Author Archives: Kenji Kagami
2025.03.03
グレー調のフレンチヘリンボーン探し
[ザ・ライブラリー]
ザ・ライブラリープロジェクトの紹介ブログです。
大理石キッチンの横浜H邸のお客さまから、リビングダイニングキッチンの仕上げ材は、大理石以外はグレー調のフローリングやパネルにするのはどうだろうかとのご連絡を、Hさまお手製のCGと一緒に頂きました。

これまでは明るめのオーク色のフローリングのイメージだったものが、かなりシックにガラリと変わってきました。オークのフレンチヘリンボーンであれば、何とかなると気楽に構えていましたが、グレーのフレンチへリンボーンはこれまで使ったことも見たこともなかったので、そのようなものが実際にあるのかを急ぎで調べることとなりました。

まず最初に伺ったのは南青山のIOCさんです。ヘリンボーンだけでなく、フレンチヘリンボーンの品揃えもあり、かつグレー系のフローリングを得意としているのです。

ザ・ライブラリーメンバーの田口さんと各務、岸本さんと竹田さんの4人でショールームを訪問すると、床にフレンチヘリンボーンのサンプルを並べておいてくれました。

オーダー調色が得意なIOCなので、グレー調のフローリングも横に並べてくれており、オーク材をベースにすれば、これらのような色味のフレンチヘリンボーンを特注で作ってもらうことが可能であることを説明してもらいました。

折角4人揃っていたので、その足で歩いて10分ほどのところにあるiKUTA(イクタ)のショールームも訪問いたしました。

iKUTAはヘリンボーンが日本で流行る前兆があった頃から、フレンチヘリンボーンのフローリング材に取り組んでいた草分け的な存在です。フローリングを張る際に逃げが無く、フローリング自体の寸法もかなりの精度での正確さが求められ、かつそれを張る大工の腕も求められるので、フレンチヘリンボーンは普通のフローリングより2段階くらい上の存在なのです。せ時までには色味の深いHさま好みのサンプルを幾つか揃えることができそうです。
色々とフローリングサンプルは揃ってきましたが、Hさまとのお打合せでおみせしたところ、もっと深い色のフローリングの方が望ましいとのことで、アンモニア燻蒸や鉄媒染の世界に突入してゆくことになります。詳しくはこちらのブログをご覧ください。
2025.02.27
メディシンキャビネットの三面鏡に仕込むLED照明
[新宿区T邸]
新宿区T邸の洗面カウンター上のメディシンキャビネットの三面鏡に、女優鏡のように正面から照らせる照明を入れて欲しいとのご要望がありました。

最終的に出来上がったものはこのようなもので、僕ら設計側の満足度はかなり高いものができました。設計するプロセスが面白かったので、こちらのブログで紹介しておきます。

これまでは、このようなものをご提案してきました。最初の写真と比べてもデザイン的なそん色はほとんどありませんが…、

扉を開けると内部が違うのです。こちらのケースでは鏡に照明を仕込んだのではなく、鏡の裏面のアルミ蒸着面を部分的に剥がして、扉材に細長い穴をあけて光を通すようにして、背面の収納箱に照明ボックスを作るという非常に面倒な仕組みになっているのです。

背面の収納部分はこれだけの寸法が無駄になっている訳です。因みに光が均一に見えるように、箱の奥にLED灯具を仕込み、手前にフロストシートを張ったアクリル板を置いて光を拡散しています。
これだと造作家具屋の工事の手間も費用も掛かり、かつ内部収納量が減ってしまうので、何とかしたいと考えていました。

こちらのプロジェクトの担当の前田君が、ハーフェレ社のLED照明1163のデモ機を持っていたので、このごく細ライン照明を使って何かできないかと考えました。

こちらが僕、各務が描いた簡単な初期スケッチですが、細いLED照明を鏡扉の戸先と戸尻に仕込めないかと、施工をお願いしている青の樋口さんと造作家具屋の大沼さんに相談しました。

僕のいい加減スケッチから、もう一人の担当の岸本さんが起こしてくれたスケッチ図面がこちらです。

どうしてもLED照明の端部、電線と灯具が接着されている部分に白いプラスチックがあり、それが見えてしまうので、一番上にステンレスのカバーを付けないで収まらないだろうとのことになりました。また、動く扉の戸尻側の電気コードをどうするかも問題になりそうです。

