Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

LGS造作と木造作とボード貼り

[渋谷区N邸]

新築マンションリフォームの渋谷区N邸の工事現場、LGS(軽量鉄骨)工事が進んでいます。
最近の大型マンションリフォーム&リノベーションだと、工事の種類によって施工者が変わってくるのですが、こちらのお宅では万能の大工さんの上野さんが担当なので、LGSから建具枠の木工事、ボード貼りまで一人で(とは言いつつ、新人の大工の石井さんも一緒に)どんどん進めてくれています。
こちらは玄関ホールからリビングに入る引き戸の上枠ですが、LGSと組み合わせるように木の下地枠を入れてくれています。上に細いスリットが入っている箇所に引き戸レールをはめ込むのです。
こちらは、キッチン入り口から天井を見上げたアングルの写真ですが、手前がLDからキッチンへ入る引き戸枠で、直角に曲がって奥の枠がLDから玄関ホールへの引き戸枠になっています。木製枠といっても実際にはレールを入れてから石膏ボードを張って、クロスで仕上げるので、枠材としては隠れてしまうものです。
こちらはダイニング側からキッチンを見たアングルとなりますが、キッチンのコンロとレンジフード前には壁を立てる計画となっており、その下地がLGSで組まれています。横にはキッチン入り口の引き戸の引き込みポケットが木製下地で組まれています。細かい造作は木で、大きな面はLGSと臨機応変に考えてくれています。
同じ袖壁をキッチン側から見返した写真です。同時吸排システムのレンジフードなので、吸気と排気のダクトが天井裏から降りてきています。右奥で打ち合わせをしているのがリフォームキューの大阿久さんと弊社担当の前田君です。左奥では大工の石井さんが…、
トイレからの排気ダクトを梁下に通してくれています。この梁にはスリーブ(事前に空けられていた穴)は一つかなく、それはキッチンの吸気用に使っているので、このように梁下を通すこととなりました。
この図面の緑色の部分がトイレの排気を洗面上のメディスンキャビネット上を通すという考え方です。実は当初はメディスンキャビネット自体が無かったのですが、排気ダクトを隠す為と収納量を増やすという2つの目的のために、このような提案は如何でしょうかとお客さまにお見積りとともにご説明したところ、ぜひやって下さいとの話になりました。
こちらはリビングダイニングの天井です。こちらのお宅は、中間階なのですが、天井裏に全面に断熱材が吹かれています。真ん中右側に木製の梯子のようなものが見えますね。
こちらなのですが、これは折り上げ天井に埋め込む照明ボックスの下地材となります。
先回のブログでご紹介した斜め壁部分も少し進んでいますが、まだボードが貼られていないので、全容が見えてきませんね…。

お客さま検査&お引き渡し@元麻布J邸

[元麻布J邸]

元麻布の築25年、120平米のマンションリフォームプロジェクトの元麻布J邸の工事が終わったとのこと、お客さまと一緒の施主検査に行って参りました。僕ら建築やインテリアの世界では、「施主」という言葉はあまりに普通に聞く言葉なのですが、ネットで調べると「施主」という言葉は、法事や供養、お寺などの宗教的な用語がメインで、その他の用途として建築や造園等で資金を出す注文主という意味で使われているようです。カガミ建築計画では、いつからか「お客さま」という言葉に置き換えています。

まずはお決まり(?)の記念撮影で、真ん中にお客さまのJさまご夫妻で、左からリフォームキューの現場監督の滝川さん、設計営業の大久保さん、カガミ建築計画の担当スタッフの松藤さん、リフォームキューの坂本さんと各務です。

リフォーム前にほぼ同じ位置で撮影した工事着工直前の写真と比べると、空間の広がり、そして素材や色味の変化が良くわかりますね!

初めて養生が取れた生まれ変わったご自宅を見て、とても感動してくだっているお二人を、本日はお客さまの検査の日ですからと、現実に引き戻しつつ(笑)各空間をご一緒にチェックして回らせて頂きました。

オーダーキッチンでは、各扉や引き出しのスムーズさを確認して頂いたり、調理カウンター周りのシールの状況などをチェックして頂きました。

こちらは「すごく使いやすそう!」と喜んで下さった洗面廊下ですが、収納やメディスンキャビネット内部のコンセントなどを確認して頂きました。

寝室手前の廊下にリフォームキューが設けてくれた小さなニッチは掃除機置き場を想定しています。

こちらはお子さまたちの部屋ですが、お子さまたちが選んでくれたアクセント壁紙の可愛さに喜んで下さっている様子です。

ご主人さまが特にこだわってくださったハイテグラ仕上げの壁の壁掛けテレビとコーナー収納と梁下照明は「カッコよい!」ととても喜んでくださいました。

そうこうしているうちにリッツウェルにオーダーしたダイニングテーブルが現場に届き、組み立てが始まりました。

MTテーブルという無垢材の天板と金属の脚の組み合わせのテーブルですが、無垢板の裏にきっちりと補強材が入っていることを、組み立ての時に初めて詳細に見学させて貰いました。

