Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

造作家具取り付け工事-2@千代田区O邸

[ザ・ライブラリー]

TAGKENとの共同リノベブランドのザ・ライブラリーの紹介ブログです。
新築リノベプロジェクトの千代田区O邸の造作家具工事の第2弾です。

造作家具工事の合間に、こちらの壁の大理石張り工事が入っています。ザ・ライブラリーでも重宝している、大理石のオデッサベージュを張っています。オデッサベージュは石灰岩がマグマの熱で再結晶化されたものとのことで、大理石ながら柄とツヤの癖が少ない素直な石材として良く使っております。

ウォールナットの木製枠とアクセント的に付けたグレー塗装仕上げのコーナー収納、養生されてしまっていますが、ロングスパンのAVボードは安定の美しさに仕上がる予定です。

オデッサベージュをアップで見て頂くと、大判のものは本磨き仕様で反射しているのに対して、細いストリップ状のものはマットな仕上げ(水磨き)とすることで、見る角度によって変わってくるように工夫しています。

造作家具の本題からずれてしまいましたが、造作家具もアルノの職人さんたちの手で着々と組みあがってきています。ワインセラーコーナーのカウンター材の取り付けの様子です。クオーツストーンの甲板を横に摺らないように、慎重に落とし込んでくれています。

甲板がきれいに納まった状態です。左側壁面にカラーガラスを貼って、隙間をシールすればもう完成ですね。既にリープフェルのビルトインワインセラーが組み込まれていました。

こちらは洗面所のダブルボウルの洗面カウンターとメディスンキャビネット(メディシンキャビネット)です。メディスンキャビネットとは洗面カウンター上で歯ブラシや髭剃りやティッシュボックスなどの洗面道具を収納する棚のことですが、ミラーキャビネットとも呼ばれていますね。基本は鏡張りなのですが、一番左奥の2枚の扉だけは白いカラーガラスとなっています。これは洗濯機での作業の度に自分の姿が映るのが煩わしいだろうと想像しての工夫です。
以下、洗面や洋室の造作家具、建具などの紹介が続きますが、それらは以下のブログをご覧ください。

2つの玄関がある大型住戸ならではの工事のメリットとは

[文京区S邸]

文京区S邸の壁下地と床下地工事が進行中です。

築10年の築浅マンションで290平米の大型住戸のこちらのお部屋は、壁下地先行(つまり、壁下地を立てた後に二重床の下地を組んでいく工法)で進んでいます。

天井の梁型や、床スラブの段差などに応じて、LGSを立てる基準となるランナーをこまめに調整しながら施工をしてゆく工法となります。

大きな現場で、2つの玄関があるので、リビングにはこれだけの資材が運び込まれています。

サイズが大きくて、玄関扉が2つあると、少数の職人さんで片端から作業をしてゆき、その作業の中途の段階で、追っかけるように次の工程の作業をしてゆくことができるという工程上のメリットがあります。つまり先行したLGS屋さんが作業をしている反対側で、大工さんが際根太を取り付けて…、

その合間で設備屋さんが配管工事をしているのです。小さな現場で違う職種の職人さんたちが作業をすることを相番(アイバン)といいますが、関連する工事での相番は良しとされても、関連しない職種の工事が同時に入ると混乱する原因になるのですが、こちらのような大型住戸だと混乱せずに同時作業が可能となるのです。

ファミリー洗面と浴室とトイレ、さらにはベランダからの排水が絡み合う床下の排水管がパズルのようにうまく組み合わされています。

主寝室に付属するご夫妻用の洗面とトイレとシャワーユニットからの排水は、壁裏キッチン下を抜けて排水されていきます。

ディスポーザー付きのキッチンの排水管がかなり長くなるので、設備屋さんにお願いして、アイランドキッチンの下に掃除口をつけて貰いました。

写真の中央右手前、オレンジ色の線が絡まっているところに垂直に立ち上がっている箇所が掃除口となります。アイランドキッチンの引き出しを引き抜いて点検口を開けたところに掃除口が見えてくるように調整してもらいました。ディスポーザーを日常的に使うお宅では、マンション管理組合が一年に1回行う排水管の高圧洗浄でキッチンと清掃してもらうことが配管を長持ちさせるコツとなるので、ここまで気を配っています。

