Author Archives: Kenji Kagami
2026.01.05
理想のキッチンとは_素材・色味・デザインへのこだわり@世田谷区A邸
[世田谷区A邸]
世田谷区A邸プロジェクトは先回のブログでリノベーションプランがほぼ決まったので、より細かい設計へと進み始めています。奥さまのこだわりポイントの第一番でもあるキッチン打ち合わせからスタートです。

同じ世田谷区の用賀にあるリネアタラーラのショールームに伺い、ほぼ決定となったリノベ案を担当の牧野さんに見て貰いながら、まずはここまでの打ち合わせでふんわりと決まってきていたイメージから考えることとなりました。

まずは、これまで暫定的に選んできた素材を一通り並べてみました。この中で、コセンティーノで見た天然石クォーツサイトのタージマハールは優先順位が高い素材となります。

角張ったデザインだけでなく、カーブを取り入れたデザインも考えて欲しいとのご依頼が以前あったので、リネアタラーラの牧野さんにお願いして、タージマハール材のハイカウンター部分にカーブができないかと、二枚重ねでサンプルを作ってもらったものをAさまに見て頂きましたが、この繋ぎのラインが気になるので、甲板の厚みを減らすか、カーブを中止するかのどちらかで進めることとなりました。

折角リネアのショールームには多様なビルトインオーブンと食洗器を並べてくれているので、それらの比較した話も聞きたいとのことでした。

食洗器については、大きくはトレイの違いと食器洗浄後の乾燥方法の違いを聞かせて貰いました。

ビルトインタイプのオーブンについては、庫内のサイズ、扉の開き方からミートセンサーやスチームオーブン付きといった機能の違いまで幅が広いことを聞きました。
色々と聞きましたが、まだA邸のオーブンと食洗器は壊れていないので、既存機器を再利用することになりそうです。ドイツ製のビルトイン機器は同じ規格で作られているので、壊れた時に簡単に交換することができるのです。

Aさまの奥さまはご自宅でお仕事もなさりたいとのこと、書斎スペースも作りたいとのご希望があったので、リネアタラーラのライティング・ビューローも体験して頂きました。

こちらはリノベーションレイアウトが決まってからの別日の打ち合わせの様子です。この日は工事契約に向けてのキッチンの概算見積りを作るために、仕上げ材のグレードを決めることが目的となります。

まずはこれまでの打ち合わせの中で挙がってきたイメージ写真等から、こちらで暫定的に選んでみたAさま好みの素材を机の上に並べるところから始めます。

この日の打合せは、ベースとなるタージマハールの大理石と合わせる素材や扉の色のイメージを固めることを目的としているので、タージマハールのカウンター材と塗装扉色の相性、オーク木目柄とを合わせながら候補を絞ってゆきます。

絞ったつもりでも、まだこれだけ候補が残っています…。

タージマハールと合わせるキッチンのメインカウンターの候補も、汚れに強いクオーツストーンやセラミック材から選んでいきます。
色味と素材の最終決定は、まだ少し後となるので、まずは工事契約に向けての見積りを作るための暫定仕様までは決めることができました。
2025.12.23
取っ手・モールディング・素材のディテールと寸法の最終決定
[ザ・ライブラリー]
ザ・ライブラリーブログのご紹介です。
既に工事着工している横浜H邸ですが、話が前後しますが、着工前に順次決めていったディテールについての記事となります。
完成写真ではほとんど伝わらない「着工前のディテール決定プロセス」についての話となります。取っ手一本、モールディング一本をどうやって決めているのか──その現場をそのまま記録してみました。

クラシカルなモールディングデザイン空間に大理石張りのモダンなキッチンが入るお宅なので、建具の取っ手や造作家具のつまみは、クラシカルなものから選びたいとのこと、アメリカ産の輸入取っ手やつまみが豊富にあるジェイマックスの代々木上原ショールームにHさまと一緒に伺って参りました。クラシカルな要素とモダンデザインをミックスする場合、どこまでクラシカルな部分い拘るかはかなりデザイン的に難しい判断となるのです。

ドアノブやレバーハンドルは実際に握って動作を確認して頂くのが一番安全なので、Hさまにデザイン的に気に入って頂いた取っ手類は全て試して頂きました。

造作家具のつまみや取っ手類も同じデザインでも違う仕上げのものが多数展示されているので、PDFカタログを見比べるのと比較してもスピーディーにお気に入りのものを選び出して頂くことができました。

モールディングやケーシングもあまりカーヴィーなものではなく、アールデコ調でストレートなものが良いとのこと、特に壁と天井のモールディングは階段状になるように二つのモールディングを組み合わせることとなりました。

モデュール家具のGIGIでお願いしているスチールとガラスを組み合わせた造作棚についても、細かい使い勝手とデザインの最終確認をさせて頂きました。

仕上材サンプル一式をGIGIから借りて、弊社事務所でお打合せをして…、

このように立体的に組み合わせて、同じように見える黒い素材でも素材感やツヤ感などを見比べながらベストマッチを探して行きました。
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実はこの打合せを経て、仮決めで入れていた素材はほぼすべて交換することになりました!ショールームで個別に見て考えた仮決め素材が、他の素材と合わせて考えてゆくことで逆転したことは、Hさまにもかなりの驚きだったようです。

