Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

着工前の最終確認と着工後の解体状況確認

[ザ・ライブラリー]

ザ・ライブラリープロジェクトの恵比寿A邸(新築高層マンションのリノベーションです)の工事はスタートしました。解体がひと段落したとのこと、その確認に行って参りました。

メインの空間は床も壁も天井も解体されていました。中央の柱型の所に軽量鉄骨(通称LGS)が多数立て掛けられていますが、これらはお客さまにも事前にお伝えしておりますが、解体した壁からきれいに取り外した壁下地材となります。床から天井まで2.7メートルほどの長さのLGSが新しく建てる壁にも下地として必要になるのですが、工事側が使えるエレベーターではその長さのLGSを搬入することができないので(新築時には、足場外部の工事用エレベーターがあったので搬入できたのです…)、用心深く取り外して再利用させて貰うことになっています。

この日の解体現場チェックの主要目的は墨出しの確認です。墨出しとは、きれいに解体された床に墨(実際はマーカー)で新しく建てる壁の位置を書いて行くことです。

解体前に考えていた寸法と、現場の墨出しに多少の違いが生じていたので、その寸法違いをどこで解消するかを、田口と前田と栗原の三人で相談している様子です。

前田君が持っているのが、事前に作っていたリビングのCGパースです。間取り図とマンションの位置と想定する高さから、グーグルアースで取り込んだ窓外の風景を設定していましたが、それが実際の空間から見える景色とどこまで合致しているかを確認しました。Aさまからは、ソファーに座ったときに東京タワーが美し見えるように設計して欲しいとのご依頼を受けておりましたが、ほぼCGと同じアングルに東京タワーが見えるので安心しました(最初の現地調査の時にソファ東京タワーの位置はある程度検証できていましたが、ちょうどソファを置くセンター位置には間仕切り壁があったのです…)。

こちらが前田君が作ってくれていたCGの画像です。上の写真と比べると柱型が膨らんでいますが、これは大型テレビを壁に埋め込むためと、向かって左側の壁裏にワインセラーコーナーを隠しているからなのです。
その他の現場打合せの様子や、着工前の打合せ、施工用に用意した図面等については、こちらをご覧ください。

ポリフォームのウォークイン・クローゼットの設計

[新宿区T邸]

約半年前の4月にイタリアのミラノで開催された国際家具展示市(通称ミラノサローネ)とその後の研修で、工場見学から企業理念、デザイン方針まで聞いてきた影響で、ウォークイン・クローゼットでのポリフォームを推すケースが増えています。

ポリフォームのウォークイン・クローゼットシステムの設計

新宿アクタスショールーム2階のポリフォームの展示スペースはそれほど広くはありませんが、このウォークインクローゼットシステムにの展示だけは、必要最小限ではありますが、きちんと一つのコーナーが作られていて、ほぼ全容を確認することができるようになっています。向かっ左側が箱を組んでスライド式の扉のシステム、正面はコーナーに角パイプを立てるシステム、その間にはコーナーシステム、右側は一本ポールを床と壁で立てて支えるシステム、そして中央にはガラス天板と引き出しのアイランドカウンターとなっています。

ポリフォームのウォークイン・クローゼットシステムの設計

今回は新宿区のTさまご夫妻と、主寝室横の約6畳スペースのウォークインクローゼットのお打合せです。実は、この前にはイタリア他社ブランドのクローゼットシステム、そしてこの日の午前中にも国産のクローゼットシステムを見学してからの訪問でしたが、この日の見学の初見で(お見積りが前提とはなるが、)お二人共このシステムが一番いいねと気に入って頂けたようです。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

まずはザッとそれぞれのシステムの違いをご説明した後は、特に興味を持っていらっしゃる部分に注目して、ポリフォームの営業担当の三上さんに説明して貰いました。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

引き出し式のスラックス(ズボン)ハンガーです。他社のスラックスハンガーは取り出すのは簡単でも、仕舞うのがかなり面倒でした。ところがポリフォームのシステムはハンガー1本1本が取り外し式になっているので、そのご説明を実演をして貰ったところ、これであれば使いたいとのお話しになりました。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

ちょっと分かり難い写真ですが、こちらはハンガーバーのディテールです。こんな箇所に本革のレザーを巻いているのです。更に丸形のトップ(頂上)部分に金属が埋め込まれているのが見えるでしょうか?ハンガーを横にずらすことでレザーが削れてしまうことを防ぐためにトップに金属バーが貼っているのです。

引き出しシステムのディテールも中々秀逸なのです。甲板がガラスになっているので、中身が良く見えるようになっているのですが、引き出しを引き出すと、その後ろの部分からジャバラが出てくるのです。浅い引き出しで、転がりやすような装飾品などをしまった場合、引き出す動作の反動で後ろから下に落ちてしまいそうなカ所をジャバラで守っているという仕組みなのです。

