Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

家具選びの変遷@大田区S邸

[大田区S邸]

ヴィンテージマンションリノベーションの大田区S邸では、間取りやキッチンの検討と同時に、家具選びも進めてきました。お客さまの好みの家具が特にない場合は、南青山エリアに集まっているモルテー、ミノッティ、フレックスフォルムを纏めてみて、そこからB&Bイタリアやポリフォームに足を延ばすのが一般的な流れでしたが、B&Bは骨董通りに移転し、5月にはポリフォームも南青山に新しいショールームを開くことになっているので、利便性が格段に上がりそうです。

Sさまとの家具巡りも、南青山エリアから始めました。まずはご家族全員がゴロゴロできるような大きなソファを入れたいとのことでしたので、まずミノッティに伺ったところ、カガミ建築計画でも良く採用させて貰っているコネリーをかなり気に入ってくださったようです。

次に伺ったモルテーニでは、クレオのソファと、505シリーズのテレビボードにピンと来るものがあったそうです。

フレックスフォルムでは、僕、各務も大好きなラウンジチェアのグショアールトに奥さまが吸い寄せられていました(笑)。

2週間後には、新宿のポリフォームに伺いました。大理石天板のダイニングテーブルのコンコードは、ここまでデザインしてきているキッチンのデザインともマッチしそうだとのことで、具体的に図面に落とし込んだ様子を見てみたいとのことでした。

B&Bイタリアに伺った際には、ハイスツールのカラトスを見て、以前オーダーキッチンのリネアタラーラで見たものと同じだと気が付いて、その座り心地と使い勝手の良さから、是非採用したいとのお話になっています。

因みに、こちらの写真が以前リネアタラーラで撮影した、カラトスのシートハイト(椅子の座面高さ)とキッチンカウンターの高さのマッチング写真です。

座り心地だけでなく、カウンター上にお皿とフォーク、コーヒーカップも置いて、実際に食べることを想定したシミュレーションも行ってもらっています。

まずは一旦家具屋巡りをストップして、ここまで気に入ってきた家具を図面に落とし込んで比較する作業をすることになりました。リビングにはグランドピアノを置くので、それを避けつつ、家族がゴロゴロできるレイアウトを検討しています。

ダイニングセットについては、テーブルはポリフォームのコンコルド一択となってきたので、それと合わせるダイニングチェアをどう選ぶのかになってきました。イタリア製だけでなく、国産のものも候補に挙げて欲しいとのことで、アルフレックスフルーテも候補に入れいました。また、奥さまが座る場所は背面にも収納があるので回転できるタイプも候補として挙げています。ハイカウンター用のスツールも2択で検討することになりました。

まずは候補が絞られてきたダイニングチェアを改めて見直すことになりました。とにかくダイニングチェアについては、普段と同じような状況で座って頂くこと、選んでいるダイニングテーブルと同じ高さのテーブルの前でテストすることが大前提となります。
こちらはB&BイタリアのHUSKダイニングチェアです。キャスターの展示品が無かったので、こちらを試して頂きました。
デパトヴァセルベローニは、オーダーキッチンのリネアタラーラの打合せ室がその椅子なので、次回リネアでの打ち合わせの際に再確認して頂くことになりました。

奥さま専用イスの最後は南青山のポルトローナフラウジンジャー・アームチェアです。こちらは奥さまがどこかの雑誌で見かけて、素敵なのでぜひ見て体験してみたいとのことでした。

座り心地も良かったようですが、ベージュ調のレザーがお好きな奥さまには、ポルトローナフラウの仕上げサンプル帳そのものもヒットだったようで、ご自身用のダイニングはこれに決めたいとのことになりました。

そして次はご家族用のダイニングチェアです。本当はご主人やお子さまにも同席して頂きたかったのですが、タイミングが合わず奥さまだけでのテスト(?)となりました。色々なショールームを回ってのテストだと、「お尻の感覚(笑)」がずれてしまうので、ダイニングテーブルが決まったポリフォームの新宿アクタスにお願いして、他社のイスもお借りしてきて一度にテストさせて頂きました。

