Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

メゾネット上階の先行解体

渋谷区L邸

先日のブログ記事のタイミングで、大きくリノベーション工事をする範囲が変わってしまった、メゾネット大型マンションリノベーションの渋谷区L邸ですが、下階のデザインの取り纏めやお見積りを待っていると、中々工事が前進しないので、まずは工事内容が決まった上階部分を先行して解体することとなりました。

約10日ほどの工期で、下階にお客さまが住みながらの状態での工事でしたが、ここまできれいに解体することができました。床下の給水や給湯管、天井裏のエアコンについては、基本再利用としていますが、解体して傷みが無いかを確認して移設する予定となっています。

柱型や梁の位置は図面通りでしたが、右側に見ている下階への室内階段の防火区画や、左側に見えている窓際の壁や下台は、予想と少々違った作りでしたので、もう少し厳密に調査をして対処方法を考えないといけないことになりそうです。

壁際の上下階を繋ぐPS部分の解体状況を、(設計)施工をお願いしている三井デザインテックの蛭川さんと風間さんと一緒に確認させて貰いました。

事前解体で配管の位置は判っていましたが、竪管への横菅の接続高さなどをキチンと実測できるようになり、ここまで設計を進めてきた上階の設計プランを問題なく進めることができることが判り、一同ホッとしています。

天井裏に隠されていたエアコンは、これまでも普通に使うことができていましたし、解体後も目視でも傷等は無いことが判ったので、このまま場所は移動させますが再利用する方針も決まりました。

こちらのお宅は上下階合わせて400平米以上もある巨大なマンションとなっていますが、上下階それぞれに給湯器が4台、合計8台もあるモンスター住宅となっております。給湯器置き場から室内に入ってくる管の数もかなりの量となります。

緑色の管は、床暖房やお風呂の追い炊きなどに使われるペアチューブという管が内部に仕込まれています。これらを無理に曲げると内部の管がつぶれてしまいますが、これらの管の為にかなり余分に作られていたPS(パイプスペース)は、専有部であり縮めることができれば、その分室内が広くなりますので(共用部のPSではこのようなことはできません)、実測をすることで、約15センチほど室内空間を広くすることができそうなことが判りました。

管が通る貫通部を覗き込んでみたところ、本来であれば区画貫通処理をしていなければならない箇所にグラスウールが詰め込まれているだけだったので、施工をお願いしている三井デザインテックに、適切に穴を塞ぐようにお願いをしておきました。

中央のボックス状になっているものが上下階を繋ぐ室内階段です。下に住まいながらの解体でしたので、降り口をベニヤ板で完全にふさいで、音や埃が下階に流れないように注意をしています。

乾式防火区画として作られている、その室内階段の石膏ボードの壁に穴が開けられて配線を取り出していました。これが当初のから工事なのか、お客さまがご購入前に他社がリノベーションした際に空けられたものかは分かりませんが、このまま放置するわけにはいかないので、配線を取り外して、同じ厚さの石膏ボードで補修することになります。

こちらはかつて浴室があったエリアです。(躯体に密着した)在来工法ではなく、(躯体との間に空気層が設けられる)オーダーユニットバスだったのに、なぜか寒かったとのお客さまからのお話があったので、皆で何が原因だったのかをカガミ建築計画の下に入って貰っているハク・アーキテクツスタジオの後藤さんと関さんにも立ち会ってもらって調査しました。

ガラスブロックでできた窓の上部のステンレス板に、以前の工事関係者のメモが残っていました。「↑これ吹込まないでモルタル入れる」と書いてある箇所を良く見たところ、室外と室内がツーツーになっており、外気が元のユニットバスの周囲に流れ込んできていたことが判りました!
工事の際にしっかりと無収縮モルタルを詰めた上から断熱材を吹き付けて貰うようにお願いしておきました。

床下の給湯管(赤い管)は即出湯システム(配管内でお湯を循環させ、いつでもすぐにお湯を出せるシステム)が組まれており、ループ状に配管されていましたが、なぜか太い管で始まっているのに、途中で管の径が遅くなっており、これでは即出湯システムのパワーがフルに活かせないので、配管は一部やり直してもらうことになりました。

他にも、工事の何らかの都合で、断熱材が欠損している箇所も幾つか見つかりました。

現場側の問題点を事前に纏めることができたので、その翌週にお客さまのLさまご夫妻に現場に来て頂き、状況をご説明させて頂きました。

既存そのままで再利用できるか所と、やり直しが必要となる箇所(つまりその分費用が余計に掛かってしまう箇所)があることをご理解頂きました。

寸法的には、これから墨出しをして、細かい寸法調整をしてゆく必要がありそうですが、大物のオーダーユニットバスはそのままの寸法で入ることが判ったことなどをご説明させて頂いたところ、とても安心したとのお言葉を頂きました。

お客さまと一緒に大理石を選ぶ意味-2_関ケ原の石工場見学

ザ・ライブラリー

TAGKENとの共同リノベブランドのザ・ライブラリーブログの広告です。
岐阜県大垣市から始まったお客さまと一緒の大理石の倉庫&工場見学、次に訪問したのが、大本山の関ケ原石材となります。

関ケ原石材は単なる倉庫ではなく、加工工場も併せた巨大施設となっています。大きな丸鋸(マルノコ)で石を切る機械や磨く機会、ブロックで持っている石材を置いている倉庫、、無造作に(笑)スラブ材が置かれた倉庫などを案内してもらいました。

