Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

遠隔地での工事監理の進め方

関西I邸

ここ数年、東京エリアを離れた関西でのお仕事が続いています。工事着工までのお打合せの方法は、ショールーム見学等が違う事、弊社事務所に来て頂いての打ち合わせがお願いしにくいので、大量のサンプルを持参しての打合せとなること以外は大きな違いはありません。
ただ、工務店探しから工事着工後の現場監理の方法は中々大変なところです…。

吹き抜け天井の骨組み@関西I邸

工事が始まってからの現場監理は、月に1回か2回程度になります。東京の港区や千代田区、渋谷区等の主戦場エリアでは、最低でも週1、重要なタイミングが重なると週2で現場に行くこともあるので、1回の重みが変わってきます。こちらの写真は現時点での工事現場写真です。

解体が始まった現場で最初に僕らが現場に行くタイミングは、浴室設置部分の確認となります。これは遠隔地でなくても同じですが、特にオーダーユニットバスを採用する現場では、ユニットバスが入らないと現場が進まなくなってしまうので、その寸法や排水勾配天井の高さなどを、当該箇所が解体されたすぐにチェックしに行くようにしています。

オーダーバスが発注できれば、その後はそこまで急がないで、解体工事が完了して、仮墨み(床に墨糸で壁位置を仮に印すこと)が出た段階での調整のために行くことになります。オーダーユニットの寸法確認の際は、僕ら設計だけでよいのですが、この仮墨から本墨を出す段階では、多少の寸法のずれをどこで吸収するかなどの判断も生じるので、お客さまにも立ち会ってもらうようにしています。
ここから先しばらくは、現場に行きたい気持ちはあるのですが、(お客さまへの交通費のご負担も掛かってしまうので…)しばし我慢して、現場写真とメールや電話のやり取りで監理を進めます。最近は現場に広角ビデオを設置して、見たい時には東京から現場の様子を何時でも確認できるような装置を入れることもあるそうです。

次に現場に行ったのは、解体確認後ひと月半ほど後で、空間の骨格が見えてくる壁下地の立上りのタイミングとなります。ここでは、お客さまと一緒に現場を回りながら照明スイッチやコンセントの位置を確認していきます。また、壁下地が立ち上がったことでキッチン設備の現場寸法も出せるのでオーダーキッチン屋さんとの現場打ち合わせも同じ日に行いました。

吹き抜け天井の骨組み@関西I邸

次に伺ったのが、今回ブログを書いている回となります。今回の現場訪問の目的は現地確認と施工側との現場打合せがメインとなります。

造作家具の図面打合せ@関西I邸

現場監督のHさんと工務店のKさんと一緒に発注前の造作家具の最終チェックを行いました。ここまでも3回ほどメールと添付ファイルでやり取りを進めてきましたが、やはり口頭でなぜそのようにしたいのかを説明しないとお互いが理解・納得しないと造作家具のGOサインが出せないだろうとのことで、直接会っての打ち合わせを実施しました。

造作家具の図面打合せ@関西I邸

最後の赤チェックを入れた図面を工務店側が帰社後スキャンして送ってくれたものがこちらです。

吹き抜け天井の図面チェック@関西I邸

リビングダイニングの高天井に張る木製ルーバーの寸法図とディテールは、現場監督のHさんが書いてくれたものです。

吹き抜け天井の骨組み@関西I邸

これも現地で、天井の状況を見ながら、どこからどのように施工してゆくかを説明して貰い、納得の上GOサインを出させて貰いました。

吹き抜け天井の骨組み@関西I邸

こちらはキッチンの給排水管の設置状況です。こういった設備項目については、相当に正確な施工図のやり取りがあるので、僕ら設計が寸法をチェックしないでも大丈夫なのですが…、

床暖房範囲図@関西I邸

床暖房のパネル割などは、直接なぜそのように変更したいのかを説明しながら寸法を決めてゆく方がスムーズに決まるのです。現場側は効率的な作り方に対しては、すぐに理解して進めてくれるのですが、設計側がお客さまの使い勝手やデザイン的なことから、ワザと効率が悪く思えるような指示図を出すと、理解に苦しんで迷ってしまうことが多いのです。

吹き抜け天井の骨組み@関西I邸

こちらは主寝室の天井のLGS骨組みです。最終的には簡単な天井になりましたが、当初は三次元的な立体造形を考えていたので、そういった部分の確認も図面より実地の方が分かりやすいですね。

吹き抜け天井の骨組み@関西I邸

先回の現場打ち合わせで、まだ壁が立っていなかったカ所で、暫定的に張っておいた照明スイッチの位置が、図面通りに反映されていなかったカ所なども、チェックして回りました。

この写真では伝わらないのですが、天井の形状が三次元的になっているロフト収納についても、現場監督のHさんに寸法を測って貰っていたのですが、図面化しようするとどうしても整合性が合わない個所が出てしまうので、竹田さんとHさんで一緒に確認して貰いました。

仕上げ材の最終決定@関西I邸

この日の最後には、先ほど赤チェックした造作家具の図面と一緒に仕上げ材サンプルを持ってお客さまの仮住居に伺って、仕上げのイメージで伝わっていなかったカ所の確認をさせて頂きました。

お客さまのお宅では、仮に荷物を詰めた部屋がどうにも整理できなくなってしまい、このままこの荷物をリノベーション後の自宅に持って帰るのが不安だとのご相談を受けました。これらの収納場所や片付け方法を考えるのは、僕らの能力の範疇を超えそうなので、プロの収納コンサルタントの方に入って貰うことをご提案させて頂きました。

とにかく現場に行く頻度が少ないと、その分1回1回の現場打ち合わせの密度が濃くなります。今回も午前10時から午後4時までの長丁場となりました。次回の現場は約1か月後に床フローリングが張り終わるタイミングを見計らって、監理に行く予定となりました。