Author Archives: Kenji Kagami
2024.10.22
リビングの壁掛けテレビと造作収納の関係
[新宿区T邸]
リビングの大きな壁面に壁掛けテレビを設置して、その周囲に造作家具を作ったり、素材を張り付けて部屋の中心的なテレビ壁とするデザインは、カガミ建築計画の特徴の一つかもしれません。
こちらの写真集は、これまで弊社が手掛けてきたリビングのテレビとその周囲の造作家具収納です。基本的には壁掛けテレビをご提案することが多いですが、テレビを後日交換する可能性があることを考えて、AVボードの上に置くタイプのテレビをご提案することもあります。
細かいディテールはCGを作った段階から変わってきていますが、新宿区T邸のリビングのTV壁はこのようなデザインとなっています。
施工会社青の下請けとして入ってくれている大沼木工所から出てきた施工図がこちらです(ちなみに、普通は大沼木工所は施工図は書いてくれませんが、今回は別途施工製作費を請求してもらう形で施工図をお願いしました)。造作棚としてはそれほど難しくな無いのかもしれませんが…、
実は一番難しいのは、テレビと壁掛け金物とコンセント位置の関係、スピーカーやDVDプレーヤー、ハードディスクへの配線のレイアウトなのです。あまり早くにテレビやスピーカーをお客さまに決めて貰うことは、お客さまにとってはあまりメリットではありません。最新型のテレビが出るのを待ったり、最新型が出ることで一世代前のテレビが安くなったものを買うことができるので、お客さまにはギリギリまで決定を先延ばしにして貰います。そうなると、テレビのサイズをおおよそ決まっていても、壁掛け金物と相性や、LAN配線やコンセントの位置関係を決めることができないままこの部分の施工が進んでしまうという問題があるのです。
常に最新式のテレビや壁掛け金物を知っていないと、お客さまとの打ち合わせ時に困ってしまうので、岸本さんと家電量販店にで大型4K有機テレビの背面やスピーカーのACアダプターなどを調査した際の写真がこちらです。
そうこうしているうちに新宿区T邸の現場ではリビングの造作棚の設置が始まりました。中央の黄色いボードが見えている箇所にテレビが設置されます。この壁部分はテレビ取り付けや配線の為に二重壁にすることになっています。
テレビ壁の下にはカウンターが来て、その下部には表面をステンレス鏡面板でカバーした下台が来ます。
二重壁の壁裏から下台まで配線を通して、そこから横引きして、
横のトール収納へと配線を通し、
トールキャビネットの背面にコンセント、下部からCD管を出してDVDプレーヤーやハードディスク等と接続できるようにしています。
これは別事例の時に、副所長の前田君が作ってくれたTV配線用の図面ですが、右上のチャート図のように何と何を接続するかが分かっていないと、AVシステムを組むことができません。本当に本格的なAVシステムの場合は専門家に入ってもらいますが、今回の新宿区T邸レベルだと、そこまでのスペックは求められていないので、担当スタッフの岸本さんが頑張ってくれています。
青の樋口さん、大沼社長、弊社の岸本さんと前田君で打ち合わせをしている様子です。
箱組が終わった段階で、まずはテレビ配線の基本方針が決まったようです。
そしてこれは後日テレビ設置部分の二重壁が作られた際の様子です。
テレビ壁掛け金物の位置を避けつつ、テレビ背面のジャックの位置を考慮した箇所に穴をあけ、CD管を通しています。二重壁の裏は空けて上から下に抜けるトンネル状にしているので、2本以上の配管を将来的に通したい場合は、そのトンネルを通してカウンター下まで配線できるようにいたしました。
造作収納のニッチ部分、テレビの壁掛け金物をセットする場所以外は、大理石張りなります。
造作家具の扉と、テレビ下のカウンター台がまだついていませんが、かなり完成形が見えてきました。
因みに、テレビ下でカウンター上の配線箇所には、このような大理石製のカバーを作ってもらっています。
最終段階です。床フローリングの養生が外れて、造作家具の扉もついた段階で、テレビが搬入されてきました。3人掛かりで壁掛け物に吊り込んでもらっています。
テレビ背面の壁掛け金物の角度を電気屋の井上さんが調整してくれています。これだけ全面にせり出す金物なので、テレビの配線は後で通すことができるとのことでした。
当初のCGイメージとかなり近い、ほぼ完成形のテレビボードです!
