何棟も連なっています。

石材展示場はほぼ全て開放型で、車でそのまま中に乗り入れて見学できるスタイルとなっています。東京ビッグサイトの展示場サイズの巨大空間の中に、色々な石材会社が区画スペースを借りて、大理石スラブを展示するというシステムになっているのです。

今回は白系の大理石が目的なので、実際に見て回ったのは白い大理石ばかりを展示しているお店でしたが、通りの左側には緑色系大理石を専門とした店もあれば、黒に特化したお店などがバラバラと散らばっています。

まず最初に訪問したのが、こちらです。ここでなんと奇跡が起きそうになったのです!

なんと、最初の展示場で最初に見た、このアラベスカートをHさまが気に入ってくださったのです!
最初はさすがに水頭には良い大理石がありますねといった感じだったのですが、マジマジと見ているうちに、これで良いかもとの話になってきたのです。

確認したところ、枚数が足りないことが判りましたが、隣に置いてあるこの石材の兄弟のような似た色味なので、右をメインのキッチンにして、左のこちらを水回りにするのでも良いとの話にまで膨らんできました。
ただ、その後、石材のプロの齊藤さん高木さん、池田さんが細かくチェックしてゆくうちに、3つの問題があることが判りました。

  1. スラブ材のほぼ中央横にかなりの山傷(ヤマキズ)が入っており、その傷のラインの近くでカットすると石材が割れてしまう可能性があること。
  2. スラブの短手サイズが1500ミリ程度しかないこと。
  3. キッチン扉や浴室では、ハニカムやFRP樹脂で裏打ちした薄いスラブ材に加工する必要があるのですが、こちらのスラブ材はそもそもの厚みが15ミリしかなく、ハニカム加工が難しそうなこと。

特に①に関しては、石材加工屋としてかなりのリスクがあるため、かなり余分目にスラブ材を購入しなくてはいけないことになるのに、そもそも右側のスラブが8枚ほどしかないことから、そうなると結局一番気にいっていらっしゃる左側のスラブよりも、ベストとは思われていない右側のスラブをメインにすることになってしまうので、一旦こちらは保留として、他のスラブを見て回ることになりました。

そのすぐ裏にあったのがこちらのSFストーンさんの倉庫です。ここで展示されているスラブの種類だけでも、おそらく60種類以上のアラベスカート、カラカッタ、スタトゥアーリオが所狭しと並んでいます。

普通のアラベスカートに交じって、このような迫力満点のアラベスカート・ヴィオラ(紫がかった模様が特徴の希少種)なども並んでいました。

その次に伺ったのが、ちょっと町はずれにある、こちらの捷成石材さんです。白系の大理石のスラブだけで恐らく500種類以上並んだ大きな石材屋さんです。

白系大理石スラブの海の中を泳いでいるような感じで、見ているうちに何が良くて何を探しているのか分からなく、頭の中が迷子になってしまいそうでした…。
それでも強い意志を持ったHさまは、設計担当の岸本さんと一緒にグングン、その海の中を迷わず進んでゆくのです!

これだけあっても中々お気に入りのスラブが見つからないでいると、お店の担当者、ちょっと外に出てみないかと誘われて外に出てみた時の景色です。
白系大理石のブロックが地の果てまでに続いているかのようでした。
以下、続きは、ザ・ライブラリーブログをご覧ください。