そんなところで、設計側で悩んでいたところ、樋口さんと大沼さんでモックアップ模型を作ってみたとの連絡を貰いました。

やはりLED照明の大元のプラスチック部分を埋め込むことが難しいので…、

SUS(ステンレスのことです)と書いてある部分をステンレスでカバーするのが良いだろうとのことになりました。

さすが家具屋のモックアップで、実際にこの扉が開閉するのです!作ってみると電気コードが絡む恐れはほぼなさそうなことが判りました。

扉裏面の上部、ビス止めされた部材の裏に溝を掘って、電気コードを戸先まで持ってゆくことも問題なくできることが判りました。

このモックアップでの検証をもとに大沼さんが書いてくれた製作図がこちらです。

そしてそれをもとにして作られたのがこちらのメディスンキャビネットです。

正面から担当の岸本さんが撮影してくれた写真です。

点灯していないときはこのような状態です。

どうしても鏡扉の開閉をするスライド丁番の軌跡の関係で、戸先も戸尻も少し隙間が空いてしまうのです。

点灯するとその隙間もほとんど気になりませんね。

扉を開けると上部をステンレスのL型金物で押さえているのが良く分かりますね。

戸尻の吊元側のコードもほぼ気にならないように隠されていました。

このLED灯具は低圧タイプなので、どこか1か所にトランス(変圧器)を入れておく必要があり、一番右側の上部にトランス置き場を作ってもらいました。

色々と工夫をしてこのようなものができましたが、まだこのLEDのライン照明は、調光は可能ですが、調色(電球色から蛍光色まで色味を変えること)はできないので、女優鏡としてはまだ不満な点があります。おそらくここからもっと細くて、調光調色が可能なLEDの新製品が開発されると思いますので、その都度工夫をしてゆくことになるのだと思います。
2025.02.26
オーダーキッチンのレイアウト検討
[大田区S邸]
ヴィンテージマンションリフォームの大田区S邸は、基本的な空間はクラシカルなイメージで進んでいますが、キッチンだけはモダンでシャープなデザインになさりたいとのことで、打ち合わせが続いています。

先先回のブログ記事で、リネアタラーラともう1社の2社に絞ったところまでを説明しましたが、その後の提案の中で、リネアタラーラ1社に絞ってキッチンレイアウトを検討してゆくこととなりました。

用賀のショールームのシャープなデザインと最新のビルトイン調理設備が展示されていること、更にはカガミ建築計画での実例が一番多いことも信頼できるし、担当の牧野さんもキッチンにとても詳しく、リネアタラーラに決定した次第です。

ここまで弊社担当の松藤さんが作ってきたキッチンレイアウトでは、シンクがダイニング側の対面カウンターに、コンロが背面の壁側にむいたカウンターにあるのですが、対面カウンターをフラットにするのか手前を少し隠せる2段カウンターにするかで迷っていらっしゃるSさまは、リネアのこの2段カウンタースタイルが参考になると色々な角度から使い勝手を想像してくださっています。

左の案が当初案なのですが、これだとうまく電子レンジや炊飯器などを隠すことが難しいのではとのことで、Sさまからの発案で、玄関側からの動線を封鎖して、冷蔵庫を位置を90度回転したらどうなるかを検討したのが右の案です。

なんとなく纏まってきたような気がするのですが、リネアタラーラの牧野さんに、プロとしての忌憚のない意見を聞かせて欲しいとお願いしたところ、このようなコメントを書き込んでくれました。

年に十数件のコダワリのお客さまのキッチンを作り続け、更に施工後の細かいクレーム対応もしてくれているだけあって、かなり細かい所まで指摘してくれるのでとても頼りになるのです。

仕上げ材のイメージも少しずつ固まりつつあります。コンロのある壁側ユニットは、なるべく調理機器が露出しないように金属塗装の扉でカッチリ作り込むのに対して、ダイニング側の対面カウンターは明るい大理石調の素材を使いたいとのことでした。

本当は天然大理石を使いたいところですが、メンテナンスのことを考えると二の足を踏んでしまうとのことで、現時点ではセラミックかクオーツストーンで検討中です。

人工照明の打合せテーブルの上だと、色味が判り難いので、ショールームの窓際にで扉材の候補をカウンター材の候補のマッチングを確認させて貰いました。

ご主人も交えてのお打合せ中で、玄関からキッチンの動線を本当になくして良いのかを再検討した結果、これから歳をとっていった場合、お子さま達やヘルパーさんに食事を作ってもらったりすることになったら、やはり玄関側からの動線があった方が良いだろうとのことで、当初案に近い形のレイアウトに戻りました。一旦キッチン部分だけでも概算見積りを出してもらおうとのことで、仕上げ材とビルトインの調理機器を暫定的に決めたうえで、お見積りをお願いすることになりました。

設計側が描いてきた図面をもとに、リネアタラーラが作ってくれた見積り用の図面がこちらです。

細かい材料の指定や、部材同士の取り合いまでを考えてくれた展開図も含めて、相当にしっかりと検討をしてくれました。