2024.10.20
子どもたちと一緒の施主検査@渋谷区N邸
[渋谷区N邸]
新築マンションのリビングダイニングキッチンと玄関とトイレと子ども部屋のリノベーションプロジェクト、渋谷区N邸の工事が完成したので、お客さま(建築用語ではお施主さま)の検査を行いました。
今回の施主検査では、小さなお子さま3名も参加しての賑やかな検査でした。
まだ、造作家具のコーナーなど出っ張っていてお子さまには危ない箇所もあったことと、Nさまご夫妻には検査に専念してもらいたかったので、各務が下のお子さまたちの相手をさせて頂きました(笑)。
Nさまご夫妻との検査は、弊社スタッフの前田君と工事をお願いした施工会社・リフォームキューの森井さんにお任せして、まずは子どもたちとすべての部屋を探検し、その後、色々なゲームを開発しながら遊びました。
一番盛り上がったゲームは、検査時に印をつけるために用意していた黄色い養生テープを床に転がしてのボーリングゲームでしたが、あまりに盛り上がりすぎて写真に撮るのを忘れてしまいました。
下の子2人が各務と遊んでいる間も、一番上のお子さまはご両親と一緒に検査に活躍してくれました。視線の低さを生かして、細かい傷やクロスを剥がれなどにも気が付いてくれたそうです。
奥さまは検査のことはプロに任せて、早くキッチンの使い勝手勉強したいのとのこと、前田君が先行して使い方の説明をしてくれています。
背面カウンターの引き出し式家電収納の説明を前田君がしてくれています。
一通りの検査と簡単なキッチンの説明が終わったところで、まだ家具がないので、キッチンのアイランドカウンターに集まって、検査の内容の纏めと、ここから先、家具搬入とお引き渡し、お引越しまでのスケジュールの確認をさせて頂きました。リフォームキューの現場監督の大阿久さんも立ち会ってくれていますね。
と、ここまで仕事をした風なブログを書きましたが、僕、各務はずーっとお子さまと遊びっぱなしで何も内容を聞いておりませんでした…。ただ、後日Nさまの奥さまから、保育園に通っている下のお子さまのH君が、先生に休みの期間中に一番楽しかったことを聞かれたときに、「ケンちゃん(各務のことです)と新しいお家で遊んだこと!」と言ってくれたとのことを聞いて、何より嬉しかったのです。
最後の写真はまだ家具が入っていない状態で殺風景ですが、完成したN邸のリビングんダイニングキッチンの様子です。
2024.10.17
現場施工のオーダーユニットバス
[文京区S邸]
文京区S邸の浴室とシャワーブースは、東京バススタイルのオーダーユニットバスを使っていますが、いくつか特殊な作り方をして貰っています。
主寝室から使うシャワーブースは、ブースという割には大きめのサイズで、1414サイズのシャワーブースです。小型のユニットバスだと1014といったサイズもあるようなので、ユニットバスよりも大きいシャワーブースとなります。
最初に防水パン(床タイルも張られたパンです)を設置し、入り口の枠と四周の壁を立てます。ここまでは普通の作りですが、壁のタイルが張られていないことに気が付いたでしょうか?通常のオーダーユニットバスでは、タイルを張った壁パネルを立ててゆくのですが、ここでは真っ白なボードだけとなっています。
そして、壁にはこのようなニッチが作られていますが、これも仕上がっていません。今回はほぼ目地なしで貼る特殊なタイル、モロッコ産のゼリージェタイルを内部に張るので、パネル壁を立てた後に、現場側でタイルを張るという特殊な作りとなったのです。本来はプレファブリケーション(いわゆるプレハブ、現場での施工を最小限にするために、工場などで部材を加工・組立てしておく工法)の考えに従って、現場作業を最小限にしてスピーディーに組み立てるのがユニットバスの特徴なのに、そのメリットを捨てて、ほぼ防水パンの漏水に対する安全性だけを使って他は現場施工としているのです。
そして、こちらが家族用の浴室です。2320サイズの大型浴室です。防水パンが特殊な仕様となっています。大きい浴室になると防水パンは2分割となることが多いのですが、今回は4分割となっています。また、防水パンのサイズが大きくなると、浴室の周りから脚の高さを調整することが難しくなるので、防水パンに穴をあけて、そこから脚を差し込んで調整するという特殊な作りとなっています。
