Author Archives: Kenji Kagami
2025.11.12
モルテーニキッチン設計プロセス_ショールーム見学から図面・CG検討まで
[城南R邸]
2住戸同時リノベーションの城南R邸ですが、ゲストルーム用B住戸のキッチンがモルテーニキッチンに決まりましたが、その経緯を振り返ってのブログ記事を書いておきます。

そもそも僕らとRさまの奥さまとご子息で最初にモルテーニキッチンのショールームをご覧頂いたのは、2024年4月でまだモルテーニの古いショールームでした。実際には、Rさまご夫妻お二人でその前にもモルテーニショールームを見学に来たことがあり、その時からかなり気に入っていらっしゃったそうです。初期にハイブランドキッチン7社(!)のツアーをお客さま行った際の記録はキッチンツアー-1、キッチンツアー-2、キッチンツアー-3をご覧ください。

サイズ的に、ちょうどこのキッチンと似たサイズのカウンターと壁面収納が作れることが判っていたこともあり、当初からこのキッチンをモデルにしてお話を進めさせていただいておりました。こちらの写真は、その後、ご夫妻と一緒にショールームを再訪させて頂いた際のものです。

厚みのあるトラバーチン(天然石)のカウンターと、天然木突板に金属をアクセントとして取り入れた構成、そしてそこから伸びたダイニングコーナーのイメージが、かなりB住戸に合うだろうというのがRさまのご感想でした。

こちらは部屋のレイアウトと仮に作った展開図に、担当スタッフの前田君が機器レイアウトと収納計画を大まかに検討してくれました。

白模型的なCGにビルトインの冷蔵庫や冷凍庫、収納計画を描き込んでみて、違和感がないかを見ながら、まずは仮のCGを起こしてもらいました。

お客さまに最初にお見せしたゲストルーム用B住戸の内観CGがこちらです。モデルルームの素材感を参考にできたので、初回からこの完成度の高いCGをお見せすることができたのです。これをご覧になって、Rさまご夫妻のモルテーニへの想いも強くなったのだと思っております。

実はお客さまがかなりモルテーニのキッチンを気に入っていらっしゃったので、モルテーニの弊社担当の渡辺さんに無理を言って、モデルキッチンの詳細を撮影し、特徴の格子扉の寸法なども確認させて貰っていたので、ここまでリアルなCGを作ることができたのです。
ちょうどこのタイミングで南青山のモルテーニの旧ショールームが閉鎖となり、しばらくの期間を置いて新しいショールームがオープンするまでの期間は、別の箇所の打ち合わせを進めました。

そうこうしているうちに、新ショールームの「パラッツォ・モルテーニ東京」が完成し、地階にRさまが気に入っていらっしゃったスタイルのサイズ違い、色違いのキッチンが作られたので、ご一緒させて頂きました。

この日はキッチンは再確認で、ウォークインクローゼットの打ち合わせがメインだったので、それほどキッチン見学には時間を掛けませんでしたが、このスタイルのキッチンで進めたいというRさまご夫妻のお気持ちはより強くなったようです。

その間に、現地調査や使い勝手の調整などの打ち合わせを進める中で、プランもかなり変わってきました。3つのキッチンプランを「初期」、「中間期」、「最終期」と並べて比べてみました。
「初期」は、壁面収納はU字型に大きくある割には、大型のコンロとシンクがアイランドカウンターに並んでおり、調理スペースがほとんど取れていないバランスの悪いキッチンでした。
「中間期」は窓側に小さめのカウンターにシンクを設けて、アイランドカウンターの端部にミニシンクを設けています。窓側のシンクの周りにはマンションのPSが複雑な形をして並んでおり、シンク周りにカウンタースペースを設けることができず、苦心しておりました。
「最終期」では、現地での部分解体調査で設備ダクトや配管を動かすことができることが判り、大きなカウンターを窓前のシンク側に作ることできることが判り、堂々とした使いやすいキッチンを実現することができることになりました。

