Author Archives: Kenji Kagami
2025.01.07
モルテーニとポリフォームのクローゼットシステム比較@渋谷区L邸
[渋谷区L邸]
イタリアのハイブランド家具で、壁面収納システムを豊富にもつ2つのライバル会社がモルテーニとポリフォームです。ライバルといっても、しのぎを削るような激しいライバルではなく、イタリア本国では共に本拠地が近くにあり、情報共有しながらお互いを高めあってきたような関係のブランド家具屋です。
渋谷区L邸では、ウォークインクローゼットシステムを検討するうえで、モルテーニとポリフォームの2社に絞って比較させて貰うこととなりました。

まず最初に伺ったのが南青山のモルテーニショールームです(このブログは3か月ほど前のことを書いており、現在は南青山のモルテーニのショールームは閉じております)。実はLさまは以前のクローゼットシステムではモルテーニで発注寸前までいっていたので、とても好きなブランドとのことでした。

クローゼットシステムの素材も豊富にあり(といってもこの写真の全てが使える訳ではないのですが…)、どれをどこに使ってどう見せようかと一緒に悩ませて頂きました。

同じ日に回ったのが、こちら新宿アクタス2階にあるポリフォームのショールームです。明るく開放的なモルテーニショールームに比べると、規模がかなり小さくコンパクトで、当初はあまり関心なさらなかったようです。ただ、一昨年4月にイタリア北部にあるポリフォームラボを訪問した際のブログ記事を事前にお見せしていたので、ショールームのサイズだけでは判断せず、何ができるかを聞いてみたいと仰ってくださいました。

ポリフォームのカラーパレットは、モルテーニほど華やかではありませんが、それでも落ち着いた色味の素材は充実していることもご理解くださいました。

レザー張りのハンガーバーや、バッグを吊るせるこんな特殊な形のハンガーは、中々工夫されていると喜んでくださいました。

今回のウォークインクローゼットは、少し変形の逆Tの字のような形をしております。まずは僕らで簡単に考えてみたレイアウト図を作り、これを事前にモルテーニとポリフォームの担当者に送っておりました。

それぞれのショールームで、何ができて何ができないかを聞き、まずは暫定的に決めた素材と割り振りで費用の概算を出してもらうことになりました。こちらは3週間ほどでモルテーニから届いたレイアウト資料です。お客さまと一緒に選んだ色味だけでなくツヤ感まで表現されており、とても分かりやすい美しいプレゼンテーションシートでした。

こちらは少し早めに出てきたポリフォームの提案です。着色されていませんが、その代わりに寸法の記載がしっかりとされた提案書でした。提案書だけで比べるとモルテーニの方がきれいで惹かれるものがありましたが…、

ポリフォームからはその1週間後に、このような3Dの立体図が届きました。

俯瞰の立体図だけでなく、中に入って人間の視線レベルで見たCGも用意してくれました。元々プレゼンテーションのレベルだけで比べる予定はなかったのですが、このCGで両者引き分けレベル(笑)に戻ったイメージです。
肝心の概算見積りですが、実は単純に比較するのが難しいものなのです。理由としては、
・各ブランドに自分たちの標準寸法(モジュール寸法)があり、それに沿った形で設計するとリーズ
ナブルな価格で出せるのですが、特注サイズを入れるとその部分だけかなり高くなってしまうこと、
・単純に設計側の内容にピッタリ合わせようとすると、全てが特注サイズとなってしまい、バカ高く
なってしまうこと、
・各ブランド、箱型、柱型、背面持ち出し、更に扉の有無等のシステムが多様にあり、どのシステムを
使って組むかによって価格も差が出てしまうこと、また、素材や引き出しの仕様、棚の枚数などに
よって細かく価格差が出てしまうこと(ちなみにモルテーニは14種、ポリフォームは6種のシステム
があります)、
・今回は三井デザインテック経由でお客さまに発注して頂くのですが、各ブランド掛け率があるので、
定価だけでは比較できないこと、
・為替、円安、職人の組み立て作業費なども高止まりしており、各ブランド定期的に値上げをしてくる
ので、タイミングによって価格差が生じてしまうこと、
とはいえ、何度も提案をし直してもらってから金額の違いを出していると、各ブランドに迷惑を掛けてしまいます。こちら設計側である程度内容を絞って、過度に美麗ではなく、お客さまの使い勝手を優先した案の概算を出してもらった結果、ポリフォームの方が定価ベースで数十万円安いことが判りました。
また、1か所にガラス天板のカウンター引き出しを設けて、ご主人さまの時計や奥さまの装飾品を見せる収納を作りたいのですが、その自由度のことなどでポリフォームの方が優位なことが判り、今回はおポリフォーム1ブランドに絞って提案を続けて貰うこととなりました。

ここからは、更に踏み込んだお客さまとのやり取りで決まった、細かい引き出しの割り振りや仕様、更にはゴミ箱置き場などを組み込んだリクエストをして、ポリフォームと打ち合わせを進め行くことになります。
その他にも、

以前は浴槽への入り方で危険を感じることもあったとのこと、国産最高級浴槽ブランドのジャクソン社のショールームに伺ってきました。

ご夫妻の身長差もあることから、そのような際に最適なネオ・ベンティシリーズをお勧めしたところ、お二人とも実際に浴槽に身を沈めてみて、これで決めようとのことになりました。

