Author Archives: Kenji Kagami
2023.08.28
イタリア高級家具ブランドSR巡り
[新宿区T邸]
今のお住まいもB&Bイタリアで揃えていらっしゃる新宿区T邸のTさまご夫妻と、新居のためのリビングダイニングセット家具探しのツアーに行って参りました。
まず最初に訪問したのはフレックスフォルムです。南青山の根津美術館の並びにあり、ショールームが目立って分かりやすい場所で待ち合わせに便利であること、そして色々な素材を使った素敵な家具をそろえたブランドであることから、スタートに設定することが多いイタリアハイブランド家具ショールームです。
フレックスフォルムの弊社営業担当の木原さんの都合がつかなったので、以前の担当だった古賀さんに案内して貰いました。ソファ前のセンターテーブルを細かい机やオットマンと組み合わせるフレックスフォルムスタイルの魅力や、僕らがとても好きなラウンジチェアのGUSCIOALTO(グッショアルト)をお勧めさせて頂きました。
本来であれば、次はフレックスフォルムのすぐ後ろにあるモルテーニに伺うのですが、当日は改装中だったので、歩いてミノッティ青山店に移動致しました。
ミノッティは以前からTさまご夫妻も見てみたかったとのこと、営業担当の鈴森さんにソファ全てを案内して貰いました。
2階に置かれていた、僕らも大好きなコネリーソファは座り心地もデザインも良く、とても気に入って頂けました。
ご夫妻の横で、靴を脱いでハシャイでいるようですが、この大きな円形のシェーズロングは奥まで腰掛けるためにはこのように脚が浮いてしまいますよと注意をお伝えしている所でした…。
大きいソファばかりを見ていると、自宅サイズとの比較が難しいとのこと、ミノッティ青山店のすぐ隣にある、ミノッティブティック 青山も見学して、サイズ感を確認して頂きました。
次に見て頂いたのはB&Bイタリアです。今お使いのソファとダイニングテーブルがB&Bイタリアだったので、ソファとダイニング以外をご覧になりたいとのこと、こちらのキャビネットや…、
ウォークインクローゼットシステムの、こちらバックステージを営業担当の大山さんに案内して貰いました。クロゼットシステムには興味があると以前からお話しを伺っておりましたが、ここまで完成度が高いクローゼットは想像していなかったと驚かれていました。
最後に伺ったのは、ちょっと離れた新宿アクタスの2階にあるポリフォームのショールームです。
癖(というかアク?)の少ない、カチッとしたデザインのモンドリアンソファは、ちょうどご自宅で計画しているサイズと似たものがあり、こんなに大きなソファが入る空間になるのは嬉しいとご主人さまが喜んで下さいました。
楕円形のダイニングテーブルは、ちょうど2つ展示があったので、まずは木製天板のものを見て頂き…、
その後代理的天板のものを見て頂きました。大理石ならではの水染みのことは気になるとのことでしたが、インテリアデザインのことを考えると、やはり大理石の方が気持ちがアガるとのことでした。ポリフォームでは営業担当の三上さんに案内をして貰いました。
この日は、特別に家具を決めるためというより、最新のイタリア高級家具がどこまで進化しているかを見て頂くためのツアーでしたが、なんとなくTさまご夫妻の好みのテイストが見えてきたので、幾つかの家具を平面図に落として比較してみることとなりました。
2023.08.23
高級インテリア素材に特化したキュレーションの試み
[i-curation]
高級イタリア建材の輸入ブランドであるアノニモ・デザインの黒澤さんと、インテリアも手掛ける設計事務所のカガミ建築計画の各務(カガミ)がコラボして、i-curation(アイ・キュレーション)というインスタサイトを立ち上げました。
立ち上げのそもそものキッカケは、各務が4月後半にイタリア・ミラノの国際家具展示市(通称ミラノサローネ)に行ってきた際、二つのインテリア素材系のショールを見学してきたことです。
