Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

家具搬入@千代田区O邸

[ザ・ライブラリー]

TAGKENとのコラボリノベブランドのザ・ライブラリーの告知ブログです。
新築マンションリノベの千代田区O邸の工事が終わり、家具搬入が始まっています。ザ・ライブラリーでは、お客さまの検査の前に家具を入れて、生活空間として成り立つようにしてから、検査をして貰うようにしています。

最初に入ってきたのはラグですが、組み立て物で来たのはアルフレックスのダイニングテーブルのイエナ(IENA)です。長さ2400ミリで天板がセラミックのテーブルですが、ちょうど組み立てて貰っている金属の脚のディテールがきれいなのです。手前には同じくアルフレックスでお願いしたソファのクッションが先行して運び込まれていますね。

次に来たのがソファのブレラでした。レザー張りのベース部分ですね。

家具類が入ってくると、途端に住空間としてのスケールが分かるようになって、ここで暮らすイメージが湧いてきますね。

三方木フレームで石張りのテレビ壁です。まだテレビの壁掛け金物だけですが、素材や色味の組み合わせもとても落ち着いた雰囲気に仕上がっていることが分かります。

そうこうしているうちに、ダイニングの天板が搬入されてきました。サイズ的にエレベーターに入らないので階段を使って搬入してもらいました。エレベーターに乗らないことは事前の搬入調査の時点分かっていたので、その荷揚げ分の費用も見積りに入れて貰っておりました。

セラミック天板は十分な重さがあるので、脚と天板はビスや接着剤で固定しないとのことでした。
その後のソファの組み立ての様子や家具がほぼ入った状態のインテリア写真の紹介は、以下のブログ記事をご覧ください。

CGを活用しての現場色決め打合せ

[新宿区T邸]

LGS下地が立ち上がった新宿T邸の現場で、お客さまにCGと現場を見比べながら素材や色決めをさせて頂きました。

ペントハウス住戸(最上階住戸)で仕上がりの天井高さが2700あるお宅ですので、床下地と天井下地が無いスケルトン状態だと本当に大きな空間に感じられます。

身長170センチ弱の前田君と比べると、その倍以上の高さがある大きな空間であることが分かりますね。LGS下地の間に白と黄色い断熱材が詰められていますが、これは簡易遮音の為の断熱材です。黄色断熱材は解体時にうまく取り外すことができたものを再利用したもので、白は新しく仕入れたものです。右側の壁はリビングのテレビの音が寝室側に響かないように遮音仕様としています。

そんな現場にTさまの奥さまが現場視察に来てくださいました。完成後の様子をCGで作ったイメージを前田君がTさまにお見せしながら説明をしてくれています。

実はワインセラーコーナーの吊戸棚の色を、当初白色だったものをグレー色にした方が落ち着くのではと設計側で考えていたので、そのご提案を現場でご説明させて頂きました。

こちらが玄関横の大型SIC(シューズイン・クローゼット)です。当初は玄関入って右側のトール収納内に分電盤を入れる計画でしたが、SICの中に分電盤を移設し、玄関横のトール収納は靴や傘入れとして最大限に活用しよう変更した内容をご説明させて頂きました。

現場に設けた打合せテーブルに座っていただき、キッチン周りの仕上げ材の確認をしつつ…、

まだ決まっていなかった細かい部分を順次決定させて頂きました。こんな時もCGがあると、イメージしやすいとTさまは喜んでくださいました。因みに、カガミ建築計画ではCGは全てのプロジェクトで作るものではなく、規模やスケジュール、費用等に応じてご提案しております。

仕上げ材の流れで、キッチン奥にあるユーティリティー(ランドリー)ルームのインテリアの内装提案を岸本さんがお見せしています。

もともとユーティリティールームは洗濯機とガス乾燥機の乾太くん、スロップシンクと収納にハンガーパイプを組み合わせたものでしたが、使い勝手を考えて、スロップシンクの上にタオルラックを、そしてその横に小物置きとしてニッチをご提案させて頂きました。タオルラックはスロップシンクで洗った下履きなどを乾かしたり、濡れた雑巾をフックに吊るしたりと便利に使えそうだと喜んで頂きました。

