Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

渋谷区N邸のビフォーアフター-02

[ザ・ライブラリー]

ザ・ライブラリープロジェクトの渋谷区N邸のビフォーアフターの第二弾です。

リビングと洋室の壁を取り払って大きくなった空間です。かつての洋室にキッチンを大移動したことで、キッチンに立った奥さまがリビングダイニング全てを見渡すことができるようになりました。

リビングと一体化させた洋室側からみたビフォーアフターがこちらです。洋室の左側の壁がなくなってリビングと一体化しているのが良くわかりますね。

合体したリビングダイニングキッチンに2つ並ぶ窓は、サイズも奥行きも違っているのですが、一つの木製フレームで囲い込んで、同じ種類のブラインドを吊るすことで、大きな一つの開口デザインのように見せています。

リビングのコーナーにある構造の大きな柱型は、片面にはカラーガラスを、もう片面には木製フレームと部分的に鏡を貼ることで、その存在感がずいぶん和らいでいます。
カラーガラスの面の下部は似たような色のレザー張りとしていますが、ここはテレビを見るお子さま達がクッション越しに頭を預けるだろうと考えて、下部をレザーパネル張りとしました。
以下の部屋のビフォーアフターはザ・ライブラリーブログをご覧ください。

壁仕上げ_塗装&クロス&大理石&タイル

[新宿区T邸]

新宿区T邸の壁仕上げは、塗装仕上げ、クロス仕上げ、大理石張り、タイル張りの4種類を使い分けています。

最初にご紹介するこちらは塗装仕上げです。マンションでの塗装工事は、ずらして2重に張った石膏ボード上から、石膏ボードの継ぎ目とビス穴をパテで均した上から、AEP(アクリルエマルジョンペイント)を塗り重ねるプロセスとなります。

キッチンの天井や壁の一部のパテ処理が進んでいる状態です。壁のモールディングは下塗りを先に進めてくれています。

ツヤは違えていますが、壁と天井のモールディング装飾も同じ塗装仕上げなので、全てが塗装で仕上げられると、一体感がある空間に仕上がってくるのです。

塗装と前後して、壁タイル張りの職人さんも入ってくれています。洗面所の突き当り壁は600ミリ角の大理石調タイル張りです。鉛筆で垂直水平を記した後、手で一枚ずつ貼ってゆくのです。

突き当り壁のタイルが貼り終わった状態です。

同じタイル屋さんが、キッチンのコンロ前のタイルを貼ってくれています。

こちらのタイルは、お客さまもお気に入りの手焼き風タイルです。

手焼き風といったのは、色の滲みやタイルの歪みまで、正確にコンピューターで制御されたタイルだからなのです!マラッティ(イタリア)のルーメというタイルです。

少し離れたところから見ると、本当に手焼き風のテクスチャーがきれいなのです。

玄関入って正面のこちらの壁は大理石のオデッサベージュを貼ってもらいました。

癖の少ない大理石のオデッサベージュを単純に600ミリ角で貼ると単調になってしまうので、600角を半分にしたものと、三分の一にカットしたものを作り、更にその小幅のものは磨きを変えて貰っています。

それらをこの図面に従って、ずらしながら貼ってもらうことで…、

逆光で見るとこのように磨きの違いが見えてくるようして貰っています。600角が本磨き(ツヤあり)で、幅が狭いものが皆水磨き(ツヤなし)としています。

最後がクロス張りです。クロス=壁紙ですが、日本の一般的なクロスはビニールクロスと呼ばれるポリ塩化ビニールを主原料として作られた壁紙です。安価で施工が楽で耐久性があり、色味や柄が豊富なことが特徴です。良いこと尽くめのようですが、塗装に比べると質感に劣ること、経年で部分的に剥がれてきたときが見すぼらしいことなどがデメリットです。カガミ建築計画では、そういったことから、リビングダイニングや玄関などのパブリックな部分にはあまり大々的には使わないケースが多いのです。ただ、こちらのお宅では、プライベート部分はコストのことでビニールクロス仕上げとさせて貰いました。ただ主寝室のヘッドボード面は、目地を入れたベニヤ板を貼り、ビニールクロスを巻き込むように仕上げてもらい、簡易版のヘッドボードを作ってもらいました。

