Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

設計開始から半年経って初めての現地調査

[乃木坂U邸]

乃木坂U邸の現場調査に、設計が始まってから6か月経って、初めて伺って参りました。

通常であれば、設計のお手伝いをすることが決まれば、なるべく早くに現地調査をさせて貰うのですが、Uさまご夫妻はこのお部屋を中古でご購入した際はオーナーチェンジ物件(賃借人付きでの物件購入)で、お二人もご自身の目で内装を見たことが無かったのです。賃貸契約が切れて、それまでの賃借人が出る時期が分かったので、早めにリフォーム設計を初めて、お引き渡し後なるべく早くに工事を実施なさりたいとのことで、早めに設計をスタートさせていたのです。

乃木坂U邸現地調査

ほぼ似ているマンションのリフォーム・リノベーションのお手伝いを何件かさせて頂いたことがあるので、写真と図面だけである程度予想をしながら設計を進めてきましたが、窓からの景色の広がりや角部屋ならではの風の抜け感などは、初めてお部屋に入って体感することできました。

乃木坂U邸現地調査

今回のリノベーション設計のクライマックスは、この写真に写っている中途半端な廊下を削減して、その分リビングダイニングを広げる計画なので、完成後に同じアングルでの写真で比較できるようにビフォーアフターのビフォー写真を撮影しておきました。

乃木坂U邸現地調査

キッチンはパッと見、きれいではありましたが、小さなお子さまがいらっしゃるUさまご一家には、このクローズド(閉じられた)のキッチンは適していないので、作り直すことはほぼ決定です。ただ、食洗器はまだ使えそうでしたので、コロナでドイツ製食洗器が品薄なこともあるので、再利用をご提案することになりました。

乃木坂U邸現地調査

玄関はまだまだきれいでしたが、広さの割に収納が少ないことや、タタキの床石がお好みではないとのことを伺っていたので、やはり全面的に作り替えとなります。

乃木坂U邸現地調査

各寝室と水回りへの廊下はとにかく長く退屈な空間に感じるので、通り抜け型の洗面を作ると共にインテリアでも工夫して、一つの見せ場に持っていくようにしたいと考えています。

乃木坂U邸現地調査

廊下の通り抜け洗面には、ビストージのブラケット照明をつけるお話しが進んでいるので、竹田さんが良さそうなサイズの照明を実寸で切り出したモックアップを作ってくれていたので、どんなサイズでどんな位置に取り付得るとどう見えるかの確認ために壁に張ってくれています。

乃木坂U邸現地調査

実際に使われた状態を見ないと、どこまで手を入れるべきか判断できないとお話しをしていた浴室ですが、クリーニングに入った際の水が抜けきっていない為か、かなり汚れて見えました。ただ、図面からはどこのオーダーユニットバス会社が施工したものか分かっていませんでしたが、色々と調べて日ポリ化工が作ったものだということが分かりました。他社ではほとんど対応して貰えませんが、日ポリさんの場合は、浴槽だけの交換や床だけの交換にも対応してくれるので、オーダーユニットバスを作り直さずに部分交換できれいにすることも出来そうだとの良い情報を得ることができました。

乃木坂U邸現地調査

この日はお客さまとの日程が合わず、僕らとリフォーム工事会社として想定しているリフォームキューの営業担当の坂本さんと設備の槻川原さんにも同行して貰いました。脚立で浴室の天井裏をのぞき込んだり、浴室暖房乾燥機を外して品番の確認もして貰いました。

乃木坂U邸現地調査

作り替えることになる洗面では、ビルトイン型の洗濯乾燥機の横の配管スペースを開けて…、

乃木坂U邸現地調査

水回りの床下スラブの深さを実測して貰いました。大よそ、当初見ていた竣工時の図面と同じで、ここまで設計してきた内容で工事が出来そうなことも確認することができました。

乃木坂U邸現地調査

リビングの梁型もダウンライトを外して、本当に構造の梁がどこに合って、度の位置であればダウンライトを入れることができるかも確認して貰いました。

乃木坂U邸現地調査

リフォーム計画では、キッチンもオープンになって、奥の扉のある壁もなくなるので、ツーサイズほどLDKが広くなるだろうと考えております。これからの計画がより楽しみになってきました!

