普段はあまり使わないビニール製のクロスですが、こちらの南麻布S邸では、壁面と天井面に張っています。実は、ちょうどリノベーション最中にお施主さまにとっての初めてのお子様が生まれるので、男の子の赤ちゃんが汚しても、張替えしやすいようにビニールクロスを使うことになったのです。
塗装に比べると圧倒的に仕上がる時間が短く、現場を見ているうちにどんどん仕上がってゆくのは圧巻でした。
自動クロス糊付機を使って、ビニールクロスに糊を付けています。右側に見えているタンクに乗りを入れて、実測した面積をキーボードに入力しておくと、あとは手差しでビニール壁紙を入れて行けば半自動で糊を付けて行ってくれるそうです。糊が足りなくなれば補給指示が出て、指定していた面積分だけノリ付の壁紙を作ってくれるスグレモノです。裁断機能もついているので、クロス端部も同時にきれいにカットしてくれています。
機械で糊付けしたビニール壁紙はカンガルー袋と呼ばれる養生用の袋に入れておけば、すぐには乾かないそうです。一度にある程度ノリ付けしてからは、一気に貼り付け作業です。とにかく南麻布S邸のリビングダイニングは広く、天井と壁ではクロスの種類が違い、さらにはダイニング壁にはアクセントクロスを使っていますし、玄関やユーティリティーも違うクロスを使っているので、結構面倒な作業なようですが…。
一般的にクロス仕上げとなると、どうしても空間がベタッとした印象で、画一的な仕上がりになってしまうので、こちらではクロスの種類を使い分けて、さらにはモールディングなども混ぜて、安っぽく見せないためのデザインの工夫をしています。
塗装で仕上げてもらっているモールディングが視覚的アクセントとしてエッジが効いているので、天井や梁型部分のの普及品クロスも安っぽく見えなくなっていました。
玄関のコーナー部分の仕上がりの様子です。天井のクロスと手前玄関側のクロス、そして奥のリビング側のクロスで3種類のクロスが交わっている箇所です。ここだけでみると、クロスらしい野暮ったさが感じられますが、スリット部分にガラスが差し込まれるので、すっきりとしたイメージで仕上がるハズです。
こちらはユーティリティーやパントリーなどの作業用動線上で使う引き込み扉です。神谷コーポレーションのクロス巻き込み用建具を使っています。クロスを巻き込みやすいようにうまく金物などが工夫されています。
こちらがメーカーの仕様要領です。建具も天井までのフルハイトで、さらに建具だけではなく、枠もある程度クロスで隠せる仕様となっており、その名も「ステルス建具(!)」という製品です。慣れないと施工は面倒なようですが、仕上がりがクロスで統一で来て、嫌味がないデザインなので、クロス仕上げでコストダウンをする際には重宝する建具です。