こちらが仕上がった様子です。安価なビニールクロス張りには見えませんね(実際に目地入りの下地を作ったりすることで決して安価ではないのですが…)。

キッチン背面のパントリーとランドリースペースは、同じクロス張りでも高価な紙クロスと安価なビニールクロスをミックスして貼ってもらいました。

紙クロスは、そのもの自体も高価ですが、更に幅も狭く、柄合わせが面倒、糊を裏面につけてから作業できる時間が短い(つまり一度に沢山のクロスを糊付けしてから一気に施工することができない)、などの施工のむずかしさがあるので、ビニールクロスに比べて何倍もの高さになってしまうのです。

ただ、間近で見たときの質感がきれいで、柄もユニークなものが多いので、今回は汚れやすいボトムとトリムをビニールクロスでつくり、上部に高価な紙クロスを張るというご提案でした(中途入社スタッフの松藤さんからのグッドな提案でした)。

ランドリールームの中も同じ仕様で貼ってもらいました。柄入りのクロスを張ると、子どもっぽくなることが多々あるのですが、これはとてもきれいに仕上がりました!

造作家具の組み立て-1 脚のある造作家具?

[文京区S邸]

これまでの常識では、造作家具は壁や床にぴったりとくっ付いているものだと考えていましたが、文京区S邸のお客さまとお話をしているうちに、それは日本の常識であっても世界の常識ではないことに気が付いてきました。

こちらは主寝室横に設けるご夫妻用の洗面カウンター家具の組み立て途中の様子です。パッと見ると普通のカウンター家具のように見えますが…、

足元を見ると、このようになっています。普通の造作家具では、台輪という巾木のようなもので家具の箱を支えていますが、今回はフレームが脚となって家具を支えている作りにしているのです。また、その脚のデザインが魅力的に見えるように、右にある洗面カウンターキャビネットと左側にあるリネン収納の面を揃えず、わざとズラしたデザインとしています。

天然大理石のカウンタートップはビアンコカラーラを3方トメ加工で作る予定なので、このような変形の下地が組まれています。

大理石のカウンターが張り付けられた様子がこちらです。

現場でトメ加工されあ材料を接着剤で溶接して、このようにきれいなエッジを作るのです。

更に、下キャビネットにリブ材の表板の装飾引き出しを差し込み、

このように仕上がってきました。

シンクと水栓と鏡と金物が全てついて完成した様子がこちらです。石張りの床に置き家具のように脚で立っている家具が新鮮な感じがしますね。

因みに、こちらが僕ら設計側が作った設計図で、

施工会社のと、その下請けの造作家具屋の現代製作所と詰めながら作ってもらった製作図がこちらで、

面倒な(笑)脚の部分の取り合いを考えてくれたのがこの詳細図となります。

こちらはもう一つの家族用の洗面カウンターです。

こちらの大理石カウンターは厚みを薄くして、その分収納量を確保しています。

こちらの家具が出来上がった様子です。脚の奥には台輪があるのですが(台輪なしで、脚だけで支えることになると、家具がタワんでしまうのです)、奥まっているので脚だけで立っている置き家具のように見えますね。

こちらは来客用トイレの手洗い家具です。本来はキャビネットの中に入る引き出しが上に載っているので、この状態では何が何だか分かりませんね…。

上下を逆さまにした様子です。手前と左奥の四角い木のキューブ上の部分に…、

この脚を取り付けて逆さまに設置すると、

このように仕上がるのです!

大理石製の天板とシンクを取り付けて完成です。背面の壁と間にも隙間を作っているので、本当に置き家具のように見えるのです。