左から、ポリフォームのヴェンチューラ(当初はグレースでしたが、こちらの方を比べたいとのお客さまのご意向で変更になりました)、モルテーニのアウトライン、そしてアルフレックスのフルーテです。イタリア製のヴェンチューラとアウトラインはシートハイト(座面高さ)とが460と455なのに対して、国産のフルーテは435で、選んだダイニングテーブルのコンコルドの天板高さは740となっています(全てミリ単位)。国産のダイニングチェアは国産テーブルの高さの720に合わせているのに対して、外国製はダイニングでも靴を履いている想定で、椅子の座面高さもテーブルのカウンター高さも高めに設定されているので、そのマッチングが一番の心配だったのです。
ただ、何度も座り替えて試した見て頂いたところ、アルフレックスのフルーテが気に入ったとのとのことでした。座面高さのことも、弊社担当の松藤さんがアルフレックに問い合わせたところ、滑りやすくするために足下に木製用プレパラートを取り付ければ、10ミリ座面高さを上げることができることもお伝えしたところ、フルーテで決めたいとのことになりました。

この後、打ち合わせ終了後にアルフレックスに寄って、フルーテとアウトラインをお返しする予定だとSさまにお話したところ、まだ時間もあるので、一緒にアルフレックスショールームに行って、張り生地選びもしたいとのことでしたので、車でご一緒することになりました。

幾つかの気になる生地を小型サンプルで選んだあと、ショールームの方に大判のサンプル生地を出してもらい、フルーテに巻き込んでどのように見えるかのシュミレーションをして見比べさせて貰いました。これでダイニングセットはほぼほぼ内容が固まってきました。
ソファについては、イタリア製だけでなく、国産も見比べて比較検討なさりたいとのことで、継続審議(笑)となりました。
※カガミ建築計画のブログは数か月遅れでアップしておりますので、すでに無くなっているモルテーニやB&Bイタリアのショールームの写真が使われていますこと、ご理解ください。

本物の大理石&大理石調セラミック

[渋谷区L邸]

渋谷区L邸のLさまご夫妻は、当初より本物の大理石や大理石調のセラミックを仕上げ材に使うことに強いご興味を持っていらっしゃいました。

セラミック&大理石探し

まだ、間取りも決まっていない初期の頃に、仕上げ材の候補としてお持ちした素材から大理石をもっと見てみたいとのことで、お持ちしたイタリアの大理石ブランド「アントリーニ」の素材サンプルをお見せしました。

セラミック&大理石探し

石英の塊をレジンで固めて、スライスした特殊の素材ですが、光が透過することも面白いと感じてくださったそうです。因みにこれらのサンプルは、まだアントリーニが関ケ原石材と提携する前の6年ほど前に、イタリアに直接連絡して送ってもらったものです。

本物の大理石は価格のこともありますが、実用上水染みなどのメンテナンスの問題があることで、当初は大理石調のセラミックのショールームをご一緒に見て回りました。こちらは欧州のタイル最大手のマラッティのショールームです。

セラミック&大理石探し

こちらはイタリア建材コンサルタント会社のアークテックが扱っているフィアンドレ(イタリア)の大判セラミック展示です。

どちらのショールームでも、はがき大のサイズのサンプルを頂くことができるので、

セラミック&大理石探し

まずはどこに使うかをあまり深く考えずに、気に入ったサンプルを集めることになりました。

セラミック&大理石探し

大理石調セラミックでも、ツヤありとツヤ無し(マット)仕上げがあるので、各2枚ずつを集めるとかなりの量になってきました。

セラミック&大理石探し

本物の大理石も見てみたいとのことでしたが、都内の大理石ショールームはどこもこじんまりとしているので、加工した大理石ではありますが、僕らが良く使うサルバトーリの展示を見て頂きました。

