Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

子どもたちと一緒の施主検査@渋谷区N邸

[渋谷区N邸]

新築マンションのリビングダイニングキッチンと玄関とトイレと子ども部屋のリノベーションプロジェクト、渋谷区N邸の工事が完成したので、お客さま(建築用語ではお施主さま)の検査を行いました。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

今回の施主検査では、小さなお子さま3名も参加しての賑やかな検査でした。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

まだ、造作家具のコーナーなど出っ張っていてお子さまには危ない箇所もあったことと、Nさまご夫妻には検査に専念してもらいたかったので、各務が下のお子さまたちの相手をさせて頂きました(笑)。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

Nさまご夫妻との検査は、弊社スタッフの前田君と工事をお願いした施工会社・リフォームキューの森井さんにお任せして、まずは子どもたちとすべての部屋を探検し、その後、色々なゲームを開発しながら遊びました。
一番盛り上がったゲームは、検査時に印をつけるために用意していた黄色い養生テープを床に転がしてのボーリングゲームでしたが、あまりに盛り上がりすぎて写真に撮るのを忘れてしまいました。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

下の子2人が各務と遊んでいる間も、一番上のお子さまはご両親と一緒に検査に活躍してくれました。視線の低さを生かして、細かい傷やクロスを剥がれなどにも気が付いてくれたそうです。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

奥さまは検査のことはプロに任せて、早くキッチンの使い勝手勉強したいのとのこと、前田君が先行して使い方の説明をしてくれています。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

背面カウンターの引き出し式家電収納の説明を前田君がしてくれています。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

一通りの検査と簡単なキッチンの説明が終わったところで、まだ家具がないので、キッチンのアイランドカウンターに集まって、検査の内容の纏めと、ここから先、家具搬入とお引き渡し、お引越しまでのスケジュールの確認をさせて頂きました。リフォームキューの現場監督の大阿久さんも立ち会ってくれていますね。
と、ここまで仕事をした風なブログを書きましたが、僕、各務はずーっとお子さまと遊びっぱなしで何も内容を聞いておりませんでした…。ただ、後日Nさまの奥さまから、保育園に通っている下のお子さまのH君が、先生に休みの期間中に一番楽しかったことを聞かれたときに、「ケンちゃん(各務のことです)と新しいお家で遊んだこと!」と言ってくれたとのことを聞いて、何より嬉しかったのです。

新築マンションリノベーション渋谷区N邸の施主検査

最後の写真はまだ家具が入っていない状態で殺風景ですが、完成したN邸のリビングんダイニングキッチンの様子です。

現場施工のオーダーユニットバス

[文京区S邸]

文京区S邸の浴室とシャワーブースは、東京バススタイルのオーダーユニットバスを使っていますが、いくつか特殊な作り方をして貰っています。

主寝室から使うシャワーブースは、ブースという割には大きめのサイズで、1414サイズのシャワーブースです。小型のユニットバスだと1014といったサイズもあるようなので、ユニットバスよりも大きいシャワーブースとなります。

最初に防水パン(床タイルも張られたパンです)を設置し、入り口の枠と四周の壁を立てます。ここまでは普通の作りですが、壁のタイルが張られていないことに気が付いたでしょうか?通常のオーダーユニットバスでは、タイルを張った壁パネルを立ててゆくのですが、ここでは真っ白なボードだけとなっています。

そして、壁にはこのようなニッチが作られていますが、これも仕上がっていません。今回はほぼ目地なしで貼る特殊なタイル、モロッコ産のゼリージェタイルを内部に張るので、パネル壁を立てた後に、現場側でタイルを張るという特殊な作りとなったのです。本来はプレファブリケーション(いわゆるプレハブ、現場での施工を最小限にするために、工場などで部材を加工・組立てしておく工法)の考えに従って、現場作業を最小限にしてスピーディーに組み立てるのがユニットバスの特徴なのに、そのメリットを捨てて、ほぼ防水パンの漏水に対する安全性だけを使って他は現場施工としているのです。

そして、こちらが家族用の浴室です。2320サイズの大型浴室です。防水パンが特殊な仕様となっています。大きい浴室になると防水パンは2分割となることが多いのですが、今回は4分割となっています。また、防水パンのサイズが大きくなると、浴室の周りから脚の高さを調整することが難しくなるので、防水パンに穴をあけて、そこから脚を差し込んで調整するという特殊な作りとなっています。

