Author Archives: Kenji Kagami
2024.06.03
カーテンポールの選び方について
[文京区S邸]
クラシカルなお宅で良く使われるカーテンポールですが、最近はエレガント系のインテリアのご相談のお客さまからも良く話題が上がります。日本ではカーテンポールや装飾カーテンレールと呼ばれますが、英米ではカーテンロッド(Curtain Rod)と呼ばれています。
イメージ写真は、お客さまの好みのAmber Interiorから借用したものです。今回はこれと全く同じものではありませんが、日本で手に入る最高級品質のフランス製のHoules(ウレスと読みます)のカーテンポールから選ぶこととなりました。
ウレスの本国サイトを見ても、仕上げが良くわからなかったり、組み合わせが分からないなどで中々選択が進まなかったので、日本のウルスの代理店のAnonimo Design(アノニモ・デザイン)の黒澤さんに相談したところ、サンプルブックを本国から取り寄せてくれました。
中身はこのようになっており、カーテンポールのシリーズと太さと仕上げが分かるサンプルが詰まっていました!
早速、Sさまの奥さまとの打ち合わせに持って行って確認して頂きました。当初から金属質の黒いポールが良いと仰っていましたが…、
シンプルなデザインのロッドでこのような金属質の鈍い黒のものがあることが分かり、とても喜んでくださいました。
アノニモ・デザインの黒澤さんと嘉納さんに色々と調べて貰うと、シングルポールでカーテンを1枚掛けるだけだとシンプルな支えだけで良いのですが、ダブルポールでレースとドレープの2枚掛けとなると、重量もかなりのものになるので、支えの構成が複雑になることが分かりました。
今回選んでいるシリーズでいうと、このような形で斜め下から支える材は必要になるのです。ただ、各部品の寸法は判りますが、上のサポートと下のサポートの距離などの細かい寸法がこの資料では判りません…。
またまた、黒澤さんにお願いして、購入することを前提として、1セットポールとサポートセットを取り寄せて貰いました!
ポールと組み合わせるとこのようなスタイルになります。
因みに、こちらがカーテンリングとなります。
窓の両端であれば、これはこれで良さそうですが、大きな窓の中央部にこれが来ることになるのは何とも避けたいと考えていたところ、中央には天井から支えるサポートがあることを黒澤さんが教えてくれました。これはSさまの奥さまが事務所に来てくださっての打ち合わせの際に黒澤さんと嘉納さんに来てもらってサンプルをお見せしている様子です。
この日は、Sさまの好みの麻のカーテンのサンプルも、アノニモが扱っているZimmer Rohde(ツィンマーロード)のコレクションから幾つか持ってきてもらいました。
具体的なカーテンを選んでいるうちに、当初は寝室には薄いレースのカーテンと厚手のリネン(麻)のドレープを考えていらっしゃったSさまですが、寝室にはレースとドレープの中間程度の透け感のあるリネン1枚にしてもよさそうだとのお話になり、サポートのこともこれで解決することができそうです。
全ての窓のカーテンポールが1本でよいとなると、サポートもシンプルなもの一つだけで済ませることができます。そしてウルスの優れているところは拡張性があるところなので、やはり寝室には2枚欲しいということになったら、天井サポートを使ってカーテンポールを2本に後日の工事で増やすこともできるのです。
後は仮に選んだリネン生地の縫製です。上記の画像はRoomfortuesdayから借用したものです。日本のカーテン縫製の一般的なものは、2段目の2倍ヒダや3倍ヒダですが、Sさまはそれは好みではないとのことで、3段目のEuro Fan Pleatで進めたいとのことになり、この縫製サンプルを作ってもらうこととなりました。この特殊な縫製は普通のカーテン屋さんではできないとのこと、こう言ったことに詳しいアノニモの黒澤さんに協力してもらって、本当に助かりました!
2024.05.30
インテリア雑誌「I’m home.」のアーキテクト・ファイルに取り上げて貰いました
[ニュース]
昔から大好きだったインテリア雑誌「I’m home.」(商店建築社)が毎号、一人(一組)の建築家を取り上げて紹介してくれる、アーキテクト・ファイルに取り上げて貰いました!