ユーティリティーはキッチン以外とは繋がってこないので、以前奥さまがお友達の家でご覧になって憧れていたプロヴァンス風のインテリアを取り入れても面白いのではとのことで、岸本さんが提案してくれたカラフルなインテリアシートがこちらです。

ただ、これだけだとどこがどのようになるのか判りにくいだろうと考えて、ユーティリティー内にカラフルな壁紙を張ってみたCGイメージも作ってみました。上半分が当初の白いインテリア、下半分は突き当り壁にカラフルなクロスやタイルを張ってみたCGです。

因みに、これが工事中のユーティリティールームの壁です。ちょうど中央に丸い穴が幾つか空いています…、

外から見るとこのようになっています。給水&給湯管、ガス管、TES(TOKYO GAS ECO SYSTEMつまり東京ガスのガス給湯暖房熱源機)の床暖房やお風呂の追い炊き管、そして右側のパネルの一番大きな丸穴がガス乾燥機の排気筒の取り出し口となります。

この日はオーダーユニットバスの組み立ても始まっていました。今回のUB(ユニットバス)はヴェルデにお願いしています。アクセントとなる白系大理石調のタイルと、ベースとなるグレージュ色のタイルはサイズが違っており、目地のラインが合わないことが最初から分かっていたので、目地をずらしたデザインとしています。

現場で防水パンの上にパネルを立てた後、必要箇所に穴をあけて給水給湯管を通していきます。

外から見ると、このような作りになっています。内側はタイル仕上げでグレード感があるのですが、外側は意外と軽くできていますね。しかし、鏡面ステンレスの枠と強化ガラスの扉が入って、ユニット裏が隠れると、高級感が出てくるのです!

そして、こちらはユニットバスの床下の配管です。写真のアングルの具合で、逆勾配になっているように見えますが、きちんと勾配が取れていることを確認しています。

引き込み戸の効用と枠の作り方@文京区S邸

[文京区S邸]

カガミ建築計画の設計では、一般に引き込み扉を多用しています。引き込み戸は壁の中にポケット状の戸袋を作り、引き戸がその中に収納される仕組みになっています。扉を開いたときに、扉自体が隠れて見えなくなるので、使いやすく、かつ空間がスッキリ見える効果があります。

こちらは8年ほど前にお手伝いした赤坂S邸のリビングと寝室間の引き込み戸です。木製の扉が、グレート白い壁の間のポケットにすっぽりと引き込まれていることが分かります。上吊りレールを使っているので、上部には引き込み用の金属レールが見えてきますが、下には何もありません(この事例では床仕上げ材がフローリングとカーペットと変わっているので、真鍮の見切りがチラリと見えていますね)。

こちららは2年前の関西I邸のリビングから廊下への引き扉です。枠無し(実際には上枠と引き込み側の枠はあるのですが、隠しています)で作っているので、オープンにした場合は上にレールが見える以外は余計なものがなくなるので、リビングから廊下が一体の空間として繋がってきます。

こちらは珍しい、2連の引き込み戸です。左側の建具は真ん中の壁を通り抜けて、右側の扉と同じ右側の戸袋ポケットに収まる仕組みです。
さて、このように空間的に使い勝手が良く、開き扉のようにその軌跡分の空間を無駄にしないメリットがある引き込み戸ですが、その枠を作るのはかなり面倒な作業となります。

引き込み扉にすると、壁の厚みを大きくして、戸袋ポケットを作ることになります。壁厚が大きくなると、その分部屋が狭くなるので、コンパクトお宅では、その点は注意深く検討した方が良さそうです。今回の文京区S邸は、マンションながら延床280平米超えの大型住戸なので、その点大丈夫そうです。
以下、工事での引き込み戸枠の作り方の解説です。