一つはこちらの写真のショールームで、AREAEというインテリア素材ブランドでした。石材とタイル、突板と無垢突板などを等価なインテリア素材として扱いながら、色味やテクスチャー(素材感)、艶感などを違えながら素材をミックスユーズする提案をする建材屋さんでした。AREAEについての記事はこちらです。
もう一つはこちらのはCesare Ferrari(チェザーレ・フェラーリ)です。こちらはインテリア素材と言っても、すべてが彼らが作る特注家具の素材として揃えているものですが、レザーの編込みやセレナイト(透石膏(トウセッコウ))などの日本では見たことが無い素材をふんだんに揃えたブランドでした。Cesare Ferrariについてのブログ記事はこちらです。
これらの素材に特化したブランドを見て、日本にもこのような高級インテリア建材を集めた図書館、ショップ、ブランドがないのかを調べてみました。
・「建材をさがす」テクチャー
・イプロス
・マテリアル・コネクション
「イプロス」は、建材メーカーから広告費を貰う形でホームページに掲載し、一括で資料を取り寄せられる便利さはありますが、HPでは素材の魅力は全く伝わってきません。
「テクチャー」はさすが建築家の谷尻さんが立ち上げたサイトだけあって、写真もきれいですし価格帯も良く分かり、面白い素材探しには適していますし、それらを使った事例写真も掲載されているので、素材探しには大いに役に立ちそうです。ただ、安価なものから高価なものまで、玉石混合であること、事例写真も建築家の色が付きすぎていて、素材の魅力が伝わりにくいと感じています。
「マテリアル・コネクション」はマテリアル・ライブラリーを持っているだけあって、とても面白そうです。建材にかぎらず、服飾や工業製品の素材も集めているだけあって、とにかく在庫は豊富で刺激に満ちていそうです。ただ、会員にならないとそれらにアクセスができないことや、異素材を集めることで生まれるパワーのようなものは感じません…。
どのサイトもブログに掲載したイタリアの素材ブランドを見た時のようなワクワク感がありません。
ちょうどそんなことをツラツラと考えているときに、アクタスのポリフォームナイトでイタリア建材の輸入ブランド、アノニモ・デザインの黒澤さんと話をした際に、建築家と素材ブランドが一緒にチームを組んだら、何か面白い企みができるのではとの考えてが浮かび、声掛けさせて貰いました。
黒澤さんは4年ほど前からお付き合いがあり、特にアノニモが輸入している加工レザーブランドのSTUDIOART(ストゥディオアート)と加工大理石のLithos Design(リトスデザイン)には大きな可能性を感じておりました。更に、ちょうどアクタスで話した直前に南青山の事務所で、ストゥディオアートとZimmer+Rohde(ツィマーロード)のカーテン生地の新作発表会にお邪魔してきたばかりでした。
うちの事務所は、12年ほど前から大理石を本格的に使うようになり、その後、レザーや金属などを組み合わせるインテリアを提案するようになってから、ハイエンドな家具とのバランスが取れるようになり、グレードの高いお仕事ができるようになった経験があります。高級インテリア素材の中に大理石やレザーは入れるとグレード感が桁違いに上がるので、それらの素材を以前から持っているアノニモ・デザインは良いパートナーになるだろうとの直感です。
黒澤さんの方でも、リトスの加工大理石は可能は感じているが、自分の小さな事務所だけでは販促活動をすることが難しく、中々売れていないもどかしさは感じているとのこと、是非一緒に考えてみたいとの嬉しい反応でした。
ちょうどその直後に、黒澤さんはお仕事でイタリア出張があるとのこと、上記のチェザーレ・フェラーリの工場まで見学に行って来てくれました。
イタリア出張中の黒澤さんとメールでやりとりを続けましたが、中々具体的な進め方が見つかってきません。ただ以下のことがキーワードとして挙がってきました。
- 素材選定では、キュレーション(オリジナルな視点で収集、選別、編集)することでで新しい価値を生みたい。
- 主催者側(つまりアノニモ・デザイン)が扱っている石材やレザーやファブリック素材とバッティングする素材でも、良いものだと思ったら取り入れてゆく。