それぞれ同じタイミングでのCGを並べて比較してみました。見た目はほとんど変わっていないように見えますが、アイランドカウンターのコンロの位置と、奥の小さなガラス窓周りのカウンターの広さを見比べるとその違いが見えてきます。因みに当初はレンジフードを金物造作で囲って、棚を作っていましたが、ホコリが溜まりそうなのでやめたい、とのRさまのご意見で、シンプルにレンジフードだけとしています。

一旦、モルテーニからの概算見積りが出て、金額的な面でお客さまのOKを頂けたので、ここから発注に向けて細部の打ち合わせを進めていくことになりました。

これまでキッチン以外のLDKの内装材で候補に挙がってきている素材とイメージ写真を見比べながら…、

同時にキッチンの仕上げ材を見比べて、両者を調整してゆきます。

と同時に、各設備の寸法等を確認していきます。こちらはモルテーニショールーム内にあるシンク(SRは大理石のシンクで、R邸ではステンレスシンクです)の幅と深さ、そして水栓の仕様の確認を…、

ビルトイン冷蔵庫と冷凍庫で採用予定のものと同じリープフェルの冷凍冷蔵庫とワインセラーの組み合わせの確認を…、

カトラリー(スプーン、フォーク、お箸等)収納の引き出し内の区分けや、お鍋やお皿を収納する引き出し内部の仕上げの確認を…、

さらには壁付けコンセントと、

カウンター上に設けるポップアップ式コンセントの確認までをさせて頂きました。パラッツォ・モルテーニの中には4層分各階にキッチン展示があるので、エレベーターを上がったり下りたりしながら、各種の仕様をサンプルで見ながら決めてゆくことができました。

モルテーニとカガミ建築計画で何度もやり取りをしてきた図面に、最後の打ち合わせで決定となったことをメモ書きしたものがこちらです。モルテーニ側でもメモを取っているので、両者を見合わせて最終図面に訂正してもらったところで、最終見積りを工事会社のリフォームキュー経由で出してもらい、正式発注へと進むことになります。
2025.11.06
カガミ建築計画の新事務所移転計画-4_造作家具・建具・大判タイル
[カガミ建築計画事務所移転計画]
南青山の新事務所の工事レポートの第4弾です。

造作家具と建具をお願いしている現代製作所から廊下の建具枠が届きました。トイレと物置の建具がすぐ近くに並んでいるので、2連の枠を作ってもらいました。

時間とお金があれば、上枠は一体で作りたかったのですが、今回は余裕が無かったので、枠材と同じ材で2つの塗装枠を同材で連結してもらいました。

後で石膏ボードが張られてくると2連の枠という意味が分かりやすと思います。

打ち合わせ室の2つの窓回りにはウォールナット突板で作った三方枠も取り付きました。2つの窓の間のベニヤ板張りの小壁部分には、後日大理石のオデッサベージュを貼ってもらう予定です。

その小壁には部屋への給気口がついていましたが、新しい打ち合わせ室では、野暮や給気口は見せたくなかったので、この写真の細いグリルを小壁のわきにつけてそこから給気をする計画としています。

三方枠は正面から見ると分かりにくいですが、この写真の右側のように横から見ると、しっかりとした枠の存在感が良く見えてきますね。因みに正面はビニールクロスをパネル張りして、大型のモニターを設置することになっています。

三方枠が入った打ち合わせ室にインナーサッシの部材が入ってきました。こちらのお部屋は目のまえを遮るものが無い立地で、かつ大きな窓が南西向きなので、夏の暑さが予想されるので大窓全てにインナーサッシを入れることにしていました。

左側の左右引き違い窓のインナーサッシは問題ありませんでしたが、右側は突き出し窓となっており、同じサイズの突き出し窓タイプのインナーサッシは見つからなかったので、FIX窓(嵌め殺し窓)としました。一旦FIX窓を設置してしまうと、内部の埃は取る術がなくなってしまうので、職人さんが丁寧に清掃してくれています。

玄関タタキ床、トイレ床、キッチン床のタイル張りが始まりました。まずこちらはトイレ床です。イタリア輸入タイルマラッツィのグリスフルーリーの600角をウマ張りにして貰っています。因みに正面壁には壁排水タイプの便器を使うので、その排水口と給水とコンセントが設けられており、壁仕上げ材のカラーガラスも先行して張られています。

