Author Archives: Kenji Kagami
2012.08.08
特注スチール製扉の吊り込み
[杉並区S邸]
リビングと廊下、リビングと書斎廊下を区切る、特注のスチール扉の吊り込みの様子です。
六本木T邸では、横桟を何本か入れて細かい影を付けましたが、今回は空間もおおらかでザックリした仕上げを多用しているので、それに合わせてシンプルに四方に厚めの枠を回すデザインとしています。吊り込み作業は二人掛りで、ガラスをはめた状態でガラスに吸盤を付けて持ち上げています。
珍しい鉄扉の下端の様子です。四角い鉄製の部品の個所に床のフロアヒンジを組合せて、その部分を中心に扉が回転します。因みに、扉は錆び防止塗料で塗られた状態で、まだ最終的な色になっていません。
こちらが床に埋め込まれたフロアヒンジです。フローリング材でカバーしていますが、その下に機構が隠されています。
こちらは天井で吊っている個所の様子です。ガラスが入っていますが、まだ押し縁も横だけが留められた状態で、竪は固定されていません。
押し縁を留めた時点で、この変性シリコンを押し縁とガラスの隙間にシールしてゆきます。
因みに変性シリコンは通常のシーリング材と比較すると、シールした上から塗装することができる代わりに、経年変化による劣化(ヒビ割れ)が起こりやすいことが特徴です。今回は室内使用で、防水などの機能を負っていないので、色味を考えて採用しています。
完成後の様子は杉並区S邸をご覧ください。
2012.08.04
高級オーダーキッチンの組み立て-2
[杉並区S邸]
高級オーダーキッチンの組み立ても二日目です。
写真右手がキッチンの組み立て様子で、その手前や左手では家具の取付けや、スチール扉の取付けも同時に行われています。
先日は白い箱だけだったものに、突板の扉と人造クオーツ大理石が組み合わさってくると、急に空間に質感が生まれて、引き締まってくるのがよく判ります。アイランドカウンターと貫通するパイプの取り合いも良く判ります。
クオーツストーンは他の人造大理石のように溶接はできませんが、きちんと計画通りに寸法が取られているので、ピッタリと納まっています。灰色の丸パイプとカウンターの間には1センチほどの隙間がありますが、これは後日丸パイプに曲げベニヤとFGボードを張り付けてゆくことで消えてゆく隙間です。
こちらが、先日現場で八木監督が曲げて、テープで形を保持してくれていたFGボードです。これでキッチンカウンターの丸パイプをカバーしてゆきます。
こちらはリビングに元々あったニッチを使った造作家具を納めている様子です。コンクリートの壁とピッタリ合わせて、カーテンボックスとの取り合いも考えながら、ピアノヒンジという珍しい(ピアノのフタに使われるヒンジ)を使って扉を吊り込んでもらっています。
先回のブログでも紹介した、ダイニングの変形造作家具です。現場に合わせて微調整して貰った幕板を壁や天井と同じ白色塗装で仕上げて貰うと、大分違和感もなくなってきました。
書斎廊下のベンチにも、蓋が付きました。こちらもピアノヒンジとステーを使って納めて貰っています。収納内部は桐の突板を使うことで、吸湿性を持たせています。
ベンチの反対側にある本棚も塗装がほぼ終わり、完成しました。廊下に面した子供部屋の内部壁はピンクと青の色で塗られているので、扉を開けていると、その色が廊下にも沁み出してきて、楽しげな雰囲気を醸し出してくれます。
電気屋さんがこちらが書いた電気関連のプロット図(照明・コンセント・弱電)から書き起こしてくれた、分電盤のメモです。これを基に分電盤のスイッチへと線を割り付けていってもらいます。キッチン完成後の様子は杉並区S邸をご覧ください。
2012.08.03
高級輸入キッチンの組み立て開始
[杉並区S邸]
杉並区S邸のリノベーション現場もいよいよクライマックスを迎えようとしています。
待ちに待ったキッチンの搬入、組み立てが始まりました。このプロジェクトは、元々時間の余裕がない中で始まり、スケジュール的にも色々とポイントがありましたが、その中でも一番問題だったのがこのキッチンなのです。
ドイツ製の高級輸入オーダーキッチンのデコピック社のキッチンなのですが、輸入に時間が掛かるので、まだ間取りや最終的な工事金額が決まっていない段階で発注しなければならないという状況でした。この写真にある通り、アイランドカウンターを配管が貫通することは決まっていましたが、その位置も決まっていませんでした。
ただ、輸入キッチンではありますが、天板のシーザーストーンだけは日本で加工できるとのことで、発注後の墨出し時の確認などで、ある程度のバッファーを考えながらキッチンレイアウトを調整して貰ったので、何とかきれいに納まりそうではあります。
大型キッチンなので、組み立てに3日掛かるとのことで、ここから徐々に精度を上げながら組み上げていってくれます。写真のように、全ての箱キャビネットに高さ調整が可能な脚がついているので、これらを微調整しながら、レベル(平行性)を取っていってくれます。
キッチン以外の部分も着々と進行中です。こちらは書庫廊下にある書見用のベンチです。背面に余ったフローリングが張られました。フローリング材などは、不良品があったり、張る形(つまりフローリングを張る部屋の形)などの関係で、張る部分の面積より多め(10~15%程)に発注するのが一般的です。お施主様と施工会社の了解を得て、良さそうなフローリング材が余っていたら、それを張って貰う約束で、このようなデザインが実現できました。
先日の打ち合わせで選んで頂いた色の塗装も進んできました。この空色の部屋は男の子の部屋です。因みに女の子の部屋もオーソドックスに可愛らしいピンクで塗られ始めていました。これまで二人は同じ部屋で寝ていましたが、引っ越しをキッカケに別々の部屋で寝ることになるのでしょうか…
こちらは朱色をアクセントに使った来客用トイレの内装です。塗られた壁は、設備の給排水ルートとの関係で背面の壁から13センチほど出っ張っています。袖の部分に間接照明を入れて、印象的な空間にする予定です。
最後の写真は、ベランダで現場監督の八木さんが不思議な作業に取り組んでいる様子を紹介します。水を張ったプールにFGボードを浸して、少しずつ曲げる加工をしてくれています。奥に見えている物がその成果物ですが、キッチンを貫通する丸パイプをこの曲がったボードで囲って隠してゆくことになっています。暑い中の作業、お疲れ様です!