LGS(軽量鉄骨)で作った壁下地に木製の枠下地をつけています。今回は片側をLGS、片側を木軸で作る施工会社のが考案した方法で作ってもらっています。大工はお馴染みの矢野さんです。

三連で引き込み戸が続くマッドルーム(玄関土間コーナー)です。全ての扉が同じサイズなので、上枠が一直線に揃っていますね。

ここに三方枠(3方枠)を取り付けます。三方枠という言葉、カガミ建築計画のブログでは良く使いますが、一般には扉の上部の横材、左右の縦材1本ずつを合わせた門型になった建具枠のことを三方枠といいます。掃き出しでない窓では、下枠も含めて四方枠(4方枠)といいます。

現代製作所が作ってくれた三方枠の部材がこちらです。上の二本が引き込み側の枠(真ん中に引き込み扉が通るので、2つに分かれているのです)で、下が上枠です。上枠は開口部で見えてくる部分は壁厚分の太さがありますが、引き込まれる戸袋ポケット分は上吊りレールを埋め込むだけの最小限の幅となってきます。

アップで上枠をを見た写真です。通常は枠材や扉材は、軽く施工しやすくするためにフラッシュ材(内部が空洞になっている材料)で作ることが多いのですが、こちらのお客さまは無垢感や重量感がお好みの為、ベタ芯(中までベニヤ材が詰まっている)に突板を張った枠で作ってもらっています。

横枠と上枠を組み上げた様子です。この状態ではシナ突板仕上げとなっていますが、現場塗装で仕上げる予定となっています。木枠の小口(断面)部分は塗装仕上げにする際に塗料の吸い込みが強いので、枠を組み上げる前に、小口部分だけシーラーを塗布していますね。

引き込み扉で難しいのは引手部分のデザインとなります。完全に扉を引き込んでしまうと、扉を引き出すのが難しくなってしまうので、少し引き残しを作るのが定番ですが、弊社デザインの場合は、特注の取っ手を作って完全に扉を引き込めるように考えています。ただ、そのようなデザインにすると、引手の隙間部分から戸袋ポケットの中が覗き込めてしまうという問題あるのです。後から狭い戸袋ポケット内にクロスを張ったり、塗装をするのは難しいので、青では最初から白いポリ合板を張る工法を工夫してくれました。上の写真の右側に立てかけられている梯子状になっているパネルの裏面を見ると…、

こちらも白いポリ合板で仕上げてくれています。

その白ポリ仕上げのパネルで戸袋ポケットを作ると、左右両面供が白く仕上がった戸袋になるという仕組みです。

扉自体は上吊りで2ウェイのソフトクローズ機能付きのシステム(扉を開けるとき、閉めるとき、どちらでも最後の少し手前で開閉動作が自動的にゆっくりになる機能)を使いますが、戸尻で扉が枠にあたることを防ぐために、このようなゴム製のバンパーを設置してくれています。

これで開口部以外の壁部分に石膏ボードが張られてくると、引き込み扉枠が完成となる訳です。枠は傷つきやすいので、仕上がった先から紫色の養生材で保護されています。
因みに、引き込み扉のデメリットは、先に書いた①扉を引き込むスペースが余分に必要になること以外に、②気密性や遮音性が低いこと、③戸袋の掃除がしにくいことが良く挙げられています。③についてはお子さまがイタズラをするようなことが無ければ、問題になったことがありません。②については、事前にお客さまに説明をしておくこと、また必要に応じて、引き戸用のエアタイト(扉を閉じると扉と床との隙間を塞ぐ特殊機能が下りてくるシステム)を使えば、アンダーカット部分を閉じることができます。ただ、アンダーカット部分を通気を確保するために必要とされている機能でもあるので、代替えとしてどこかに通気トンネルを作る必要があります。