Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

完成予想CGと素材とディテール@西麻布N邸

[西麻布N邸]

スケジュール的な余裕とお客さまからの強い要望(実際にはそれに加えて外注でお願いする費用も)があれば、ある程度リノベーション設計が進んだ時点で完成予想CG(コンピューターグラフィックス)を作って、お客さまにご提示するケースがあります。

延べ床面積が230平米ある、こちら西麻布N邸のお客さまからは家具や照明などの細かい事もCGを見たうえで決定したいとの強うご要望を当初から頂いていたので、素材のイメージを固める当初の段階からディテールまで検証したうえで、このようなCGを作って貰っておりました。
例えば、このCGの右奥に見えている真鍮で目地を取ったうえで、大理石をランダムに張っているデザインをCGで作ってもらうためには、

具体的にこの程度の素材を決めた上で更に、

大理石と真鍮目地の凹凸(今回のケースでは、目地棒をチリ1ミリほど大理石パネルより出っ張らせています)やコーナーの納まりまでを考えたうえで、外注のCG会社にお願いしております。

当然ながら、ここまで持ってくるためには、幾度も素材やプランについて、お客さまと打ち合わせを重ねて参りました。初めてできたCGをお見せすると、Nさまもとても喜んでくださいましたが、見慣れてくるとその中に好きでない要素が見つかってきたり、色味を変えて欲しいといった微修正のご依頼が重なってきます。上記のCGができるまで、4度ほど作り直しをして貰っています。

こちらが階段の反対側から見たアングルのCGですが、まだ階段の形状や手すりのデザイン、天井の照明配置などが間に合っておりません…。CGを作ると、どうしてもそのCGイメージに対するお客さまの満足度を高めることが目の前の目標になってしまいがちなので、実際の素材探しやディテール設計が後回しになってしまいがちなのです。
CGに入れ込んでいる置き家具についても、実際にミノッティやフェンディの家具をお客さまに見てもらった上で、仮に落とし込んでもらっております。

ただ、今回はスケジュールの縛りもありますし、二社での相見積をとのご希望でしたので、担当スタッフの前田君が全ての建具とその枠廻りについて、このような詳細スケッチを作ってくれております。

CGイメージを作っていない空間についても、(この場合は来客用トイレですが)具体的なタイルやカウンター素材も検討を重ねています。図面も一通り揃ってきたので、次の段階で二社にずれたタイミングで現場に来てもらって、現調と図面の意図を説明したうえで見積りを作って貰う段階に入ってゆきます。

アンカー打ち禁止の天井スラブに各種設備を吊る方法について

[世田谷区Y邸]

比較的新しいマンションでは、スケルトンリノベーションにする場合でも、新規に天井スラブにアンカーを打つことが、管理規約によって禁止されているケースが多くなってきました。
間仕切りの位置を変更すると、それに合わせて天井カセット式エアコンや各種設備を移設する必要が生じてきます。重量があったり、稼働する際に振動があるものについては、それなりにしっかりと固定する場合に役に立つのがダクターチャンネルです。

世田谷区Y邸の書斎の天井を下から見上げたアングルの写真です。新しくアンカー打ちすることなく、ダクターチャンネルを二重に使って、元のアンカー位置から隠蔽式エアコン(手前)と天井カセット式エアコン(奥)を移動していることが判るでしょうか?

こちらはキッチン天井の天カセエアコンをダクターチャンネルを使ってアンカーボルト位置とずらした位置に固定している様子です。

ダクターチャンネル自体は、このようなシンプルなものです。今回はなるべく天井高さを確保したかったので、一番薄型の15ミリ×40ミリのものを使って貰っています。X方向だけでなくY方向にも動かすと、この厚みが2倍に必要になるので、当初よりは30ミリほど天井が下がってしまいますが…。

こちらはより複雑に設備が絡み合った洋室1の天井裏です。キッチンの排気と隠蔽式エアコンと天井カセット式エアコンが絡み、それらのドレイン管や冷媒管、さらには黄色いスプリンクラーの管などが入り混じって、大変な混雑となっております。

