Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

中国から届いた大理石の検品&石取り@岐阜大垣市

港区R邸

約2ヶ月前に中国福建省のアモイ郊外にての石材マーケットツアーで選んで購入した大理石が日本に届いたとのことで、岐阜県大垣市に検品に行って参りました。

中国福建省から届いた大理石の検品@岐阜県大垣市

倉庫の左右に竪積みされているのが港区R邸の床で使用するゴールデン・ストリングスのスラブ材で、正面には同じ岐阜県の関ケ原石材で購入して、こちらまで運んでもらった希少大理石のポルトロのスラブ材です。

石取りの仮プラン@港区R邸

こちらはこの検品&石取り打合せの前に、スタッフの前田君が用意しておいてくれた資料です。港区R邸のどこにどの程度の大きさの大理石を使うかを一目で分かるように図示してくれたものです。
スラブ材のエッジ部分は欠けていることが多いので、そこから100ミリほど内側に入ったところから石取りをしてゆくのですが、元となるスラブ材のサイズによって、無駄のない石取り寸法が決まってきます。今回のゴールデン・ストリングスの各スラブをチェックしたところ、600ミリモジュール程度で納めると、一番効率的に石取りができそうだとの話になりました。600ミリ角の正方形と600×1200の長方形をベースに、床や壁の石張りのレイアウトを作りなすことになりました

希少大理石ポルトロの石取り

ゴールデンストリングスはある程度余裕を持った資材調達だったので、多少の無駄は許されますが、こちらのポルトロは、スラブ1枚で100万円近くもする、超高級大理石ですので、余分はほとんどありません。きれいな石模様が入っている所を見せ場に持ってゆくだけでなく、ブックマッチ(本を両開きにした時の様に左右の柄が一致するように磨いた)スラブを購入しているので、柄をどこで繋げるかも重要な石取りの判断材料になります。

ラフにテープで石取りをした大理石ポルトロ

港区R邸では、リビングのテレビボード壁と寝室の書斎壁に使う予定ですが、何より大きく見えてくるテレビボード壁をどう見せるかを考えながら幾通りかの石取りを考えてみました。まだ現場の詳細な造作寸法が出ていないことや、お客さまが購入してくださるテレビのサイズも決まっていないので、今回は石取りの大きな方針まで決めたことで、良しとすることになりました。

グリジオカルニコ大理石の検品@関ケ原

実は、この検品の前に近所の関ケ原石材にて、日本で調達する予定だった石種を確認してきました。こちらはトイレに使う予定の大理石グリジオカルニコのスラブ材です。

グリジオカルニコ大理石の検品@関ケ原

これまでの打合せで使ってきたサンプルの石材となるべく似たものを集めたかったので、東京から持参したサンプルを候補の石材と比較しながら選択肢を絞ってゆきました。

エンペラドール・オスクーロの検品@関ケ原

こちらは主寝室の床と腰壁に使う予定のエンペラドール・オスクーロです。以前はこの石種はどこの石材屋でもよく見かけましたが、良い柄と色味のものは急激に少なくなってきているそうです。

ミストグレー大理石の検品@関ケ原

こちらはリビングダイニグのフレームに使う予定のミストグレーです。

ビアンコカラーラ大理石の検品@関ケ原

お嬢さまたちの寝室前の廊下床に張るビアンコカラーラも良い石が見つかりました。

アラベスカート大理石の検品@関ケ原

玄関ホールの壁のアラベスカートは、幾つかの候補があったので、それらをすべて撮影して、お客さまに後日確認することになりました。因みに、このように吊り上げて貰っているのは全容を見たいからと、もう一つ磨きの大理石の場合、窓からの光や天井の照明が写り込んでしまうと、色味も柄も良く分からない写真になってしまうので、吊り上げてもらってから撮影するようにしているのです。

関ケ原大理石で石材の検品

帰り際に関ケ原石材にての記念撮影です。右から、今回の石材のことをほとんど全部お願いしているキダ・マーブルの斉藤副社長、リフォームキューの営業&設計担当の坂本さん、うちの事務所の前田君と各務です。

石材ツアーの纏め風景@アジアングラニット

ほぼ丸一日の作業でしたが、新幹線の駅(岐阜羽島)に送って貰う前に、本日決めたこと、候補に挙がった石材の復習を致しました。福建省にも同行してくださり、本日もずっと案内してくださった大垣市のアジアングラニットの池田さんも一緒に、抜け落ちがないかを一通り確認してから、帰京の途につきました。

石材検品用資料@港区R邸リノベーションプロジェクト

この翌日に、子のようなA3シートで4枚のプレゼン資料を作って、

石材検品の様子をお客さまに説明中

石材サンプルと一緒にお客さまご夫妻にお見せして、承認をお願いいたしました。普通であれば、僕らに一任して貰うことが多いのですが、お客さまからは契約時から問題が起きないように、重要な素材選びについては、すべて現物サンプルを確認の上発注して欲しいとお願いされておりましたので、ここまで細かく選んで頂きました。

最新大理石研磨機@関ケ原石材

最後の2枚はオマケです。中国福建省アモイ郊外の大大理石集積場に比べると、岐阜県大垣から関ケ原に掛けての日本の大理石集積エリアはだいぶ廃れてきている印象がありましたが、関ケ原石材は頑張って最新鋭のドイツ製自動石材研磨機を導入していました。機械をよく見ると、灰色の部分に番号が振ってありますが、1番から22番まで少しずつ細かく番目を変えた磨き石を取り付けておくと、マシンの最後までスラブ材が送られてくる間に本磨き状態になるそうです。

最新大理石研磨機@関ケ原石材

最後はこのスライドする部分が移動して、左の立て掛けてあるスラブ材の所に並べてくれるという大理石研磨オートメ―ション機械だそうです。これまでにも古いけれど同じような機械を使っていたそうですが、倍以上のスピードで磨いてゆくことが出来る機械を設備投資したとのことでした。今も中国で加工したほうが、価格は比較にならないほど安いそうですが、細かい仕上がりのディテールはまだ日本の方が上とのことで、日本側でも頑張ってくれているようです。