Author Archives: Kenji Kagami
2019.02.01
築古マンションの歪んだ躯体を補正する大工下地工事
[港区三田A邸]
大仰なタイトルになってしまいましたが、ヴィンテージマンションと呼ばれるそれなりの築年数が経っているマンションは、解体してみると床・壁・天井ともそれぞれに歪みがあることが多々あります。

築40年越えの港区三田A邸も、解体した時点で床スラブの歪みを実測してもらったところ、5センチ以上の歪みがありました。天井や梁にもタワミがあり、カネ(直角)が出ていない壁もあり、まずは腕の良い大工さんにそれらの歪みを補正しながらの木製下地を作って貰っています。

廊下の基準にしている梁の横面も歪みがありましたが、直線の廊下にすべく、大工の上野さんがレーザーと墨を使いながら補正してくれています。

梁下も、このようにガサガサに斫られた跡があったりと、色々な箇所に現れる歪みを木製下地でフレキシブルに吸収しながら床&壁&天井下地を作ってゆきます。

空間のボリュームが大きいリビングダイニングでは、細かい寸法の誤差は問題ありませんが、廊下や水回り、キッチン等は壁下地の寸法によっては、内部に入ってくる造作家具の寸法も変わってくるので、リフォームキューの設計・営業の上山さんが現場に頻繁に来て、現場監督の滝川さん、大工の上野さんと連携を取りながら下地寸法を確定してくれています。

特に先行発注しているキッチンは作り直しが効かないので、寸法の優先順位が高くなります。玄関ホール側からキッチンを仕切る壁を見たアングルの写真ですが、この壁には仕上げ材としてカラーガラスを張るので、やはり歪みは厳禁なのです。

その壁が引き戸や開き戸を途中に挟みながらプライベート空間へと続く廊下へと流れてゆきます。

途中に挟まってくる納戸や大型のウォークインクローゼットで寸法調整することで、大きな変更なしでほぼ当初の設計通りに工事が進められるようにできたとの報告を受けております。

大きなリビングダイニングが、天井と壁を2段に切り替えて、間の隙間にLEDの間接照明を入れるボックスを作って貰っています。

天井の2段の切り替わる部分の木製下地ディテールです。

今回はスポットでのデザインアドバイスでのお手伝いでしたが、現場が近いこともあり、頻繁に現場に寄っています。現場に行くことを伝えると、設計の上山さんからが細かい納まりや素材の色味のことなどの相談がきます。本日は壁紙提案をどうすべきかのアドバイスをさせて頂きました。
2019.01.30
高級輸入家具ショールーム巡り
[外苑前C邸]
先日プロジェクトが始まったばかりの外苑前C邸ですが、弊社にご相談いただく前から、奥さまご自身で色々な高級家具ショールーム巡りをしてきたとのことで、その中で気になっているソファやダイニングセットなどを教えて頂きました。

最初に伺ったのは外苑前のB&Bイタリアのショールームです。こちらでは、ソファが良かったとのことで、気に入ったソファで大定番のCharles(チャールズ)や新作のAtoll(アトゥール)を確認させて頂きました。

ちょうどお客さまと一緒に座っているアトゥールは、2018年のミラノサローネで新作発表されたもので、デザインや座り心地の良さから普通より早めに日本のショールームに入れたというB&Bの新しい定番になりそうなソファとのことでした。

一枚前の写真で、僕各務が持っていたのは黒檀の塗装突板ですが、代官山T邸で使われていたこの黒檀は、是非どこかに使いたいとのリクエストをCさまから頂いていたので、ソファなどとの色合わせのために持ってきていたものです。

アトゥールはレザー張りのひじ掛けのデザインが特徴的ですが、こちらのひじ掛けはサイズが合うソファであれば、他のものに差し込むことも可能とのこと、B&Bの弊社営業担当の大山さんが取り外してくれました。

自然光が入りにくい3階のショールームでは、張地のレザーやファブリックの色味が判りにくかったので、1階のショールームでもう一度色味を確認して、そのサンプルを持ち帰って検討することになりました。