セラミック&大理石探し

オーソドックスな大理石の表面に色々な加工を施すことで、普通とは違った表情が出ることを面白がっていただきました。

セラミック&大理石探し

「大理石というと、荘厳で冷たいイメージがある素材だと思っていましたが、こんな柔らかい表情の使い方もあるのですね」と喜んでくださいました。

セラミック&大理石探し

間取りのお打合せの合間にそれまで候補に挙がってきた素材類を一通り集めて、僕ら設計側なりに使う場所も考えてお持ちしたのがこれらとなります。

セラミック&大理石探し

ただ、セラミック素材をこうやって並べてみると、どれもグレーベージュで似たようなものばかりになってしまいました…。

セラミック&大理石探し

ちょっと印象的なこちらのセラミックは、似たようなものを奥さまが博多のホテルで見たことがあるとのことでした。

こちらで調べてみたところ、博多リッツカールトンでこのような石材が水回りに使われていることがわかりました。これはパタゴニアと呼ばれるクォーツァイト大理石です。こちらの写真は、博多リッツカールトンのサイトから借用したものです。
クォーツァイトは透過性がある石英が混じった大理石で、セラミックでの再現性がもっとも難しい物なので、もしパタゴニアに興味があるようなら、本物と見比べてみることをお勧めいたしました。そうこうしているうちに、やはり一度は本物の大理石もじっくり見ておきたいとのことになり、岐阜県関ケ原市にある関ケ原石材さんの倉庫に日帰りで行くこととなりました!

関ケ原石材での大理石選び

関ケ原石材は東京ドーム5個分の大きな敷地に、イタリアの大理石ブランド・アントリーニと共同したアントリーニ・ストーン・ギャラリーと、オリジナル石材ブランドのストラッド・ギャラリーがあります。この写真は、ストラッド・ギャラリーの入り口です。

こちらがストラッドの内部です。元々関ケ原石材が持っていた、貴重でデザイン性が高い石材のコレクションギャラリーとなっています。手前には季節に合わせて、幾種類かの希少な石材がピックアップされており、その石材の表情とマッチするイメージ写真を展示し、インスピレーションを沸かせてくれるようなショールームとなっています。

そしてこちらが扉一枚で繋がっている隣接するアントリーニ・ギャラリーです。まるで石材の美術館のような空間です!アントリーニもイタリアの石材ブランドで、関ケ原石材と共同で、世界中の珍しい石材を集めている会社です。お客さま或いは設計者が選んだ石材スラブ(一枚3m×2m程度、厚み20~25ミリの板材)を現物を指定して購入することができる珍しいシステムとなっています。システムの説明については以前のブログに書いているので、そちらをご参考にしてください。

アントリーニでの大理石選び

ご夫妻でご一緒したLさまご夫妻も、これだけの石材を一堂に並べたところを見たことが無かったので、「これは来てみないと分からないですね!」と喜んでくださいました。少しでもご興味がありそうな石材があると、都度関ケ原石材の石材マニアの中西さんがその石の原産地や由来、使われている外国のホテル名や日本のプロジェクト名を教えてくれるのです。

アントリーニでの大理石選び

お二人が気に入ったものを何種類かピックアップしてまとめたものがこちらです。ブラウンファンタジーパリサンドロは似たような色味ですね。カルチーテカライビカは僕らも初めて見た石種ですが、薄い灰色の中に緑や薄青やオンレジや黄色が差したように流れている石材でした。オニキスの仲間のマンゴーオニックスは、他3つと全く違いますが、華やかさがきれいなのでどこかに使えないか検討してもらえないかとのことでした。

最初に関ケ原まで足を延ばすキッカケになったパタゴニアも展示されている現物を見たのですが、ブラックトルマリンと呼ばれる黒い墨のような部分が多く、イメージとは違うとのことでした…。