こちらはキッチンの天井裏ですが、ダクターチャンネルを使っても、納まりきらない個所が出てくるのではと恐れておりましたが、現場の斉藤さんが頑張って全ての設備を整理してくれたお蔭で、何とか当初の天井高さを確保することができたようです。
因みにアンカー打ち禁止の天井スラブにLGSランナーを固定する方法についてはもブログ記事を書いていますので、こちらもご覧ください。

この日は、間仕切り壁も全て立ち上がってきたので、コンセントとスイッチ位置の最終現地確認とのことで、お客さまご夫妻にも立ち会って頂きました。青の斉藤さんと片岡さん、うちの岩井さんと一緒に全ての部屋のスイッチとコンセント位置を高さも含めて確定することができました。

ちょうど当日にオーダーで東京バススタイルにお願いしていたユニットバスが組み上がってきました。

奥さまが使われる手すりと拡大鏡の位置だけがまだ未定でしたので、実際に奥さまに浴槽に入って頂き確認して頂きました。

LGSの壁下地は、以前と比べてもあまり変化していないように見えますが…

床下に隠れてしまう給排水管は全ての位置が決まり、

必要な箇所には、LGS間に断熱材の敷設も進んでおります。

現場に並んでいたこの不思議なムカデのようなものは、

遮音置床下地の際根太(キワネダ)です。部分的に断熱材を削ることになってしまいますが、壁際から躯体と少し離してこの際根太を丁寧に設置してゆきます。

当日は午前中から家具と建具の打ち合せもあったので、両者を青の下請けとして指名してお願いしている現代製作所の藤田さんとカガミ建築計画の担当スタッフの岩井さんが打合せをしてくれました。この日は、朝9時半から現場に入って、現場定例打合せから午後のお客さまの視察立ち会い、ゲストルームでのお打ち合わせで、結局5時間半現場にいたことになります。

アートがふんだんに飾られた成城Z邸の一年点検

[成城Z邸]

昨年6月にリフォーム工事の竣工とお引渡しをしていた成城Z邸に少し早目の一年点検に伺って参りました。

実は、僕らが伺う数日前に、工事をお願いしていたリフォーム会社の担当者の森井さんが現地を訪問して、一通り補修が必要な箇所をチェックしてくれていたのですが、お客さまから僕らにも見ておいて貰いたいとのことで、伺った次第です。
本来ではあれば、限られた時間の中、すぐにチェックを始めるべきだったのですが、新しくダイニングチェアも入って、シックさが増した素敵なリビングダイニングを拝見して、チェックを後回しにして写真撮影をさせて頂きました。因みにダイニングチェアもダイニングテーブルと同じくサァラ麻布が扱っているセンチュリーの家具です。

既に森井さんのチェックしてくれた個所は、ほとんどが塗装の問題でしたので、塗装屋さんが補修用の道具を持って現場に来てくれていました。

玄関横のステンドグラスは枠なしで塗装で納めてもらっていたので、少しのヒビが入っていました。

幅木の入隅個所もコーキングが痩せてしまったようで、新たにコーキングを売って貰いました。

検査をする一方、ダイニングのニッチコーナーには新しく素敵な鏡が飾られていたので、こちらも撮影させて頂きました。モールディングとケーシングがしっかりとしたインテリアなので、このくらいクラシカルな鏡でもバランスが上手く取れておりました。

ギャラリー廊下には、お客さまからもとても素敵に仕上がったと伺っていた屏風絵がきれいに額装されて飾られていました。以前のブログでも書いておりますが、代々Z家に伝わっていたものだそうで、アート額装のプロの方に木製枠や取り付け方法も相談して飾って貰ったものです。

灰色ベースで少し落ち着いたイメージの寝室にも、素敵なテーブルランプとペルシャカーペットが壁に飾られ、より落ち着きをましていました。

大型のウォーク・イン・クローゼットには、天井付けの光り輝くシーリングライトが点灯され、こちらは華やかさがプラスされておりました。

書斎の飾り棚には、このような宝飾品が飾られて、まるで高級宝飾品店のようにディスプレイされておりました。お客さまのZさまは、とにかく毎日家に帰るのが楽しみだとのことで、これからも少しずつインテリアを整えてゆきたいので、協力してく欲しいとのご依頼を受けました。
因みに、一年点検もしっかり行って、当日だけでは補修が出来きれない個所も見つかったので、そちらについてはリフォーム屋の森井さんにしっかり手直しするようにお願いしておきました。