編集部の下山田さんと旧知のライターの小森さんとカメラマンの合田さんが、わざわざこの特集記事のためにうちの事務所に取材に来て、顔写真も撮ってくれた、力の入った記事です。どうも傍から見ると、僕の事務所は何の苦労もなしに今のマンションリノベーション設計者のポジションを見つけたかのように思われるのですが、実はここにたどり着くまでに色々な苦労をしているというお話をしたところ、下山田さんも小森さんもとても驚いたようで、そのことを素敵な文章にしてくれました。
これまでに幾度か弊社がお手伝いした事例を掲載して頂いていますが、今回は代表作ということで、外苑前C邸、元麻布I邸、そして近作の渋谷区Q邸の写真を取り上げて貰いました。
こちらが現在発売中の「I’m home.」130号の表紙です。
事務所の打ち合わせ用のテーブルで、スケッチを描いている様子を撮影してもらったプロフィール写真がこちらです。
写真は全て再掲載のものなので、あまり目新しくはありませんが、下山田さんと小森さんの目で読み解いてもらった僕、各務の記事が面白いのですが、さすがに全文をここで掲載するわけにはいかないので、ぜひ本屋でご購入ください。
因みに、建築家として取り上げて貰った番号でいうと、29番目にあたるようです。この特集は、2019年8月の100号を記念として始まられた連載シリーズだそうです。僕の記憶では第1番目に紹介されていたのが、尊敬し目標としている建築家&インテリアデザイナーの横堀建築設計事務所の横堀さんとコマタさんだったと思って調べてみたら…、
第一号で紹介された建築家は、まさかの井上洋介さんでした!同年代で活躍している建築家としては、一方的に存じ上げてはおりましたが、当時は全く面識がありませんでした。最近は仲良くさせて貰っており、井上さんの近作の用賀の離れも見学させて貰い、僕らが設計した渋谷区Q邸の内覧会にも来てもらいました。玄人好みで、超硬派な本格建築家の井上さんが最初に取り上げられていたことは、本当に驚きでした…。
そして、こちらが勝手に第一号だと思っていた横堀さんとコマタさんは第2号でした。お二人のことは、まだ売れない建築家&インテリアデザイナー(失礼!)として赤坂の古いマンションに事務所があった頃から存じ上げておりました。それが久が原の住宅やフォレストテラス松濤のモデルルーム、そしてコシノジュンコ邸を設計した頃から「I’m home.」御用達の建築家になったかのような勢いで有名になってゆく姿を横目で見ていたことをよく記憶しております…。
全てのアーキテクト・ファイルを読み返していたら、仕事になりませんね。ただ、憧れだったこの特集に取り上げて貰えたことは本当に名誉だと思っております!
2024.05.29
3種類の排水管の経路@渋谷区N邸
[渋谷区N邸]
新築マンションのLDKと玄関ホールのリノベーションプロジェクト、渋谷区N邸の解体工事が着工となりました。
普通、解体工事の最中はガラ(ゴミのこと)が多く、釘や金属破片などが散らばっており危なく、見るべき箇所はあまりないので、解体工事の最中に現場には行かないようにしています。
ただ、今回は天井裏のダクトルートと床下の排水管ルートの早期確認のために、解体が終わる前に我慢できずに(笑)現場に行ってしまいました。
一番見たかった、床下の排水管の一部が見えています。こちらは元のトイレの便器からの汚水管(右側の太い管、し尿を含む管)とトイレ内の手洗いからの雑排水管(左側の細めの管)です。マンションの住戸専有部内には、3種類の排水管が通っています(厳密にいうとエアコンのドレイン排水管と、まれに専有部内を通っている雨水排水管を加えると5種類ですが…)。こちらの汚水管と雑排水管は部屋内では別の管ではありますが、室外のPS(パイプスペース)の竪管では合流します。
玄関ホールに入って左側のリビングダイニング側が解体されているのですが、キッチンから流れてくる雑排水管が一部見えています。こちらのマンションのキッチンにはシンクの生ごみ処理機のディスポーザーが取り付くので、キッチンからの雑排水管は他の浴室や洗面からなど雑排水管とは合流しない、ディスポーザー系統雑排水管としてマンション地下のディスポーザ専用浄化槽へと直結する仕組みとなっています。
当初、デベロッパーに見せて貰った図面では、床下の配管図はこのようなものでした。この配管図に新しい間取りを重ねると、トイレの汚水管とキッチンからのディスポーザー系統雑排水管が交差してしまうので…、
ちょっと変形ではありますが、このようなルート取りをすれば解決できるのではと、担当の前田君が考えてくれていました。
しかし、デベロッパーへのリフォームの申請の際に、このようなメモ書きを先方からもらいました。当初僕らが貰っていた図面とは、排水管の大本となる部分からルートが違っていたので、最新の配管図を見せて貰ったところ…、
こちらが正しいものだということが分かりました。この図面が正しいとすると、キッチン系列に排水管を大回ししてもクロスなしで排水することはできません。情報が錯そうしていたので、早い時点で現場確認に行ったという次第です。
空いている床から床下を覗き込んだところ、3本の排水管が並んでいることが分かりました(写真では2本のように見えますが、その奥に1本通っています)。また、区画貫通箇所はかなり低く設定されていたので、これであればうまくクロスさせることができそうです。
そしてこちらが、現場の情報を確認したうえで、前田君が作ってくれた排水管が交差する計画図です。
その2週間後の現場です。すっかり解体された室内に、すでに設備工事屋さんが排水管を設置し始めていました。
緑色で丸をした2箇所で排水管がクロスしています。左下から流れてきてるキッチン系列の雑排水管が最初にトイレ手洗いからの雑排水管の上を交差し、その後直角に曲がってから、右上の柱奥から流れてきているトイレの汚水管の上をクロスしています。
向きが変わっていますが、真上から見た排水管がクロスする状況です。今回は床下の寸法に余裕があり、さらに区画貫通部の排水管位置が低かったので、無事クリアすることができましたが、少しヒヤリとしました。普通のマンションではリフォーム申請をしても、何のコメントもなく工事許可がおりることが一般的ですが、今回はデベロッパー側から排水についての指摘があり、そのことで排水管ルート図が違っていることが分かったという珍しいケースでした。きちんと図面を見てアドバイスをしてくれたデベロッパーの担当者に感謝です。
キッチンからの排水管がきちんと勾配を取って配管されていることを一応確認させて貰いました。