防水パンの脚とは、この写真の赤丸で囲んだものです。下にはゴム付きのプレートを敷き、脚はナットを回転することで高さ調整をして、防水パンのレベル(水平性)を確保することができます。

防水パンの上に置かれている四角いプレートが時にゴワゴワしているコンクリートスラブ面に平滑面を作るためのプレートです。

そしてスチール製の脚がこちらとなります。

防水パンの穴の使い方ですが、このように穴から手を差し込んで手前右にあるレンチ(スパナ)で占めてレベルを調整してゆくのです。そして…、

脚を設置した後はこの樹脂板を使って穴を塞ぐのです。

防水パンの穴の淵に接着剤を充填して、

このようにフタをしてゆくのです。フタのサイズはそれぞれ似ているので、事前に暗号のような印をつけておいて、セッティングを間違わないように工夫しているそうです。
最初のご紹介したシャワーブースでは、防水パンにすでに床用のタイルが敷かれていましたが、こちらは大型サイズで、かつ段差もある特殊な作りなので、この上から床タイルを現場施工で貼ってゆくのです。これも普通はスピード重視と現場作業をなるべく少なするために工夫しているオーダーユニットバスでは特殊な作り方と言えるでしょう。

床に段差があると書きましたが、実はこの家族用浴室には置き型の浴槽を設置するのです。これまでの在来工法の浴室では置き型浴槽を設置したことがありますが、オーダーユニットバスでの置き型浴槽は初めての経験で、東京バススタイルさんともかなりの事前打ち合わせを致しました。因みに浴槽はSTR18585-VSバステック社)のものです。

写真ではコンパクトに見える浴槽ですが、幅が1850ミリ、奥行きが850ミリ、深さが420ミリで、重さが88キロもあるかなりの大型サイズの浴槽で、浴室の入り口のスチールサッシを取り付けてしまうと、内部に運び入れらなくなってしまうので、床を仕上げた後、ベニヤ板で作った養生で囲った浴槽を入れて、この状態で浴槽を動かしながらタイルを現場で貼ってゆくことになっているのです。

こちらはお子さまの寝室側から見た家族用浴室の様子です。通常は、後日手すり等を取り付ける可能性がある場所だけベニヤ板を張る仕様なのですが、今回は重量のあるタイルを現場張りするので、ベニヤ下地を一面全部に入れてくれています。

こちらは内部から見た浴室の天井です。梁が下がっており、その下がり梁を避けながら最大限の天井を張るために、ギリギリの寸法まで攻めてくれています。

洗面側のスチール枠が入った家族用浴室がこちらです。まだ浴槽は養生されたままですから、壁タイルは貼られていませんね。そしてこのスチール枠もちょっと特殊な仕様となっているのです。

こちらは浴室内部から見たスチールサッシとガラス窓とガラス扉です。

通常はステンレス鏡面仕上げか、ステンレスヘアライン、凝った時にはステンレスバイブレーション仕上げまではしたことがありましたが、今回はカラーステンレスで色を付けているのです。

このバイブレーション仕上げにシックゴールドという色味をつけて貰っているのです。因みに、このカラーサンプルは日本遠東ケーピーケーのものです。

ステンレスヘアラインだと可能なスチール枠の加工が、カラーステンレスだとできないこともあるので、枠加工もかなり工夫をして貰いました。

実はこのスチール枠、浴室の内側の枠はオーダーユニットバスと一体で、東京バススタイルに作ってもらういましたが、洗面側の外枠はリフォーム工事をお願いしている施工会社の青さん経由で施工してもらうのです。写真は内枠だけの段階のものです。

ただ、カラーステンレスの色味が違うと悲しいことになってしまうので、青の現場監督の織田さんが加工図を作って、枠の材料の手配は東京バススタイル、そして枠製作と取り付けは青お願いしました。

このようにして苦労して作ってもらった外枠が付いた状況がこちらです。とは言いつつ、まだ白い養生テープが張られた状態なので、良く分かりませんね…。

養生テープが外れていた窓枠を下から見上げた写真です。養生テープを一気に剥がして全貌を見たくて溜まりませんが、工事途中で傷がついてしまったら大変なことになるので、しばらくの我慢です。
まだ、シャワーブースも浴室も内部のゼリージェタイル張りもあるので、しばらくは水回りには大注目です。