- 木質、石材、セラミック、レザー、金属、ガラスなどに加えて、紙や左官といった和のマテリアルも取り入れていきたい。
- まずは勝手にこちらで良いと思う素材をリストアップしていき、素材ブランド側には了承を得ずに紹介していくが、後々は賛同者を集めてゆきたい。
- ゆくゆくはゲストキュレーターやショールーム訪問なども交えても良さそうだが、船頭は各務と黒澤の二人でしばらくは頑張る。
- この企みではマネタイズ(収益化)は考えない。
- 日本の住宅インテリアの底上げに益するサイトとして育てたい。
以上のような縛りで、まず一度あまり深く考えず、お気に入りのインテリア素材を持ち寄って集まろうとの話になり、各務がこれはという素材を持ってアノニモ・デザインに伺ってきました。
バラバラの素材の中からスクープ加工されたカラカッタ・ヴィオラ(白地に紫の模様が入った大理石)を試しに選んで、それに合いそうな素材を色味やテクスチャー、艶感などから二人でアーダコーダとお喋りしながら選んでいった所、この写真のようなイメージボードが出来上がりました。
色味としては紫と白と薄いグリーンを基調として、そこに金属質の光沢とザラッとしたカットレザー、フカフカのカーペットに荒いフローリングを合わせた、男性的な書斎、或いは寝室のインテリアが浮かんできました。
二人の前に並べているのは、裂き織りしたstudioartのレザーパネルと赤いイタリア大理石Lithos Designをヒントに金属や木材などを二人で合わせたイメージです。手法としては、天然素材である石材や木材、或いは手工素材の中から色を何種類か抜き取って、その色の近似色と反対色を選び出し、ツヤとテクスチャーを変えながらマッチングが良いものを選び取ってゆく作業を、幾度も推敲を重ねることで深みが出てくるようです。
まだ、二人で細々と月に1回の打ち合わせをして、そこで即興的に作ったイメージボードをインスタで公開しているだけですが、ここからはゲストキュレーターを知り合いの建築家やインテリアデザイナーにお願いしたり、面白い建築素材を扱っているブランドに突撃訪問して趣旨を説明しつつ、協働でユニークなイメージボードを作っていきたいと勝手に妄想しております。我こそはと思われるデザイナー、或いは建材を扱っている会社からのインスタへのコンタクトもお待ちしております!
2023.08.08
フリースタンディングバスのあるスタイリッシュな浴室/洗面
[ザ・ライブラリー]
ザ・ライブラリープロジェクトのメゾネットリノベーション中央区S邸のフリースタンディング浴槽のあるスタイリッシュな浴室&洗面をご紹介いたします。
奥に白いフリースタンディング型浴槽が見えて、その手前にまた、四周を歩き回れるアイランド型の洗面カウンターが立っています。左側に黒っぽいガラスが見えますが、その奥がシャワーコーナーで、手前に茶色い便器が少し見えています。
窓側から見ると、アイランド洗面と浴槽とシャワーの関係が判りますね。浴槽とシャワーの部分だけ床が一段落ちていて、防水を担保しています(今回は特別メゾネット住戸で水漏れがあったとしても下階のご自宅のダイニングに水が漏るだけなので、特別に在来工法防水を採用致しましたが、通常はお断りする特殊な納まりです)。
出来上がってみると、簡単に据え付けられているように見える白くて滑らかな浴槽ですが、実は単体での重量が養生を含めると170キログラム(!)もある超大物なのです。キャスター付きのワゴンと搬入用エレベーターとメゾネット上階の玄関から無事現場に搬入できましたが、ここまで持ってくるのも中々の難工事なのです。さらに浴槽の設置のためには、浴槽裏面の排水ホースを建物側の排水トラップに接続しながら浴槽を据え付けるという作業が必要になるのです。
養生を外しても100キログラム超あるので、浴槽を毛布で包んで傷つかないようにしてから、天井にアンカーで吊ったチェーンブロックを使いつつ、排水管接続しながら6人掛かりで据え付けて貰いました。少しでも場所が間違ったり、浴槽が揺れて壁タイルが割れたりしたら大事なので、現場監督の栗原さんの指揮のもとの大緊張の作業だったそうです…。
以下詳しくは、ザ・ライブラリーブログをご覧ください。