こちらは二つの部屋をつないでいる部分の防火扉です。

床下配管がない個室は際根太が施工された後には二重床の床下地のパーチ合板(パーティクルボードのこと)張りが続きます。この写真の左奥に灰色の扉が見えているのが、防火扉です。

配管工事が残っている箇所は抜いて、床下地が作られていますね。

パーチ合板の上にはベニヤ板が貼られいきます。

この写真の一番奥が子ども部屋なのですが、すべての作業がそこから始まって手前へと攻めてゆく(笑)ような流れとなっています。

本筋の流れからずれた、こちらの来客用トイレは、排水管の勾配のことで床を上げることとなり、他とは少し外れた工程での工事となっています。

この日は、毎週行われている現場定例にSさまの奥さまが参加してくださいました。順調に進んでいる現場を見て、とても喜んで下さっています!

ハイテグラ&造作家具

[元麻布J邸]

元麻布J邸の先回のブログで告知していた通り、タイルと左官を融合させたハイテグラ壁の仕上げ作業が始まりました。

テレビを設置する東側の壁一面がハイテグラ仕上げとなります。まずは壁にこのような素焼きの黒いタイルを張ります。びっちり張られているように見えますが上部を見ると、隙間にヨウジが差し込まれているので、後で目地材が入りやすいように微妙な隙間が空いています。

アップで見るとこのような状態です。

ハイテグラ&造作家具

そこに上から被せるように目地材を塗り付けて、濡れたスポンジでふき取ってゆくと、上部のような仕上げ感になってくるのです。

こちらがその左官材の素材です。ハイテグラ専用の左官材とのことでした。

左官材を塗る作業よりも、ふき取る具合によって表情が大きく変わってくるので…、

こちらのお客さまに事前にご承認を貰っているサンプルを横に置いて、見比べながら職人さんに調整してもらいました。

間近で詳細ばかりを見ていると、見逃してしまう部分もあるので、時々キッチンのところまで下がって、部屋全体のインテリアとの調子も見比べております。

こちらが最後にほぼ最終の様子です。造作棚の下の細かい部分の仕上げがラフだったので、最後にその部分をお願いして本日の作業終了となりました。乾燥するとまたちょっと風合いが変わってくるのですが、それを含めてもよい感じに仕上がりました!
ハイテグラの施工方法については、以前のこちらのブログにも細かく説明をしております。

その他のオーダーキッチンや造作家具も仕上がってきているので、そちらの最後にご紹介しておきます。

ペニンシュラカウンターはフルに養生されてしまっていますが、リビングプロダクトさんにお願いしたオーダーキッチンです。

大理石のオデッサベージュ張りとクロスパネル張りの壁の間にレザー張りの建具が挟まれた玄関ホールです。

レザー張りの建具の取っ手は特注の焼き付けスチールの取っ手です。

玄関ホールからリビング側に入って振り返った様子です。左側の袖壁のニッチにはインターフォンやスイッチ類が入ります。

左側玄関ホールへのレザー建具も右側洗面廊下へのクロス張り建具も完全引き込みなので、引き込まれると全く見えなくなるのです。

洗面廊下のカウンターが仕上がってきました。手前のミニカウンターはリビング側ですが、同じ素材で同じ高さで揃えたデザインなので、一体に感じますね。

正面から見たロングカウンターです。左下のオープンな箇所にはミーレのビルトイン洗濯乾燥機が入ります。

突き当りの廊下側から洗面廊下を見返した様子です。ミラーキャビネット下の間接照明や洗濯機上のハンガーバーがまだ未施工ですが、もうすぐ完成です。