一通り見て頂いた後で、カガミ建築計画とポリフォームで事前に打ち合わせをしたうえで、作って貰っていたウォークインのラフプランを見て頂きました。青い部分がウォークインで、緑色の部分は寝室の壁面クローゼットです。ウォークインは手前の主寝室からも、奥の洋室からも出入りできるレイアウトで、L字とI字、そして壁から突き出たペニンシュラ(半島)型カウンターで構成しています。

ポリフォームのウォークイン・クローゼットシステムの設計

ポリフォームの打ち合わせ室で、クローゼットプランのご説明をしている様子です。お話しをしている内に、クローゼットの上部に棚を作ってカバンを収納なさりたいこと、そしてウォークイン内はカウンターは不要で、なるべくハンガーパイプの長さを長くなさりたいとのことも分かったので、ここからレイアウトも変更することになりました。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

色味についてもご興味をお持ちでしたので、暫定的ではありますが、ここまでに決まっていた床フローリング材と床タイル材の候補、壁に使うカラーガラス、建具や造作家具等で使う予定の突板や甲板の候補を並べて…、

ポリフォームのウォークイン・クローゼットシステムの設計

またコーナに戻ってポリフォームのサンプルを確認しながら、こちらも暫定ではありますが、お見積り用に素材と色味を決めさせて頂きました。まずは一旦この日のお打合せはこれで終わりです。
そして2週間後…。

ポリフォームのウォークイン・クローゼットシステムの設計

新しいレイアウト図と見積りも揃ったとのことで、改めてTさまご夫妻とショールーム訪問です。

ポリフォームのウォークイン・クローゼットシステムの設計

2週間の間に、奥さまからハンガーパイプの高さ寸法について悩んでいるので、アドバイスが欲しいとのご依頼があったので、弊社担当スタッフの岸本さんが自分の服と自前ハンガーでどのような寸法体系になるのかを纏めてくれた資料です。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

男性用のジャケットについては、ご主人さまのジャケットをお借りしてハンガーに掛けてみて、床に摺らない寸法を割り出すことができました。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

こちらは先回からアップデートした最新版のレイアウト図です。先回のペニンシュラカウンターを止めて、L字型を2本互い違いに並べた案となります。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

そのCGも用意してくれていました。左右対称なので、一つのCGで大よそが判るのです。上部にカバン置き場を入れたのが新しいアイデアです。先ほどの寸法で、奥さま用とご主人用のハンガーバーの高さを調整することになりました(このCGのような箱型のシステムの場合はハンガーパイプの高さは後でも変更できるのですが、上部のカバン収納のことを考えると最初に決めておく必要があるのです)。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

仕上げ材の選び方で価格もかなり変わるのですが、ご提示したお見積りでは、箱部分はメラミンとなっているので、このサンプルを見て頂きながらご説明致しました。イタリアのメラミンは世界一と言われるほどで、サンプルを触って頂いても安っぽさが無いことをご理解頂きました。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

こちらが最終的に決まった仕上げ材のサンプルです。

ポリフォームのクローゼットシステムのディテール

当初僕らでご提案した素材群と少し変わりましたが、全体の色調なポリフォームらしい、カッコよくスタイリッシュな感じになりそうです。
イタリアブランドでは、ポリフォームと双璧のモルテーニ、そして華麗なデザインのB&Bイタリアのクローゼットシステムもそれぞれ大好きなのですが、最後に見積りをお客さまにお示しすると、ポリフォームに決まってしまうのです…。今回は国産ブランドとの相見積もりになりますが、どのくらいの費用の差が出るのか、こちら設計側も興味津々です。

設計&施主検査からのお引渡し@中央区S邸

[ザ・ライブラリー]

高層メゾネットマンションリノベーションの中央区S邸は、上下階の2段階に分けての工事となりましたが、ようやく二期工事の上階の検査を行うことができました。検査は、ザ・ライブラリーの設計検査とお客さま立会いの施主検査の2つがありますが、まず最初は設計検査です。

設計の各務と田口さんと前田君、そして現場監督の栗原さんの4者で全ての空間を回って、仕上げの不具合や傷、使い勝手上の問題、そして安全瑕疵に関わる問題が無いかをチェックして回ります。

ここから途中端折って説明しますが、設計検査での指摘事項を補修した1週間後がSさまご一家立会いの施主検査となります。工事中に幾度か現場を見たことがあるご主人さまに対して、リフォーム前の状態から一度も現地を見ていなかった奥さまとお子さまは、まさにテレビ番組の「劇的ビフォーアフター」かのような驚きで、特にお子さまはご両親の制止も聞かず、お母さまを連れてメゾネット上階へと昇って行ってしまいました!

この10日後に予定されている竣工お引渡し日には、奥さまがご用事で現地に来ることができないとのことでしたので、この施主検査の日に、キッチンをお願いしたクチーナに取り扱い説明をして貰うことになっていました。

キッチンの説明の間も、お子さまは電子レンジ置き場のカウンター上に一人立って歌を歌いながら、とても楽しそうでした(笑)!

奥さまとお子さまと一緒に皆で記念撮影をするチャンスは最後になりそうでしたので、お引渡し前ではありましたが、工事関係者の記念撮影をさせて頂きました。以下、詳細はこちらのブログをご覧ください。