Author Archives: Kenji Kagami
2017.05.10
ハーフユニットバス研究@白金台H邸
[白金台H邸]
白金台H邸プロジェクトでは浴室はハーフユニットバスを使う予定です。当初はいつも使っているTOTOのハーフユニットバスを検討しておりましたが、サイズが1616(イチロクイチロク(1600ミリ×1600ミリの外形サイズ))か1620(イチロクニイゼロ(1600ミリ×2000ミリ))しかバリエーションが無いことから、日比野化学工業のハーフユニットを使うことを検討していました。
こちらが先日、実際の浴室個所に設置された日比野化学のハーフユニットバスです。ただ、今まで使ったことがない会社の製品で、かつ東京にはショールームもなく、実物を見ることができる場所もないとのことだったので、本社がある岐阜まで行って参りました(と言っても、実は大理石の倉庫見学で岐阜を訪問する機会があったので、そのタイミングで見てきたのですが…)。
岐阜県安八郡にある本社の2階倉庫に展示されているハーフユニットバスの実物です。腰上に木板を張っているので、パッと見が和風に見えますが、浴槽が少々小さ目なこと以外は癖もなく、問題がなさそうでした。
ライニング部分です。当然水栓類はほとんどの会社のものが取り付けられるとのことでしたし、追い炊き用の循環孔を取り付けることも問題ないとのことでした。
こちらの会社のハーフユニットバスの一番の魅力は、サイズのバリエーションだと思っております。1216、1317、1616、1818、1620と揃ており、価格もとてもリーズナブルなのです。展示スペースには他にも色々なユニットバスやシャワールームの展示がありましたが、僕らの事務所で使えそうなのは、残念ながらこちらのハーフユニットバスだけでした…。
さて話が戻って、こちらが白金台H邸の現場に設置されたハーフユニットバスです。
洗い場の防水パンと浴槽部分は2つに分かれておりますが、このようにしっかりと連結されております。
スタッフの岩井さんがチェックしている様子です。水とお湯だけでなく、追い炊き管も準備して貰っておりますが、実はベランダの給湯器から室内へのコンクリート壁のスリーブ空けの許可が下りていないので、その工事ができるまでは追い炊きは我慢して頂くことになっております。とはいえ、浴槽にお湯を張るのはひと面倒なので、リクシル社の定量止水(ある量のお湯を入れたところで自動的にストップする)でデッキタイプの水栓を付けております。
設備工事に関連して、かつての主寝室横の浴室&トイレコーナーの床の排水管を刷新して貰っています。こちらは、大型のウォークインクローゼットにする予定ですが、後日シャワーやトイレを設けたいということになった場合のための将来配管という意味です。
こちらのマンションは、全ての排水管が床スラブを貫通して、下階の天井裏を通って共用の排水竪管へと流れる仕組みとなっています。近い将来には、全ての配管をやり直す予定とのことを管理会社から聞いていたので、その時に下階の天井裏から排水管をやり直す際に、スラブ上部分だけ古い配管が残ることを避けるために、配管とコンクリートスラブの間に詰めてあったモルタルを突いて落として、下階の横引き配管との接合部から上をVP管に付け替えております。なお、この工事の際には、下階の居住者の方に連絡して、音やホコリが落ちる可能性を伝えて貰ってから工事を進めて貰いました。
玄関横の来客用トイレの床埋め込み排水管もやり直してもらいました。
因みに、床コンクリートスラブに埋め込まれていた鉄管を穿り出して、掃除機を孔から差し込んで下階の天井裏を清掃しながら、新しいVP管の排水管の更新する作業を現場監督の高橋さんが順繰りに撮影してくれた写真がこちらです。
他の空間のリフォーム工事も順調に進んでおります。リビングダイニングの天井の石膏ボードがほとんど張り上がり、
ダイニングの天井部分には、天井裏のダクトとの関係で浅型になってしまいましたが、照明ボックスが付きました。
クロス巻き込み仕上げなので、このようにスリットを入れて、見切り線としています。
廊下の溜まり部分も天井下地が組み上がってきていました。
【追加工事】
その後、工事内容を見返していた際に、上記のコンクリートスラブ貫通カ所の排水管交換ですが、本来は防火区画の貫通部分で耐火被覆をしておくべきことに気が付いたので、工事をお願いしているリフォームキューにそれぞれの排水管がスラブを貫通している個所を露出して貰って、耐火被覆材のフィブロックを巻いて貰いました。