浴室だけでなく、シャワーブースも作る可能性がありそうでしたので、白金台にある東京バススタイルのショール-ムにもお邪魔してきました。

TOTOの子会社のセラトレーディングでは洗面ボウルやトイレの手洗いボウルを見て頂きました。

こちらはお客さまと一緒に選んだ水栓とボウルの組み合わせをどこに使ったらよいかを打合せメモの形で三井デザインテックの蛭川さんが纏めてくれたものです。写真イメージ付きの打合せメモは判りやすくて良いですね。

天然の大理石、また大理石を模した大判セラミックタイルにもご興味があるとのことでしたので、目黒のアークテック社のショールームで、イタリア製大判セラミックのフィアンドレのサンプルも見て頂きました。

ご夫妻が興味を持ってくださったセラミックの小型サンプルを並べてみた様子です。ここから各部屋のどの壁にどのような素材を貼ってアクセントとしてゆくのかを設計側で考えてゆくことになるので、これらのサンプルを持ち帰らせてもらうこととなりました。
2025.01.06
お手製CGも!お客さまのイメージシート@横浜H邸
[ザ・ライブラリー]
TAGKENとの共同リノベブランドの「ザ・ライブラリー」の新規プロジェクトの横浜の湾岸の高層マンションリノベーションの横浜H邸では、お客さまから詳細なイメージ図面やCGを最初に頂いております。

お客さまのHさまから頂いたシートは、このイメージシートに始まり、全10ページに及ぶ大作で、平面のレイアウトからご自身で作られたCG、家具のイメージから設備の詳細などまである素晴らしいプレゼンテーションでした!あまりに完成度が高いので、最初は僕らは不要で、そのまま施工をする工務店にお願いすればよいのではと思ったほどの力作でした。

ご自身でお部屋を実測して作った平面図に、具体的なキッチン設備のレイアウトから仕上げ材のイメージ、家具まで書き込まれています。

僕らが一番びっくりしたのがこれらのCGです!ルームプランナーというCGソフトを使って、時間があるときにご自身のリノベーションのイメージを考えてみようと初めて見たそうですが、元々クリエイティブなことがお好きなこともあって、無料バージョンでは飽き足らなくなって、有料バージョンの家具や小物なども入れて、2か月もの時間(!)を掛けて、
以下、洗面のCGパースやディテール、素材集等についてはザ・ライブラリーブログをご覧ください。
2024.12.27
4m超えアイランドのある大型オーダーキッチンの組み立て
[文京区S邸]
文京区S邸の大型キッチンの組み立てが始まりました。あまりに大型で、色々な素材が絡んでいるので、4つの期間に分かれて設置されました。

まずは第一期工事として、壁と窓側のL字型のコーナーカウンターの設置から始まっています。

右端にトール収納がありますが、そのさらに右側のオープンスペースには、ガゲナウのビルトイン型の冷蔵庫と冷凍庫とワインセラーが並ぶことになっています。

オーダーキッチンのリネアタラーラさんには、キッチン奥の小部屋のパントリーもお願いしています。

第二段階になって、アイランドカウンターが入りました。また、レンジフード左右の吊戸棚の扉が設置され、ビルトイン機器の上の吊戸棚も設置されました。

ガスコンロのカウンターと吊り戸の間のバックスプラッシュ壁には、あの目地なしのゼリージェタイルが張られています。

第三段階で大物の大理石の甲板が設置されました。今回はお客さまの強いご要望で大理石には撥水加工を施していないので、設置する職人も手の汚れや、額の汗で染みが付かないように、かなり気を使っての施工になったそうです。厚み50ミリのアイランドのカウンターは迫力がありますね!

deVOL社の無垢大理石のシンクと甲板の大理石の色味もきれいに揃っており、安心しました!

ビルトイン機器の設置がまだですが、全容が見えてきました。アイランドカウンターのサイズが4100×1500ミリあるのですが、卓球台(2740×1525ミリ)よりも大きく、かなりの迫力です。

重量のある大理石甲板、特に無垢削り出しのシンク下部分は、補強が必要なので、収納量を多少犠牲にしてもしっかり構造補強をして貰っています。

パントリーの奥のコーナーにはL字型の可動棚収納も入りました。

ビルトイン機器以外が揃った段階でSさまの奥さまが現地に打ち合わせに来てくださったので、養生を一部剥がして、50ミリ厚さの大理石をカウンター甲板を見て頂きました。

しかし、何より喜んで下さったのは、大理石カウンターと大理石シンクの取り合いと、

同じくdeVOLの腐食銅製シンクでした。大理石シンクも銅製シンクも、英国と長い打ち合わせのやり取りをしていたことをご存じで、本当に期日通りに届くかを心配してくださっていたので、きれいに納まっていたこと、本当に喜んでくださいました!

キッチンの全容が見えてきたところで、まだ未発注のダイニングテーブルのサイズを確認するために、青の打ち合わせテーブルの上にベニヤ板を乗せて、2700ミリの長さのダイニングテーブルを模してみました。

アイランドカウンターの長さが4100ミリあるので、2700ミリのテーブルでも小さく感じられます。ただ、エレベーターのサイズに制限があり、階段で入れられる最大サイズが2700ミリなので、これは仕方がないのです…。

アイランドカウンターにも5人が座れって軽食を摂れる設定としてありましたが、これも折角なので椅子を5脚並べてみました。

キッチン側からアイランドに並んだ4人を見た様子です。これで、お客さまのSさまも自信をもって2700サイズのダイニングテーブルと、5脚のハイスツールをオーダーできると喜んでくださいました。

最後に、ビルトイン冷蔵庫と冷凍庫とワインセラーが入ってほぼ完成状態のキッチンの様子です。