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プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

アンカー打ち禁止の天井スラブにLGSランナーを固定する方法について

新宿区T邸

7年ほど前に、アンカー打ち禁止の天井RC造スラブにエアコン等の設備を吊る方法についてのブログを書いたところ、今でもかなりの人がネット検索で見てくれているようです。工事中の新宿区T邸も先回のブログに書いた通り、天井スラブがプレキャストコンクリート製なので管理規約には書かれていませんでしたが後施工のアンカー打ちは使わない方法で施工を進めることとなりました。

まず壁下地であるLGSを立てるためのランナーを天井にどのように固定するかですが、写真を見て貰えるとわかりますが、白い直方体まずは天井に接着剤で固定して、そこにランナーをビス固定してゆく方法を施工会社のは取ってくれています。

アップで見ると、このような施工施工方法となっています。天井スラブとの間に隙間ができるので、そこに緑色のスプリンクラー用の配管を通すことが可能になっています。

まだLGSのランナーが固定されていないところは、ちょっとシュールに見えますね。施工手順としては、まずは床スラブに壁位置を墨出しして、その位置関係を天井に転写して、その壁位置に沿って白い直方体を接着してゆくという流れになります。

この白い物体は、エフレンガ(フクビ化学)というれっきとした製品なのです。以前は「木レンガ」と呼ばれる、イーニッサン(1寸2分(36ミリ)×1寸3分(39ミリ)の断面寸法の建築用木材(実際の寸法は30ミリ×40ミリ)をカットしたもの同じ目的で使っていましたが、木製だと繊維方向で割けてしまったり、湿気や熱で変形して接着剤がはがれてしまうことなどがあったので、エフレンガのような樹脂製の製品が生まれたそうです。

断熱材が吹かれている箇所は、その部分だけ断熱材を削って張り付けたり、本当に壁の位置に合わせて細かくエフレンガを配置するので、LGS屋さんも相当な手間だと思われます。それでも木レンガと比べると、軽くて、見やすくて、加工が楽で、接着作業も良好でとても便利になったとのことでした。

床のコンクリートスラブは現場打ちのコンクリートですので、床ランナーはビス固定が可能です。

ランナーの底を見ると、コンクリート用ビスの周りに黄色い接着剤のようなものが見えています。

LGS屋さんに聞いたところ、このような特殊なガスピンというものを使っているそうです。

そのガスピンを特殊なコンクリート用ガスピン打ち機で打ち込むのだそうです。このピン打ち機はエアコンプレッサーが不要で、取っ手の部分に燃料ガス入りのボンベが入っており、機械内部で燃料ガスと空気の混合物に点火・燃焼させ、そのエネルギーで硬いコンクリートにピンを打つ仕組みとなっているのです。その時に発生する熱で、ガスピンのプラスチック部分が溶けて、LGSランナーとピン(鋲)の間に挟まってワッシャーのようにガタツキを防止してくれるそうです。

床スラブも水回りの配管の為にダウンスラブになっている部分もあり、段差がたくさんあるのですが、その部分にもこのように丁寧に墨に沿ってランナーを固定してゆきます。

天井と床のランナーが固定されたところに、LGSのスタッド材を差し込んで300ミリピッチになるように間隔調整をして…、

ランナーとスタッドをビス固定してゆくのです。

まだこれだけのLGSスタッド部材があります!これらを全て建て終わった時点でようやく壁下地が完成という段取りになっているのです。