魅せるレザー扉と隠すカラーガラス扉

[渋谷R邸]

最近のカガミ建築計画で得意としているのが、レザー張りの建具(扉)とカラーガラス張りの建具です。レザー張りの建具を使うのは、今回のように廊下や玄関からメインの空間であるリビングダイニングに入る扉がほとんどです。高級感がある素材と言えば、大理石やタイル、金属や木質となりますが、ほとんどが硬い素材となってしまいます。その中でレザーは柔らかくしっとりとしていて、ぶつかってもいたくないイメージの素材となります。ファブリック(布類)も同様に柔らかい素材ですが、汚れた場合に水拭きがしにくくなるので、海外製の人工レザーで高級感があるものを選んで使うケースが多いのです。
それに対して、カラーガラス張りの建具は、周りの壁も同じカラーガラスで張ることによって、扉の存在を隠したい場合によく使っています。カラーガラス張りの壁によく見ると金属製の取っ手だけが見えて、それでかろうじて隠し扉があることが分かるという仕組みなのです。

渋谷R邸では、玄関ホールからリビング入る扉レザー張りと、玄関ホールに面した書斎とSIC(シューズインクローゼット)の扉はカラーガラス張りとして、隠しています。まずは廊下からリビングダイニングへの扉ですが、人工レザー張り建具の全容です。写真の右側が空いていますが、こちらにはFIXの(嵌め殺し)の透明ガラスを入れることになっています。

レザー張り建具と言っても、最初に現場に入ってきた段階では、このように木の素地仕上げで搬入されて吊り込まれます。

ただ、ディテールを良く見ると、端部には少し出っ張った形で焼き付けのスチールの枠が付いています。

木下地の面全体にシーラーを塗布して、あくが出てくるのを防いだうえで、背面に強力な両面テープを張ったレザーパネルを張って仕上げてゆくのです。

20分くらいの時間で、片面すべてをレザー張りに仕上げてゆきます。当然ながら、事前に寸法調整をして、すぐに張り込めるように準備をしてあったので、ここまでスピーディーに仕上げることができたのですが…。

両面張終わって完成した様子がこちらです。写真を良く見て頂くと分かるのですが、レザーパネルも何枚かに分かれているのですが、その分かれ目のラインが、壁のタイルのラインと揃っているのは、デザインの一つのコツとなっています。

特注で作って貰っている鉄製の焼き付け塗装仕上げの取っ手周りのディテールです。各レザーパネルにはスティッチを入れていることで、レザーの質感がさらに強調されているのが判るでしょうか。

施工をお願いしたプレステージプランニングの下のクレドが書いてくれた図面に担当スタッフの前田君が赤字でチェックしたものです。壁のタイル幅と特注の取っ手の幅を合わせて、それらに合わせてレザーパネルの割を決めています。

建具自体はフロアヒンジで納めて、周りに枠が見えない仕様となっています。

右側に見えている扉がSICへの扉で、左手前に半分空いている扉が書斎への扉です。この扉はR家のご家族にとっては重要な使い勝手の扉ですが、このお宅に初めていらっしゃるお客さまには、あまり見せたくない部分なので、周囲の壁と同化させて隠すためにカラーガラス張りの扉としています。

こちらの扉も吊り込まれた時点では仕上がっていませんが、ディテールを良く見ると取っ手部分が少し出っ張っているのが分かりますね。

周りの壁と扉2枚にカラーガラスを張ると、このように仕上がります。建具の吊元側の上下にピボットヒンジが飛び出ていることと、取っ手以外はここに2枚の扉が隠されていることのヒントはないのです。因みにこの写真の左側に写っているのがレザー張りの建具です。

こちらがカラーガラス張りの建具の施工図です。

レザー張りの建具の存在感が照明を浴びてさらに際立っているのが分かりますね。

渋谷R邸では、その他の工事も着々と進んでおります。リビングでは、テレビボード周辺の造作家具が取り付けられて、壁面のタイルも張られ始めています。

こちらのタイルは、上からの照明で凹凸が映えるSCI-3060C(平田タイル)を使っています。中央でタイルが張られていない個所に、壁掛けテレビ用の金物とコンセント等が設置されます。

タイルが張り終わったら、同色の目地材を詰める作業です。

一部(というかほとんど)養生されていますが、リビングのテレビボードがこれでほぼ完成です。

壁に張るクロスとほぼ同色の白いダイノックシート張りの建具は、特注の取っ手だけ少し色を変えてアクセントにしています。これらは廊下の途中に吊り込まれる予定の扉たちです。