防水パンの脚とは、この写真の赤丸で囲んだものです。下にはゴム付きのプレートを敷き、脚はナットを回転することで高さ調整をして、防水パンのレベル(水平性)を確保することができます。
防水パンの上に置かれている四角いプレートが時にゴワゴワしているコンクリートスラブ面に平滑面を作るためのプレートです。
そしてスチール製の脚がこちらとなります。
防水パンの穴の使い方ですが、このように穴から手を差し込んで手前右にあるレンチ(スパナ)で占めてレベルを調整してゆくのです。そして…、
脚を設置した後はこの樹脂板を使って穴を塞ぐのです。
防水パンの穴の淵に接着剤を充填して、
このようにフタをしてゆくのです。フタのサイズはそれぞれ似ているので、事前に暗号のような印をつけておいて、セッティングを間違わないように工夫しているそうです。
最初のご紹介したシャワーブースでは、防水パンにすでに床用のタイルが敷かれていましたが、こちらは大型サイズで、かつ段差もある特殊な作りなので、この上から床タイルを現場施工で貼ってゆくのです。これも普通はスピード重視と現場作業をなるべく少なするために工夫しているオーダーユニットバスでは特殊な作り方と言えるでしょう。
床に段差があると書きましたが、実はこの家族用浴室には置き型の浴槽を設置するのです。これまでの在来工法の浴室では置き型浴槽を設置したことがありますが、オーダーユニットバスでの置き型浴槽は初めての経験で、東京バススタイルさんともかなりの事前打ち合わせを致しました。因みに浴槽はSTR18585-VS(バステック社)のものです。
写真ではコンパクトに見える浴槽ですが、幅が1850ミリ、奥行きが850ミリ、深さが420ミリで、重さが88キロもあるかなりの大型サイズの浴槽で、浴室の入り口のスチールサッシを取り付けてしまうと、内部に運び入れらなくなってしまうので、床を仕上げた後、ベニヤ板で作った養生で囲った浴槽を入れて、この状態で浴槽を動かしながらタイルを現場で貼ってゆくことになっているのです。
こちらはお子さまの寝室側から見た家族用浴室の様子です。通常は、後日手すり等を取り付ける可能性がある場所だけベニヤ板を張る仕様なのですが、今回は重量のあるタイルを現場張りするので、ベニヤ下地を一面全部に入れてくれています。
こちらは内部から見た浴室の天井です。梁が下がっており、その下がり梁を避けながら最大限の天井を張るために、ギリギリの寸法まで攻めてくれています。
洗面側のスチール枠が入った家族用浴室がこちらです。まだ浴槽は養生されたままですから、壁タイルは貼られていませんね。そしてこのスチール枠もちょっと特殊な仕様となっているのです。
こちらは浴室内部から見たスチールサッシとガラス窓とガラス扉です。
通常はステンレス鏡面仕上げか、ステンレスヘアライン、凝った時にはステンレスバイブレーション仕上げまではしたことがありましたが、今回はカラーステンレスで色を付けているのです。
このバイブレーション仕上げにシックゴールドという色味をつけて貰っているのです。因みに、このカラーサンプルは日本遠東ケーピーケーのものです。
ステンレスヘアラインだと可能なスチール枠の加工が、カラーステンレスだとできないこともあるので、枠加工もかなり工夫をして貰いました。
実はこのスチール枠、浴室の内側の枠はオーダーユニットバスと一体で、東京バススタイルに作ってもらういましたが、洗面側の外枠はリフォーム工事をお願いしている施工会社の青さん経由で施工してもらうのです。写真は内枠だけの段階のものです。
ただ、カラーステンレスの色味が違うと悲しいことになってしまうので、青の現場監督の織田さんが加工図を作って、枠の材料の手配は東京バススタイル、そして枠製作と取り付けは青お願いしました。
このようにして苦労して作ってもらった外枠が付いた状況がこちらです。とは言いつつ、まだ白い養生テープが張られた状態なので、良く分かりませんね…。
養生テープが外れていた窓枠を下から見上げた写真です。養生テープを一気に剥がして全貌を見たくて溜まりませんが、工事途中で傷がついてしまったら大変なことになるので、しばらくの我慢です。
まだ、シャワーブースも浴室も内部のゼリージェタイル張りもあるので、しばらくは水回りには大注目です。