Author Archives: Kenji Kagami
2023.06.15
新しいジャクソンショールーム@赤坂を訪問
[見学記]
これまでも良く使わせて貰っている高級浴槽ブランドのジャクソンが、ショールームを赤坂に移したとのこと見学に伺って参りました。
青山の頃は、場所は便利ではありましたが、展示されている浴槽の種類が少なく、サッと寄って見て行くには楽でしたが、ゆっくりじっくり吟味しながら体験するには適していませんでした。こちら赤坂の新ショールームはとにかく広く快適で、多彩なジャクソンブランドの浴槽を堪能することができました。
場所はオフィス街の真ん中で、路面店ではありますが、予約制にしているため、軽く立ち寄るような気軽な雰囲気ではありません。ただ、その分中に入ると、外からの視線も気にせずゆっくり見学することが可能となっています。
ショールームに入ってまず最初に見えるのが、こちらの2つの浴槽です。営業担当の鈴木さんの説明では、左側の浴槽は現在販売中のもので、右側の浴槽はその元となった浴槽ですが、今は販売されていないものとのことでした。
実は、ジャクソンという会社は、元々はデザイナーであり経営者でもある清水秀男氏が立ち上げた最高級浴槽の会社だったのですが、色々な事情があって水回り製品の大手メーカーであるリクシルの手に渡っていました。ところが、また不思議な縁があって再び清水氏が買い戻すことになったという経緯があるそうで、そのことと合わせた温故知新、創業時の気持ちを持ちながら新生ジャクソンを作り出そうという気持ちを込めて、この展示を入り口に持ってきたとのことでした。
買い戻すにあたって、自社のアクリル浴槽工場のスタッフ(全員再雇用)に、浴槽の金型(アクリル浴槽はアクリルシートを金型に置き、空気を吸引して真空形成するのです)を全てきれいにして、カーブがより滑らかな形に、エッジがある部分はきれいにエッジが見えるようにと、気持ちを込めて整える所から再スタートしたとのことでした。
それを聞いてから浴槽を見直すと、確かにエッジがきれいに見えてくるのです!
フリースタンディング型の浴槽が多いのがジャクソンの特徴でもありますが、周りの仕上げ材のバルコ・カバー材も今回の再始動のために色味を変えているとのことでした。因みに、こちらのセットでは、ジャクソンのお得意技であるジェット(浴槽側面から、お湯を勢いよく出す機能)とブロー(浴槽底面から、空気の細かい気泡を出す機能)、更に特別にマイクロバブルまで実演できるセットとなっています(特別と書いたのは、お客さまに出す際にはジェット機能とマイクロバブル機能は同時に提供することができないそうです)。
こちらが新しいバルコ・カバー材のサンプルです。不整形な浴槽をこの素材を編み込みながらカバーしてゆく技術も並大抵ではありませんね…。
こちらはステンレスの部材のサンプルです。ジャクソン・マニアの人たちには有名ですが、これらの部品は全てステンレスの無垢材で出来ています。他社製品は見た目は似ていますが、皆メッキ仕上げなので、時間が経つとメッキが剥がれたりして安っぽくなるのですが、こちらは時間が経つほど存在感が増すのです。
こちらの浴槽は以前からかあるトンダシリーズの浴槽ですが、その無垢ステンレスの支柱にアタッチメント部品が取り付けられています。
白い浴槽の上に白いアタッチメントなので分かり難いですが、トレーが取り付けられています。浴槽に漬かりながらお酒・ドリンクを楽しんだり携帯置き場などにも使えそうで、バスライフが豊かになることが簡単に想像できますね…。ただ、まだこのアタッチメントは試作品とのことで販売は少し先になりそうです。
今回改めてショールームを訪問したのには、もう一つ理由がありました。それはこのイタリア製の照明器具、Firmamento Milano(フィルマメント・ミラノ)をジャクソンが販売することになったので、その事物を確認しに為でもあったのです。
カタログを拝見すると、白くて薄くて繊細な器具が主流ですが、外部デザイナーに依頼したユニークな照明も幾つかあります。こちらのシャープなスタンド型照明や…、
こちらの四角い筒状のスタンド照明などは弊社でもご提案できそうだと感じています。
実物を見ないと分かり難いのですが、表面が黒く、裏面がゴールドに塗装された板を折り曲げた折板のような造りになっているのです。
実は、ちょっと癖の強い系のフィルマメント社の照明器具は、ジャクソンショールームのすぐ隣にある、こちらのHIDEO(ハイデオ)のショールーム内に展示がされています。HIDEOはジャクソンを売却することになった後、清水さんがこれまでとは全く違った発想、素材で「浴槽文化」を作ろうと一念発起して作ったブランドです。ジャクソンではアクリルの白い輝きと美しさの可能性を広げたことに対して、HIDEOでは、樹脂系人工大理石素材のマットでシルクのような滑らかな質感と、浴槽を浴室に留まらせない使い方の提案にまで踏み込んだ、大胆不敵な(失礼!)ブランドです。
HIDEOの代表作の一つ、Theatro(テアトロ)では、お湯につかりながら劇場(テアトロはイタリア語で劇場の意)を楽しむことをコンセプトにしています。
今は、ジャクソンとHIDEOは統合され、赤坂の地で隣り合わせのショールームを持つことになり、HIDEOのショールーム内にジャクソン浴槽も展示されているので、両ブランドの浴槽を比べながら選ぶことも可能になったのです。
両ブランドの見学の後は、ジャクソン&HIDEOの創業社長でデザイナーの清水秀男さんとブランドマーケティン部部長の清水亜子さんと営業担当の鈴木さん(記念撮影前に打ち合わせで出かけてしまいました…)、ジャクソン社から独立しオーダーユニットバスブランドのVerde(ヴェルデ)を立ち上げた立花社長と、ジャクソンやHIDEOが作る浴槽文化、そしてオーダーで作るユニットバスや洗面所まで含めた水浴(みずあみ)文化にまで話を掘り下げて、2時間ほどお話しをさせて頂きました!
