Author Archives: Kenji Kagami
2025.03.06
本物の大理石&大理石調セラミック
[渋谷区L邸]
渋谷区L邸のLさまご夫妻は、当初より本物の大理石や大理石調のセラミックを仕上げ材に使うことに強いご興味を持っていらっしゃいました。

まだ、間取りも決まっていない初期の頃に、仕上げ材の候補としてお持ちした素材から大理石をもっと見てみたいとのことで、お持ちしたイタリアの大理石ブランド「アントリーニ」の素材サンプルをお見せしました。

石英の塊をレジンで固めて、スライスした特殊の素材ですが、光が透過することも面白いと感じてくださったそうです。因みにこれらのサンプルは、まだアントリーニが関ケ原石材と提携する前の6年ほど前に、イタリアに直接連絡して送ってもらったものです。

本物の大理石は価格のこともありますが、実用上水染みなどのメンテナンスの問題があることで、当初は大理石調のセラミックのショールームをご一緒に見て回りました。こちらは欧州のタイル最大手のマラッティのショールームです。

こちらはイタリア建材コンサルタント会社のアークテックが扱っているフィアンドレ(イタリア)の大判セラミック展示です。

どちらのショールームでも、はがき大のサイズのサンプルを頂くことができるので、

まずはどこに使うかをあまり深く考えずに、気に入ったサンプルを集めることになりました。

大理石調セラミックでも、ツヤありとツヤ無し(マット)仕上げがあるので、各2枚ずつを集めるとかなりの量になってきました。

本物の大理石も見てみたいとのことでしたが、都内の大理石ショールームはどこもこじんまりとしているので、加工した大理石ではありますが、僕らが良く使うサルバトーリの展示を見て頂きました。

オーソドックスな大理石の表面に色々な加工を施すことで、普通とは違った表情が出ることを面白がっていただきました。

「大理石というと、荘厳で冷たいイメージがある素材だと思っていましたが、こんな柔らかい表情の使い方もあるのですね」と喜んでくださいました。

間取りのお打合せの合間にそれまで候補に挙がってきた素材類を一通り集めて、僕ら設計側なりに使う場所も考えてお持ちしたのがこれらとなります。

ただ、セラミック素材をこうやって並べてみると、どれもグレーベージュで似たようなものばかりになってしまいました…。

ちょっと印象的なこちらのセラミックは、似たようなものを奥さまが博多のホテルで見たことがあるとのことでした。

こちらで調べてみたところ、博多リッツカールトンでこのような石材が水回りに使われていることがわかりました。これはパタゴニアと呼ばれるクォーツァイト大理石です。こちらの写真は、博多リッツカールトンのサイトから借用したものです。
クォーツァイトは透過性がある石英が混じった大理石で、セラミックでの再現性がもっとも難しい物なので、もしパタゴニアに興味があるようなら、本物と見比べてみることをお勧めいたしました。そうこうしているうちに、やはり一度は本物の大理石もじっくり見ておきたいとのことになり、岐阜県関ケ原市にある関ケ原石材さんの倉庫に日帰りで行くこととなりました!

関ケ原石材は東京ドーム5個分の大きな敷地に、イタリアの大理石ブランド・アントリーニと共同したアントリーニ・ストーン・ギャラリーと、オリジナル石材ブランドのストラッド・ギャラリーがあります。この写真は、ストラッド・ギャラリーの入り口です。

こちらがストラッドの内部です。元々関ケ原石材が持っていた、貴重でデザイン性が高い石材のコレクションギャラリーとなっています。手前には季節に合わせて、幾種類かの希少な石材がピックアップされており、その石材の表情とマッチするイメージ写真を展示し、インスピレーションを沸かせてくれるようなショールームとなっています。

そしてこちらが扉一枚で繋がっている隣接するアントリーニ・ギャラリーです。まるで石材の美術館のような空間です!アントリーニもイタリアの石材ブランドで、関ケ原石材と共同で、世界中の珍しい石材を集めている会社です。お客さま或いは設計者が選んだ石材スラブ(一枚3m×2m程度、厚み20~25ミリの板材)を現物を指定して購入することができる珍しいシステムとなっています。システムの説明については以前のブログに書いているので、そちらをご参考にしてください。

ご夫妻でご一緒したLさまご夫妻も、これだけの石材を一堂に並べたところを見たことが無かったので、「これは来てみないと分からないですね!」と喜んでくださいました。少しでもご興味がありそうな石材があると、都度関ケ原石材の石材マニアの中西さんがその石の原産地や由来、使われている外国のホテル名や日本のプロジェクト名を教えてくれるのです。

お二人が気に入ったものを何種類かピックアップしてまとめたものがこちらです。ブラウンファンタジーとパリサンドロは似たような色味ですね。カルチーテカライビカは僕らも初めて見た石種ですが、薄い灰色の中に緑や薄青やオンレジや黄色が差したように流れている石材でした。オニキスの仲間のマンゴーオニックスは、他3つと全く違いますが、華やかさがきれいなのでどこかに使えないか検討してもらえないかとのことでした。

最初に関ケ原まで足を延ばすキッカケになったパタゴニアも展示されている現物を見たのですが、ブラックトルマリンと呼ばれる黒い墨のような部分が多く、イメージとは違うとのことでした…。

ただ、アントリーニギャラリーのちょうど中央位に、このきれいなパタゴニアが展示されていました。もう現物としては販売していないものだそうですが、このくらいのきれいなものが今後入ってくるようであれば、洗面所に使いたいとのご意向を頂きました。
これでこの日の関ケ原石材ツアーは終わり、皆新幹線で東京に戻りました。