来客用トイレの排水管は、スラブ上に直接タイルを張って仕上げていたので、便器を取り外してもらって、タイルを四角くカットして、スラブ貫通部が露出するまで周囲のコンクリートを解体して貰いました。写真右上のフィブロックは後施工で耐火被覆が可能な製品なので、それを巻いた上でモルタルで隙間を詰めて貰いました。
こちらは洗面所のカウンター下ですが、元々点検口を作っていたので、そこから床下地を剥がして、配管を露出させたうえで、フィブロックを巻いてモルタルで埋め戻してもらっています。
2017.05.05
ビフォーアフター写真集@横浜A邸
[横浜A邸]
先日リフォーム会社が施工検査をして、その是正工事があらかた終わったとのことで、お客さまのAさまと不動産会社のNさまと一緒の施主検査にデザインアドバイザーとして立ち会いをして参りました(本来の設計監理業務であれば、設計者検査という役割があるのですが、デザインアドバイス契約の場合は施主検査への立ち会い業務となるのです)。その検査立ち会い後に写真撮影をさせて頂きました。
こちらはリビングから玄関ホール側の扉を見返したアングルでのビフォー&アフター写真です。ほぼ空間の形は変わっていませんが、多様な素材を使ったことで、陰影が生まれて、空間の各コーナーの性格がよりハッキリしてきたと思っております。
こちらが検査立ち会い時の様子です。キッチンの使い勝手を力説しておりましたが、実際は皆さま窓の外の景色を眺めていましたね…。
玄関ホールのトラバーチンは、孔が空いているのが特徴の大理石ですが、孔が大きいとみっともないので、どのサイズであれば埋めて貰うか残してもらうかを判断する基準を青のテープで貼っておいたものを確認して頂きました。
これまでの僕らの経験では、それほど重視してこなかったウォーク・イン・クローゼットですが、今回はダークな壁色にウルトラスエード張りの天板付きのチーク突板アイランド家具、そして間接照明と費用も掛かりましたが、費用対効果も良かったことをご説明いたしました。
ビフォー・アンド・アフターの写真は、まずは共用廊下から玄関を入って最初に見える景色からです。以前のオーナーさまも、鏡を張って玄関ホールを広く見せていましたが、却ってそのことでどのような形の空間かが判らなかくなってしまっていたので、両側の壁の質をキッパリと分けて(片側はトラバーチン張りの壁、もう片側はダイノックシート張りの収納)、その壁が袖のガラス壁の先まで伸びていることを見せながら、ウォールナット張りの両開き扉で迫力ある空間を演出してみました。
玄関の見返しですが、以前は沓脱スペースを、収納を伸ばすことで作ってありましたが、そのことで空間がデコボコになっていたので、収納を削って、玄関先には何かと便利な小物入れとニッチ状態の飾り棚を作っています。木目調の玄関扉と枠もあまりに普通のマンションらしく見えるので、枠にはステンレスの板を取り付けてシャープに見せて、壁にはチークフローリングを張って、ひとつの面としてデザインしています。プライベートの廊下の方までトラバーチン壁が伸びていることで、以前より大分空間が広く感じられるようになりました。
先ほどの玄関ホールからのウォールナットの扉の先のリビングから見返した写真です。広すぎる玄関ホールを縮小することで、両開きの扉位置を後ろに下げて、扉を開けっ放しにしてもリビングの動線を妨げないようにしています。スチールの建具枠、玄関ホール床の磨きタイル、左側の壁のマットなタイル、黒いクォーツストーンの質感、天井の羽目板張り、壁の小口まで張ってあるトラバーチンと多様な素材が絡み合うことで、リッチな空間に生まれ変わったと思っています。
空間のレイアウト上、一番変わったのがこのダイニングキッチンです。以前か壁側にレイアウトされていたキッチンですが、真反対に窓側へと大逆転させています。かつては、ダイニングから各個室に行くためには、キッチンを通り抜けることになっていましたが、このレイアウトになったことで、そのような不便がなくなり、キッチンが独立した機能空間になりました。単純なペニンシュラ型から、U字型になったことで、カウンターの長さは倍以上になり、収納量も格段に増えています。