アントリーニでの大理石選び_パタゴニア

ただ、アントリーニギャラリーのちょうど中央位に、このきれいなパタゴニアが展示されていました。もう現物としては販売していないものだそうですが、このくらいのきれいなものが今後入ってくるようであれば、洗面所に使いたいとのご意向を頂きました。
これでこの日の関ケ原石材ツアーは終わり、皆新幹線で東京に戻りました。

その後も関ケ原石材の中西さんとメールでやり取りをしている中で、次の次のコンテナでこの写真のパタゴニアが日本に来るとの情報を貰いました。まだ、磨く前なので、ブラックトルマリンがどのくらい見えてくるのか分からないのですが、パッと見良さそうな風合いなので、磨かれたらその写真も送って欲しいとお願いいたしました。

その1か月後くらいに届いたのがこちらの写真です。こちらもまだイタリアで日本に出荷する前の写真を特別に送って見せて貰ったものです。ブラックトルマリンはある程度ありますが、透明なクオーツ部分とベージュの透過しない部分が地形のようにくっきりと分かれており、これは良さそうだとのことになり、施工をお願いする三井デザインテックから購入してもらうこととなりました。
実際はまだお客さまとは工事契約を結んでいないので、もし何かのことで工事をしないことになったり、この石材をリリース(手放す)することになった場合の為に、ある程度の費用を準備費として三井デザインテック側にお支払いしてもらう形で購入の手はずを進めて貰います。

竣工お引き渡し&取り扱い説明

[文京区S邸]

大型マンションリノベーションの文京区S邸の補修工事が完了し、無事お引き渡しとなりました。

先日のお客さま検査後の補修箇所を一緒に回り、ザっと確認して頂いた後は、すぐにキッチンの取り扱い説明へと移ります。

まずは食洗器やオーブンといった、ビルトイン機器のご説明からです。キッチンをお願いしたリネアタラーラの牧野さんとガゲナウからも応援の説明の方が来てくださっています。

当日は、Sさまの奥さまだけでなく、お料理の片付けや洗濯、お子さまの世話もしてくださる通いの家政婦の方も一緒に説明を聞いてくださいました。

奥さまと家政婦の方がキッチンの説明を受けている間、ご主人さまはガス設備や電気の説明を分担して聞いてくださっています。

特に弱電のWIFI設定のことを詳しく知りたがって、電気屋・ムラデンのヤマト君を質問攻め(笑)にしていました。

ビルトインのワインセラーの説明だけは、ご主人も聞きたいと言って熱心に駆けつけてくださいました!

浴室とシャワーの取り扱い説明は、東京バススタイルの和久田さんです。こだわりが詰まった浴室とシャワー室は、本当に気に入っていると仰ってくださいました。

実は、このお引き渡しの日の午前中に、ぎりぎり間に合った書棚のこぼれ止め金物を造作家具屋・現代製作所の工場長が取り付けてくれました。

全部で8枚の棚板にこぼれ止めを取り付けてくれました。因みに、「こぼれ止め」とは棚の上に置かれたものや本などが落ちないようにするためのストッパー金物で「転び止め」とも言います。

無垢材で作った重厚な棚板にあう、ちょっと武骨なこぼれ止めで、これもSさまはとても気に入ってくださいました。

本来は、お引き渡しをしてから取り扱い説明をするのが本筋ですが、説明をしてくれる各職方の都合で、前後が逆転して、夕方すっかり暗くなってからお引き渡しの手続きをさせて頂きました。Sさまご夫妻から、素敵な家を作ってくれたことを感謝して頂き、僕ら設計側も施工のの片岡社長も、現場監督の織田さんもとても嬉しいひと時となりました。
お引き渡し後も、まだ間に合っていない工事が幾つかあるので、一旦お返ししたお部屋の鍵をもう一度預からせて頂くこととなりました。