2023.06.13
上階からの水漏れ対応の顛末-3
[成城Z邸]
成城Z邸の上階からの水漏れの補修対応顛末のその3です。水漏れがあった空間の天井と壁の解体が終わり、水漏れ箇所の特定ができたので、復旧工事とグレードアップ工事が始まりました。
復旧工事最中の様子は割愛し、ほぼ工事が完了したところからご紹介いたしました。工事期間中の仮住まいの期間が決まっていたこと、また、工事期間中にリビングダイニングに荷物を仮置きしていましたが、グレードアップ工事と完成後7年経っての補修工事でリビングダイニングにもなるべく早くに取り掛かりたかったので、取り敢えず復旧工事が終わった時点で、検査に先行して荷物を戻す作業をして頂きました。右手で作業しているのは、ティファニーのステンドグラス製のペンダント照明を、アートに特化した専門会社に取り付け直して貰っている様子です。
以前は上部は全てオープン棚でしたが、隠したい書類等があること、引き出しを増やしたかったこと、プリンターを買い直したことなどから作り直した造作収納です。以前はスピーカーを棚の中に置いていましたが、収納量を増やすためもあって、既存スピーカーを壁付けに変更しています。ステレオ関係の配線は漏水でやられてしまったので、オーラスに依頼して配線は全てやり直して貰っています。
もとはライトグレーだったこちらの壁をライトブルーに色を変えて塗装しています。明るくなって、気分転換ができたとZさまも喜んで下さいました。
以前は左側2枚が透明ガラスだった飾り収納ですが、真ん中は内部の棚も変え、透明ガラスをカラーガラスに変えて、書類等を隠す収納に上手く変えることができました。
寝室はテレビ棚の色を塗り替えて、飾り棚も木製突板仕上げに変更しています。床はフローリングは傷みが無かったので既存のものですが、敷き込みのカーペットは汚れてしまったので張り替えています。
寝室のベッドのヘッドボードは白い枠を廻して、小さなダウンライトを付け加えました。壁の色も変わり、白い枠のフレーム効果で以前よりスッキリした印象がありますね。
クローゼットは天井の石膏ボードが張り替わり、ダウンライトの灯数も増えました。中央のアイランド上に垂らしていたペンダント照明は廃番になってしまっていたので、新しくヴィジュアル・コンフォートから選んで取り寄せたペンダント照明を取り付けます。
ペンダント照明と言っても、ちょっと複雑な仕組みで、かつ上部の鎖部分の調整で高さを変えることもできる製品なので、僕らが立ち会える日でかつ、アーテリアーズの輸入元であるベイカー@東京の梶田社長にも立ち会ってもらえるこの日に取付けとなりました。
ちょっとした知恵の輪ですね(笑)。
2時間ほどの時間を掛けて、無事取り付けが終わりました。
以前のペンダント照明とはガラリと雰囲気が変わりましたが、ダウンライトを増やし、棚下の間接照明も付け加えたことで、気分転換だけでなく、実務的にも明るく使いやすくなったと喜んで頂きました。
こちらは洗面所のメディスン・キャビネットの鏡扉に取り付けたLED照明です。大きく作り替えることなく、扉の交換と内部棚の加工だけで正面から柔らかく照らす照明を付け加えることができました。
ユーティリティーの棚です。以前は機能重視で全て白い棚でしたが、木製のオープン棚と飾り棚にプチリフォームしたことで空間が優しくなったとの感想を頂きました。
こちらは玄関ホールです。左側のビフォーでは玄関扉が灰色でいかにもな鉄扉で裏口のように見えていたのが、右の写真ではメインの玄関扉っぽくなりました。
恐らく地震の揺れが原因で、ヒビが入っていたリビングの塗装壁の塗り直しも終わりました。ミノッティのTVボードを一度取り外しての再塗装だったので、元の位置に戻して貰っています。
天井の歪みの補修と塗装のリタッチも終わり、家具を元の位置に戻すと共にクリーニングをして貰っています。
ダイニングの床下をチェックするために点検口を開けた部分の床フローリングも、どこが補修した跡なのか全くわからないほどきれいに補修されていました。
あとはミノッティで買い替えたソファが届けば、水漏れの補修工事と、それをキッカケとしたグレードアップ工事が終わることになります。とにかく今回は、不慮の水漏れ事故が起こったことをマイナスと考えず、ご自身の生活のプラスに変換しようというZさまの強いお気持ちに引っ張って貰いながらの刺激てな工事となりました!