ダイニングキッチン空間からリビングを見返した様子です。開口部の位置が変ったことで、玄関からキッチンまで大きく回り込む必要が亡くなり、よりショートカットでキッチンへとたどり着けるようになりました。
白っぽくて無機質で性格が無かった主寝室ですが、壁にアクセントクロスをパネル張りして、折り上げ天井に間接照明を設け、ウォークインクローゼットへの入り口を引違のガラス扉に変えたことで、シックで大人っぽい空間に変身させることができした。
ウォーク・インクローゼットは、レイアウトはほとんど変えていませんが、仕上げ材と照明を変えて、アイランド収納を設けただけで、グッとシックになりました。
最後は来客用トイレです。こちらもトイレのレイアウトをほとんど変えていませんが(トイレ背面のライニングはなくしています)、トイレ空間の部屋の幅を少し膨らませて、カウンターを伸ばしたことで、広々とした空間になりました。指先しか洗えなかった手洗うボウルをきちんと手が洗えるものへとサイズアップすることができました。仕上げ材も壁のカラーガラスや床タイル、チーク突板の手洗いカウンターとグレードアップしたことで、2ランクぐらい空間の質が上がったと思っております。
2017.05.01
リフォーム会社の検査中@横浜A邸
[横浜A邸]
工事が一通り終わって養生もはがされた横浜A邸で、リフォーム会社の検査があるとのことで、そのタイミングで現場を見て参りました。
先日、吊り込み作業が行われた2セットの両開きスチール扉が、凄い迫力の空間に仕上がっていました。
玄関ホールのトラバーチン大理石は、無理をお願いして、目地なし(眠り目地)で張って貰いましたが、リビングからの光を受けて、見事に輝いていました。このトラバーチン壁に穿たれた、横長の窓は…
壁の裏側にあるダイニングキッチン側から見ると、このようなレイアウトになっています。このダイニングキッチンは、二つの扉を閉めることで完全に仕切って、ファミリールーム的に使うことができる空間となっています。キッチンで調理中に誰かが玄関に帰ってきたときに、その様子が覗ける位置にこの小窓がレイアウトされているのです。
腰から下はクロスのパネル張り、窓の下端から上はチークの羽目板張りとしています。この横の目地ラインは、建具の横桟やキッチンのカウンターと連なった高さで設定されています。リフォームキューの工事側検査がすでに始まっており、是正が必要な箇所に緑色の付箋が貼られ始めています。
ダイニングキッチンからダブルの開き戸越しにリビングを見るアングルの写真です。先ほど説明した横目地が、建具を経て、柱型のパネル、そしてキッチンカウンターへと繋がっているのが判るでしょうか…。キッチン内の凹んだ箇所は冷蔵庫置き場となっています。
キッチンカウンター上のタイルとコンセントの取り合いです。タイルにコンセントを埋め込むことは難しいので、その代りスイッチプレートと同じ高さでタイルの目地を通して、このような収まりとしています。タイルは、イタリアのマラッツィ社のグリスフルーリーを使っていますが、この近さで写真を撮っても、本物の石に見える質感を持っています。
玄関ホールは、共用廊下からの玄関内側枠に、スチールプレートを差し込んで、枠なしでシャープに納めて貰っています。チークのフローリングを羽目板代わりに張って面としてのデザインを強調しています。既存靴収納は再利用、扉は基本的にダイノックシート張りとしていますが、一枚だけを姿見代わりに鏡張りに交換しています。
主寝室のウォークイン・クローゼットには、コンフォート社のシャープなアルミフレーム付きのガラス引き戸システムのライキが取りつきました。中央のアイランドカウンターは新しく設けたもので、壁紙をダークグレーで棚板はチーク柄で揃えて貰いましたが、シックで大人っぽい空間に仕上がっていました。
既存洗面家具の箱だけを残して、扉や天板カウンター、ボウルと水栓まで交換した洗面カウンターも生まれ変わっていました。メディスンキャビネットは間接照明をLEDに交換し、その下の壁は大理石モザイクタイル張りとしています。
入り口枠をステンレスにして、扉を強化ガラスに交換した浴室では、ちょうど水栓金物の交換工事が進んでいました。
レイアウト変更をして、大きな手洗いカウンターを設けた来客用トイレ空間にはカラーガラスを背面壁に張っています。パネル張りのクロスやクオーツストーンのカウンターと相まって、きれいな空間に仕上がってきています。