キッチン前にダイニングテーブルが置かれた様子です。淡いグリーンのカーペットに、大判大理石調タイルカウンターに黒い扉のキッチン、グレーを基調にしたインテリアに、ウォールナット無垢板とブロンズ色のシャープな脚のダイニングテーブル、とても良くマッチしていますね。
今回の元麻布J邸の取り組みは、弊社のデザインアドバイス、設計施工でリフォームキューの請負いというスタイルですので、現場が始まってからの設計側のチェックや検査立ち合いは、このブログの記事を書かせて頂くことを条件に無料でのサービスとしております。従ってこの日のお客さまと設計側のチェック項目についてはリフォームキューの大久保さんが纏めてくれています。

そして、1週間後…。

リフォームキュー主体でのお引き渡しとなりました。オーダーキッチンのリビングプロダクトの取り扱い説明の様子です。手前左に置かれているのは、Jさまご夫妻がお手持ちの馬の置物です。

洗面所のリネン収納の扉を開け閉めする際、指を挟みそうな箇所があった為、どのようにほしゅうしかたをご説明している様子です。手前の壁と突き当りの壁に、すでにお客さまお手持ちのアートが飾られていますね。これはJさまご夫妻がお引き渡しの前に、一部の家財道具やアートを入れさせてもらいたいとのリクエストがあり、覚書を交わしたうえで事前搬入とアート取り付けをリフォームキューが引き受けたという経緯があります。

洗面廊下の壁収納側の下部には、昼間と夜間で人感センサースイッチを切り替えるための特殊な装置が入っているので、それをお客さまにご説明している様子です。そして、このお引き渡し&取り扱い説明のすぐ後にお引っ越し作業が入っています。
素敵なご自宅の完成とお引き渡し、どうもおめでとうございます!完成後の様子はこちらをご覧ください。

アンカー打ち禁止の天井スラブにLGSランナーを固定する方法について

[新宿区T邸]

7年ほど前に、アンカー打ち禁止の天井RC造スラブにエアコン等の設備を吊る方法についてのブログを書いたところ、今でもかなりの人がネット検索で見てくれているようです。工事中の新宿区T邸も先回のブログに書いた通り、天井スラブがプレキャストコンクリート製なので管理規約には書かれていませんでしたが後施工のアンカー打ちは使わない方法で施工を進めることとなりました。

まず壁下地であるLGSを立てるためのランナーを天井にどのように固定するかですが、写真を見て貰えるとわかりますが、白い直方体まずは天井に接着剤で固定して、そこにランナーをビス固定してゆく方法を施工会社のは取ってくれています。

アップで見ると、このような施工施工方法となっています。天井スラブとの間に隙間ができるので、そこに緑色のスプリンクラー用の配管を通すことが可能になっています。

まだLGSのランナーが固定されていないところは、ちょっとシュールに見えますね。施工手順としては、まずは床スラブに壁位置を墨出しして、その位置関係を天井に転写して、その壁位置に沿って白い直方体を接着してゆくという流れになります。

この白い物体は、エフレンガ(フクビ化学)というれっきとした製品なのです。以前は「木レンガ」と呼ばれる、イーニッサン(1寸2分(36ミリ)×1寸3分(39ミリ)の断面寸法の建築用木材(実際の寸法は30ミリ×40ミリ)をカットしたもの同じ目的で使っていましたが、木製だと繊維方向で割けてしまったり、湿気や熱で変形して接着剤がはがれてしまうことなどがあったので、エフレンガのような樹脂製の製品が生まれたそうです。

断熱材が吹かれている箇所は、その部分だけ断熱材を削って張り付けたり、本当に壁の位置に合わせて細かくエフレンガを配置するので、LGS屋さんも相当な手間だと思われます。それでも木レンガと比べると、軽くて、見やすくて、加工が楽で、接着作業も良好でとても便利になったとのことでした。

床のコンクリートスラブは現場打ちのコンクリートですので、床ランナーはビス固定が可能です。

ランナーの底を見ると、コンクリート用ビスの周りに黄色い接着剤のようなものが見えています。

LGS屋さんに聞いたところ、このような特殊なガスピンというものを使っているそうです。

そのガスピンを特殊なコンクリート用ガスピン打ち機で打ち込むのだそうです。このピン打ち機はエアコンプレッサーが不要で、取っ手の部分に燃料ガス入りのボンベが入っており、機械内部で燃料ガスと空気の混合物に点火・燃焼させ、そのエネルギーで硬いコンクリートにピンを打つ仕組みとなっているのです。その時に発生する熱で、ガスピンのプラスチック部分が溶けて、LGSランナーとピン(鋲)の間に挟まってワッシャーのようにガタツキを防止してくれるそうです。

床スラブも水回りの配管の為にダウンスラブになっている部分もあり、段差がたくさんあるのですが、その部分にもこのように丁寧に墨に沿ってランナーを固定してゆきます。

天井と床のランナーが固定されたところに、LGSのスタッド材を差し込んで300ミリピッチになるように間隔調整をして…、

ランナーとスタッドをビス固定してゆくのです。

まだこれだけのLGSスタッド部材があります!これらを全て建て終わった時点でようやく壁下地が完成という段取りになっているのです。