Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

塗装パネル壁の作り方@品川N邸

品川N邸

日本の住宅(戸建てでもマンションでも)では、壁の仕上げといえばビニールクロスが一般的です。それが塗装だったり、クロスの模様やパターンにコダワリがあることはありますが、フラットな仕上げになることがほとんどです。
今回リフォームのお手伝いをしている品川N邸では、もう少し立体感のある塗装仕上げのパネル壁を作ろうとしています。

ウォール・パネリング

こちらはアメリカの設計資料集成(設計や工事のプロが見る参考書)に当たるArchitectural Graphic Standard(アーキテクチュラル・グラフィック・スタンダード)のウッド・パネリングのページです。
元々はきれいな木目の板が大きなサイズで取ることが難しかったので、規則的なサイズの木パネルにリズムをつけて装飾化してきたものがパネル壁の始まりのようです。僕、各務がニューヨーク時代に修行していたCicognani Kalla Architects でも、大きな壁は立体的にパネル仕上げとして塗装で仕上げることが多くありました。

パネル壁

収納や建具などのサイズに合わせてパネル壁下地を作り、

塗装仕上げのパネル壁

最後は塗装でこのように仕上げてゆきます。

塗装用パネル壁の下地

こちらがその下地のディテールです。石膏ボードの上に木製の帯状の装飾部材留めて、全体が均一に仕上がるようにパテ処理をします。こちらでは左側が建具で、右上の凹んだ部分が収納扉になっています。それほどの大きな凹凸ではないのですが、仕上がって光が当たると立体感のあるきれいな壁に仕上がるのです。

パネル壁造作手順

品川N邸では、玄関ホールの正面壁とダイニング横の壁にパネル壁を作ります。そのプロセスですが、まずは塗装してもアクが出てこないシナベニヤ板を壁に張ってゆきます。その際、ベニヤ板の継ぎ目がパネルの帯材で隠れる位置に来るように調整しておくことが重要です。

パネル壁造作手順

事前に墨出ししていた位置に、栂(ツガ)の無垢材を帯状に加工したものを接着剤と隠し釘で固定してゆきます。

パネル壁造作手順

レーザー等を使って直線状かつ直角に仕上がっていることを確認してゆきます。

パネル壁造作手順

下地が組み上がった玄関ホール壁です。

パネル壁造作手順

間近で見ると、このようになっています。小さな穴が隠し釘の穴です。

パネル壁造作手順

少しデザインを変えたダイニングの壁パネルの下地も組み上がっています。

パネル壁造作手順

次は塗装屋さんの出番となります。継ぎ目や隠し釘の穴をパテ埋めし…、

パネル壁造作手順

木材のアクを防ぐシーラーを塗ったうえで、

パネル壁造作手順

全体をローラーで塗り上げてゆきます。

パネル壁造作手順

一通り塗り上がった後は、周りを養生したうえでスプレーで塗装して、 ダイニング壁の完成です。

パネル壁造作手順

そして、こちらが玄関ホールのパネル壁の仕上がりです。
品川N邸では、他の壁はクロスだったり、石張りだったりとバラエティーに富んだ仕上げとなる予定ですが、これらの塗装パネル壁が空間の中でどのように見えてくるか、設計した僕らも今からとても楽しみにしています!

施主検査立ち合い@松濤D邸

松濤D邸

ようやくリフォーム工事が完成した松濤D邸のお客さま検査(施主検査)にデザインアドバイザーとして立ち会って参りました。

工事途中の段階でも幾度か見学に来てくださっていたDさまには、それほどの驚きはなかったようですが、それでもとにかく質感のある気持ちよい空間に生まれ変わったこと、喜んでくださいました。

施主検査への立ち合いなのですが、実際には弊社の担当の前田君と僕、各務が1時間半ほど前の時間に現地に入って、気になる個所にフセンをつけて、それをどのように補修してゆくかをリフォームキューの森井さんと高橋さんに相談しておいた上で、チェック項目をDさまに確認して頂くという流れになっています。

こちらの玄関ホール空間もとにかくカッコよくなったと喜んで頂けました。良く写真を見て頂くと、所々に青や赤のフセンが張られています。

ダイニングからキッチンの入り口部分では、ビニールクロスの巻き込みが上手くできていない箇所があったので、そちらを説明させて頂きました。

ダイニングのこのワインセラーコーナーは、特に仕上がり感を気に入って頂けたようです。

こちらは、照明器具のうち壁際に設けているダウンライトがユニバーサルタイプといって、光の向きを変えられるタイプなので、実際に各務がその調整をしている様子を確認して頂きました。