ダブルシンクの洗面カウンターの取付けも始まりました。

SIC内部は、予算削減で南海プライウッドの収納システムを使っています。

廊下横に設けた洗濯機置き場と乾燥庫とサウナ用の製氷機置き場もほぼ完成です。

側面を大理石調タイル、背面をカラーガラス張りにした来客用トイレも大分出来てきました。こちらでもタイル目地とカラーガラスの目地ラインは揃えて貰っています。
まだ現場はバタバタですが、来週には施主検査の予定となっています。

セラミックvsクオーツストーン_キッチンカウンター材のメリット・デメリット

[乃木坂U邸]

高級キッチンカウンター材の2大潮流は、セラミックとクオーツストーンの争いになってきています。

セラミック材はタイルの一種ですが、焼成技術の革新で、大判化(3メートル×1.5メートル!)、薄型化(厚み6ミリで軽量化)、そして大理石模様やセメント柄や木目等のデザインが洗練されたところが特徴の建材です。大判化したことで、目地なしの一枚物でキッチンカウンターを作れるようになったことや、歪みがほぼなくフラットに焼けるようになったことで、一気にキッチンカウンター材として普及し始めました。
カウンター材としてのメリットは、①非常に硬く傷が付きにくいこと、②水がほぼ染み込まないこと、③熱い鍋を直接置いても変色しない耐熱性があることとなっています。
しかし、当然ながらデメリットも幾つかあるのです。①材の断面には模様が無いこと、つまり、厚みを持たせたカウンターとしてデザインする場合は、カットしたままではタイルの断面が見えてしまうので、高額なトメ加工をすることになりますが、すこし不自然なデザインになってしまうのです。②薄くて、搬入や施工中に割れやすいこと。キッチンカウンターではガスコンロやシンクの形にカウンター材を切り抜くのですが、細くなった部分に応力が働くと割れてしまうことがあるのです。③継ぎ目が出てしまうこと。1枚物であれば、3メートルまで継ぎ目がない計算になりますが、L字型のカウンターとなると、継ぎ目が出てしまいます。コーリアン等の人工大理石(人大(ジンダイ))は特殊な接着剤を入れて乾いてから研磨すればシームレスなカウンターを作ることができますが、セラミックはそうはいかないのです。上の写真は、日本に最初に入ってきたセラミックのラミナム(スペイン製)の物です。

セラミックの代表的なブランドはラミナム以外では
デクトン:イタリアからのセラミックで、日本のオーダーキッチン会社では、ネオリスとデクトンが使いやすさで2大巨頭となっています。弊社事例では、元麻布I邸の黒いキッチンカウンターで採用させて貰いました。
ネオリス:スペイン製の大判セラミックです。黒系に強いイメージがあり、高層マンションリノベの渋谷R邸の大型ブラックアイランドキッチンで大々的に使わせて貰っています。
フィアンドレ:イタリア製の大判タイルで、薄型(6ミリ厚)のマクシマルミと同柄で厚型(12ミリ厚)のサピエンストーンがあります。特に白系の大理石柄の美しさは特筆すべきものがあります。弊社でキッチンカウンター材として採用した事例は、渋谷区Q邸白金台E邸代々木上原I邸外苑前C邸、原宿K邸などがあります。また背面壁の素材としては、更に多数の事例で採用しています。
マラッティ:世界最大の販売量を誇るイタリア発のタイルブランドです。グランデマーブルルックシリーズのゴールデンホワイトは白地に金の模様が特にきれいで、新宿H邸のキッチン壁面に使っています。
スタイルメガ:石材メーカーとしては日本最大級の関ヶ原石材が扱っているイタリア産の輸入セラミックです。港区R邸の浴室壁としては使ったことがありますが、キッチンでの弊社採用事例はまだありません。
メガスラブ:石材の顧客向け販売としては最大手のアドヴァングループの大判セラミックです。キッチンのカウンター下のお化粧材としては、麻布台M邸で採用しておりますが、まだカウンター材としては使った経験がありません…。