2023.06.02
ポリフォーム・ザ・ハウス・パーティーのサプライズゲスト!
[ミラノサローネ2023]
4月後半にミラノサローネツアーを組んでくれた家具ブランドのアクタスが、サローネの報告会と扱っているポリフォームのプロモーションを兼ねた「Poliform the HOUSE PARTY」を開いてくれました。そこでサプライズゲストとして、イタリアハイブランド家具のポリフォームについて建築家の視点で話をして欲しいとのご依頼を頂きました!
アクタスの家具バイヤーとして有名な野口礼さんが前半に今年のサローネの傾向と特徴を豊富なボキャブラリーで説明してくれました。コロナ期間を除いて毎年サローネに行っているとのこと、家具マニア視点でのお話しはとても勉強になりした。
30分ほどの流れるような解説の後、サプライズゲストとして登壇して、「サローネ初体験の建築家が感じたポリフォーム」というタイトルでお話しをさせて頂きました。
まずはサローネについては、初心者にはトレンドが何だか分からないことや、どこのブランドも似た傾向があること、回っているととにかく疲れること等から話をスタートして…、
そこからポリフォームの良い点、ファミリー企業の強み、彼らの野心、そしてアクタスとの関係などについて、包み隠さず感じたことをお話しさせて頂きました。
因みにミラノサローネで見てきたポリフォームの展示、新作の屋外家具、ラボなどについてのカガミの私見は、以下のブログをご参照下さい。
・ポリフォーム・サローネ展示
・ポリフォーム屋外家具・市内展示
・ポリフォーム・ラボ-1_キッチン
・ポリフォーム・ラボ-2_クローゼット&置き家具
コロナ禍もあり、人までお話しをするのは本当に久しぶりで、おまけに徹夜で作った(ウソです)パワーポイント資料がうまく動かず、バタバタとしてしまいましたが、一旦話し出すと止まらない性格上、時間オーバー気味に話をしてしまいました。
会場は新宿のアクタスショールームの2階で、普段は家具であふれているショールームを整理して、このように多数のベンチを置いてのイベントでしたが、アクタスが予想していたより大分多い、150人以上のお客さまが来てくださったとのことです。
ミラノの北にあるインヴェリーゴという町のポリフォーム・ラボで見た、新作のブレラソファもショールームに到着しており、ポリフォーム色一色のイベントとなっていました。変に尖らず、良質なデザインでハイクオリティーの作りの家具の神髄を見ることができる家具ブランドであることを、実際に座ってみることで体感できるようになっています。
当日は、僕がサプライスゲストで話をすることを知らなかった、事務所OBのハクの後藤さんとパートナーの関さん、もちろん僕が話すことを知っていた事務所スタッフの前田君と岸本さん、そしてザ・ライブラリーの共同主催者のTAGKENの田口さんとの記念写真です。
やはり事務所OBのスギタデザインの杉田君と、以前早稲田大学芸術学校で教えた大曲君も、全く僕が喋ることを知らないで驚いくれたようです。
スタッフの竹田さんは在宅勤務中で、夕方からの時間は保育園在園中の息子さんのOちゃんを連れて聞きに来てくれました。サローネ期間中もミラノでご一緒したアクタススタッフの神山さんがダイニングテーブルについて説明している最中も、Oちゃんは堂々とイベントで出されたフィンガーフードを食べていました!
イベント終了後は、ミラノサローネツアーにご一緒した、不動産、ゼネコン、大手設計事務所、アトリエ建築家、そしてアテンドしてくれたアクタスの大岩さんと阿部さんと神山さんと一緒に打ち上げに行って夜中まで盛り上がりました!
まずは、ツアーに連れて行ったくれたアクタスに少しだけご恩返しをすることができました…。