ブロック材もそれなりに何度か見せて貰ったことがありましたが、中にはこんな珍しい柄の石種もありました。

スラブにカットされた(ブロック材を20~30ミリの厚みにカットするとスラブ材になります)同じ石種も見かけましたが、すごい迫力の石材でした。
因みに、関ケ原石材には、イタリアの希少石種を扱うアントリーニと提携したアントリーニギャラリー、関ケ原石材自身が持っている貴重な石種を集めたキセキギャラリー、そして一般の石材を保管している通常倉庫があります。こちらの石材は、その通常倉庫内に保管された石材でした。

こちらのアラベスカートも普通になられべラれていましたが、うっとりするほど美しい石材でした。ちょっと色味の差が激しいことと、何より枚数が足りないことで今回の横浜H邸の石材の候補にすることができませんでしたが…。

次に拝見させて貰ったのが、キセキ(KSK)ストーンギャラリー(別名STRAD)です。こちらもかなりインパクトがある石材が沢山あったのですが、その後に拝見したアントリーニの迫力に押し消されてしまいました…。

最後に、本丸の関ケ原石材・アントリーニギャラリーの見学です。前列左から、ザ・ライブラリーの現場監督の栗原、設計の岸本、Hさま、石材加工アジアグラニットの池田さん、田口、後ろが各務とキダマーブルの齊藤さんです。

僕らはこのアントリーニギャラリーに年に2~3回ほど伺っていますが、それでも毎回扉を開けて中に入るたびに、何億年もの時間を掛け作られた大理石から発せられる「地球の奥底からの震え」のようなものを感じて、身震いしてしまいます!

初めてご覧になったHさまも興奮しながら大理石の由来を読みながら一つ一つの石を見てくださいました。

素晴らしいスタトゥアーリオが何枚か並んでいました。こちらもかなり気に入ってくださっていたようですが、アラベスカートの上質なものと比べても、倍以上の価格がするので、要注意ですよとお伝えさえて頂きました。
以下、まだまだ色々な石材を見て、加工場などを見学させて貰った様子は、こちらのブログをご覧ください。

新宿区T邸のビフォーアフター

新宿区T邸

今年の春にお引き渡しを終えていた、ペントハウスマンションリノベーションの新宿区T邸の工事前後の写真を比較したビフォーアフターがようやく整理できました。

広さが190平米あって、天井高さも折り上げ上で3メートルあり、3方向に窓がある開放的なお宅なのですが、リノベーションの前は、大きな空間が無く、廊下が多く、広さを実感しにくいお宅でした。リノベーションで、3LKDから2LDKと洋室を一つ減らして、廊下を居室に取り込んだうえでキッチンの位置を変えて、大きなLDKを実現することができました。

ビフォーアフターの平面図の比較です。
・リビングダイニングの広さが約1.7倍になっています。扉の開け閉めで開放することができるキッチンまで含めたLDKとして考えると、約2倍の広さになっています。
・キッチンの位置が大きく変わりました。勝手口との連携やランドリールームと直接つながって、更にはキッチン背面には奥さまのワークコーナーができて、使い勝手が格段に良くなりました。
・黄色くマークしたエリアが玄関と廊下ですが、廊下がほぼ無くなってリビングダイニングがその分広くなっています。

以前はほぼ正方形のリビングダイニングで、玄関からLDに入ってダイニングに行こうとすると、テレビの前を通り抜けるアプローチになっていましたが、リノベーション後は堂々としたテレビボードの前に大型の「くの字型」のソファが置かれていますが、人が前を通ることが無いレイアウトになったので、空間に落ち着きが生まれています。

天井カセット式エアコンの位置を変えて折り上げ天井(間接照明付き)のサイズを大きくし、フローリング材の色味を明るくすることで、部屋の明るさと解放感を高めることができました。

左側がビフォーで右がアフターですが、廊下だった個所が見事にリビングダイニングキッチンに取り込まれていることが判りますね。

同じ廊下を逆方向から見返したビフォーアフターです。窓が無い廊下空間の狭さと暗さが消えて、大きくのびのびとした空間になりました。ダイニングの壁面にはビルトインのワインセラーを入れています。

かつての洋室2だった個所が、キッチン背面の奥さまのワークスペースとランドリー(下の写真の左側の引き戸の奥)に変わりました。二つの窓を開けると、風が爽やかに通り抜けるようになりました。

玄関のビフォーアフターです。以前は玄関扉を開けた正面の壁に、キッチンへの扉があり、空間としての落ち着きがありませんでした。リノベーションで正面壁には大理石を貼り、右側には来客用トイレと収納、左側には大きめのシューズインクローゼットを設けることで、壁面が多い落ち着いた空間になりました。

先ほどのビフォーアフター平面図では割愛した家族用の水回りスペースですが、以前は空間がガタガタして洗濯の動線と洗面、トイレと浴室の動線がクロスしていましたが、すっきりと動線が整理され、収納量も増えたとお客さまに喜んで頂いています。

リノベーションの効用が一番分かりやす写真がこちらでしょうか…。以前の様子を知っているお客さまがいらっしゃると、「何この変わりようは!」と驚いてくれるのが嬉しいとのお話を伺っております。