完成した洗面所の収納なども確認して頂きました。

洗面カウンターの仕上がりとしてはこのようになりました。

床段差がなくなり、廊下からフラットに入れるようになったトイレは、使い勝手もさることながら、既存の手洗いボウルや水栓、更には間接照明器具なども裁量したデザインも気に入って頂けたようです。

シャワー室の前の脱衣コーナーに作ったミニ手洗いカウンターです。

Dさまが事前に購入して現地に配送して下さっていた既製品のメディスンキャビネットを取り付ける高さを確認して頂きました。

こちらは来客用トイレに飾る鏡と、お手持ちのアートをどのように飾るかを確認して頂いた様子です。

変形の出窓に沿って作って貰った机とカウンターが一体になったものも、きれいに納まっており、無駄なスペースが上手く使えそうだと喜んで頂けました。

その上部にはお手持ちの棚を取り付けたいとのことで、これも持ってきてくださった棚を実地で壁に当てて…、

この高さに取り付けることを決めて頂きました。

スケジュール的にDさまが現場に来て頂けるタイミングで、急ぎで検査を行ったので、清掃作業が入っていたり、まだ未完成な部分が残っていましたが、特に玄関ホールからリビングダイニングという動線上の空間は本当に良くなったと喜んで頂けました!

最後に、恒例の(?)お客さまとの記念撮影をさせて頂きました。ここまで頑張ってくれたリフォームキューの森井さんと高橋さん、そして弊社担当だった副所長の前田君、どうもお疲れさまでした。そして、リノベーション済みマンションのリフォームというとてもユニークな機会を作って下さったDさま、どうもありがとうございます。
大変お待たせいたしましたが、リフォーム工事の完成、おめでとうございます!

豪華玄関ホールの広尾O邸リフォームのお引渡し

広尾O邸

デザインアドバイスでお手伝いしてきた広尾O邸の工事完了して、お引渡しに立ち会って参りました。

玄関ホールのリフォーム広尾O邸

何より広く、高級感のある豪華な玄関ホールを室内に実現したいとのお客さまのご希望で実現したのが、こちらの空間です。
大きな間取り変更はせず、シューズ・イン・クローゼット(SIC)を一部削っただけで、この広いホールが確保できました。SICを回り込んでいた廊下分の面積を玄関ホールに 加えることができたのです。

玄関ホールのリフォーム広尾O邸

反対側からの写真です。左奥のガラス扉の先がリビングで、右側の廊下の先がプライベート空間となります。
大理石をふんだんに使えば、確かに豪華絢爛な空間になりますが、どこが見せたい部分なのか、判らなくなってしまいガチです。こちらの写真を見て頂くと、実は玄関扉側の壁には大理石を使っていないことが判るでしょうか?色味のあったビニールクロスをパネル張りにした壁と姿見の鏡となっています。メインの壁も扉が2枚ありますが、完全に隠すわけではなく、やはり色味を合わせた塗装仕上げの扉として、石張りの目地と合わせた位置に特注の取っ手をつけて、アクセントとしています。

広い玄関ホールを実現する場合、どこで靴脱ぎ線を持ってくるかのデザインが難しくなります。玄関扉の所で床を上げて、フルフラットにしてラグで靴脱ぎラインを作ることもあるのですが、今回は室内に同じ大理石の磨き度合いを変えたタタキを作り、斜めカットした同材の框(カマチ)で土間を作りました。

玄関ホールのリフォーム広尾O邸

施主検査で、ご夫妻で玄関ホールを見て下さっている様子です。

先ほどのガラス扉の先のリビングダイニングキッチンがこちらです。計画途中までは、部屋のサイズに対してキッチンが大きすぎるので、レイアウトを変更する案も考えておりましたが、まだ比較的新しく、十分使えるキッチンでしたので、一部お化粧直しをしたうえで、再利用することになりました。
こちらのLDKでは、フローリングとクロス全面の張り替え、折り上げ天井への間接照明取り付けと正面壁の右側の飾り棚設置のお手伝いをいたしました。

こちらがその飾り棚です。その右側の収納扉は、新しくデザインしておりましたが、製作が間に合わず、別日での取付けとなりました。

玄関ホールのリフォーム広尾O邸

マンション共用部玄関がとても大きく豪華なのに、室内に入った途端所帯じみた空間になってしまうことを残念がっていらしたお客さまでしたが、今回のこの玄関を中心としたリフォームには、とても満足して下さいました。
最後に、設計施工をお願いしたリフォームキューの設計&営業の上山さん、現場監督の滝川さんとお客さまとで記念撮影させて頂きました。
まだ、幾つかの未成工事や、追加になった工事がありますが、マンションリフォームの完成、どうもおめでとうございます!