こちらが張りあがったトイレ床です。

その後はキッチン床です。同じグリスフルーリーですが、リズムを作りたかったので、300×600サイズにカットした貰ったものを互い違いに施工して貰っています。

職人さんはキダマーブルの皆川さんです。弊社の仕事を十数件手掛けて貰っているので、こちらが求めていることをほぼ全てわかってくれている職人さんでとても頼りになるのです。

やはりキダマーブルに取り付けをお願いしている打ち合わせ室のカウンター材(左側、5年前にお手伝いした港区R邸の床材ツンドラゴールドの残りだったそうです)とトイレのカウンター材(ミストグレー)、

さらには打ち合わせ室の小壁に貼るオデッサベージュも現場に届いていました。

廊下の分電盤をパナソニックのフレキシードに交換する工事、電気屋の稲村さんが頑張ってくれています。古い分電盤から新しい分電盤に切り替える工事、全て事前に用意をしておいてくれたので、20分ほどの作業で完結してくれました。最後は日置のテスターでアンペア数(電流)とボルト数(電圧)を測定して完成です。

最後に分電盤のフタを取り付けて完成です。周りの壁は白く塗装されることになっているので、普段は邪魔者扱いされる分電盤が、周囲に違和感なく溶け込むデザインとなるハズです。

その他、トイレのクロスパネル張りの下地や、

巾木を壁とフラットに収めた面巾木(ツラハバキ、またはメンハバキ)の見切り材の収まりも出来上がってきています。後は残りの造作家具と建具と塗装待ちとなってきました。
2025.11.04
大型メゾネットリノベの解体・設備・再構成
[渋谷区L邸]
超大型メゾネットリノベの渋谷区L邸の工事は、下階の解体作業が進んでいます。

床壁天井が剥がされ、窓枠の木製サッシと天井のエアコン(まだ築浅なので再利用予定)以外がほぼスケルトン(骨組み)にまで解体されています。

ただ、イタリアの超ハイブランドキッチンのアルクリネアで作られたキッチンと、

メゾネット上階との行き来に使われるこちらの室内階段だけは残されています。

エアコンについては、新築時から一度大規模リフォームされており、その際の図面の更新記録が乏しかったので、天井を剥がしたこの段階で、再検討が必要になってきました。因みにこちらのお宅は全て天井裏にエアコン本体を隠して、ダクトで吹き出し口と吸い込み口を連結する隠蔽型エアコンとなっています。

天井裏隠蔽型エアコンを検討する際には、エアコン室内機本体が設置される個所、エアコン本体を点検する点検口とフィルター清掃用の点検口、ダクトのルート、冷媒管とドレイン管の位置、そして将来的にエアコン室内機本体が壊れた時にどのようにして交換するかがチェック項目となります。ここではドレイン管のルートを三井デザインテックの施工チームと、設計チームで確認している様子です。

エアコン室内機本体に接続される管はこれだけ沢山あるのです。

ほぼスケルトン状態の下階の階段横に打合せテーブルを用意してもらい、設計側と施工側で現場定例をしているようです。この室内階段の周囲に防火区画が設けられるので、その取り合いを現場の設計担当の見上さんが説明しれています。

下階の玄関から個室への廊下沿いに新しく手洗いカウンターを設置する箇所は、床大理石タイルを剥がしてスラブの状況と配管を確認したところ、ギリギリ排水管を設置できる余裕があることが判りました。

同時に工事進行中の上階と行ったり来たりしながら設備配管や電気配線の状況を確認しています。

こちらは洗濯機を2台並べて設置するランドリー室ですが、床下配管がほぼ出来上がっていました。

床下の配管が収まったタイミングで、オーダーユニットバスをお願いしている東京バススタイルが防水パンを持ってきて組み立て始めました。

床下に動かせないガス管があったので、変形防水パンで一部を高くした特注のパンをレーザー水平器を使って慎重に設置してくれています。

こちらの写真は、2枚の防水パンを接続して止水するための金物を見せてもらった際のものです。