Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

短期決戦の元麻布J邸の設計の進め方

[元麻布J邸]

先日プロジェクトが始まった元麻布J邸ですが、お客さまから中古でご購入なさったお部屋の引き渡し時期とそこからの工事期間、そしてお引き渡しまでのスケジュールの希望を伺っております。一般的な弊社プレミアムコースでの設計&監理の進め方だと、最短でも10ヵ月、平均で1年、お客さまの拘り等で長くなると2年ほど掛かってしまうケースもあります。ただ、今回は7カ月で何とか引っ越したいとのことで、まずはフルコースでは難しいので、施工会社を先に決めてそちらに打ち合わせに同席して貰いながら図面を書いてもらう、デザインアドバイスコースで進めることが決まっています。今回も含めて、毎週1回の次のような項目で打合せを進めてゆく計画で考えています。

元麻布J邸_2回目の打合せ

デザインアドバイスでは、設計に立ち合って貰い、図面を書いてくれて、全体スケジュールを見ながら見積りの準備を早い段階から始めて、工事の段取りをしてくれる優秀な工務店・リフォーム会社が必要となります。実は現場となるマンションの内覧に伺った際に管理室横の掲示板(その時点で専有部の工事をしている工事会社のあいさつ文が掲示されている)をチェックしたところ、良く見たことのある名前の会社が見つかりました!リフォームキューさんです。マンションのことが分かっていて、管理人さんとも面識があることは、工事のスピードアップには確実にプラスになる要因ですので、お客さまのJさまにパートナー会社をリフォームキューにしたいこと、そしてちょうど同じマンションに工事で入っていることをお伝えしたところ、弊社のブログでも良く見て知っている会社で、そんな偶然もあったのなら、是非リフォームキューでお願いしたいとのことで、2回目のこの打合せからリフォームキューの坂本さん(しっかりカメラ目線!)と大久保さんに同席して貰うことになりました。手前がまだ2カ月目の弊社新人担当の松藤さんです。

元麻布J邸_2回目の打合せ

先回の打ち合わせで決まってきた内容をCAD図面(パソコンで作図したより正確な図面)化したB案とC案です。二つの案の違いはキッチン部分だけです。B案は対面ペニンシュラ(半島型)カウンターにシンクがあり、背面カウンターにコンロがあるレイアウトです。それに対してC案は対面ペニンシュラカウンターにシンクとコンロを持ってきて、背面は奥行きを浅くして、電子レンジなどを置く背面ボード(カップボード)とした案です。

元麻布J邸_2回目の打合せ

C案であれば、既製品のキッチンを使えるので、費用を落とすことができるというメリットがありますが、寸法的な問題で、玄関ホールとの間の間仕切り壁にサイドボードができなくなることをご説明したところ、ドイツ製の大型食洗器を入れたいこともあるので(国産のシステムキッチンではパナソニックの最上機種でないと入れられないのです…)B案で進めたいとのお話しになりました。

元麻布J邸_2回目の打合せ

これでキッチンと玄関についてはプランはほぼ確定となりましたが、本日の打ち合わせで見直したい箇所のご希望が幾つか出てきました。収納計画と一緒に考えないと解決しない問題が幾つかあるので、次回までの打ち合わせの間に、リフォームキューのお二人と弊社担当の松藤さんの3人で今のお住いのご自宅に伺って、収納量等の確認をさせて頂くことになりました。

元麻布J邸_2回目の打合せ

こちらはお打合せの後に、松藤さんが纏めてくれた本日の打合せで見直すことが決まった個所の取り纏めです。

「住まいのリノベ設計塾」が明後日発売になります

[ニュース]

2012年に、リノベーション設計者の達人、イン・ハウス建築計画の中西ヒロツグさんと一緒に書いた「驚異のリフォーム&リノベーション術」を大幅改訂し、表紙も新たに「住まいのリノベ設計塾」としてリノベーション(笑)され、明後日から発売になります。

住まいのリノベ設計塾

新規のプロジェクトのスタートやご相談が重なった中、エクスナレッジ社の西山さんと、中西さんとメールのやり取りを中心に、全ての記事を見直して、大幅(全体の半分以上)に手を加え、新しい事例写真や図面を書き加えて、何とかここまで来ました。西山さんには大感謝なのです。

住まいのリノベ設計塾

中西さんとの最初の出会いは、元々エクスナレッジ社が初めたリノベーションセミナー(建築知識学校)でした。残念ながら僕らの知名度不足なのか、リノベーション需要が少なかったからなのか、あまり人が集まらず1シーズンだけで廃止になってしまいましたが…。

住まいのリノベ設計塾

その後、僕に月刊誌「建築知識」のリノベーションの連載依頼があり、書き始めましたが、マンションリノベの事例は豊富ながら、戸建てリノベの経験が少なく、途中から中西さんに頼る形でいつの間にか二人での連載となりました。一緒に連載を始めた頃に、戸建て住宅を二人で共同設計するチャンスに恵まれ、その事例も大きく取り上げる形で本ができたのが「驚異のリフォーム&リノベーション術」でした。

住まいのリノベ設計塾

専門家向けの本でもあり、爆発的に売れることはありませんでしたが、ベーシックな知識を出し惜しむことなくさらけ出した本でしたので、ずーっと売れ続けてきたそうです。ただ、10年以上前に出版された本で情報が古くなっていたり、今では通用しない技術などもあったので、出版社側から大幅改訂しようとのお声掛けを頂きました。

住まいのリノベ設計塾

既に、アマゾンでは予約サイトも立ち上がっております。新しい写真や記事もかなり差し込まれていますので、是非にご覧頂きたいと思っております!

メゾネットマンションリノベのビフォーアフター-1

[ザ・ライブラリー]

ザ・ライブラリープロジェクト、高層メゾネットマンションのスケルトンリノベーションプロジェクト、中央区S邸のビフォーアフターの写真のご紹介です。

高層メゾネットマンションの吹き抜けリノベーション

リノベーション前は、メゾネットの吹き抜けが空間的には明るく大きな空間とはなっていましたが、吹き抜け上部に小さな照明が吊るされている程度(ビフォー写真には写っていませんが)で、空間的なクライマックス感は感じられない空間でした。リノベ後は、吹き抜けから吊るされたトム・ディクソンの不整形のペンダント照明が、まるで浮かんだ風船のように浮遊感を演出し、更には吹き抜け壁に張った大理石調タイル等の質感で、視覚的にも大きな上昇感が生まれました。

全体的に濃いグレーから黒に寄った色調、素材を使ったことで重厚感が出ていますが、メゾネット上階に上る階段の手すりをシャープなものに変えて、黒く塗装したことで、引き締まった空間になります。

唐突だった下階の柱型も、大理石を張って飾り棚を設けて、壁との間に造作の書斎テーブルを設置したことで、違和感がなくなりました。また、吹き抜け部分のマリオン(窓の竪枠(タテワク)、方立のこと)にダイノックシートを貼ることで垂直性を強調したことも、さり気ないデザインですが効いていました。
続きの写真は、ザ・ライブラリーブログをご覧ください。