次に伺ったのが、フレックスフォルムのショールームです。あまり広いダイニングスペースの確保が難しいお宅だったので、こちらからも四角いダイニングテーブルより、角が丸くなっているテーブルが良いのではとお話ししていましたが、Cさまも以前よりこちらのFLY(フライ)というものが気に入っていたそうです。天板の大理石は、ショールームのカレカッタ・ドーロは少し柄が強すぎるので、ビアンコカラーラはどうかとの話になっています。

フレックスのソファも良いとのことで、こちらのLifesteel(ライフスティール)
の座り心地も確認させてもらいました。

少しサイズが大きく感じたのですが、似たようなデザインでSoft Dream(ソフトドリーム)というソファもあるとのことだったので、レザー張地のサンプルを確認させてもらいました。

Cさまから、ダイニングチェアでコンパクトで、軽いものが中々見当たらないとの話が合ったので、フレックスフォルムからすぐ近くにショールームがあるモルテーニに寄って、こちらのOutline(アウトライン)の座り心地と扱い易さを体感して頂きました。

サイズやデザインも気に入って頂けたようですので、こちらもまずは参考までにお見積りをお願いすることになりました。

マンションの管理組合で撮影させて頂いた竣工時の青図から現状の図面を描き起こしたものと、

これまでの3回ほどのお打合せでお話ししてきた内容をリフォーム案をとして纏めた図面が出来上がりつつあるので、それらの図面を見ながら、家具や素材のお話しをさせて頂きました。
完成後の外苑前C邸の様子もどうぞご覧ください。
2019.01.24
天井裏の設備ダクトからの消音対策@駒沢X邸
[駒沢X邸]
解体後、下地がつくられつつある駒沢X邸の工事現場に、お客さまと一緒に視察に行ってまいりました。

床下地のベニヤ板が張られ歩きやすくなった状態の中、天井裏に後々は隠れてしまう設備配管やダクト類をご説明いたしました。

こちらはキッチンのレンジフードのダクトを設置してもらっている様子です。通常は排気の効率を良くするために、最短の距離でダクトのルート設定をするのですが、室内の音が外に漏れることと、室外の音が室内に聞こえることに、とても敏感なお客さまなので、今回はわざと排気ルートを長くして、曲がりを多くしています。

こちらがダクトルートをわざと長くした天井裏の様子です。レンジフードからの排気ダクトとエアコン、全熱交換機(ロスナイ)が複雑に絡み合っています。

こちらは浴室周りの天井の様子です。梁に当初から空いているスリーブ(コンクリートの貫通孔)が限られているので、事前に図面で十分に検討したうえで設備を配置してもらっていますが、うまくレイアウトが出来てホッとしました。

設備ダクトから伝わる音については、曲がりや十分な距離が確保できない箇所では、このような消音ダクトを使ったり…、

このような消音チャンバー(消音ボックス)を使っています。全て、天井のボードを張ってしまうと隠れてしまう設備類なので、このタイミングでお客さまに現地確認をして貰いたかったのです。

当日は、ちょうど造作家具の打ち合わせも予定しておりましたので、お客さまには専門的すぎる内容でしたが…、

家具の寸法や使い方等の幾つかのポイントについてご相談させて頂きました。

こちらは浴室横に設ける、ユーティリティーコーナーの床の様子です。遮音置床下地の上に、フローリングを張るためのベニヤ板が張られ、床からの給水給湯管や排水管がのぞいています。

排水設備に関連したものですが、こちらはドルゴ通気弁です。古い建物等で、トイレや浴槽の水を流した時に、横にある洗面の排水管がボコボコなるのを聞いた経験がないでしょうか?これは排水の勢いで、洗面の排水管のトラップにある水が吸われてしまうことで発生する現象なのです。急な排水管内の圧力の変化に対して、このドルゴ通気弁を設けると圧力を調整することが可能となり、結果としてボコボコ音を防ぐことができるという優れモノなのです。

今回はお客さまが現場視察に来るとのことで、特別にきれいにしてくれているのだと思いますが、施工をお願いしている青の現場はとにかくきれいなのが特徴です。現場監督の石坂さんは、ベニヤ下地の上に濡れたモップを掛けて、ホコリまで清掃してくれるので、工事中の現場なのにマスクをしないで長時間の打ち合わせができるのです。