ラミナムショールーム@南麻布

もう一つの候補はクオーツストーンとなります。コーリアンなどのアクリルやポリエステル等の樹脂で作られている人工大理石に対して、クオーツストーンは天然成分である石英(クォーツ)を砕いて、ポリマー樹脂で固めたものです。石英の含有率が90%以上あることで、天然石に近い質感と光沢を持っているのが特徴です。メリットはセラミックと似ているのでが、①非常に硬く傷が付きにくいこと(セラミックに比べると若干柔らかいです)、②水がほぼ染み込まないこと(これもセラミックに比べると若干悪いです)、③色を混ぜた石英を固めているので、カットした断面まで全て柄が続いてきます。
デメリットとしては①耐熱性には難があることです。人大に比べれば随分熱に強いのですが、それでも高熱で変色する可能性が高いのです。②継ぎ目は出てしまう。これはセラミックと同じです。こちらの写真は、日本では最後発ではありますが、ユニークで独特な柄を持つカンブリア(アメリカ製)の写真です。

クオーツストーンの代表的なブランドはカンブリア以外では、
シーザーストーン:イスラエル製の日本に最初に入ってきたクオーツストーンです。キッチンカウンターでの採用事例は、白金台H邸横浜A邸六本木N邸品川N邸などがあります。
サイルストーン:スペイン製のクオーツで、先のセラミックのデクトンと同じコセンティーノ・ジャパンが輸入元で、南青山に新しいショールームをオープンさせたばかりです。目黒区O邸のキッチンで採用しています。
フィオレストーン:韓国製の製品で、日本の代理店はメラミン等で有名なアイカ工業です。比較的価格が安価で、いざという時に頼りになります。キッチンでの採用事例はありませんが、洗面カウンターやテレビボード等で最近よくお願いしています。
オキテ:イタリア製で日本の大手石材会社の松下産業が扱っているブランドです。まだ弊社では採用事例はありませんが…。
クララストーン日本辰華が輸入元の中国産のクオーツストーンで、華やかな柄でも比較的安価なので、洗面所やトイレの手洗いカウンターでは幾度か採用したことがあります。

現在、キッチン部分を設計検討中の乃木坂U邸では、セラミックとクオーツストーンのメリットデメリットをご説明の上、両者をうまく使い分けながらデザインを進めています。

現在進行中のキッチン図面の左側中段の平面図を見て頂くと分かるのですが、対面型のシンクカウンターはクオーツストーンを使い、壁面側のコンロ側カウンターはきれいな大理石柄のセラミックを使った設計となっています。

コンロ側のカウンター及び壁面に使う予定のラミナムのインヴィジブルホワイトの艶ありとツヤナシを五反田のショールームで見比べた際の写真です。

ラミナムショールーム@南麻布

ほぼ決定となったインヴィジブルホワイトのサンプルを頂いて、次に伺ったのが南麻布のアステックショールーム内にあるクオーツストーンのカンブリアコーナーです。

ラミナムショールーム@南麻布

色々と見てみましたが、最初にリネアタラーラのショールームでも気に入っていらした、サマーヒルがやはり一番品が良くマッチングも良いとのことになりました。

ルミナベッラ五反田ショールーム

折角五反田のデザインセンターに伺ったので、僕らが良く使っている輸入照明器具のルミナベッラのショールームに伺ったところ、ビストージ社のフトゥラを気に入って下さり、是非どこかに使いたいとのお話しになりました。

ベイカー@東京ショールーム

デザインセンターに行ったら毎回お客さまをお連れしているもう一つのショールームが、こちらのベカー@東京です。コロナを経てショールームは少しダウンサイジングしましたが、相変わらずの日本離れしたアメリカンテイストの華麗なインテリア商材は健在で、梶田社長がご案内してくれました。

ベイカー@東京ショールーム

テーブルランプも是非、アーテリアーズヴィジュアルコンフォートで幾つか購入したいとのお話しになりましたが、最もUさまご夫妻が喜んで下さったのがラグです。

ベイカー@東京ショールーム

トゥフェンキアンの質感と色感豊かなリッチなラグはリビングの中央で採用したいとのお話しで盛り上がりました。

ベイカー@東京ショールーム

特にこの柄のような幾何学模様のラグで、良いサイズで適度な価格の物を提案して欲しいとのことになりました。最後はキッチンカウンター材のお話しから随分離れてしまいましたが(笑)、U邸のインテリアの内容も段々と詰まって参りました!