石膏ボード張り_端部の処理方法

[新宿区T邸]

コンセントとスイッチ、照明の位置のお客さま確認が終わった新宿区T邸の現場では石膏ボード張りの段階となっています。

天井の高い大きなLDKはすでに石膏ボード張りが終わっているように見えますが、これはまだ一枚目の石膏ボードです。今回は個室以外は塗装仕上げとなっており、石膏ボードは2枚張りなので、これから2枚目を張ってゆくところとなっています。

こちらはキッチンダイニング周りの石膏ボード張り状況ですが、出隅(二つの壁面が出会う角のうち、出っ張った角のこと。因みに凹んだ角のことは「入隅」と言います)のコーナー部分や巾木上に施工会社青のこだわりが見えます。通常の出隅はフクビの樹脂製のコーナー見切り材を使っていますね。

壁面をモールディングのように凹ませるデザインの壁については、ボード一枚張りの上からエースライト(けい酸カルシウムの結晶であるゾノライトに合成樹脂、ガラス繊維などを混ぜ込んだ無機質ベースの基材を成型した材料・太平洋マテリアル)を大工さんが張ってくれています。

少し後の様子ですが、このように框部分は全てエースライトです。石膏ボードは切断した端部が弱く、それを補強するとためにコーナー見切り材を使うのですが、その見切り材の分だけ出っ張ってしまうので、今回はエースライトを使ってくれたとのことです。

中央のパネル部分は一枚物のベニヤ板を貼っています。ベニヤ板は湿気と乾燥で収縮してしまうので、コーナーなどをジョイントするような張り方にしてしまうと、後々隙間が空いてしまうのです。

それに対してエースライトは無機質基材で作られたものなので、湿気や温度の変化で収縮することが無いので、このような使い方が可能なのです。

今回はかなりエースライト材を多用してくれています。これはフラットで透かし目地を入れる巾木の納まり部分にエースライトを大工さんが張ってくれている様子です。

ディテールスケッチの左側がこれまでの施工方法ですが、今回青の現場監督の樋口さんは、右のように木製巾木の上にエースライトを入れて、ボードとのジョイント部分を上に持ってゆくことで、巾木周りをスッキリ見せることにトライしてくれています。

造作家具や建具と巾木がかなり入り組んだ玄関周り部分にも細かくエースライトを張ってくれています。

こちらはキッチン裏のユーティリティーコーナーですが、壁の中央をデザインクロス張りでしあげることになったので、その見切り替わりとしてエースライトの枠を作ってくれていました。

リビングの柱型には、モールディングの装飾をつけています。

照明器具_スイッチ_コンセント位置の現場確認

材料は先ほどと同じエースライト材のモールディング材です。やはりこれも木製だとコーナーのジョイント部に収縮で隙間が空くことを防ぐための工夫です。

ディテールをアップで見るとこのようになっています。石膏ボードもモールディングも後日、白く塗装するので、一体感のある仕上がりになってくるハズです。

こちらは石膏ボードとは関係gがありませんが、主寝室のベッドのヘッドボード側の造作です。アクセントとなるクロスを目地底にまで張り込むことで、パネルを貼ったかのように見せる仕上げのための下地です。

こちらは事前に青の樋口さんがクロス屋さんを現場に呼んで、設計担当の岸本さんと目地幅の寸法を幾つにすれば、うまく目地底までクロスを張ることができるかを打合せしていた時の様子です。ビニールクロスの性質によっても変わってくるそうですが、今回選んだクロスの場合は、6ミリの隙間をあけて貰えれば、きれいに張れるだろうとのことになりました。

ベニヤ板同士の隙間だけでなく、天井や入隅の壁、巾木との間も全て6ミリ透かしてベニヤ板を張ってもらいました。

もう一つ現場の樋口さんが考えてくれた工夫がこちらの天井点検口です。これまではアルミの細い枠の点検口を使っていましたが、細いといっても金属質の枠が見えてしまっていましたが…、

今回樋口さんが探してくれたのは、完全フレームレスで、フレーム部分と開口部分まで全て塗装で仕上げることができるカイザー社のフレームレス点検口です。完全に仕上がった時にどのように見えるかはまだ分かりませんが、仕上がりが楽しみです。