その後も関ケ原石材の中西さんとメールでやり取りをしている中で、次の次のコンテナでこの写真のパタゴニアが日本に来るとの情報を貰いました。まだ、磨く前なので、ブラックトルマリンがどのくらい見えてくるのか分からないのですが、パッと見良さそうな風合いなので、磨かれたらその写真も送って欲しいとお願いいたしました。

その1か月後くらいに届いたのがこちらの写真です。こちらもまだイタリアで日本に出荷する前の写真を特別に送って見せて貰ったものです。ブラックトルマリンはある程度ありますが、透明なクオーツ部分とベージュの透過しない部分が地形のようにくっきりと分かれており、これは良さそうだとのことになり、施工をお願いする三井デザインテックから購入してもらうこととなりました。
実際はまだお客さまとは工事契約を結んでいないので、もし何かのことで工事をしないことになったり、この石材をリリース(手放す)することになった場合の為に、ある程度の費用を準備費として三井デザインテック側にお支払いしてもらう形で購入の手はずを進めて貰います。
2025.03.04
竣工お引き渡し&取り扱い説明
[文京区S邸]
大型マンションリノベーションの文京区S邸の補修工事が完了し、無事お引き渡しとなりました。

先日のお客さま検査後の補修箇所を一緒に回り、ザっと確認して頂いた後は、すぐにキッチンの取り扱い説明へと移ります。

まずは食洗器やオーブンといった、ビルトイン機器のご説明からです。キッチンをお願いしたリネアタラーラの牧野さんとガゲナウからも応援の説明の方が来てくださっています。

当日は、Sさまの奥さまだけでなく、お料理の片付けや洗濯、お子さまの世話もしてくださる通いの家政婦の方も一緒に説明を聞いてくださいました。

奥さまと家政婦の方がキッチンの説明を受けている間、ご主人さまはガス設備や電気の説明を分担して聞いてくださっています。

特に弱電のWIFI設定のことを詳しく知りたがって、電気屋・ムラデンのヤマト君を質問攻め(笑)にしていました。

ビルトインのワインセラーの説明だけは、ご主人も聞きたいと言って熱心に駆けつけてくださいました!

浴室とシャワーの取り扱い説明は、東京バススタイルの和久田さんです。こだわりが詰まった浴室とシャワー室は、本当に気に入っていると仰ってくださいました。

実は、このお引き渡しの日の午前中に、ぎりぎり間に合った書棚のこぼれ止め金物を造作家具屋・現代製作所の工場長が取り付けてくれました。

全部で8枚の棚板にこぼれ止めを取り付けてくれました。因みに、「こぼれ止め」とは棚の上に置かれたものや本などが落ちないようにするためのストッパー金物で「転び止め」とも言います。

無垢材で作った重厚な棚板にあう、ちょっと武骨なこぼれ止めで、これもSさまはとても気に入ってくださいました。

本来は、お引き渡しをしてから取り扱い説明をするのが本筋ですが、説明をしてくれる各職方の都合で、前後が逆転して、夕方すっかり暗くなってからお引き渡しの手続きをさせて頂きました。Sさまご夫妻から、素敵な家を作ってくれたことを感謝して頂き、僕ら設計側も施工の青の片岡社長も、現場監督の織田さんもとても嬉しいひと時となりました。
お引き渡し後も、まだ間に合っていない工事が幾つかあるので、一旦お返ししたお部屋の鍵をもう一度預からせて頂くこととなりました。
2025.03.03
グレー調のフレンチヘリンボーン探し
[ザ・ライブラリー]
ザ・ライブラリープロジェクトの紹介ブログです。
大理石キッチンの横浜H邸のお客さまから、リビングダイニングキッチンの仕上げ材は、大理石以外はグレー調のフローリングやパネルにするのはどうだろうかとのご連絡を、Hさまお手製のCGと一緒に頂きました。

これまでは明るめのオーク色のフローリングのイメージだったものが、かなりシックにガラリと変わってきました。オークのフレンチヘリンボーンであれば、何とかなると気楽に構えていましたが、グレーのフレンチへリンボーンはこれまで使ったことも見たこともなかったので、そのようなものが実際にあるのかを急ぎで調べることとなりました。

まず最初に伺ったのは南青山のIOCさんです。ヘリンボーンだけでなく、フレンチヘリンボーンの品揃えもあり、かつグレー系のフローリングを得意としているのです。

ザ・ライブラリーメンバーの田口さんと各務、岸本さんと竹田さんの4人でショールームを訪問すると、床にフレンチヘリンボーンのサンプルを並べておいてくれました。

オーダー調色が得意なIOCなので、グレー調のフローリングも横に並べてくれており、オーク材をベースにすれば、これらのような色味のフレンチヘリンボーンを特注で作ってもらうことが可能であることを説明してもらいました。

折角4人揃っていたので、その足で歩いて10分ほどのところにあるiKUTA(イクタ)のショールームも訪問いたしました。

iKUTAはヘリンボーンが日本で流行る前兆があった頃から、フレンチヘリンボーンのフローリング材に取り組んでいた草分け的な存在です。フローリングを張る際に逃げが無く、フローリング自体の寸法もかなりの精度での正確さが求められ、かつそれを張る大工の腕も求められるので、フレンチヘリンボーンは普通のフローリングより2段階くらい上の存在なのです。せ時までには色味の深いHさま好みのサンプルを幾つか揃えることができそうです。
色々とフローリングサンプルは揃ってきましたが、Hさまとのお打合せでおみせしたところ、もっと深い色のフローリングの方が望ましいとのことで、アンモニア燻蒸や鉄媒染の世界に突入してゆくことになります。詳しくはこちらのブログをご覧ください。