家具の最終サイズ確認では、Hさまに実際に立って頂き、「このくらいの高さが使いやすいのでは」とアドバイスしながら、巻き尺で一段ずつ高さを確認していきました。
この後、浴室の建具やヘリンボーンの無垢フローリング、水栓のモックアップを使っての打合せなどに進みますが、それらについてはこちらのブログをご覧ください。
2025.12.19
骨組み(LGS下地)から空間の輪郭(石膏ボード)へ_城南R邸A住戸
[城南R邸]
新築マンションの2住戸同時リノベーション、城南R邸のご自宅用のペントハウス「住戸A」のLGS(Light Gauge Steel(ライトゲージスチール))下地から石膏ボード張りへと移行してきています。因みに、LGSから石膏ボードへ移行するこのタイミングは、平面図だけでは分からなかった空間のスケール感やプロポーションを、現場で最終確認できる非常に重要な工程なのです。

上の写真の天井や壁部分に立っている金属の柱状のものがLGSです。通常303ミリか455ミリピッチで立てられています。そこに909サイズの石膏ボードやベニヤ板をビスでとめてゆくと、下の写真のように壁や天井が現れてくるのです。因みにこの後タイルや造作家具を取り付ける部分はベニヤ板(将来の下地強度・ビス保持力のため)、そのような造作が無い塗装仕上げ箇所については石膏ボード(ベニヤ板は湿気や温度で歪むのに対して石膏ボードは抜群の安定性がある)を張るのが施工のルールとなっています。

LGSで囲まれている部分は、床に給排水管があり、奥の天井にはダクトが出ているので、キッチン部分となりますが、この段階では壁が無いのでどのような空間になるか想像がつきにくいですね。

天井も梁型の下がりやフラットな天井部分にLGSが流されています。天井裏にはたっぷりスペースがあって、もっと天井高さをあげることができそうに見えますが、正面左奥の天井部分にセットされている天カセ式エアコンのサイズ、そこから勾配で流すドレイン管のルート、天井に埋め込むダウンライトや給排気のダクトなどがあるので、この程度の寸法となってくるのです。ボードが張られる前の工事現場を見に来てくださったお客さまから、良く少しでも天井高さをあげて欲しいとリクエストされることがありますが、数センチ天井を上げるために、将来のメンテナンス性を犠牲にすることはできないことをご説明しています。

こちらはダイニング側からリビングを望んだアングルの比較写真です。右の小部屋のように見える箇所がキッチン側から出入りするパントリーとなります。右側天井から下がっていた電線が、壁の側面の開口まで引き込まれており、これが照明のスイッチやインターフォンへと接続されることが判りますね。

リビングのRC造の柱に石膏ボードが張られて塗装されていると、空間の骨格がしっかりと見えてきます。

廊下からリビングに入ってくる開口部の「ビフォーアフター」ならぬ「スケルトン(骨組み)/ボード張り」です。左側のベニヤ板張りの箇所には、後日加工大理石が張られます。

その材料のサルバトーリのトラッティの材料も現地に届いていました。

キッチン横の不思議なカウンターのような箇所は、キッチンのペニンシュラ(半島型)カウンターが来て、その上にコップ等を入れる収納が組み込まれる予定となっています。

パントリーへ入る右側の壁には、アルクリネアキッチンのショールーム壁に貼られていたブルガストーンが張られるので、ここもベニヤ下地となっています。

反対側の壁端部は、このようにステンレスヘアラインの見切り材が石の厚みと接着剤分だけ出っ張った形で取り付けられています。

廊下から玄関を見返したアングルでも、石膏ボードが張られたことで空間構成がはっきりと見えてきていますね。

今回のデザインは、巾木が壁から出っ張らず、壁とフラットに仕上がる面巾木(ツラハバキ)のデザインとしています。フクビ等の見切り材を入れる方法もありますが、見切り材と石膏ボードが繋がっているように見せるために、パテ処理をしないといけないので、そのパテ分膨らんでしまうという問題が生じてしまいます。今回はリフォームキューの現場監督の綿貫さんは、エースライトというケイ酸カルシウム材をつかってフラットに収める工夫をしてくれています。

こちらが綿貫さんが描いて、大工さんに分かりやすように現場に張ってあったスケッチ図です。このスケッチは巾木を張る前の状態が描かれているので、壁の下部が凹んでいるように見えますが、9.5ミリの厚みの巾木を取り付けるとちょうどフラットになるのです。

こちらがその面巾木の施工途中をアップで撮影した写真です。一番下が表面を白く塗装した木製巾木(上部には5ミリの目地を入れています)で、その上にエースライト材が接着剤とタッカーで取り付けられており、更にその上が石膏ボードとなります。エースライトと石膏ボードが接する部分は両者のコーナーが少し削られており、そこに寒冷紗とパテを入れてフラットに塗装する工夫がなされています。

エースライトは湿気や温度などによる寸法の狂いが無く、軽くて、加工性が良い素材とされていますが、石膏ボードだけでは表現しにくい直角のコーナーのラインなどもエースライトであれば表現できるのですが、靭性に乏しい(衝撃に弱くもろくて欠けやすい)特徴があるので、現場加工せずに、工場で上記の寸法に沿って加工したものを持ってきてもらったそうです。

こちらがサイズに合わせてカットされて現場に来ていたエースライト材です。

廊下からリビングへ入る建具の横に設けるガラス製袖壁を固定する壁端部にも白く塗装されたチャンネルと一緒にエースライトも使われています。
完成後にはほとんど意識されないディテールですが、こういった巾木や壁端部の収まりで、壁のシャープさや空間全体の精度が大きく変わってくるのです。